風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第58回  鹿島槍ヶ岳 その1

名峰百選の山々 第58回  『51 鹿島槍ヶ岳 その1』  長野県・富山県 
後立山山系(中部山岳国立公園) 2890m  コース難度 ★★★★  体力度 ★★★★ 〔積雪期〕
 

ようやくガスが晴れて
 
今回は、後立山連峰の南側の盟主・鹿島槍ヶ岳の積雪期、即ち春山に登ってみよう。 但し、体力がダダ落ちの筆者が訓練もせずに無理やり行ったモノなので、くれぐれも筆者のような行いは自重して頂きたい。 筆者のマネ・・、それも最後にリンクを張ってあるメインサイトの山行記で記してある行動のマネをすると、低くない確率で事故る恐れが出てくるので念の為。 
 
こんなマネをしても筆者が何とかなっているのは、『ゴ▲ブ×なみの生命力』と類希なる悪運を抱き、天下御免の鉄面皮と宇宙を駆けるレベルの『都合の悪い事は即座に忘れる忘却力』を発動しているからに他ならない。 まず、これらは他の人には適用できない事だと思うし。 
 
まぁ、メインサイトの文にはそれらの事が記されているが、それをそのまま記事にすると「ブログが抹消されるかも」というオチャメぶりなので、敢えて修正して載せる事にしよう。 でも、絶対に新着に載らないだろうなぁ。 それでは、扇沢を基点に登ってみよう。
 

 

今回の山行の行程ルート図
 
   行程記録   本文の行程表と照らし合わせると、同じ人間のなせる業とは到底思えないね
《1日目》 扇沢駅(0:15)→柏原新道・登山口(1:00)→南尾根分岐(3:00)→尾根上 
     (2:45)→ジャンクションピーク(1:30)→爺ヶ岳(2:30)→冷池山荘
《2日目》 冷池山荘(1:00)→布引山(0:55)→鹿島槍ヶ岳・南峰(0:50)→布引山 
     (1:00)→冷池山荘
《3日目》 冷池山荘(2:00)→爺ヶ岳(1:20)→ジャンクションピーク(2:00)→尾根上 
     (3:00)→柏原新道・八ヶ見ベンチ(0:40)→柏原新道・登山口(0:15)→扇沢駅
 

ロクに訓練も下調べもしない“ロクデナシ”が
こんなとこにやってくる自体が
『死亡フラグ』だぁね
 
 《1日目》 南尾根・冬道登山ルートをゆく
柏原新道の登山口で登山届を提出して出発だ。 始めは柏原新道の整備された登山道をゆく。
《八ッ見ベンチ》(何でも八ヶ岳の展望所らしい・・)までは、多少雪が出てくる程度で何の心配もなかったが、そのちょっと上で目ざとい黄色の立て札が現れる地点から、『地獄の一丁目』が始まる。
 
その黄色い看板には、この様に記されてあった。 「柏原新道は6月中旬まで、ルートが雪に埋まって通行不能です。 種池山荘も営業しておりません。 爺ヶ岳から冷池方面へ行かれる方は、爺ヶ岳南尾根(冬道)を直登して、直接爺ヶ岳の頂上を目指してください」とあった。
 
で、その冬道だが、通常は良く整備された柏原新道がある為に人が通らないルートで、それゆえ足場が不明瞭なのだ。 そしてこの傾斜は、、『酷』という言葉が相応しい程の急傾斜なのである。
この急登で途端に足の出が止まり、ヘタリ込みタイムが多くなる事だろう。
 
時計は見なかったが、「2時間ほど登ったかな?(実は3時間かかってたりして)」と思う頃から、だんだん雪が出始めてきた。 この雪は、帰りに苦しめられる雪であったのだが、登りではそんなに恐怖心はなかったのである。
 
ファインダーで覗いた時は
エグく感じたけど
写真で見ると案外傾斜が緩いね

そして、森林限界を超えたのか・・、それとも尾根筋に出たのかは判らないが、猛烈な雪斜面が前面に展開する様になる。 
当然、この強烈な雪傾斜を登っていくのだ。 早速、前爪付の10本爪アイゼンを装着して、この傾斜に挑む。
 
さて、見た目は毛勝山の雪渓なみに見えたこの傾斜も、取り付いてみれば適度に平らな休憩場所があり、また角度も思ったほどにはキツくなく、ズリ落ちそうな場面はほぼなかった。 たまに、「下る時に厳しそうだなぁ~」と思える所がある位だ。
 
・・で、約2時間半位かけて3段ほどの大きな傾斜の塊をこなし、この傾斜の頂点に立つ。 
『あぁ・・、やっと爺ヶ岳』の頂上に着いたな・・という思い込みで頭をいっぱいにして。

だが、その頂点に立つ黄色い立て札は、『ジャンクションピーク・ここより南尾根を下ってください』という“臨時”に立てられた道標であって、爺ヶ岳の頂上標柱ではなかったのである。
 
そして左を向くと、針ノ木岳に続く稜線上で雪に埋もれた種池山荘の方が、ここより高い位置にあるでやんの・・。 そして、見たくない気持ちを満面に浮かべて右を振り返ると、三角錐のお山がデンと腰を据えて鎮座されておられる。 即ち、あの上までは確実に登らねばならないのである。 これを登りきるのに1時間はかかりそうである。

ジャンクションピークからこの三角錐のお山へ取り付くまでが長かった。 完全に気持ちが萎えてしまったからである。 気持ちが萎えようとも、とにかく登らねば始まらないのでテレテレと登る。
 
ちなみに、ここからは雪が風で吹き飛ばされたようで、ガレガレのガレ場をジグザクに登っていく。
こうなるとアイゼンは邪魔なので、外してザックの天袋にしまって登っていく。 ヘロヘロになりながらも、案外早く先程見上げた頂上の丘へ登り着く。
 
だが、今登り着いた『先程の取り付き地点から見上げた頂上』は『ニセの頂上』で、更に1.5倍の標高差の三角錐が、『取付き地点で頂上と思っていた頂上丘の上』にデンと乗っかっている。 この情景を見て、完全にヤル気は沸騰して泡となって蒸発した。
 

爺ヶ岳の頂上にて
「夏道は雪に埋もれて存在しません」

と宣言した立て札



もう17時だ
着くのは確実に暗くなって
しまってからのようだ
 
もう、ダレての小休止を繰り返し、本当の爺ヶ岳の頂上までに1時間半もかかってしまった。 
この時点で取付きで立てた予想の30分オーバーである。 その上、その爺ヶ岳の頂上で雷鳥さんがまるまると太ったボディを魅せてのた打ち回っているのを見て写真タイムを15分程取ってしまって、爺ヶ岳出発はかなり遅くなってしまった。
 

夜が迫るというのに
1枚目でソッポ向かれてつい



良く撮れたねって

喜んでいる場合じゃないって



まるまると太って
飛べない鳥・ドン鳥
オマエは向こうの山を見て
何を思うのか・・
 
爺ヶ岳の本峰の裏に切られたバイパス道は雪がなく、そのままゆく。 もうここまでくれば、22㎏を担ごうが『しんどい』という感覚はなく、ただダレて歩くだけであった。 そして、暑い。 そして汗に濡れる衣服は余計に身動きが重くなる・・と、Tシャツの上にカッパだけになる。

やがて、《冷乗越》への下りとなり、根腐れ雪が出始める。 これの歩きにくい事。 スボスボハマるし、ズルズル滑る。 そして、一度ハマると足を抜き出すのにエライ手間がかかる。 
もう、素手で雪に手をあてがって、這い上がるしかないのだから。 こうして、この文を書いている10日後も癒えない、第二度になりかけの凍傷が出来上がったのである。 この厄介な根腐れ雪のスボスボゾーンこそ、明後日の『X地点』であるのは藪の中に。
 
この根腐れ雪の地点を越えると、どんよりと暗くなった空の下、谷を挟んで対峙した丘の上に煌々と灯りを照らす山荘が見えてきた。 これが対岸に見えるようになるとアト10分ほどのハズだが、この時点でドヤされる事が確実なほどに、ドップリと暮れて星一つない闇夜となっていた。 ここから、またもや雪がなくなって砂利道となる。 闇夜に躓くとヤバいので、アイゼンは外していく。
 

取り敢えず綺麗な写真を見て
心を落ち着けましょう
この後にこっ酷く叱られるのだから
 
このジグザクのジャリ道を《冷乗越》まで下りきると、再び根腐れ雪が出てきた。 またズボズボハマって、凍傷になって痛い指を雪に突っ込むのも嫌だったので、アイゼンを着ける。 後は、乗越の底から見上げる丘の上に、先程煌々と灯を出していた天国へ向かっての雪の階段を上り詰めるだけだ。
 
そして、登る事約10分位か・・、テントが見え出す。 そして、天国の館に入場。 宿泊を決めた天国の館では、『お客の立場』は考慮してもらったものの、案の定こっ酷く注意・警告を受けた。
まぁ、着いた時間が19:30で、標高2400mの稜線を雨霰の闇夜にうろついたのだから致し方あるまい。今日は、ヘバったとはいえ、11時間も22㎏を担いだのだ。 明日はヤル気が出ないだろうなぁ。
 

 

鹿島槍への道中は
昨日の苦労がウソのような夏道であった
 
  《2日目》 昨日とうって変わって“夏道”を行き鹿島槍へ・・
朝は少し風が強く、早朝の出発は自重。 その後、悪天のピークと知らされていた8時過ぎに日差しが差してきたので、鹿島槍の往復に打って出る事にした。 その道中であるが、昨日の爺ヶ岳からのルートが反則に思える程に歩き良かった。
 
雪坂の傾斜はほとんどなく、布引山への登りは完全に夏道であったし、しかも22㎏から開放された空身であったから、かつて・・までは行かないものの、コースタイムをチョコッと切る位なまで歩ける。
 

爺ヶ岳よりコッチの方が
標高が高いハズなんだよね
完全な夏道でヘタレでも
空身ならコースタイムを切っちゃった
 
布引山を越えると標高は2700mを越えるが、雪は吹き飛ばされるのが全くなくなる。 完全な夏道だ。
この辺りを住処にする雷鳥も、黒主体のゴマちゃん仕様となっていた。 即ち、雷鳥の羽がとっくの前に抜け変わるほどに、早くから雪が少ないみたいである。

夏道のザラ場を緩やかに登っていく。 爺ヶ岳の南尾根のような嫌味もないスッキリとした傾斜を登っていくと、最後に雪の吹き溜まりをよじ登って鹿島槍の頂上に着く。 2890m・・。 
だが、ガスに巻かれて全く眺望はない。 やや登り甲斐に乏しい頂上風景であった。 取り合えず、登頂の御褒美に、餡ドーナツとポカリ水を口に含む。 そして、15分ほど粘るが、さすがに吹きっさらしで寒くなったので引き返す。
 

頂上はガスに巻かれて白霧の世界
ちょっと侘しい



完全に雪がなく
ドン鳥の羽根も
黒基調のマダラになっていた
 
帰りは、先程のゴマちゃん模様の雷鳥を撮ったり、一瞬霧が晴れた鹿島槍を撮ったりしたので、行きより20分ほどかかって下る。 鹿島槍の往復にかかった時間は、登りで1:50、下りて2:10と、昨日の11時間がフェイクのようなタイムだった。 山荘に戻った後は天候は小吹雪となり、事故も発生したのであるが、メインサイトのように記すると本当にブログ抹消されるかもしんないので割愛したい。
 
  続き《3日目》の下山行程は、次回『第59回 鹿島槍ヶ岳 その2』にて

  ※ 詳しくは、メインサイトにてこの山行の顛末記を記していますので、宜しければどうぞ。
 
 
 
 
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No title * by yamanbou
こんばんは。
H.Pも見せていただきました。
悪戦苦闘がリアルに伝わって来ます。
白いサンダーバード?も良く撮れましたね。

No title * by 風来梨
yamanbouさん、こんばんは。

HPの方も見て頂いて有難うございます。
3日目に晴れなければ、写真はあの白い雷鳥のみだったかも・・です。

今登れば確実にヘタるので、記事を書く分には全く苦労かないです。 ハイ。

No title * by オータ
タイヘンなご苦労と… 見事な雷鳥に 大傑作!
雷鳥の画像なんて、見たのはいつ以来か記憶にありません。北アへはとても行けない私ですが、この鳥にはいつか逢ってみたいです。

No title * by 風来梨
こんばんは。

自業自得とはいえ、仰る通りちょっと大変でした。
雷鳥は良く撮れたかな・・。

No title * by Der azurites Fuchs
こんばんは。

臆がましいですが、神の領域なんだなと改めて感じました。
HPからは更にリアルな情景が飛び出し驚愕!どれもすばらしい!
雷鳥と巡りあえたのはきっと山に畏敬の念を持ち愛する人へのご褒美でしょうね。 まさに悪魔と天使の共存する神秘的な世界を感じました。

No title * by 風来梨
こんばんは。

神の領域でのオチャメ山行記を評価して頂き、ありがとうございます。 やはり、雪山はキツいですね。 でも、かつての経験だけで何とか乗り切ってます。

でも、この『いいね!』というの、ヤヤコシイですね。

コメント






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No title

こんばんは。
H.Pも見せていただきました。
悪戦苦闘がリアルに伝わって来ます。
白いサンダーバード?も良く撮れましたね。
2012-05-22 * yamanbou [ 編集 ]

No title

yamanbouさん、こんばんは。

HPの方も見て頂いて有難うございます。
3日目に晴れなければ、写真はあの白い雷鳥のみだったかも・・です。

今登れば確実にヘタるので、記事を書く分には全く苦労かないです。 ハイ。
2012-05-22 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

タイヘンなご苦労と… 見事な雷鳥に 大傑作!
雷鳥の画像なんて、見たのはいつ以来か記憶にありません。北アへはとても行けない私ですが、この鳥にはいつか逢ってみたいです。
2012-05-27 * オータ [ 編集 ]

No title

こんばんは。

自業自得とはいえ、仰る通りちょっと大変でした。
雷鳥は良く撮れたかな・・。
2012-05-27 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

こんばんは。

臆がましいですが、神の領域なんだなと改めて感じました。
HPからは更にリアルな情景が飛び出し驚愕!どれもすばらしい!
雷鳥と巡りあえたのはきっと山に畏敬の念を持ち愛する人へのご褒美でしょうね。 まさに悪魔と天使の共存する神秘的な世界を感じました。
2012-06-27 * Der azurites Fuchs [ 編集 ]

No title

こんばんは。

神の領域でのオチャメ山行記を評価して頂き、ありがとうございます。 やはり、雪山はキツいですね。 でも、かつての経験だけで何とか乗り切ってます。

でも、この『いいね!』というの、ヤヤコシイですね。
2012-06-27 * 風来梨 [ 編集 ]