2012-02-07 (Tue)✎
『オホーツク縦貫鉄道の夢』 第27回 道央とオホーツクを結ぶ儚き夢
前回に流氷区間の予告をしたが、メインの流氷区間を旅する前に、道央とオホーツクを結ぶ夢を抱いて建設されながら、時の移り変わりに抗する事ができずに消えていったローカル線・渚滑線の事を取り上げてみよう。
環境庁の『日本の重要湿地 500』に指定されているコムケ湖の静かな湖畔で花や鳥のさえずりを楽しんだなら、湖に最も近い《弘道》乗降場へ戻ろう。 だが、《弘道》は乗降場で列車の停車が極端に少ないので、列車がなければ正駅の《小向》に向けて歩いていこう。 湖畔に続く原生花園の花々を愛でながら歩いていけば、あっという間に《小向》にたどり着くだろう。
さて、《コムケ湖》めぐりを楽しんだなら、列車に戻って先に進もう。 《小向》は運転要員のみが配置された駅で切符の販売は行なわれていなかったのだが、大きなタブレット発信機と綺麗に清掃された駅舎が印象深く記憶に残っている。 《一本松》という乗降場と《元紋別》を過ぎると、沿線最大の街である《紋別》に到着する。
《紋別》といえば、ズバリ『流氷』見物だろう。 流氷砕氷船『ガリンコ号』に乗って海上から流氷を眺めるも良し、オホーツクの港町である《紋別》で水揚げされた海産物に舌鼓を打つのも良しであろう。
《紋別》といえば、ズバリ『流氷』見物だろう。 流氷砕氷船『ガリンコ号』に乗って海上から流氷を眺めるも良し、オホーツクの港町である《紋別》で水揚げされた海産物に舌鼓を打つのも良しであろう。
また、《渚滑》の少し先にあるオムサロ湿原にある《流氷岬》は、流氷見物の絶好のスポットとなろう。 沿線最大の街であるので宿泊施設などの心配もないだろうから、じっくりと時間をかけてオホーツク沿岸の港町の雰囲気を味わうのもいいだろう。
街中に乗降場然とした板張りホームで待合室すらない《潮見町》を過ぎると、渚滑線の分岐駅である《渚滑》に着く。 ここから、割り箸の特産地である滝上町へ向けて渚滑線が延びていた。
この線の建設目的は渚滑川の水運に頼っていた木材輸送の切換であるが、鉄道の開通によって貨物輸送が水運から切り換ったように、今度は鉄道からより便利でピンポイントに対応のできるトラックに切り換っていった。 こうして渚滑線は、鉄道線としての役目を終えていったのである。
北見滝ノ上駅舎
氷結した滝上渓谷を渡る渚滑線列車
かつて渚滑線の終着駅で、“割り箸の特産地”という以外にあまり目立たなかった滝上町だが、今は道央から紋別へ至る道路の要衝となっている。 駅跡周辺も今は『道の駅・たきのうえ』として、道央からの車利用客の憩いの場となっているようだ。
北見滝ノ上駅のスタンプ
だが、この交通の要害・滝ノ上は、鉄道輸送によって築かれるハズであったのだ。
建設時期が大正12年と古く、また改正鉄道敷設法にも路線建設の計画諮問がなされていた。
だが、現石北本線の石北峠の山越え区間の建設の苦難により、全く手がつけられずに終わったようである。
そして、運送手段が陸路(道路)に転換されて以来、北海道の開拓の為に建設されたローカル鉄道は輸送の任を解かれ、不要の烙印を押されて淘汰されていった。 その整備された道路は、本線であった名寄本線をも廃止に追いやったのである。 状況的には、紋別~滝ノ上~上川を結ぶ国道273号線が鉄道代換道路といってもいいだろう。
そして、その道路の整備計画(高速道路計画)も、世界的不況に沈む我が国の経済状況により、以前に北海道の開拓鉄道がそのように呼ばれたが如く、不要の烙印を押されつつある。
何か、『時の無常』を感じる歴史の流れである。
さて、暗い話題はこれで切り上げよう。 美しい渚滑線沿線を楽しんだなら、再び《渚滑》に戻り名寄本線の車窓を眺めよう。 次こそは、メインイベントの流氷区間の登場である。
滝上の景勝地をひとつまみ
冬の滝上渓谷
もちろん探勝路は冬季閉鎖だった・・
浮島が風に煽られて端っこに固まっていた
でも、長閑な雰囲気だった
浮島の池塘に咲くヒツジグサ
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No title * by 風来梨
タケちゃんさん、こんばんは。
私は、満開の芝桜自体見た事ないです。 ぜひともみたいなぁ・・とは思っているのですが・・。
渚滑川の撮影は、『撮ってて良かった』です。 不思議に、乗車する鉄道ファンはいても、ローカル線撮り鉄は、ほとんどいませんでした。
私は、満開の芝桜自体見た事ないです。 ぜひともみたいなぁ・・とは思っているのですが・・。
渚滑川の撮影は、『撮ってて良かった』です。 不思議に、乗車する鉄道ファンはいても、ローカル線撮り鉄は、ほとんどいませんでした。
北見滝ノ上へは、芝桜を見に行ったことがありますよ。
旧駅舎も残されていたので、チラと内部を覗きに行くと、なにやら車両やら部品やらが保存されているように見えました。
しかしながら、その後の予定があったので、次の目的地へ向かってしまいました。
以降は東藻琴の芝桜ばかりを見に行って、残念ながら滝ノ上には行っていません。
渚滑川の鉄橋、まだ列車が走っている時に、是非とも撮ってみたいと思っていたポイントでしたが・・・願いは叶わずでした。