2011-12-24 (Sat)✎
名峰百選の山々 第45回 『45 縞枯山』 長野県
極寒に耐えた甲斐のある感動的な情景で1日が始まる。 さて、縞枯山へであるが、山荘から朝日の輝く方向に少し遡っていくと《雨池峠》の分岐に出る。 朝日の余韻がまだ残っているなら、先に樹氷原にいってみよう。 《雨池峠》から少し下ると、浅間山を背景にした美しい樹氷原が広がる。
しばし、カメラ片手に『樹氷のアトリエ』で気の趣くまま創作しよう。
さて、この展望台から戻って、再び縦走を再開しよう。 道は茶臼山で左に方向を変えて、明るく開けた傾斜を下っていく。 《麦草峠》までの縦走路では、最も勾配がキツい下りだ。 これを下りきると、少し登り返して《中小場》という露岩の上に立つ。 やや標高が下がった分は割り引かれるがここも展望がよく、《麦草峠》と真っ白な氷を張った《白駒池》、《麦草ヒュッテ》の赤い屋根、そして背後に君臨する南八ヶ岳の山々が印象的だ。
これより、今見えた赤い屋根まで下っていく。 緩やかに坂を下ってもはや地名だけとなった《大石峠》を過ぎ、《五辻》へ抜ける北八ヶ岳遊歩道に至る道を分ければ、程なく『国道299号線』の看板が見えてくる。 《麦草峠》である。
さて、話は脱線してしまったが、登山道は傾斜を増して樹林帯を縫うようにつめていき、樹林帯に囲まれてどこが頂上か判らぬ丸山 2329メートル を越えて一投足で《高見石小屋》に着く。
八ヶ岳山系(八ヶ岳中信高原国定公園) 2403m コース難度 ★★ 体力度 ★★ 〔厳冬期〕
厳冬期・北八ヶ岳縦走路 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR茅野駅よりバス(1:00)→ピラタス山麓駅よりロープウェイ(0:10)→山頂駅
《1日目》 JR茅野駅よりバス(1:00)→ピラタス山麓駅よりロープウェイ(0:10)→山頂駅
(1:20)→北横岳ヒュッテ(0:25)→北横岳(1:00)→坪庭(0:20)→縞枯山荘
《2日目》 縞枯山荘(0:05)→雨池峠(1:00)→縞枯山(0:45)→茶臼山(1:20)→麦草峠
《2日目》 縞枯山荘(0:05)→雨池峠(1:00)→縞枯山(0:45)→茶臼山(1:20)→麦草峠
(1:20)→丸山(0:20)→高見石
《3日目》 高見石(2:00)→中山峠(0:10)→黒百合平
《3日目》 高見石(2:00)→中山峠(0:10)→黒百合平
(1:30)→天狗岳・西天狗までは往復1時間10分(1:30)→黒百合平
《4日目》 黒百合平(1:50)→渋ノ湯よりバス(0:50)→JR茅野駅
《4日目》 黒百合平(1:50)→渋ノ湯よりバス(0:50)→JR茅野駅
※ 《1日目》の行程は、『名峰百選 第9回 北横岳』を御覧下さい。
《2日目》 縞枯山・麦草峠を経て高見石へ
北八ヶ岳の魅力は、何といっても美しい樹林であろう。 夏の静けさ漂う神秘的な雰囲気もいいが、雪と樹木のおりなす冬の『樹氷のアトリエ』も感動を与えてくれる。 夜明け前、空が僅かに白みかけた時、思い切って外に出てみよう。
北八ヶ岳の魅力は、何といっても美しい樹林であろう。 夏の静けさ漂う神秘的な雰囲気もいいが、雪と樹木のおりなす冬の『樹氷のアトリエ』も感動を与えてくれる。 夜明け前、空が僅かに白みかけた時、思い切って外に出てみよう。
朝の空に溶け込む
三角屋根の山小屋
空を見上げて満点の星空だと、氷点下の澄んだ空気と夜明けの光がおりなす神秘的な光景が望めるだろう。 夜が明けるまでのスペクトルの空の移り変わり、そして縞枯れ帯の山肌がこのスペクトルの光を受けてオーロラに輝く、これぞ“氷点下の神秘”である。
極寒に耐えた甲斐のある感動的な情景で1日が始まる。 さて、縞枯山へであるが、山荘から朝日の輝く方向に少し遡っていくと《雨池峠》の分岐に出る。 朝日の余韻がまだ残っているなら、先に樹氷原にいってみよう。 《雨池峠》から少し下ると、浅間山を背景にした美しい樹氷原が広がる。
しばし、カメラ片手に『樹氷のアトリエ』で気の趣くまま創作しよう。
日差しが高くを照らすようになったなら、《雨池峠》に戻って縞枯山へアタックしよう。 峠から右手に進路を取り、縞枯山の穏やかな山容とは相容れないキツい傾斜を登っていく。 雪付きの傾斜なので、ピッケルとアイゼンは必需品だ。
樹林帯の中を2~3度つづら折りを交えて直登していくと、程なく縞枯山 2403メートル 山頂に出る。
残念ながら頂上は、周りを樹林に囲まれて見通しが悪い。 展望を望むならば、頂上から10分程先にある《肩の展望台》までいこう。 この展望台からは、360°の大マノラマが広がる。
《麦草峠》へ連なる稜線に刻まれた縦走路、南八ヶ岳の峻嶮な山なみ、蓼科の丘陵に向けて広がる深い樹氷原と、とびきりに贅沢な風景が望めるだろう。 私がこの山を【名峰百選】に選んだのは、この樹氷原の広さと山肌に刻まれた“縞枯の帯”と夜明けのスペクトルの光がおりなす情景に感動したからである。
残念ながら頂上は、周りを樹林に囲まれて見通しが悪い。 展望を望むならば、頂上から10分程先にある《肩の展望台》までいこう。 この展望台からは、360°の大マノラマが広がる。
《麦草峠》へ連なる稜線に刻まれた縦走路、南八ヶ岳の峻嶮な山なみ、蓼科の丘陵に向けて広がる深い樹氷原と、とびきりに贅沢な風景が望めるだろう。 私がこの山を【名峰百選】に選んだのは、この樹氷原の広さと山肌に刻まれた“縞枯の帯”と夜明けのスペクトルの光がおりなす情景に感動したからである。
樹木も凍る厳しい寒さ
素晴らしい景色に感動を得れたならば、広大な樹氷原を南に下っていこう。 《肩の展望台》からは方向を90°右に変えてそびえたつ南八ヶ岳の方へ進んでいく。 まずは、すぐ前にそびえる茶臼山への高低差100mのアップダウンだ。 夏ならば30分程でこなせるこのアップダウンも、積雪の深い厳冬期は45分はかかってしまうだろう。
樹氷原の中を一筋に切られた道を緩やか過ぎずキツ過ぎずで上下して茶臼山 2384メートル の頂上へ。 頂上は樹林に囲まれて眺望はなく、ただの通過点然としているが、西に切られた踏跡を伝うと展望の開けた露岩の上に出る。
そこからは扇状に広がる蓼科高原が一望でき、その奥には南八ヶ岳の主稜線が凛々しくそびえ立っている。 また振り返ると、縞枯山の樹氷原が白銀の芸術を魅せている。 白銀のキャンパス湧き立つ水蒸気雲が縞の影を落とし、それが動画の如く樹々に表情を与える。
ワテのつたない写真でこれを表現する事は叶わないが、瞼の奥にはその素晴らしい情景が焼きついている。 それにしても風が強い。 この露岩の上は雪がなく、岩肌が露出している。 きっと、この風に吹き飛ばされたのだろう。 この展望地に滞在する最中、常に顔に雹が当たる痛みを感じていたのだから。
岩も樹木も凍って
さて、この展望台から戻って、再び縦走を再開しよう。 道は茶臼山で左に方向を変えて、明るく開けた傾斜を下っていく。 《麦草峠》までの縦走路では、最も勾配がキツい下りだ。 これを下りきると、少し登り返して《中小場》という露岩の上に立つ。 やや標高が下がった分は割り引かれるがここも展望がよく、《麦草峠》と真っ白な氷を張った《白駒池》、《麦草ヒュッテ》の赤い屋根、そして背後に君臨する南八ヶ岳の山々が印象的だ。
これより、今見えた赤い屋根まで下っていく。 緩やかに坂を下ってもはや地名だけとなった《大石峠》を過ぎ、《五辻》へ抜ける北八ヶ岳遊歩道に至る道を分ければ、程なく『国道299号線』の看板が見えてくる。 《麦草峠》である。
峠で雪に埋もれた国道299号線をラッセルで、“対岸”に建つ《麦草ヒュッテ》に渡る。 そこには、スノーモービルの跡が無数に着いていた。 どうやら冬は、スノーモービルで行き来しているようだ。
ヒュッテの前で軽く腹こしらえをして(寒いが、いちいちアイゼンを外すのが面倒である)、再び登高を開始しよう。
スカイブルーと
白銀のおりなす芸術
さてこれよりが、測らずもこのルートの最大の悪場となる。 だが、岩は全くなく、夏ならばほんの5分で通過できるところである。 これがなぜ“悪場”なのかというと、ここからはテレマークスキーのゲレンデを200m程伝うのだが、スキー場ゆえに全く雪が踏み固められておらず、足を踏み出すごとに股下までズッポリとはまるのである。 僅か200mを行くのに20~30分かけて雪のふきだまりを渡り抜いて、丸山の山腹に分け入っていく。
道が登山道となり人の足で踏まれると、途端に踏ん張りが利いて歩きやすくなる。 まるで、川から這い上がって陸を歩くような感覚だ。 この事からも感じる。 スキーのゲレンデを造る事によって、雪上で人が人らしく立って歩くことが叶わなくなる。 スキーをする事によって、『歩く』という人の基本を放棄しているのだ・・と。 それは何と愚かな行為なのか・・と考えるのは、私が偏屈だからであろうか。
道が登山道となり人の足で踏まれると、途端に踏ん張りが利いて歩きやすくなる。 まるで、川から這い上がって陸を歩くような感覚だ。 この事からも感じる。 スキーのゲレンデを造る事によって、雪上で人が人らしく立って歩くことが叶わなくなる。 スキーをする事によって、『歩く』という人の基本を放棄しているのだ・・と。 それは何と愚かな行為なのか・・と考えるのは、私が偏屈だからであろうか。
樹氷の間より望む浅間山
さて、話は脱線してしまったが、登山道は傾斜を増して樹林帯を縫うようにつめていき、樹林帯に囲まれてどこが頂上か判らぬ丸山 2329メートル を越えて一投足で《高見石小屋》に着く。
やや短い行程かもしれないが、雪面のラッセルが多く疲れた事と、ある事の為にここでストップとしよう。
そのある事・・とは、真っ先に朝日を望む事である。 その為に、今日はここでテントを張ろうと思う。
今後のワテの体験談を豊かにするというより自慢話(聞いてる方はアホのヨタ話としか思えないだろうが)がしたいが為に、これを敢行したいと思う。 であるから、これはマネをせぬように。
今後のワテの体験談を豊かにするというより自慢話(聞いてる方はアホのヨタ話としか思えないだろうが)がしたいが為に、これを敢行したいと思う。 であるから、これはマネをせぬように。
それでは、これより耐寒訓練を開始しよう。
※ 続きの《3日目》以降は、『名峰次選 第46回 八ヶ岳・天狗岳』を御覧下さい。
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