2012-04-05 (Thu)✎
『オホーツク縦貫鉄道の夢』 第34回 北オホーツクの湖沼めぐり その2
天北原野を伝う孤独なランナー
浅芽野付近にて
この路線のクッチャロ湖畔での撮影はガタガタのデキ、良く言えば『若さ』が為のシクジリであった。
もう取り返せないのだから、「もう少し考えて撮れば良かった」と後悔する事も(たまに)ある。
さて、そのクッチャロ湖を越えたその次は、恐らくではあるが仮乗降場の中では最も人気の高かった《飛行場前》仮乗降場だ。 その理由は、その駅名だろう。 周りを見渡しても原野が広がるばかりで、飛行場のあった形跡はカケラもない。
その見た目通り、TVや旅雑誌で「飛行場の形跡がないのに『飛行場前』と名乗る不思議な駅」として取り上げられた事のある駅である。 その跡形もない原野に所在する駅になぜにこのような名がつけられたか・・というと、戦争末期の昭和19年に帝国陸軍によって『浅茅野飛行場』が建設された事に由来するという。
だが、完成後1年で戦争は終結し、ほとんど使われぬまま廃棄され再び原野に回帰したという。
そして、駅が設けられた昭和30年当時は今と同じく原野へと回帰していて、駅名を名付けるにあたって『周囲に目ぼしい構築物』がなかった為、『過去に飛行場があった』とする史実を持ち出して駅名にしたようである。 この駅も仮乗降場ながら、牧場の小屋のようなトンガリ屋根のしっかりした待合室があった。
だが、完成後1年で戦争は終結し、ほとんど使われぬまま廃棄され再び原野に回帰したという。
そして、駅が設けられた昭和30年当時は今と同じく原野へと回帰していて、駅名を名付けるにあたって『周囲に目ぼしい構築物』がなかった為、『過去に飛行場があった』とする史実を持ち出して駅名にしたようである。 この駅も仮乗降場ながら、牧場の小屋のようなトンガリ屋根のしっかりした待合室があった。
広大な湿地沼のモケウニ沼
鈍重な空もあって陰鬱な情景であった
この《飛行場前》からは《モケウニ沼》が近い。 近いといっても、広大な湿地帯を海岸べりまで歩かねばならないが・・。 時期が合えば、湖に続くプロムナードをワタスゲの群落が白く染めるシーンを堪能できる事だろう。
沼へ続く一筋の木道
万物の魂を沼へと誘うような
沼の畔では
名も知らぬ花がそよ風に揺れていた
《飛行場前》を過ぎると、《浜頓別》を出て以来のまともな駅舎のある駅である《浅芽野》に着く。
駅筋には1件の雑貨屋と数件の民家があった記憶があるが、雑貨屋は廃業したとの事である。
駅舎は、真冬の駅寝に耐えれる位にしっかりとした建付けであった(経験者は語る)。
駅筋には1件の雑貨屋と数件の民家があった記憶があるが、雑貨屋は廃業したとの事である。
駅舎は、真冬の駅寝に耐えれる位にしっかりとした建付けであった(経験者は語る)。
凍てつく駅で一夜を明かした事で
目にする事の出来たミルク色の空
目にする事の出来たミルク色の空
この《浅芽野》は、北オホーツクの湿地湖沼群の中で最も神秘的な《カムイト沼》の最寄り駅だ。 駅からは約3km程で、サイクリングでもあれば丁度いい距離である。 そして、1件あった駅前の雑貨屋に頼めば自転車を貸してくれた・・という。
北の大地の神々が宿る沼・カムイト沼
この《カムイト沼》は、アイヌ語での『神々の住む沼』が語源となっているとの事で、静かなる森の中にたたずむ神秘のベールに包まれた湖である。 神秘的で大いなる魅力を抱く沼なのであるが、国道より離れている事と全くといって周知されていない事、それに加えて道路の未整備と沼の畔をめぐる桟橋の朽ちるままの放置でほとんど訪れる人がいないのが現状である。
森の中にひっそりと
《カムイト沼》の探勝を終えたなら、再び列車に乗り込もう。 《浅茅野》を出ると国道は離れていき、猿払原野の中に分け入ってゆく。 原野の中をしばらく行くと《猿払》。 村名を名乗り地域の中心駅のように思えるが、国道から離れた小集落でしかない。 もちろん、遠の昔に無人化されている。
駅前に有りがちな雑貨屋もなかったような。 駅前からは、“いわく付き”(これは次回に語ろう)の村営バスが運行されている。
《猿払》近辺のお勧めといえば、“幻の怪魚”といわれるイトウの棲む《ポロ沼》であろう。
《猿払》近辺のお勧めといえば、“幻の怪魚”といわれるイトウの棲む《ポロ沼》であろう。
駅から歩いて10分程の所にあり、夕日の名所との事である。 また、水鳥の楽園《キモマ沼》も行動範囲だ。 この沼は天北線の車窓からも見えるので、沼と水鳥と列車の絶好のシュチュエーションをゲットできたかもしれない、残念。
あの頃はガキで余裕がなかったなぁ
見渡せばもっと素晴らしい情景があったものを
見渡せばもっと素晴らしい情景があったものを
浅茅野~猿払
次の《芦野》は、駅名そのままに湿性の草“アシ”の原野だった所。 この地と同じく“アシ”の密生地であったが、「アシ→悪し」と縁起が悪いので『吉→良し』と改名したのが、東京の遊郭・『吉原』である。
だがこちらは全くの原野で、縁起を担ぐ必要もないので地名はそのままである。
この駅の近くには、ハマナスの群生で知られる《猿骨沼》がある。 国道沿いには『道の駅・さるふつ公園』があり、温泉や農業資料館、サイクリングステーションを備えた環境拠点との事。
これより猿払村の中心に入っていく。 そこからは、この項目の主題である『オホーツクの縦貫』を完全に成し遂げるべく、ちょっと寄り道をしたい。 その事については、次回に乞う御期待(できないよね)。
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No title * by 風来梨
こんばんは。
悔いが残るのは、この湖沼を背景や前景にして天北線列車を撮りたかったなぁ・・って事ですね。 でも、当時は車のない歩き撮り鉄だったので、無理だったかもしれませんね。
モケウニ・カムイト沼ともに、天気が悪かったかもしれませんが、モノ哀しい情景でした。
悔いが残るのは、この湖沼を背景や前景にして天北線列車を撮りたかったなぁ・・って事ですね。 でも、当時は車のない歩き撮り鉄だったので、無理だったかもしれませんね。
モケウニ・カムイト沼ともに、天気が悪かったかもしれませんが、モノ哀しい情景でした。
特に カムイト沼は行って見たいですね。 傑作!