2011-12-29 (Thu)✎
『オホーツク縦貫鉄道の夢』 第26回 オホーツクのお花畑を訪ねて・・
中湧別はこの地域最大の
鉄道ジャンクションであった
さて、今回はメインデッシュの流氷区間を取り上げる前に、季節を大外しした別の話題を取り上げよう。
それは、やはり流氷の区間は流氷の接岸する地域に語りたいし、またせっかくの思い入れのある写真や紀行文であるので、「少しは勿体つけたいなぁ・・」という筆者の下らぬ下心がなせる業である。
それでは、今回は以下に続く話題でつなごうか・・。
・・オホーツク沿岸は流氷だけではない。 亜寒帯の海岸地域で植生する湿生植物の宝庫でもあるのだ。
中湧別のチューリップ畑、五鹿山の芝桜、コムケ湖の原生花園などである。 ここでは、内地(本州)では亜高山帯まで登らねばお目にかかれない、高層湿原性の花々を愛でる事ができるのである。
湧別支線に乗車した前回は冬であったが、そんな事は筆者の都合で無視して、北の大地が最大のオーケストラを奏でる短い夏に降り立った事にしよう。 まずは、中湧別より上湧別側に広がる『上湧別チューリップ公園』がある。 時期があえば、名寄本線を走る列車からチューリップ畑を望む事ができる。
だが残念な事に、私自身はJR新聞のこの記事でしか見た事はない。 見た事あるのは、真っ白の雪原だけである。 ・・という訳で、この新聞の写真をごろうじろ。
北海道長大4線(天北・池北・名寄・標津の4線)の
廃止時にJR北海道から出された特集記事
この記事を見ていつも思う事は、「このチューリップ畑をバックにキハ22で撮りたかったよぉ~」である。 でも、住む所が大阪というエトランゼが、アレもコレも・・と求めても叶う訳もないのだ。
その悔しき思いを少しでも和らげるべく、今年の冬にこの地を訪れて、あの時の思い出をかみしめようと思う。
次は、五鹿山の芝桜とミズバショウを見に行こう。 『上湧別チューリップ公園』より湧網線の線路の方向へ歩いていくといい。 距離にして2km位だろうか。 なお、こちらも実物は見た事はないので、他の所で撮ったミズバショウの画を添えておこう。
春の光を浴びてほのかに浮き立つ水芭蕉
この辺りの湿地帯でも見れるハズ
中湧別の2つの花スポットをめぐり終えたなら、駅に戻って名寄本線の列車に乗り込んで少しだけ北上しよう。 目的地は、コムケ湖の原生花園だ。 中湧別から3つの線路が分かれていくが、その一番左端ですぐさま左へ折れていくのが『オホーツク縦貫鉄道』たる名寄本線の紋別方面である。
川西・旭・沼ノ上と海から少し離れた内陸部の荒地帯をゆく。 沼ノ上を出て程なくすると、国道を挟んでコムケ湖が見えてくるだろう。 だが、線路は荒地をゆくので、延び放題に延びた雑木林の中に隠れて湖が良く見通せないのである。 やがて、コムケ湖に最も近い弘道仮乗降場を通過する。
この乗降場は列車の半数が通過するのでなかなか降り辛いのではあるが、コムケ湖を訪ねるならほんの500m程なので、アプローチはかなり楽になるのだ。 私の場合は、行きは小向駅で降りて、帰りは弘道から乗る事ができたのであるが・・。
さて、列車は小向に着く。 運転要員のみ配置で駅務ナシの無人駅扱いの駅なのだが、駅員さんがいると駅舎は綺麗に清掃が行き届いて、またホームの花壇には花々が添えられていて心が和む。
駅でコムケ湖の事を聞いて、さて出発だ。 湖まで1kmちょっとなのだが、原生花園のある海沿いまでは2kmほどありそうだ。
オホーツクの方向へ歩いていくと、やがて湖と湖を仕切る砂州が現れる。 波が砂州を洗って、引き潮と共に波の泡を残していくもの悲しげな情景が広がる。 冬ともなると、この砂州に流氷が乗り上げてくるのだろうか?
それとも、凍る前の冬の波がこの砂州を洗い尽して海と同化するのだろうか。
毎年・毎年このような鬩ぎ合いを経て、毎年のように湖の形が変わってきたのがこのコムケ湖だという。
その砂州の分厚くなった北側の湖岸に原生花園がある。 開花期になると、ゴゼンタチバナやチシマフウロ、エゾカンゾウ・ハマボウフウやナデシコなどの花々が神秘なる湖を守る衛士のように咲き乱れる。
また、時期が合えば渡り鳥がやってきて、花と野鳥の楽園となるのだ。
それでは、この場所に咲く可憐な花をごろうじろ・・。
ゴゼンタチバナ
チシマフウロ ハマボウフウ
エゾカンゾウ
ナデシコ
花を愛でながら内陸側をゆくも良し、砂州を伝って寄せる波に思いを委ねるも良しである。
運が良ければ、オジロワシが勇壮な姿を魅せて空を舞うのを拝めるかもしれない。
また、名も知らぬ花や草の実が必死に生きている様を感じ取れるかもしれない。
コムケ湖は野鳥と湿性植物の楽園だ
ここは贅沢に、次の弘道乗降場までの道のりを歩いていこう。 ただが4~5kmだ。
列車がなくったって、夏なら何とでもなる。 オホーツクを楽しむには、そんな大らかな心の持ちようが必要なのだと思う。
次回は、いよいよメインイベントたる流氷区間を旅します。 この冬の北海道旅行のレホートを交えて
記しますので、乞う御期待(期待なんかできねぇよなぁ)。
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- 前半総括
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No title * by 風来梨
タケちゃん様、こんばんは。
そうですよね。 満開のチューリップと単行のキハ22・・。
何とも美味しい情景だったですね。 私の場合、このチューリップ公園の存在を知ったのが、廃止の前の年で流氷と天秤を掛けたら、流氷になっちゃいました。
次回は来年の掲載になりますが、メインイベントの流氷です。
そうですよね。 満開のチューリップと単行のキハ22・・。
何とも美味しい情景だったですね。 私の場合、このチューリップ公園の存在を知ったのが、廃止の前の年で流氷と天秤を掛けたら、流氷になっちゃいました。
次回は来年の掲載になりますが、メインイベントの流氷です。
No title * by ちょい鉄おやじ
こんにちは。
久しぶりにおじゃまします。
私は上湧別在住なのですが、チューリップ公園とキハの写真を見ると懐かしく思います。
しかし、いつも見ていた風景なので、ここで写真を撮ろうなどと当時は全く思いもしませんでした。
今思えば残念なことです。。。
中湧別の駅名標ですが、現在もある会社の敷地内に立っています。
駅解体時に引き取って、記念に残してあるそうです。
久しぶりにおじゃまします。
私は上湧別在住なのですが、チューリップ公園とキハの写真を見ると懐かしく思います。
しかし、いつも見ていた風景なので、ここで写真を撮ろうなどと当時は全く思いもしませんでした。
今思えば残念なことです。。。
中湧別の駅名標ですが、現在もある会社の敷地内に立っています。
駅解体時に引き取って、記念に残してあるそうです。
No title * by 風来梨
こんばんは。 御覧頂きまして、有り難うございます。
先だってはトラックバックの件でお世話になりました。
身近にあり過ぎるのも、撮り逃しの原因に成り得ますね。
私も、結構多くの事(例えば、関西の私鉄のローカル線などは撮り逃しています)が思い浮かびます。
その後は、後悔の念だけが漂いますが・・。
また、名寄本線の事について、いろいろと教えて頂けたら・・と思います。
先だってはトラックバックの件でお世話になりました。
身近にあり過ぎるのも、撮り逃しの原因に成り得ますね。
私も、結構多くの事(例えば、関西の私鉄のローカル線などは撮り逃しています)が思い浮かびます。
その後は、後悔の念だけが漂いますが・・。
また、名寄本線の事について、いろいろと教えて頂けたら・・と思います。
私も「チューリップ畑とキハ22」を撮りたかった1人ですよ~。
こればっかりはかなり悔いております・・・無理してでも撮りに行けば良かった。
毎年と言っていいほど、東藻琴の芝桜とセット上湧別のチューリップを家族で見に行っています・・・チューリップ畑の向こうには、今でも判る線路跡・・・花は綺麗だけど、行くたびにとても残念な気持ちになっております。