風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第9回  陸中海岸・その1 夏風景

『日本百景』 夏  第9回  陸中海岸・その1 夏風景 〔岩手県〕
 

美しい海と風景
正にこの世の別天地
 
   陸中海岸 りくちゅうかいがん (陸中海岸国立公園)
陸中海岸は、北部と南部で地形が大いに異なっており、それぞれ違った景観を魅せてくれる。 
北部は、荒々しい断崖絶壁が連なる隆起海岸である。 一方、南部は沈降海岸で、湾入の多い穏やかなリアス式の海岸となっている。
 

豪快な海崖を魅せる北山崎

北部のハイライトは《北山崎》。 多くの海食洞と奇岩があり、迫力ある断崖美を魅せている。 
南部のハイライトは、《碁石海岸》と《穴通磯》。 岩礁の基部に、海食によってできた3つの穴が開いている。 他にも様々なリアス湾があり、朝日に染まる情景は叙情的である。



荒波が永い時をかけて創造した情景

            北山崎の海崖と白波           荒波は岩をも刳り貫く
 
    行程表               駐車場・トイレ・山小屋情報
  北山崎 → 三陸鉄道・普代駅よりバスで25分、または島ノ越港より遊覧船あり・所要45分
 浄土ヶ浜 → JR宮古駅よりバスで15分、浄土ヶ浜より遊覧船あり・所要40分
 

『三陸海岸』は、とにかく南北に長い。 設定した景勝地を効率よくめぐるためには、やはり車が必要だろう。 行程表では鉄道・バスの利用の形を取っているが、ただでさえ本数が少なく、また盛岡や仙台を起点に取ると所要時間もかなりかかるのである。 従って心苦しいながらも、行程表とは全く違う車利用での探勝となる事をお許し頂きたい。 それでは、最初に《北山崎》へ行ってみよう。
 

 そそり立つ海崖と押し寄せる波
 
《北山崎》は『三陸海岸』の北部に位置する景勝地である。従って、盛岡からでも北方に位置するのである。 わざわざ宮古を経由していては、移動だけで1日を費やしてしまう事になるだろう。
また、『三陸海岸』は岩手県の東部海岸なので、より絶景を求めるならば陽が昇る早朝がベストである。 

これらの事から、前日に苦もなくアプローチができる起点は、《北山崎》よりも更に北方の青森県・八戸という事になるのである。 
ここから車を南下しながら海岸線をたどっていくと、『三陸海岸』の北部は午前中のいい時間帯に全てをめぐる事ができるだろう。 但し、《北山崎》又は田野畑村で車中泊を強いられる事になるが。

さて、前日からの狭い車中泊に耐えた御褒美の眩い日の出を見たなら、早速《北山崎》の海岸へ繰り出そう。 だたっ広い駐車場に車を止めて観光茶屋のある広場を抜けていくと、《北山崎》の展望台だ。 
ここは《北山崎》の崖の突端にあり、海抜200mからの《北山崎》を始めとする『三陸海岸』を一望できる。 だが、荒波が白く砕け散る光景や海食洞など、自然の造形美を見るには少し遠過ぎるのである。 
 

北山崎の絶景を見るには
718段の苦行を乗り越えねばならない

しかし、《北山崎》はこれで終わりでない。 むしろ、これからが見どころとなるのだ。 
それは、この崖を下まで下る事で叶うのであるが、高低差は先程述べたように200m。 階段にして718段の苦行である。 だが、はるばる東北の東端まで訪れたのだ。 “美味しい所”を見ずに上っ面だけを眺めてもそれは心に残らないし、また『日本百景』めぐりの旅とは成り得ないのである。 ここは、体力の許す限り、是非とも往復1436段の苦行を乗り越えて頂きたい。 

但し、階段は急なコンクリート階段で、ここでの転倒は大怪我につながりかねないので、ハイヒールなどの安定のない靴などは見合わせた方が賢明だ。 そして、旅をするのに“ハイヒール”を履いてくるならば『日本百景』の旅に合わないであろうから、そのような方は有名観光ガイドを参照して安全に別の旅を楽しんで頂きたい。
 

 岩礁で狭まった所は
押し寄せる波が様々な模様を描く

・・さて、コンクリートの階段をつづら折りに下っていくと、約200段下に《第二展望台》という中間の展望台がある。 だが、ここは周りの木々で崖側が覆われて、今イチパッとしない。 これならば、先程の崖上の展望台の方が眺めがいいだろう。 
 
コンクリートの階段は、これよりが急勾配となる。 階段の踏み幅は25cm位となり、横の手すりを持ってでないと下るのに恐怖感を伴うようになってくる。 これをズンズン下っていくと、洞の直径が30mはあろうか・・という海食洞の洞門が眼前に見えてくる。 そして、昔の『三陸越え』の街道(現在は島越へ抜ける自然歩道となっている)を分けて、柵のある波打ち際まで下っていく。 


波の力はあの硬い岩盤を
刳り貫いてしまうのだ
 
目の前には、先程の洞門の中で波が白く渦巻いている。 上の展望台からは小さな針の穴であった海食洞が、あちらこちらに迫力を増して点在してるのが確認できるだろう。 そして圧巻は、その海食洞に白波が砕け散る様である。 “いつまでも眺めていたい”と思わせる情景が、そこにあるのだ。 ここは、時間の許す限りこの情景を味わおう。 帰りは、当然の如く718段の登りとなるが、無理せずにゆっくりと登っていこう。 

 下る途中にあった海岸滝 
もちろん無名滝だ

途中で分岐している自然歩道に、少しだけ立ち寄るのもいいだろう。 木陰の中にベンチがあり、《北山崎》の海岸と無名の海岸滝がひっそりと白布を掛けているのが望めるだろう。 但し、このベンチより先はかなり荒れているので、あまり奥には進まぬように。 休憩を交えながら、コンクリート階段にある10段づつの指標が減っていくのを楽しみにしながら戻っていこう。

さて、《北山崎》の海岸べりより戻ったならば、車を内陸にある街の方へ戻して、県道を南下していこう。
途中に《弁天崎》や《島越》などの漁港があり、ただ単に内陸部の国道をゆくよりも乙である。 
なお、《島越》の港は、《北山崎》を海から望む観光船の就航している所である。 やがて、県道は国道45号線に合流して、快適に南下していく。
 

途中の観光スポット・鵜ノ巣断崖
 
あまり早く着きすぎるのも何なので、途中の《鵜ノ巣断崖》に寄ってみる事にした。 
この《鵜ノ巣断崖》の左折地点は国道標識に掲げてあるので、見落としさえしなければ大丈夫である。 
さて、その《鵜ノ巣断崖》であるが、《北山崎》と比べたなら“今ひとつ”であろう。 
だが、安全に三陸の長い海岸線を望める所である。 そして、もう1つの寄り道は、《潮吹穴》である。
 

現在“ホラ吹き”中潮吹穴
 
ここは風景的には“大ハズレ”だが、何故か許せるのである。 それは、案内看板に「この《潮吹穴》はあまり潮を吹く事が少ないので、別名“ホラ吹穴”と呼ばれている」とあるからだ。 向こうから、“ホラを吹いてます”と言われれば、苦笑いをする他にないであろう。 これらの寄り道を経た後、次の景勝地の《浄土ヶ浜》へ向かう。
 

美しく穏やかな浄土ヶ浜
 
さて、《浄土ヶ浜》であるが、『三陸海岸』では最も有名な観光スポットである。 この事から、私の心の中では今イチ期待は持てなかった所である。 だが、嬉しい事にその思いを見事に打ち破る素晴らしい情景があったのだ。 正に、“極楽浄土”への浜であった。
 

正に透き通った夏
浄土ヶ浜にて
 
青く澄んだ海と美しい玉砂利の海岸、そして白く美しい岩礁。 全て、絶好のカメラターゲットとなる。
観光客が多いのは難点だが、是非とも立ち寄る価値がある海岸だ。 夏の透き通った海を前に、浜の前でゆったりとした気分を満喫しよう。
  
     ※ 詳細は、メインサイトより『陸中海岸』 を御覧下さい。
 
 


 


 
 


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