2011-12-09 (Fri)✎
『オホーツク縦貫鉄道の夢』 第25回 最も列車が少ない路線
明らかにお手製
1日の発着が2本なら仕方がないか
1日の発着が2本なら仕方がないか
これよりは、この旅行記のクライマックスとなる“流氷路線”の区間だ。 私が目にした限りではあるが、最も流氷を味わって望める区間がこの名寄本線であると思う。 そして、この全区間が廃止となった唯一の“本線”である名寄本線から枝分かれする支線たちも、あの頃の私の憧れやまぬ路線であった。
これらの路線にもう一度乗ってみよう。 そして、久しく見ていない流氷をもう一度見に行こう。
《中湧別》からの名寄本線は『本線』を名乗るだけあって、先程の湧網線と比べると倍の本数の列車があった。 それ故に、ただ乗車するだけならば比較的容易であった。 だが、オホーツク沿岸の最も美味しい所をゆく路線であるので、乗って車窓を眺めるだけ・・というのは如何にも勿体ない気がするのである。
《中湧別》からの名寄本線は『本線』を名乗るだけあって、先程の湧網線と比べると倍の本数の列車があった。 それ故に、ただ乗車するだけならば比較的容易であった。 だが、オホーツク沿岸の最も美味しい所をゆく路線であるので、乗って車窓を眺めるだけ・・というのは如何にも勿体ない気がするのである。
従って、『流氷の見える丘』は元より、春先のピンクの絨毯を敷きつめるシバザクラ庭園やチューリップ畑、夏の海沿いに咲き競う原生花園、少し足を延ばして天然の神秘たる『氷のトンネル』なども訪ねてみようと思う。
さて、その名寄本線のトップは、拠所ない筆者の都合を前面に押し出して、あまり『オホーツク縦貫鉄道』とは関連のない、云わば『名寄本線』という関係があるだけの湧別支線を取り上げようと思う。
なぜなら、「いきなり名寄本線の核心を突いてしまうと、この企画があっさりと終焉を迎えそうな気がする・・」という筆者の小市民的思考と、「核心はやはりその季節の2月にしたいな・・」という、『筆者の都合・その1』と、この冬も御多分に洩れず、北海道のこの地域の旅行を企画している為・・という『筆者の都合・その2』が存在するからである。
それと、この正月に企画している旅で、鉄道を失ったこの地域の現況を目にして当時と対比しながら語っていけたらいいな(これで当分の間、この企画のネタ切れで苦しむ事はないな・・と含み笑い)とも思っている。
アサリ浜や千鳥ヶ浜、竜宮台の
最寄駅なのは確かな事だけど・・
1日の発着が2本ではねぇ
1日の発着が2本ではねぇ
それでは、ほぼ『オマケ企画』とも云える湧別支線の事について語ってみよう。
列車の運行本数は僅か2往復。 旅客列車の本数なら、かの有名な1日1往復の『清水港線』に譲るが、この『清水港線』は貨物列車が日に数本あったので、純粋に列車本数で比べると、貨物扱いも廃止されていたこの湧別支線が『純列車本数のワースト1』となるのである。
その状況なのに、廃止間際まで湧別駅には委託ながら駅員が配置され、切符を売っていたのだから恐れ入る。 そして、1日たった2往復の運行から「どんなけ人口希薄地帯なのか?」と思われがちだが、湧別町の町役場所在地(現在は上湧別町と合併し、役場は町最大の人口集中地域である旧中湧別駅近くに移転した)で、人口4~5千人が在住している所である。 要するに、鉄道が地域輸送の任より外されているだけであったのだ。
もちろん、地域輸送の任は一家に2台も3台もある・・というマイカーが主で、日に10本ほど運行されるバス便が従であった。 当時、まだ少年だった筆者は「列車運行がたった2往復」という現実には逆らえず、ただ乗って湧別で5分待ちで折り返し、その慌しい中で入場券を買って帰っただけであった。
当時に相乗りとなった乗客のほぼ100%が、この線に乗りにきた『チャレンジ20000km』の連中であったようだ。
まぁ、2往復で、市街地を結ぶ道路に沿って真っ直ぐに進むだけの平凡な路線の走行写真を、実務や仕事以外で撮っている方がいるとしたら、かなりの猛者だと思うが・・。
さて、前置きが長くなってしまったが、とにかく乗車の記憶を手繰ってみよう。
この2往復の列車は、前回に乗車した湧網線と共通運用のようで、時刻表も湧網線の上に継ぎ足しで記してあった。 運行パターンとしては、中湧別から湧別を往復してから湧網線に入線していくか、その逆のどちらかであった。 だから、いつもキハ22の単行が当てがわれたようだ。 この運用は、湧網線が廃止になる昭和62年3月まで続いていたようだ。
湧網線の任に着き網走からやってきたキハ22の単行列車は、中湧別駅の3番線に入線する。
中湧別駅の3番線は湧網線と、この湧別支線の専用ホームであった。 中湧別で進行方向を変えて、名寄本線の興部方面と湧網線との3方向に分かれる線路の真ん中を真っ直ぐ進む。
線路配置だけは、王道を行っているようだ。
道に沿って集落がチラホラ見えるだけの何の変哲もない中に、車両の半分より少し長い位の板張りのバラックに止まる。 四号線仮乗降場だ。 だが、近くに農協のスーパーもあり、列車の運行次第ではもっと乗客がいてもいい筈の周囲の眺めである。 ちなみに、帰りはこの駅は通過した。 末期に部外者からの指摘があるまでこの乗降場は、乗降客がいない場合は通過扱いだったのだ。
要するにここで降りる為には、この地に居住して「この乗降場の利用客である」と乗務員に認知されるか、予め車掌に「降りますコール」を伝えておく必要があったのだ。 このいわく付の乗降場を出ると、程なく1日2本の発着があるだけの駅とは思えぬ程に建付けの良い駅舎を持つ湧別駅に着く。
湧別駅の足跡はコレのみ
小僧に「駅舎写真を撮っておく」なんて
先見の明はなかったよ
やはり有人駅だからか、手入れが行き届いている・・というか、1日2本の列車扱いしかないヒマな状況では駅の手入れ位しないと身が持たないだろう・・とも想像できる。 でも今は、そんな面影は跡形もなく消え去り、駅跡には真新しく無粋なコンクリート建造物が建設され、その建物は湧別消防署の表札を掲げている。
そして、その前に余ったコンクリートなのだろうか? 四角く切られたコンクリート塊に、墓標っぽく大理石プレートを埋め込んだ駅跡碑が墓石のように飾られている。 これは、今度の旅でこの地を訪ねた時に写真に撮ってみようと思う。
また、この項目の原点である架空旅行記『オホーツク縦貫鉄道の夢』もどうぞ。
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No title * by オータ
「四号線」仮乗降場の写真撮っています。停車中になんとか撮影できました。お持ちでなかったら、私のブログでお見せするようにしますが…
No title * by 風来梨
タケちゃんさん、こんばんは。
乗ってて良かった・・ これは紛れもない本音ですね。
それと登栄床は、サロマ湖とオホーツクを仕切る砂嘴にある漁港ですね。
私も最後の放浪の時に立ち寄りましたが、竜宮台は駐車場で折り返しになっていて、入場は有料だったので折り返した経験があります。
止ってる車はほとんどが釣り人のマイカーだったかと・・。
逆に、チューリップ園はまだ見た事ないです。 この正月の旅で『道の駅・チューリップの湯』は立ち寄る予定ですので、今からが楽しみです。
乗ってて良かった・・ これは紛れもない本音ですね。
それと登栄床は、サロマ湖とオホーツクを仕切る砂嘴にある漁港ですね。
私も最後の放浪の時に立ち寄りましたが、竜宮台は駐車場で折り返しになっていて、入場は有料だったので折り返した経験があります。
止ってる車はほとんどが釣り人のマイカーだったかと・・。
逆に、チューリップ園はまだ見た事ないです。 この正月の旅で『道の駅・チューリップの湯』は立ち寄る予定ですので、今からが楽しみです。
No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。
アレを撮ったとは、すごいですね。 110程(宮脇俊三・原田勝正 著の『北海道690駅』によると・・)あった仮乗降場の中でも、待合室なしの車両の半分の板張りというド最低クラスの乗降場でしたから・・。 私は、駅を扱う有名サイト『さいきの駅舎訪問』でその姿を見たのみです。
後ほど、そのお宝写真を拝見しに伺いますね。
アレを撮ったとは、すごいですね。 110程(宮脇俊三・原田勝正 著の『北海道690駅』によると・・)あった仮乗降場の中でも、待合室なしの車両の半分の板張りというド最低クラスの乗降場でしたから・・。 私は、駅を扱う有名サイト『さいきの駅舎訪問』でその姿を見たのみです。
後ほど、そのお宝写真を拝見しに伺いますね。
湧別駅ですか・・・鉄道雑誌の「北海道特集」で見たことがある程度・・・その場所に鉄道で足跡を記していること自体が凄いことですね。
鉄道廃止後に、仕事で湧別に行くとは思いもよらず・・・しかも駅跡探訪をするヒマもなく・・・・今では家族で中湧別のチューリップを見に行くんですが、どうしてもその観光経路からは外れてしまいますよね。
私が仕事で行った先・・・それは湧別の東側・・・登栄床でした。