2012-06-07 (Thu)✎
名峰次選の山々 第60回 『200 屋久・永田岳』 鹿児島県
屋久山系(霧島屋久国立公園) 1886m コース難度 ★★★ 体力度 ★★★
宮之浦岳より望む永田岳
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 屋久・宮之浦港よりタクシー(0:45)→白谷雲水峡(1:10)→白谷小屋
《2日目》 白谷小屋(1:10)→軌道出合(1:15)→大株歩道(0:30)→ウィルソン株
《2日目》 白谷小屋(1:10)→軌道出合(1:15)→大株歩道(0:30)→ウィルソン株
(1:30)→縄文杉(0:10)→高塚小屋(1:00)→新高塚小屋
《3日目》 新高塚小屋(2:10)→平石ノ岩屋(0:30)→焼野三叉路より永田岳往復 所要1時間30分
焼野三叉路(0:30)→宮之浦岳(1:30)→黒味岳分岐・黒味岳往復 所要約40分
黒味岳分岐 (0:10)→花之江河(1:20)→淀川小屋
《3日目》 新高塚小屋(2:10)→平石ノ岩屋(0:30)→焼野三叉路より永田岳往復 所要1時間30分
焼野三叉路(0:30)→宮之浦岳(1:30)→黒味岳分岐・黒味岳往復 所要約40分
黒味岳分岐 (0:10)→花之江河(1:20)→淀川小屋
(0:50)→淀川登山口よりタクシー利用(1:00)→安房バス停よりバス
(0:45)→屋久・宮之浦港
※ 前回の《1・2日目》の行程は、『名峰百選 第60回 宮之浦岳』を御覧下さい。
また、多少重複しますが、《3日目》の最初より続けます。
《3日目》 永田岳・宮之浦岳を伝って下山
今日は、いよいよ“洋上アルプス”の頂点に立つ。 今日の行程はかなりハードなので、5時には出発できるようにしよう。 もし、1日停滞したならば(筆者は1日停滞した)、多少の雨でも出発せねばなるまい。 但し、雷が鳴っている時は自重しよう。 これは生命の危険に関ることなので、見極めには十分な注意が必要だ。
小屋からイバラが行く手を遮る道を登っていくと、約40分であまり展望の良くない《第一展望台》に登り着く。 かつては眺望が良かったのであろうが、今はイバラが方々に突き出して見通しは至って悪い。
《第一展望台》に立っている大岩を巻いてから、鞍部に向かって急下降していく。
今日は、いよいよ“洋上アルプス”の頂点に立つ。 今日の行程はかなりハードなので、5時には出発できるようにしよう。 もし、1日停滞したならば(筆者は1日停滞した)、多少の雨でも出発せねばなるまい。 但し、雷が鳴っている時は自重しよう。 これは生命の危険に関ることなので、見極めには十分な注意が必要だ。
小屋からイバラが行く手を遮る道を登っていくと、約40分であまり展望の良くない《第一展望台》に登り着く。 かつては眺望が良かったのであろうが、今はイバラが方々に突き出して見通しは至って悪い。
《第一展望台》に立っている大岩を巻いてから、鞍部に向かって急下降していく。
永田岳が姿を現した
一度下って、相変わらずのイバラ道を再び急登すると《第二展望台》だ。 ここは大きな岩が横たわっていて、この上に上がると宮之浦岳より南にそびえる山なみがよく見渡せる。 また、縦走路の平石付近の崩壊地も、粗々とした光景を魅せている。 だが、残念なことに、宮之浦岳は《平石》の崩壊地に隠れてまだその姿を現さない。
ここからはイバラ漕ぎからは解放されるものの、クマザサとひどいぬかるみ帯が行く手を遮る。
特に、ぬかるみは悩ませる存在だ。 長距離を歩く場合は、靴をできるだけ濡らさないのがセオリーだ。
ここからはイバラ漕ぎからは解放されるものの、クマザサとひどいぬかるみ帯が行く手を遮る。
特に、ぬかるみは悩ませる存在だ。 長距離を歩く場合は、靴をできるだけ濡らさないのがセオリーだ。
しかし、このぬかるみでは、“無傷”では行けそうもない。 重い荷物を担いで水溜りを飛び越えるのも辛い。 この道はさほど急登である訳でもなく、取り立てて通過に苦難な所でもないが、こういうジレンマで結構時間がかかる。 やがて、《坊主岩》という大岩の基部を巻いて、《平石》への急登となる。
第二展望台》で望んだあの崩壊地だ。 《平岩》のガレ場の横に、ササクレ立った岩が直立する奇抜な姿の永田岳がそびえ立つ。 そして、この《平岩》のガレ場の上部に、柔和な仏の顔を現した《仏面岩》がレリーフのようにはめ込まれている。 この傾斜をイッキに登っていくと、巨大な《平石ノ岩屋》が乗っかっている上部の丘に出る。 “岩屋”というだけあって、巨大な岩の下はどうにか雨風を凌げそうだ。
平石の上でようやく
宮之浦岳が姿を現す
それよりも、この岩の上に立ってみよう。 目の前に広がるは、正に絶景だ。 豊かな節々を抱き、雄大な草原を頂点に突き上げる名峰・宮之浦岳が正面にそびえるのだ。 何と若々しく、力強い峰なのだろうか。
思わずうっとりしてしまう“艶かしい”姿を魅せている。 ここから、宮之浦岳と永田岳を分ける《焼野三叉路》まで30分の道程だ。 草原の風を味わいながら、ゆっくりと歩いていこう。
《焼野三叉路》では重い荷物をデポして、カメラだけの空身で永田岳 1886メートル を往復してこよう。 永田岳へは、この分岐の右へ進路を取る。 草原越えて、足場が砂礫となった道を鞍部まで下っていく。 密かな大瀑布・《龍王ノ滝》を擁する《宮之浦川》の源頭を渡ると、いよいよ奇怪な岩々を頂上にもたげる永田岳へ取り付いていく。
《焼野三叉路》では重い荷物をデポして、カメラだけの空身で永田岳 1886メートル を往復してこよう。 永田岳へは、この分岐の右へ進路を取る。 草原越えて、足場が砂礫となった道を鞍部まで下っていく。 密かな大瀑布・《龍王ノ滝》を擁する《宮之浦川》の源頭を渡ると、いよいよ奇怪な岩々を頂上にもたげる永田岳へ取り付いていく。
永田岳上部の巨石群
取付付近で見上げた永田岳は垂直の岩屏風で取っ掛かりが全くないように見えるが、登ってみると案外簡単に頂上のササクレ立った頂上岩の下に出る。 この一枚岩は取っ掛かりが少なく上がるのには苦労するが、這い上がった岩の上は360°の大展望が広がる。
永田岳山頂の大岩にて
うっすらと見える永田の街や、霧掛かった宮之浦岳の美しい姿、“ローソク岩”を中心とした永田岳の奇抜な岩々、魅せられるものが全て芸術である。 そよ風に吹かれながら心ゆくまで眺めを堪能したなら、荷物のデポってある《焼野三叉路》へ戻ろう。
永田岳の往復は、眺めた感覚よりかなり時間を食うのである。 頂上でくつろぐ時間を含めて、2時間近くの時間を見ておいた方がいいだろう。 焼野三叉路》に戻って荷物を回収したなら、いよいよ【名峰百選】のしんがりを締める名峰・宮之浦岳の頂上を目指す。 岩ガレの中を30分ばかり登ると、花崗岩の庭を形成する宮之浦岳 1935メートル の頂上だ。
永田岳の往復は、眺めた感覚よりかなり時間を食うのである。 頂上でくつろぐ時間を含めて、2時間近くの時間を見ておいた方がいいだろう。 焼野三叉路》に戻って荷物を回収したなら、いよいよ【名峰百選】のしんがりを締める名峰・宮之浦岳の頂上を目指す。 岩ガレの中を30分ばかり登ると、花崗岩の庭を形成する宮之浦岳 1935メートル の頂上だ。
九州最高峰・宮之浦岳にて
頂上からは、山肌に突き刺さる岩々が奇抜な容姿を象る永田岳や、密かな大瀑・《龍王ノ滝》、広がる草原の裾野、海辺に寄り添う街など、『屋久島』の全てが見渡せる。 しばし、この素晴らしき眺めを味わおう。
尖岩の重なりで形成され
奇怪な姿を魅せる永田岳
さて、下山は、ここから南下して日本最南の高層湿原・《花之江河》に立ち寄って、《淀川登山口》に下りるルートをたどろう。 宮之浦岳から栗尾岳 1678メートル までは勾配の比較的緩いザラ場の下りだが、栗尾岳を境に急下降が始まる。 200m程イッキに下って、《淀川口》からの登りでは最終水場となる《小揚子沢》の源頭を渡る。
ここからは、沢の流水で常に濡れた岩をトラバース気味に伝っていく。 このトラバースは転落する程の高度ではないが、濡れて滑りやすい上に足場が細くイバラの根が所々に絡んで歩き辛い。 『花之江河まで4km』の標識を見る辺りから荒れた涸れ沢や樹林帯が絡むようになり、樹木の隙間を縫うように下っていくと、《投石ノ岩屋》がある《投石平》に着く。
ここからは、沢の流水で常に濡れた岩をトラバース気味に伝っていく。 このトラバースは転落する程の高度ではないが、濡れて滑りやすい上に足場が細くイバラの根が所々に絡んで歩き辛い。 『花之江河まで4km』の標識を見る辺りから荒れた涸れ沢や樹林帯が絡むようになり、樹木の隙間を縫うように下っていくと、《投石ノ岩屋》がある《投石平》に着く。
硫黄噴出物で
荒涼とした投石平
この辺りは河原状を成していて、南沢の源頭が奇怪なツガワラの湿原を形成していた。 この辺りは何らかの硫黄化合物を含んでいるのだろうか・・、岩は所々黄色の粉状に食され、触ればボロボロと崩壊する。 当然、ツガの樹木も立ち枯れて白骸化した“ワラ”となるのである。
『屋久島』の沢で唯一“飲みたくない”この沢を渡り、簡単なロープやハシゴのついた道を細かく上下しながら下っていく。 やがて、下り着いた丘の上に、『黒味岳』を指示する道標を見るだろう。
『屋久島』の沢で唯一“飲みたくない”この沢を渡り、簡単なロープやハシゴのついた道を細かく上下しながら下っていく。 やがて、下り着いた丘の上に、『黒味岳』を指示する道標を見るだろう。
ここが黒味岳 1831メートル 分岐である。 黒味岳へは、往復で40分位である。 下山にかかる時間を考慮して、また自分の足と相談して往復するかどうか決めよう。
容姿は奇抜なれど
登路は何の変哲もなかった黒味岳
黒味岳へは、取り立てて変わった道でもないので割愛する。 この分岐からは、板敷の階段を10分ばかり下っていくと、日本最南の高層湿原・《花之江河》である。 五月末の花期ならば、シャクナゲやヤクシマホシツツジ・マイヅルソウなどの花が咲き乱れるとの事である。
日本最南の高層湿原
小花之江河
しかし、現状では池塘原が乏しく、やや迫力不足である。 写真映像を求めるなら、この400m先の《小花之江河》の方が“モノ”になるだろう。 《小花之江河》は小ぶりながらも山上庭園を成しており、杉やツガの巨木が池塘に映し出されて絵となっている。
これからは、完全に整備された下り道をひたすら下っていくのみである。 そろそろこの辺りで、下山した後の事を考えておくべきだろう。 それは、《淀川登山口》からの“足”の問題である。
これからは、完全に整備された下り道をひたすら下っていくのみである。 そろそろこの辺りで、下山した後の事を考えておくべきだろう。 それは、《淀川登山口》からの“足”の問題である。
できるだけ下山者の一団にくっついていこう。
これは、“あわよくばタクシーの便乗を狙う”という、ややセコい作戦である。 しかし、この作戦の失敗は3時間の“林道歩き”の上、日程が1日延びる(3時間歩いて《ヤクスギランド》15:01発は、まず間に合わないだろう・)事となるので、大変重要な作戦!?だ。
大量の降水は
原始の沢を創造する
駆け出したくなるようなダラダラした下りを1時間強歩いていくとエメラルド色に光る《淀川》を渡り、その畔に建つ《淀川小屋》に出る。 宮之浦岳のみを目指すなら、この《淀川小屋》を基点にしていくと1泊2日で登頂可能だ。 現に、このプランで登る人が最も多いと聞く。
冷たい《淀川》の水で力をつけて、登山口まであと40分を急ぎ足で下っていく。 やがて、何でもない所からタクシーの待つ林道に飛び出る事だろう。 得てして、長距離を歩く山旅の終わりは、このようにあっけないものである。
年間8000mmの水が大滝を創造する
大川ノ滝にて
後は、タクシーで焼く50分で《安房》の街へ。 行程計画では、《安房》から帰路に着くべくバスで宮之浦港へ向かうのだが、遥か遠く・・屋久島までやってきて《大川ノ滝》を見ないのは何とも勿体無いので、ちょっと寄道して、《大川ノ滝》に立ち寄るのもいいだろう。
ちなみに《大川ノ滝》へは、バスで宮之浦港と反対方向の終点・《栗尾橋》へ向かう。 今日はさすがに宿を取りたい所だが、シーズン中に“飛び込み”で宿が取れる程甘くもなく、また宿を予約して予定通りに登ってこれる程登山は甘くない。 結局は、キャンプ場での一夜となるだろう。 明日に『日本の滝100選』にも選されている《大川ノ滝》を見て、『屋久島』を後にしよう。
せっかく屋久島まで来たのだから
この滝は見ないと・・ね
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