風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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私の訪ねた路線  第87回  五能線  その1  東能代~深浦

『私の訪ねた路線』  第87回  五能線  その1  東能代~深浦  〔青森県・秋田県〕
 

荒れる日本海と
この季節で日本海側で
晴れを期待するのは贅沢かも
 
《路線データ》
     営業区間と営業キロ            輸送密度 / 営業係数(’15)
   東能代~川部 147.2km             629  /  250        
運行本数(’17)
            東能代~能代 下り19本、上り17本
            能代~岩舘  下り7本、上り6本
            岩舘~鯵ヶ沢 上下とも5本
            鯵ヶ沢~川部 上下とも10本
            ※ 週末や多客時は五能線経由で秋田~青森に
              快速【リゾートしらかみ】2往復運行
 
  《路線史》
五能線は、“奥羽本線と接続する”という同じ目的をもった両端の鉄道線が延伸という形で結合した路線である。 能代側は、1908年の東能代~能代の開業が始まりである。 これは、当時の奥羽本線が地元民の強い反対に遭い能代市街の中心部に入る事ができなかった為、その接続支線として建設されたものである。 当時は、『能代線』と呼称されていたようである。

一方、川部側は私鉄の『陸奥鉄道』が奥羽本線の弘前と五所川原を結ぶ目的で建設したものである。
この両端の鉄道を結ぶ事が旧鉄道敷設法の予定線として挙げられ、それに従って1924年より順次延長されていった。
 

能線・五所川原駅スタンプ
 
能代側は1926~32年にかけて岩館・陸奥岩崎と延伸し、五所川原側は1925~34年にかけて鯵ヶ沢・深浦へと延伸する。 なお、延伸工事最中の1927年に『陸奥鉄道』は国有化されている。 そして、1936年に最後の区間である深浦~陸奥岩崎が開通し全通となる。

この路線は日本海の波打ち際を伝う路線から、行楽シーズンにはパノラマ形式の特別車輌が運行される。 また、沿線には世界遺産に指定された白神山地を始め、神秘的な十二湖や千畳敷海岸・不老不死温泉などの自然景観の優れた観光地が目白押しとなっている。

運行に関しては以前は青森~深浦に急行【深浦】が走っていたが、青森~川部のみの快速で五能線内は普通列車に格下げられている。 また、深浦を境に列車運行が別系統となっており、深浦を越えて先に進む列車も列車番号が変更となる。

運行本数に関しては開業当初の建設目的の通り、東能代~能代と弘前~鯵ヶ沢の便が1~1.5時間に1本と重点的に設定されている。 鯵ヶ沢~能代の延伸区間は、1日上下各5~6本程度にとどまっている。
 

 
  《乗車記》
五能線は147.2kmと長い。 そして、東能代から十二湖からの下山地点の松神までは下りた事もないし、そのほとんどが寝息を立てていたので、まともな記憶がない。 という訳で松神まで端折ろうかとも思ったが、それはちとマズいので、いろんな鉄道文献を漁ってつなげる事にしよう。 従って、松神までは適当感が拭えないと思うが。
 
それでは、東能代の母屋から離れた島式ホームの3番線から発車する五能線に乗り込もう。
1日の列車の約7割が、建設当初に名乗っていた《能代支線》の目的である次の能代駅止まりである。能代の次に行く列車は1日数本となるのである。 従って、この路線を全線乗車するとなると、結構キチンと計画を立てねばならないだろう。
 
東能代を出た列車は、一時河口が近くなって大河となった米代川の畔を進み、やがて市街地に入って能代に着く。 駅は能代市の代表駅として、大きな櫓のある立派な駅舎を持っている。 こんな大きく長い駅ホームに、単行の列車がチョコチョコやってくる自体、異様な情景と言えるだろう。
 
この能代で7割の列車が行き止まり、以遠に行く列車は1日数本となる。 能代を出た列車は大河・米代川を渡り、向能代に着く。 駅前は能代市郊外の住宅地であるが、一家に1台どころか世帯の人数につき1台と云われる自家用車の普及で、ほとんど利用客は無いようである。
 
次の北能代は元貨車駅だが、観光路線としてのイメージアップの為か、モダンな簡易駅舎に建替えられている。 次の鳥形は田んぼの中の棒線駅。 待合室がホーム上に乗る棒線無人駅のスタンダードタイプの駅である。
 
次の沢目は、2006年に合併して出来た八峰町の旧峰浜村の中心駅だ。 旧峰浜村の中心という事で、地元商工会との合築駅舎ではあるが、かなり立派な駅舎である。 でも、無人駅である。
 
次の東八森は、西日本のローカル線区でよく見られるカプセル待合室の無人駅。 周囲は田園が広がる。 次の八森は、駅舎自体は旧峰浜村との対等合併を示すかのように、同じく地元商工会との合築の大駅舎を有している。 もちろん、無人駅という所も同一だ。 この駅のホームは高台にあり、歴史を感じる石畳の階段が廊下状に駅舎とホームを結んでおり、雰囲気は良い。
 
八森を出ると、いよいよ海沿いを行き交うようになる。 次の滝ノ間はホームに待合室のみの棒線駅。
海に近いハズなのだが、小高い森に囲まれて海は見えず。 次の秋田しらかみは、観光列車のリゾートしらかみ号が運転されるようになってから設置された駅。 目の前にはクアハウスの『八森いさりび温泉・ハタハタ館』があり、駅と弧線橋で結ばれている。
 
次の岩館は、秋田県の最端の駅。 最近、岩館海岸の番屋をイメージするデザインの駅舎に建替えられている。 県境の駅という事で、この駅止まりや長時間停車の列車が多い。
 
岩館を出ると程なく青森県に入る。 ここから次の大間越までは、チコギ崎や須郷崎などの岬をめぐる海岸沿いを走り、日本海の波飛沫を体感できる区間だ。 大間越は、ちょっと大きめのカプセル駅舎だ。
 

十二湖の名称にまつわる山・崩山
世界遺産・白神山地の前衛の山である
 
次の白神岳登山口は、世界遺産に登録された白神山地にあやかり、観光化路線を目指すこの路線の方針も相俟って、陸奥黒崎から改称されたらしい。 だが、ここから列車に乗ってやってきて登山する者など皆無で、やはり陸奥黒崎という駅名の方が整合性があるようだ。
 

観光としてではなく
生活の為にある大池

十二湖概念図

次の松神は、一応十二湖めぐりの入口駅なのだが、最も近い大池までも坂道を6kmも遡らねばならず、全くといっていいほど観光には供していない。 
十二湖を完全にめぐって大池から6kmを歩ききってこの駅で締めたワテは、十二湖観光者の中ではかなり奇特な存在と言えるだろう。 今も昔も、道が不明瞭の十二湖の後半部分を完全にめぐる観光客は、ほぼ皆無との事である。 ちなみに、その探勝記はコチラに。


蒼い水鏡
どこまでも澄みきった“蒼”の青池
 
次の十二湖駅は、大出世を遂げた駅だ。 以前は臨時駅で、モルタルの簡易駅舎で当然の如く無人駅であったが、今や世界遺産に指定された白神山地にあやかって、地元の観光協会の物産展示場付の委託駅となり、また駅前からリゾート宿泊施設の《アオーネ白神》へのシャトルバスまで出る始末。 もちろん、シーズン中は駅から十二湖への観光バスが運行される。 そのような激変を目の当たりにしても、以前も最近に立ち寄った時も、歩きで十二湖へ向かったワテは健気だと(自分で)思う。
 

霧が立ち込める湧壷ノ池
 
次の陸奥岩崎は深浦町と合併した旧岩崎村の中心駅であるが、今やリゾートしらかみ号も通過する小駅扱いとなってしまった。 列車交換の設備も撤去されている。 だが、以前の村の中心駅の風格を示した大きな木造駅舎が存在する。
 
次の陸奥沢辺は、大間越と同タイプのカプセル駅舎。 次のウェスパ椿山は宿泊滞在型の観光スパランド《WeSpa椿山》の開設に伴って設けられた駅。 荒天の夜に温泉に入る為にこの駅に降り立った事があるが、温泉棟は駅からかなり離れた所にあり、暴風雨で傘がモゲるなどの甚大な被害を食らって温泉にたどり着いた記憶しかない。
 

津軽国定公園
深浦海岸の観光スタンプ
 
次の艫作は難読駅として有名だ。 そして、波打ち際に湧き出る露天風呂に浸かりながら日本海に沈みゆく夕日を望める黄金崎不老不死温泉の最寄駅だ。 残念ながら、この温泉には入った事はない。
 

漁業の町・深浦を俯瞰する
 
次の横磯は、海を見ながら昼寝するにはいい雰囲気の駅。 そして次が、五能線の運転系統の分岐駅・深浦となる。 一部直通列車もあるが、大半の列車はこの駅で折り返す運行設定だ。 ここより五能線撮影名所の行合崎へは、1.5km程である。 その事については、次回の第88回『五能線 その2』にて書き記す事にしよう。

   ※ 詳細は『魅惑の鉄道写真集』より『五能線』を御覧下さい。
 
 
 
 
 
 
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No title * by 寝台特急あかつき
こんばんは。訪問コメント頂いて、有難うございました。
両親が青森市出身だった関係で青森には特別な感情と思い出があります。
五所川原の伯父の家にはよく遊びにいきました。
青森に路線は乗車する度、何とも言えない思いが沸いてきますよ。ポチ!

No title * by 風来梨
寝台特急【あかつき】さん、こんばんは。
お返事頂き、ありがとうございます。

ついに急行列車は、【はまなす】だけになってしまいました。
でも、【きたぐに】がないと、私の住む関西圏で始発の特急に乗ったとしても、【はまなす】には乗れないんですよね。

何が何でも新幹線・・って感じがする嫌なダイヤになってしまいました。 こんな事をすると、新幹線でなくて航空機にシフトしていくだけなのになぁ・・。 それよりも、臨時でいいから寝台料金を2000円位にして列車を仕立てたら、絶対に旅人は戻ってくると思いますが・・。 旅人は、心の中では飛行機や新幹線を毛嫌いしていますので・・。

No title * by 急行オータ
こんばんは。ここらへん行ってみたいのですが…なかなかかないません。雪のある時期でも無い頃でも。

No title * by 風来梨
急行オータさん、こんばんは。

今は、十二湖は冬は完全に閉鎖されています。 世界遺産で有名な観光地になったのと同時に、観光客が来ないシーズンオフは費用削減の為か施設閉鎖となるようです。

もう、雪解けの時期しか受け入れられないようですね。

コメント






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こんばんは。訪問コメント頂いて、有難うございました。
両親が青森市出身だった関係で青森には特別な感情と思い出があります。
五所川原の伯父の家にはよく遊びにいきました。
青森に路線は乗車する度、何とも言えない思いが沸いてきますよ。ポチ!
2012-04-17 * 寝台特急あかつき [ 編集 ]

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寝台特急【あかつき】さん、こんばんは。
お返事頂き、ありがとうございます。

ついに急行列車は、【はまなす】だけになってしまいました。
でも、【きたぐに】がないと、私の住む関西圏で始発の特急に乗ったとしても、【はまなす】には乗れないんですよね。

何が何でも新幹線・・って感じがする嫌なダイヤになってしまいました。 こんな事をすると、新幹線でなくて航空機にシフトしていくだけなのになぁ・・。 それよりも、臨時でいいから寝台料金を2000円位にして列車を仕立てたら、絶対に旅人は戻ってくると思いますが・・。 旅人は、心の中では飛行機や新幹線を毛嫌いしていますので・・。
2012-04-18 * 風来梨 [ 編集 ]

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こんばんは。ここらへん行ってみたいのですが…なかなかかないません。雪のある時期でも無い頃でも。
2012-04-24 * 急行オータ [ 編集 ]

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急行オータさん、こんばんは。

今は、十二湖は冬は完全に閉鎖されています。 世界遺産で有名な観光地になったのと同時に、観光客が来ないシーズンオフは費用削減の為か施設閉鎖となるようです。

もう、雪解けの時期しか受け入れられないようですね。
2012-04-25 * 風来梨 [ 編集 ]