風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第8回  大天井岳

名峰次選の山々 第8回  『164 大天井岳』  長野県・常念山系(中部山岳国立公園) 2922m
大天井岳(おてんしょう岳) コース難度 ★★★(積雪期) 体力度 ★★★
 

節々に雪を載せる大天井岳
 
  行程表 〔積雪期〕          駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 中房温泉(3:00)→合戦小屋(1:00)→燕山荘・燕岳へは所要上り40分・下り30分
《2日目》 燕山荘(2:00)→切通岩(0:40)→大天井岳(2:45)→常念乗越
       常念乗越より常念岳へは所要上り1時間10分・下り55分
《3日目》 常念乗越より常念岳往復・所要上り1時間10分・下り55分(3:30)→ヒエ平登山口
 

鷲羽岳への落日
 
中房温泉から合戦尾根を登って燕岳(つばくろだけ)までの《1日目》の行程は、名峰百選の『第7回 燕岳』を参照下さい。 以下はその続きとなります。
 
 《2日目》 稜線を伝って大天井岳・常念乗越へ
朝、運が良ければ、槍・穂高連峰から昇る御来光が拝めるであろう。 また、朝日に染まる燕岳・岩のオブジェも堪能できるだろう。 これらを眺めたなら出発しよう。 山荘を出発してからしばらくは、燕岳の続きのような風化花崗岩が散らばる稜線上をいく。 右手に槍・穂高連峰、左前方に大天井がそびえ、振り返ると燕岳が残雪と風化花崗岩のまだら模様で大きくそびえ立っている。 これらを見ながら歩いていくと、やがて巨大な露岩帯に差しかかる。 

この露岩帯は特徴ある岩が多く、いろいろな名前がつけられている。 中でも有名なのが、ガマガエルのような《蛙岩 げいろいわ》だ。 通常の縦走路は《蛙岩》の左側をすり抜けていくのだが、稜線に雪が載る〔積雪期〕はこのルートが雪で吹きだまるので、《蛙岩》の間を直接くぐり抜けてから岩の上に這い上がってこの上を伝う“冬道”を使うことになる。 しかし、この“冬道”は《蛙岩》の空洞の中をくぐり抜けるなどかなり狭く、大きな荷物だとつかえて岩の上に這い上がれないかもしれない。 

これを越えていくと、《大下り》に差しかかる。 標高差100m位の下降だが《大下り》という程の厳しさはなく、いささか“看板倒れ”の感がある。 雪も風で飛ばされたのか余りなく、下地の花崗砂岩が見え隠れする。 見た目には何ともなさそうに見えるが、やはり〔積雪期〕の“下り”という事で注意が必要だ。特にこのような吹きっさらしの所は、早朝時はアイスバーンとなる可能性が高い。
 

このルートは
槍ヶ岳の絶好の展望台だ

《大下り》を最低部の“窓”まで下ると、稜線の左側を巻くように登り返す。 上を見上げると、《為右衛門吊岩》と呼ばれる岩が向こう側の下降点の上に乗っかっている。 これを登りきって岩の左側をすり抜けると、痩せ尾根で両側は切り立ってはいるが起伏のない平坦な歩きよい道をいくようになる。
やがて、眼前に大天井岳が大きく迫り寄ってくる。 

これより、この大天井岳に登っていくのだが、この山の取付の前に一度《切通岩》の鎖場を下降しなければならない。 鎖場といっても高さ3m位の《切通岩》を下降するだけなのだが、下に残雪のある時は注意が必要だ。 これを下って鞍部に出ると、いよいよ大きくそびえ立つ大天井岳への直登が始まる。 
夏ならば頂上を通らずに左側を巻いていくコースもあるが、〔積雪期〕はこれが雪に覆われて使えず、嫌でも頂上を越える直登コースを行くことになる。 

これから登っていく大天井岳の北面はガレにガレた砕石帯で、雪ならぬ砂利石で滑る嫌な登りだ。 
登っていくと途中に丸太の棒が一本立てかけており、ここが中間地点のようである。 ここから大岩が積み重なりだして、これらを這い上がるようにつめていくと、小さな祠の立つ大天井岳 2922メートル の頂上だ。
 

大天井岳も『裏銀座』の
絶好の展望台だ

この山系の最高峰であるこの頂からは、大きくそびえる槍の穂先が印象的だ。 この大天井岳は典型的な非対称の山で、山荘の建つ南斜面は牛の背中のようにノッペリとしている。 そして、その稜線上には雪が満々と積もっている。 ラッセルをしても追いつけない程である。 

大天井岳の肩に建つ《大天荘》を見送って、緩やかな稜線を下り気味に歩いていく。 
稜線上にコブのように突き出る中天井岳・東添乗岳・横通岳は、全て頂上は通らずに山腹の信州側を巻いていくので、ほぼ起伏のない平坦な道となっている。
 

雪山の向こうに常念岳が

あまりにも起伏がないので、常念岳が一層そそり立ったピラミット型に見えてしまう。 
ハイマツと積雪の稜線を山頂を避けながら進んでいくと、東天井岳の山腹で大きく進路を右に変えて下のガラガラの沢へ下っていく。 

ここから先は、山肌に隠されて雪は消えている。 しかし、信州側が大きく切れ込んだ崖っぷちの下りなので、高度感はかなりある。 これを越えると再び穂高側に移って、ハイマツと積雪に埋もれた道を歩いていく。 やがて下方に《常念乗越》てと《常念山荘》が見え出し、それと共に《常念乗越》に向かっての急下降となる。 さすがに、この下降はアイゼンが必要だ。 これを下っていくと、豪勢な造りの《常念山荘》が建っている《常念乗越》に着く。
 
《常念乗越》には常念山荘があるので宿泊の手続きをして、余裕があれば名峰百選・常念岳に登るのもいいだろう。 常念岳への続きは、次回に引き継ぐ事にしよう。

  ※ 詳細はメインサイトより、『燕・常念』をどうぞ。

 
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