風来梨のブログ

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名峰百選の山々 第48回  八ヶ岳・横岳

名峰百選の山々 第48回  『46 八ヶ岳・横岳』  長野県
八ヶ岳山系(八ヶ岳中信高原国定公園) 2829m コース難度 ★★★  体力度 ★★ 〔積雪期〕
 

暮れ色に染まる横岳・大同心峰
 
  《メインサイトより抜粋》
南北に30km・東西に15kmに渡って30座を越える2000m峰を擁する八ヶ岳は、山容が南北で大いに異なり、それぞれに違った魅力を備えている。 南八ヶ岳は主峰・赤岳 2899メートル をはじめ、阿弥陀岳 2806メートル ・横岳 2829メートル ・権現岳 2715メートル などの岩峰を連ねて、稜線は痩せて嶮しくダイナミックな姿を魅せている。
 

南八ヶ岳周回ルート行程図
 
    行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 茅野市街より車(1:00)→美濃戸(2:50)→赤岳鉱泉(2:00)→硫黄岳 
     (1:30)→横岳(1:00)→赤岳石室
《2日目》 赤岳石室(0:50)→赤岳(0:50)→赤岳石室(0:05)→地蔵尾根分岐 
     (2:30)→行者小屋(1:45)→美濃戸より車(1:00)→茅野市街
 
 《1日目》 赤岳鉱泉より硫黄岳・横岳・・
岩峰が連なり、ダイナミックな眺めの南八ヶ岳にアタックしてみよう。 また今回は、鎖場が連なる難所を積雪期に越えるので、それなりの装備と心身の準備が必要だ。 しかし、雪を載せた岩峰は、また違った魅力を抱いている。 この難所を越えて、雪一色の峰に立つ充実感は言葉では語れない。 それでは、魅力いっぱいの南八ヶ岳を歩いてみよう。
 
登山口まではマイカーでアプローチをしたい。 茅野市街から八ヶ岳山麓の《美濃戸口》までは舗装されているが、《美濃戸口》~《美濃戸》は未舗装で道悪なので、車の床下を擦る覚悟はせねばなるまい。 
なお、車の床下を擦るのを忍びない“愛車党”には、《美濃戸口》~《美濃戸》を歩く事をお薦めする。 
所要は約1時間半位だ。 《美濃戸》には《小松山荘》と《美濃戸山荘》があり、前日までにここまで入っておいて、これらの山荘に宿泊して翌朝登山開始するのが望ましいだろう。 

《美濃戸》から《行者小屋》への道をすぐに分けて、そのまま林道の砂利道を歩いていく。 
約30分程歩くと、《柳沢》の《北沢》に遮れるように林道が尽きる。 板の桟道で沢を渡って、白樺の樹林に囲まれた沢の右岸の土手の上を歩いていく。 やがて樹林帯が途切れ、河原の方へ降りていく。 
ここからは、河原の上を岩にペンキで示された指標通り歩いていこう。 
 

まさに岩屏風
横岳・大同心峰

沢をつめていくと、正面に横岳西面の鋭い岩峰群が立ちはばかってくるだろう。 この威圧感ある横岳の偉容を見ながら《ショウゴ沢》を渡ると、辺りが開けて《赤岳鉱泉》に着く。 《赤岳鉱泉》の山荘の背後には《大同心・小同心》など、横岳の岩峰による“オブジェ”が間近に迫って立ち並び壮観だ。

硫黄岳へは、《赤岳鉱泉》の裏手から《ショウゴ沢》の左側に延びる尾根を登っていく。 尾根に取り付くと、先程の偉容から創造するのと違って、樹林帯の中をジグザグに切る“普通”の登山道が続く。
時折、樹木越しに阿弥陀岳が望めるだけの単調な登りが1時間程続き、ひと汗かかされる。
 

切れ落ちた主稜線の合間に
南アルプスを望む

やがて、森林限界を越えると雪に覆われてこんもりとした急斜面となり、これを直線的に登っていくと《赤岩ノ頭》というピークに登り着く。 ここからは稜線通しの道となり、少し上部で北八ヶ岳方面・《オーレン小屋》への道を分けて幅の広い雪付きの稜線に突き出る岩の突起を越えると、硫黄岳 2760メートル の頂上だ。
 

硫黄岳周辺地図

硫黄岳の山頂は長い火口壁となっていて、岩が規則正しく整然と並び立つ眺めが印象的だ。 
この眺めゆえに、濃霧に巻かれた時などは現在位置を見失う“リングワンダリング”に陥りやすい。
視界の悪い時などは、東側の奥にある火口壁の縁には立ち寄らない方がいいだろう。 
 
だだっ広い硫黄岳の山頂より大きなケルン群に導かれて南下すると高山植物の保護柵があり、その柵に沿って緩やかに下っていく。 夏の花の季節であれば、美しい花の饗宴に酔える事であろう。
しばらくすると、保護柵の切れ間に《硫黄岳山荘》が建っている。 ここまでは通過に何の不安もない平坦な道だが、ここからはいよいよ核心に迫る横岳の岩峰越えだ。 
 

横岳主峰をめざす
 
横岳へは、《大同心峰ノ頭》の平らな岩を右に見送り、佐久側の鎖に取り付く。 “カニノヨコバイ”と呼ばれる下のスッパリ切れ落ちた岩のハングを巻いてから、頭上にそびえる頂上へ向かってルンゼ状の岩塊を登っていく。 登りきると、“岩の芸術峰”・横岳 2829メートル 頂上だ。
 

横岳から赤岳へ
 
横岳の頂上からは、これから乗り越えるダイナミックな岩峰群がズラリと並んで見渡せる。 
また、《赤岳鉱泉》で見上げた《大同心峰・小同心峰》の大岩壁を、今や下に見下ろして眺めるようになっている。 この岩峰が演出するすざましい眺めこそ、横岳を我が【名峰百選】に選んだ理由である。 
横岳の頂上で、雪をまとった岩峰の“オブジェ”を心ゆくまで堪能したら先に進もう。
 

 横岳の核心部 詳細図

横岳の頂上からは岩ザクの小広い稜線をしばらく下るが、やがて豊富な雪をまとった岩の突起が眼前にそびえて緊張させられる。 この突起を越えて諏訪側のスッパリ切れ落ちた稜線の上を伝うと、横岳の第2峰である三叉峰 2825メートル に登り着く。
 
ここからは、おおむね諏訪側の岩壁を鎖片手にトラバースしていく事になる。 ザクザクした岩塊に雪がへばりつき厄介だ。 ピークから下って、岩塊を巻いて次のピークに登る・・という順序を繰り返して、石尊峰・鉾岳・日ノ岳・二十三夜峰と岩峰を越えていく。 
 
ただ、鉾岳を越える時だけはピークを踏まずに、その直下を巻く道を利用しよう。 この巻道の下降点は判りにくく、うっかりすると見落としてしまうので注意が必要だ。 なお、直進して頂上を踏んでしまうと崖っぷちになり下に降りれなくなってしまうので、引き返さざるを得なくなるだろう。
 

降り積もる雪は
峻峰をより嶮しく魅せる
 
この巻道越えはこの縦走路最大の悪場で、下に広がる700mにも及ぶ標高差をスッパリと切り落とした荒涼たる眺めを見ながら、根雪の乗っかった岩盤のへりをトラバースしていかねばならない。
この高度感に足が竦む難所は、次の日ノ岳の頂上に登りきるまで続く。 日ノ岳からは佐久側に向かって斜めに下っていくが、こちらも“鉾岳越え”程ではないにしろ、滑りやすい大きな一枚岩を鎖伝いに下っていかねばならない。 まだまだ、気が許せぬ場面は続くのだ。 

日ノ岳から斜めに下って二十三夜峰に登り返すと、そびえる主峰・赤岳の肩にへばり着くように建っている《赤岳石室》が見えてくる。 後はゴツゴツした稜線を小屋に向かって、慌てず下っていこう。 
“首なし”地蔵の置かれている《地蔵尾根》の分岐を過ぎて少し行くと、今晩の宿泊地・《赤岳石室》(現在は赤岳展望荘)だ。
 
余力があれば空身で八ヶ岳主峰の赤岳に登ってくるのもいいが、午後は総じて諏訪側より吹き上げる風が強烈で、ややもすると吹き飛ばされかねない。 雪山の午後は、おとなしくしておくのが無難だ。 
小屋でゆっくりと休んで、諏訪の湖と下界の街並みがおりなす夕暮れの叙情的な情景をじっくりと味わおう。
 

赤く染まる阿弥陀岳
 
また、“岩の芸術峰”横岳の雪をまとった鋭い岩峰と夕空のおりなす情景に、カメラ片手にしばし酔うのも一興だ。 明日は、朝早く八ヶ岳の盟主・赤岳の頂上を極めよう。
 

翌朝は秩父側から陽が昇る
かぎろい色の空に
おぼろげに姿を現す秩父連山
 
   続き《2日目》は、次回『名峰百選 第49回 赤岳』をご覧ください。

     ※ 詳細は、メインサイトより『八ヶ岳<1>』を御覧下さい。

 
 


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No title * by yamanbou
こんにちは。
夏にオーレン小屋からガスの硫黄岳~赤岳に登って美濃戸に下ったことがありますが足元の高山植物が見えただけでした。
広々とした硫黄岳のケルンしか覚えてないです。

No title * by 風来梨
yamanbouさん、こんばんは。

硫黄岳は以前は三角点に頂上標がなく、どこが頂上かウヤムヤな山でした。 今は、銃走路からすぐの所にある最高点(2760m)に道標があるようですが・・。 だから、ガスに巻かれたまま三角点まで行ってしまうと、ヘタすりゃ遭難・・って山でした。

私の時は横岳が美しく見えた時だったので、ラッキーでした。

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No title

こんにちは。
夏にオーレン小屋からガスの硫黄岳~赤岳に登って美濃戸に下ったことがありますが足元の高山植物が見えただけでした。
広々とした硫黄岳のケルンしか覚えてないです。
2012-02-10 * yamanbou [ 編集 ]

No title

yamanbouさん、こんばんは。

硫黄岳は以前は三角点に頂上標がなく、どこが頂上かウヤムヤな山でした。 今は、銃走路からすぐの所にある最高点(2760m)に道標があるようですが・・。 だから、ガスに巻かれたまま三角点まで行ってしまうと、ヘタすりゃ遭難・・って山でした。

私の時は横岳が美しく見えた時だったので、ラッキーでした。
2012-02-10 * 風来梨 [ 編集 ]