2012-07-19 (Thu)✎
名峰百選の山々 第67回 『2 羅臼岳』 北海道
登り始めは、つづら折りの急登で着実に高度を上げていく。 やがて、岩場に出ると視界が開け、眼下に《知床五湖》や紺碧のオホーツク海が望める。 時間が合えば、『知床岬めぐり』の遊覧船がオホーツク海をゆっくり漂っているのが見えるだろう。 道は一時、視界の良い岩場だが、やがて樹林帯に突入して暑い森の中の登りとなる。 視界の利かない中の暑い登りで、汗をたっぷりと搾り取られて喉が渇く。
そろそろ水が欲しい・・と思う頃、最初の水場・《弥三吉水》の沢音が聞えてくるだろう。
この雪渓を登りつめて雪渓上部の岩ガレ場を越えると、ハイマツに混じってシナノキンバイやエゾコザクラの花がチラホラと見え出す。 ここまでくれば、もうひと踏ん張りだ。 ハイマツの段差がなくなり、ミツミネ山と羅臼岳の岩塊のドームが両側にそそり立つ広場に出ると、そこが《羅臼平》である。
《羅臼平》で充分休憩したなら、荷物をデポって身軽になって目の前にそびえる知床最高峰・羅臼岳にアタックしよう。 道は、《羅臼平》からハイマツの刈り分けの中を登っていき、やがてハイマツが途切れると羅臼岳のドームの岩にぶち当たる。 この大きな岩の上からは岩清水が滴り落ちていて、口に含むととても冷たくて美味しい。 上部に雪渓があるようには見えないので、これは知床連峰の最標高地点の湧き水であろう。
岩の周りには、イワウメ・イワヒゲ・ジムカデなどが花びらに水滴を浮かして咲いており、周りの岩苔の淡い緑と調和して瑞々しい彩りを魅せてくれる。 ここからは、このドーム岩を巻くように登っていく。
知床山系(知床国立公園) 1660m コース難度 ★★ 体力度 ★★
知床連山縦走ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
(0:45)→羅臼平
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
(0:40)→知円別岳鞍部のグラウンド
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
(0:20)→第一噴火口分岐(2:40)→新墳火口(1:00)→硫黄山登山口
(0:25)→湯ノ滝バス停よりバス(0:35)→岩尾別温泉より車(0:30)→斜里町・ウトロ
冬の知床連峰
《1日目》 岩尾別温泉から羅臼岳へ
知床連峰の最高峰・羅臼岳へは、最短コースの『岩尾別コース』を使っていこう。 この登山道は整備が行き届いていて、水場も豊富にあり、登山者も比較的多い“初心者”コースだ。 登山口は、『ホテル地の涯』横の《木下小屋》よりついている。 登山者名簿に記帳したなら、登山を開始しよう。
知床連峰の最高峰・羅臼岳へは、最短コースの『岩尾別コース』を使っていこう。 この登山道は整備が行き届いていて、水場も豊富にあり、登山者も比較的多い“初心者”コースだ。 登山口は、『ホテル地の涯』横の《木下小屋》よりついている。 登山者名簿に記帳したなら、登山を開始しよう。
登り始めは、つづら折りの急登で着実に高度を上げていく。 やがて、岩場に出ると視界が開け、眼下に《知床五湖》や紺碧のオホーツク海が望める。 時間が合えば、『知床岬めぐり』の遊覧船がオホーツク海をゆっくり漂っているのが見えるだろう。 道は一時、視界の良い岩場だが、やがて樹林帯に突入して暑い森の中の登りとなる。 視界の利かない中の暑い登りで、汗をたっぷりと搾り取られて喉が渇く。
シナノキンバイに憩う高山蝶
この沢は冷たい水がサラサラと流れるいい水場で、この水場の存在を知っていれば、ここまで水を持たずに済むのだ。 登りで、2㎏の重さをカットできるのは貴重な事である。 それも、テント用具一式を担ぐ・・となればなおさらだ。 この水場で水を補給して、再び樹林帯につけられた登山道を登っていく。
しばらく、ダケカンバのトンネル帯を通り、道も平坦になる。 これが徐々に傾斜がキツくなっていって、これを登りきると第二の水場・《銀冷水》に着く。 ここの水場も悪くはないが、《弥三吉水》に比べると今一つである。 ここから樹林帯をひと登りすると、樹林帯が途切れて視界が開け、大沢の雪渓に向って真っすぐ進むようになる。 この雪渓は、例年7月いっぱいまでは大きく残っていて、緩やかな傾斜であるが雪渓登りとなる。
この雪渓を登りつめて雪渓上部の岩ガレ場を越えると、ハイマツに混じってシナノキンバイやエゾコザクラの花がチラホラと見え出す。 ここまでくれば、もうひと踏ん張りだ。 ハイマツの段差がなくなり、ミツミネ山と羅臼岳の岩塊のドームが両側にそそり立つ広場に出ると、そこが《羅臼平》である。
もちろんお花畑も豊富で、チングルマ・イワギキョウ・アオノツガザクラ・エゾコザクラなどが咲き乱れる。
イワギキョウ エゾコザクラ
《羅臼平》で充分休憩したなら、荷物をデポって身軽になって目の前にそびえる知床最高峰・羅臼岳にアタックしよう。 道は、《羅臼平》からハイマツの刈り分けの中を登っていき、やがてハイマツが途切れると羅臼岳のドームの岩にぶち当たる。 この大きな岩の上からは岩清水が滴り落ちていて、口に含むととても冷たくて美味しい。 上部に雪渓があるようには見えないので、これは知床連峰の最標高地点の湧き水であろう。
頂上直下の石清水の
冷水を浴びるイワウメ
岩の周りには、イワウメ・イワヒゲ・ジムカデなどが花びらに水滴を浮かして咲いており、周りの岩苔の淡い緑と調和して瑞々しい彩りを魅せてくれる。 ここからは、このドーム岩を巻くように登っていく。
時には岩をよじ登り、時には岩に着いた雪田に悩まされながらも、一歩一歩登った岩の高さごとに高度を稼いでいく。 登っていくと、やがて上を見上げても岩がない状態となる。 こうなれば、後は頂上の標柱に向って岩をトラバースするだけである。
羅臼岳にて
羅臼岳 1660メートル 頂上に着くと、360°遮るもののない絶景が広がっている。
中でも印象深いのが、北方領土・国後島である。 うっすらと霧がかった国後島を見渡すと、“最果て”にやってきた情感が胸に込み上げてくる。
硫黄山に続く知床連峰の山なみ
また、明日より目指す硫黄山も、ミツミネ山の又の間から望む事ができる。 その他、ぼんやりと浮かぶ水溜りのような《羅臼湖》や、羅臼とウトロの街も一望できる。 360°大パノラマを心ゆくまで味わったなら、下りに取りかかろう。
登りでよじ登った数々の大岩を、足を挫かぬように慎重に下っていく。 約45分で《羅臼平》に下る事ができるが、途中の岩清水で水を補給しておくといいだろう。 なお、今日は体調の関係で(とどのつまり、ダレたのである)ここに幕営することにしたが、余裕のある人は鞍部を一つ越えて《ミツミネ山幕営地》まで進むといいだろう。 そうすれば、明日の行程はかなりキツくなるが、明日中の下山も可能である。
明日はいよいよ、原始の香り漂う知床連峰の懐深くに入っていく。
登りでよじ登った数々の大岩を、足を挫かぬように慎重に下っていく。 約45分で《羅臼平》に下る事ができるが、途中の岩清水で水を補給しておくといいだろう。 なお、今日は体調の関係で(とどのつまり、ダレたのである)ここに幕営することにしたが、余裕のある人は鞍部を一つ越えて《ミツミネ山幕営地》まで進むといいだろう。 そうすれば、明日の行程はかなりキツくなるが、明日中の下山も可能である。
明日はいよいよ、原始の香り漂う知床連峰の懐深くに入っていく。
続き《2日目》以降は、『名峰次選 第65回 知床・硫黄山 その1』 を御覧下さい
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No title * by kei
風来梨さん、こんにちは。数年前に岩尾別から登ったので、とても懐かしく拝見させていただきました。花畑のなかにある岩清水のおいしさが記憶に残っています。ポチ☆
No title * by 風来梨
Keiさん、こんばんは。
知床の岩尾別側は3つのいい水場がありますね。
弥三吉水は、そろそろ登りが佳境に入ってきた時の力水で、とても冷えて美味しいです。 銀冷水もちょっと細いけどいい水です。
でも、やっぱり頂上直下の滴り落ちる石清水が最高ですね。
たぶん、地下水が湧き出ているのでしょうね。 花もミネラル豊富な石清水を浴びて活き活きしていました。
傑作を押して頂いて、ありがとうございます。
知床の岩尾別側は3つのいい水場がありますね。
弥三吉水は、そろそろ登りが佳境に入ってきた時の力水で、とても冷えて美味しいです。 銀冷水もちょっと細いけどいい水です。
でも、やっぱり頂上直下の滴り落ちる石清水が最高ですね。
たぶん、地下水が湧き出ているのでしょうね。 花もミネラル豊富な石清水を浴びて活き活きしていました。
傑作を押して頂いて、ありがとうございます。