2012-07-20 (Fri)✎
名峰次選の山々 第65回 『103 知床・硫黄山 その1』 北海道
知床山系(知床国立公園) 1563m コース難度 ★★★★ 体力度 ★★★★
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
(0:45)→羅臼平
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
(0:40)→知円別岳鞍部のグラウンド
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
(0:20)→第一噴火口分岐(2:40)→新墳火口(1:00)→硫黄山登山口
(0:25)→湯ノ滝バス停よりバス(0:35)→岩尾別温泉より車(0:30)→斜里町・ウトロ
※ 《1日目》行程『名峰百選 第67回 羅臼岳』からの続き
《2日目》 サシルイ岳・二つ池を越えて知円別岳鞍部へ
空が明るくなる頃には《羅臼平》をでよう。 そうでなくても起伏に富んだ長い稜線歩きなので、早く出発するに限る。 《羅臼平》を出発すると、いきなりミツミネ山鞍部への急登だ。 これは下部に急傾斜の雪渓があり、見た目はすごくキツそうだが、登ってみるとそれ程でもなく、約15分で片が着く。
空が明るくなる頃には《羅臼平》をでよう。 そうでなくても起伏に富んだ長い稜線歩きなので、早く出発するに限る。 《羅臼平》を出発すると、いきなりミツミネ山鞍部への急登だ。 これは下部に急傾斜の雪渓があり、見た目はすごくキツそうだが、登ってみるとそれ程でもなく、約15分で片が着く。
ミツミネ山鞍部に着くと、全面に羅臼岳の岩のドームが見える。 まるで、《羅臼平》にドーンとのしかかっているような重量感がある。
ここからミツミネ山の鞍部まで登った分、そっくりそのまま下っていく。 しかし、傾斜は緩やかで、脇に咲いている花が朝日を浴びて輝くのを見ながらの爽快な下り道である。 やがて下方に、《ミツミネ山幕営地》のカラフルなテントが見え出す。 この谷へ下りきると、《ミツミネ山幕営地》だ。
ここは、いい水場のある知床連峰唯一の幕営地で、山のガイド本ではほとんどがここを宿泊地にしての1泊2日行程でコース説明をしている。 だが、歩く距離やコース難度を考えると、よほど山慣れした人でないと、1泊2日はキツイのではないか・・と思う。 そのコース難度ぶりは、ガイドを進める中でおいおい明らかにしていこう。
三ッ峰越しに見る羅臼岳
サシルイ岳より
さて、《ミツミネ山幕営地》を出ると、サシルイ岳への200mに及ぶ急登が待ち受けている。
このハイマツ交じりの急登を乗りきってサシルイ岳鞍部に立つと、知床連峰随一の眺めが四方に広がる。
ミツミネ山の3つの山の又の間からの羅臼岳の眺めや、東側の国後島のうっすらとしたシルエットも“最果て”を感じさせる。 それから、サシルイ岳の長大な雪渓と、その果てに霧がかかって見える硫黄山など、急登の疲れを振りほどいてなお余りある素晴らしい眺めが広がる。 なお、サシルイ岳 1564メートル の頂上は、この鞍部から右側の一段高い突起へ約10分の登りである。
サシルイ岳鞍部からは、先程見下ろした長大な雪渓を下っていく事となる。 この雪渓、傾斜は緩やかなのだが雪渓への取付が不明瞭で、ともすれば左側の土手についている踏跡に入り込みそうになるので注意が必要だ。 雪渓に取り付いたなら、延々と続く雪渓を下っていく。
距離にして約1km、約250mの標高差を下りきると、ようやく雪渓は途切れて雪解け水が下を流れる笹地に突入する。 この笹地を下っていくと、やがて笹が途切れて視界が開けた広い窪地に下り立つ。
しかし、先程からの雪解け水がこの窪地に流れ込み、足元はひどいぬかるみを含む湿地帯となっている。 所々、水が浮くような道を足場を確かめながら歩くので、思った以上に時間がかかる。
イワイチョウ エゾコザクラ
水面より出た草地には、エゾコザクラやイワイチョウなどが咲いているが、この足場ゆえに容易に近づけない。 近づいたとしても、とてもカメラで接写できる状況にない。 このグチョグチョの湿地帯を何とか越えると、今度はオッカバケ岳への標高差150mの登りだ。
ここは、先程の湿地帯と打って変わって、砂礫地のハイマツ漕ぎをしながらの登りだ。
ここは、先程の湿地帯と打って変わって、砂礫地のハイマツ漕ぎをしながらの登りだ。
この全く違う登りは、後々ジワジワと体にコタえてくるのである。 ハイマツ帯を越えて砂礫地の急傾斜を登りきると、オッカバケ岳の頂上らしき丘の上に立つ。
“らしき・・”という表現のように、この山には頂上を示すものが何一つないのである。
“らしき・・”という表現のように、この山には頂上を示すものが何一つないのである。
もしかしたなら、別に頂上の“高み”があるのかもしれない。 このオッカバケ岳の頂上“もどき”からは、《二ッ沼》が見下ろせる。
また、振り向けばサシルイ岳より、先程下った雪渓が一直線に下に向けて眩いばかりに白く光っている。 オッカバケ岳よりは、今までの困難な道とは一変して、お花畑の中の緩やかな下りである。
チングルマ・エゾノハクサンイチゲ・キンバイソウ・アオノツガザクラ・・などが咲く中をゆっくり下って、山を歩く喜びを充分に味わおう。
チングルマ・エゾノハクサンイチゲ・キンバイソウ・アオノツガザクラ・・などが咲く中をゆっくり下って、山を歩く喜びを充分に味わおう。
ジムカデ エゾツガザクラ
下りきると、この“夢の道”は途切れて、再び《二ッ沼》の湿地帯に突入する。 しかも、沼の周りを巻く部分では、先程の湿地帯よりも更にひどい状況で、もはや水深10cmの水の中を歩くようなものである。 ちょっとでも水深が浅くなるように、水面下の藻草を踏みながら歩いていくのだが、足元の判断を誤ると途端に踏み抜いて靴の中が水浸しとなる。 この困難極まる湿地帯を何とか乗り越えると、再び南岳へのハイマツ漕ぎの登りとなる。
下りきると、この“夢の道”は途切れて、再び《二ッ沼》の湿地帯に突入する。 しかも、沼の周りを巻く部分では、先程の湿地帯よりも更にひどい状況で、もはや水深10cmの水の中を歩くようなものである。 ちょっとでも水深が浅くなるように、水面下の藻草を踏みながら歩いていくのだが、足元の判断を誤ると途端に踏み抜いて靴の中が水浸しとなる。 この困難極まる湿地帯を何とか乗り越えると、再び南岳へのハイマツ漕ぎの登りとなる。
先程とは、これまた全く違った内容の道となるのだ。 そして、先程の湿地帯で濡れた登山靴に土がまとわり付き、靴の重量が1.5倍になって一歩一歩が重い。 しかも、この時間帯となると日が高くなってジリジリと照りつけるようになり、“暑さ”とも戦わねばならない。 ハイマツ帯の坂を半周巻くように登っていくと、南岳の肩に登り着く。
硫黄山の第一噴火口
通称“グラウンド”
ここは、硫黄山の火口原へ下りていく通称・“グラウンドコース”の分岐であった所だが、現在このコースは火山活動の不安定さや、ヒグマの頻繁な出没などで通行禁止となっている。
この肩からは、火口原を下に見ながら硫黄山の外輪山を伝うように歩いていく。 歩いていくと、外輪山上にある砂礫でできた突起が立ちはばかる。 これが南岳 1459メートル で、当然これを登っていく。 登り着くと、標高1500m以下とは思えないような絶景が広がっている。 前方にだたっ広い火口原を従えた硫黄山が、トゲドゲしい山容を魅せている。 東側には、知床・東岳が横たわっている。
また背後には、羅臼岳が程よく離れてそびえたち、今まで歩いてきた稜線の起伏が連なっている。
濃い緑の山肌に所々、雪渓のまだら模様を載せた雄大な眺めである。 しかし、ここまでの道程がハードだったが為に、この頂上で疲れがどっと噴き出す。 やや早いが、この下に広がるお花畑の広場でストップする事にしよう。
知円別岳の鞍部は周囲にシナノキンバイが
咲き乱れる絶好のキャンプサイトだ
南岳から、ハイマツ帯に交じって花が咲く道を下っていく。 下り着くと、知円別岳の鞍部である。
ここはお花畑の広がる平坦な窪地で、絶好のキャンプサイトとなっている。 しかし、水場はないので、近くにある雪田を解かして利用する事になろう。
ここからは道は一層キツくなり、下山するまで6時間を越える。 たとえ下りついたとしても、バスの最終便は出てしまって下山口で幕営という事になろう。 それならば、前述の通り今日はここで幕営する事にしよう。 明日は、硫黄山へのアプローチと下山である。 明日の下山路は、実際に歩くと解る折り紙付の難コースである。
南岳から、ハイマツ帯に交じって花が咲く道を下っていく。 下り着くと、知円別岳の鞍部である。
ここはお花畑の広がる平坦な窪地で、絶好のキャンプサイトとなっている。 しかし、水場はないので、近くにある雪田を解かして利用する事になろう。
ここからは道は一層キツくなり、下山するまで6時間を越える。 たとえ下りついたとしても、バスの最終便は出てしまって下山口で幕営という事になろう。 それならば、前述の通り今日はここで幕営する事にしよう。 明日は、硫黄山へのアプローチと下山である。 明日の下山路は、実際に歩くと解る折り紙付の難コースである。
続き《3日目》行程は、次回の『名峰次選 第66回 知床・硫黄岳 その2』 を御覧下さい。
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