風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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日本の滝を訪ねて 第46回  行縢ノ滝

日本の滝を訪ねて 第46回  行縢ノ滝 〔宮崎県〕
 

天から続く一枚岩盤に
落水の枝垂れ模様がアートを描き
 
   行縢ノ滝  むかばきのたき  分岐瀑  落差 77m  宮崎県・延岡市

   アプローチ
延岡市街より車で約40分・行縢山登山道を1km(所要40分)ほど登った地点にある滝

行縢山と行縢ノ滝 位置図

延岡市街を夜明け前に出て、通称『神話街道』の国道218号線を北上していく。 途中、台風災害による橋梁流失などの甚大な被害で廃線となった高千穂鉄道の《細見駅》跡付近の交差点より、国道から離れて《行縢山登山道》方面へ入っていく。 道は4m道路で舗装はされているが、途中に枝分かれ道が多くあって紛らわしい。 だが、概ね道なりに進んでいくと道を違える事はないだろう。
 

行縢ノ滝 行程図

恐らく空は明るくなり、前面には奇怪な様相を示す行縢山 830メートル がそそり立っている事だろう。 その裾に向かって突っ込んでいくような感じで突き進んでいくと、この道の最奥集落である《行縢》集落を過ぎて《行縢山登山口》のバス停、そして《行縢神社》へと到達する。
 
道は更に1度のつづら折りを経て標高差50m位を稼いだ高台まで続いており、この道の終点が登山口となる。 なお、駐車スペースは5台程度と手狭である。 ちなみに、先程の《行縢神社》前にも20台は駐車できる駐車場があり、こちらからも神社経由で登山道が延びている。
 
これよりこの《行縢山登山道》を約30~40分ほど登った所に、目指す名瀑《行縢ノ滝》がある。
僅か30~40分ではあるが「登山道を登る」という事で、遅くとも朝の7時前には登山道入口の前に立っていたいものである。 また、この滝は登山行動を伴うので、靴はある程度しっかりしたものが必要となるだろう。

登山道は明確で判り易いものの、かなり大きな尖った花崗岩がゴロゴロしていて、転びでもしたら大怪我をしかねないので歩行には十分注意して頂きたい。 登山口よりひと登りで神社からの登路と合流し、そこから20分ほど登ると吊橋が見えてくる。
 
周囲は一枚岩盤で形成される行縢山の支峰群に囲まれ、その奥にその一枚岩盤の裂け目から滔々と白布を掛ける滝が望める事だろう。 これが『日本の滝100選』にも名を連ねる名瀑《行縢ノ滝》である。
しかし、滝が見え始めてからがひと苦労である。 ここから登山道の傾斜はキツくなっていき、遠めに見える滝の釜まで標高差にして150mは登っていかねばならない。
 

吊橋を渡ると
《行縢ノ滝》が姿を現す
 
苦労の度合からいうと、吊橋の地点が『滝までのちょうど五合目』って所だろうか。 まぁ、登山コースの難度から言えば、『超初心者コース』なのであるが。 しかし、日頃の鍛え方如何では、身体が悲鳴を上げているかもしれない。

この少々キツい登りをつめていくと、行縢山の山頂への道との分岐に出て、この分岐を左手に進むと程なく《行縢ノ滝》の滝釜の下に出る。 その滝釜の前から見上げる《行縢ノ滝》は圧巻だ。
垂直の一枚岩盤を、枝垂れるように落水模様を描く滝絵巻。 見かけでなく、真に一枚岩盤なのだ。
 

巨大な一枚岩盤が艶かしい
 
時が経つにつれて、朝の陽光がその一枚岩盤を少しづつ明るく照らしていく。 落水と陽の光が交わると七色に輝く虹となる。 そして、落水の枝垂れた玉滴が輝く宝石となる。 そうなるまでのひとときを滝前で気長に待とう。
 

左の峰から少しづつ
陽の光が照らし始めた
 
滝の一枚看板まで到達した朝の光は、徐々にその巨大な一枚岩盤を照らし始める。
ゆっくりとゆっくりと、ともすればわざと“焦らし”の演出をあがなうが如く。
 

待つ事一時間半
滝の落ち口の玉滴が
陽の光を浴びて輝きだした
 
まるで、少しづつ幕が上がっていくステージの開演のように。 魅せられる者の「光が当たるとどう輝くのか」という期待を一身に請け負って、ゆっくりとゆっくりと輝き始める。
 

朝の光が巨大な一枚岩盤を
少しづつ輝かせて

このステージが一段落つく頃には、陽の光も随分と高くなっている事だろう。 ワテの訪れた冬で、午前9時過ぎであった。 朝の光がおりなすステージを最後まで見届けたなら、往路を戻って次の滝へ向かう事にしよう。
 

一枚岩盤というキャンパスの下部に
木陰が映しだされて


艶かしい一枚岩盤が光を浴びて
更に艶やかとなる

なお、素晴らしい滝絵巻に興奮覚めやらぬ事だとは思うが、帰りもゴロゴロと尖った花崗岩が転がる不安定な道であるので、十分気を引き締めて下山して頂きたい。
 
  ※ 詳しくは、メインサイトより『神話の里の滝めぐり』を御覧下さい。




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No title * by オータ
こんにちは。
難読駅として有名?だった 行縢ですが、山も滝もたいへん壮絶なのですね。感心しました。この近く高千穂へは車で通っているのですが…いつか見に行ってみたいと思いました。傑作!

No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。

行縢とは、鹿などの皮で作った狩猟用の保護覆いの事だそうです。
今で言うスパッツの事ですね。 何でも、日本武尊の伝説と絡んでいるらしいです。

滝は水量はか細かったですが、垂直の一枚岩を滑り落ちる様は、さすがは皆が選んだ100の滝に推挙されただけの事はあります。

コメント






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No title

こんにちは。
難読駅として有名?だった 行縢ですが、山も滝もたいへん壮絶なのですね。感心しました。この近く高千穂へは車で通っているのですが…いつか見に行ってみたいと思いました。傑作!
2011-12-25 * オータ [ 編集 ]

No title

オータさん、こんばんは。

行縢とは、鹿などの皮で作った狩猟用の保護覆いの事だそうです。
今で言うスパッツの事ですね。 何でも、日本武尊の伝説と絡んでいるらしいです。

滝は水量はか細かったですが、垂直の一枚岩を滑り落ちる様は、さすがは皆が選んだ100の滝に推挙されただけの事はあります。
2011-12-25 * 風来梨 [ 編集 ]