風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第42回  大朝日岳 その2 act 2

名峰百選の山々 第42回  『20 大朝日岳』(その2 act 2) 山形県・新潟県
朝日山系(磐梯朝日国立公園) 1870m コース難度 ★★  体力度 ★★
 

今日の大朝日岳は
それなりに染まってくれた
 
今回は、朝日小屋から日暮沢小屋までの回遊コースを秋色を楽しみながら降りていこう。
なお、日暮沢小屋から稜線散策は、前回の『名峰百選 第41回 大朝日岳 その2 act 1』を御覧ください。
 

今回の山旅の行程図
 
      今回の行程記録おば・・
《1日目》 日暮沢小屋(2:40)→清太岩山(1:20)→竜門山(1:30)→西朝日岳 
     (1:30)→大朝日小屋・大朝日岳頂上まで15分
《2日目》 大朝日小屋(0:30)→銀玉水(0:30)→小朝日岳分岐(0:40)→古寺山 
     (1:10)→ハナヌキ峰(1:20)→竜門滝(0:20)→日暮沢小屋
 
  《2日目》 朝日連峰より秋を楽しみつつ下山
さて、朝5時に目覚める。 山での起床としてはやや遅めだが、テントの撤収の必要もなく、テントでの寒さを知っているせいか、小屋では全く防寒グッズ(銀マットやエァーマットなど)不要で広げないので、実質はパンを食う時間だけで事足りる。

それ程手間取らず5:40には出発準備を整えて、朝日のショータイムに魅せられるべく外に出る。
空は晴れているものの、日の出の先にはぶ厚い雲が帯をなして掛かっていて、どうやら陽が昇る瞬間はダメっぽそうである。 ・・ならばと、大朝日岳が染まるシーンや月山や鳥海がかぎろいに浮かぶシーンを待ってみる。
 

夜明け前の美しい情景に
期待が高まって


湧き立つ雲が荒々しく
そして懐かしく


空が微妙に変化してきて


だが直前に雲海の果てが
分厚い雲に覆われて


どうやら日の出は
不完全な眺めのようだ


以東岳と月山・鳥海を望む


朝日連峰の主稜線は
今朝も美しかった
 
結果はスーパーなモノは無理だったが、それなりには染まってくれた。 それよりも、ガスのおりなす“山おろし”が迫力があって良かった。 ガスがバックライトを浴びて光輝き、天河の流れの如く迫力をもって流れていく。 その様は、いくらカメラを構えていても、いくらシャッターを押しても撮り足りない。
なので、小屋から下りながら写真を撮っていたのだが、気が付けば30分経っても300m程しか歩いていなかったのである。
 

大朝日岳と朝日小屋
1時間近く経って
このシーンが撮れるという事は
 
「これはイカン!」と歩き始めたが、元々下りは遅いので、銀玉水に着くまでに後から来た兄さん(昨日から大朝日小屋に泊まった方)にあっさりと抜かれた。 「まぁ、何ぼ遅くても、大朝日出発だから正午過ぎには根子のバス停に着けるだろう」とタガを括っていたが、ここまで1時間掛かった事を見ると、少しヤバく思え始めた。
 

こんなの魅せられると
足が止まっちゃう
 
人間は慌てると、何かしら不都合を起こすものだ。 筆者の不都合とは、今までの山行での数ある『オチャメ』である。 そして、その『オチャメ』がこの先で発動されたのである。 足がもつれたのか、石に躓いたのか・・、ド派手に側面ディングシュートをかましてしまったのだ。
 
あまりにも痛くて、2分位は確かにもんどり打っていた。 でも、不思議にケガはほとんどなく、そして幸運にもシーズンオフでこの醜態を見られる事もなく、後は「痛いの痛いの、飛んでいけぇ~」と転んだ事を痛みと共に『何もなかった事として忘れる』という忘却力を発動するだけである。

だが、忘却力の発動を阻害する事柄が現れた。 昨日の沢での転倒と相俟って、左手首と親指を捻挫しちまったようである。 要するに、手に負荷を掛けると痛みが走り、『転んだ事』を思い出さずにはいられない“ジレンマ”を抱えてしまう事になっちまった。 これで、余計に下りは遅くなりそうである。
やっぱり、石に躓くほどに足が上がらなくなってしまったのね。

でも、歩くには問題ない。 まぁ、過去においては、さんざん我が身をイタブッているし・・。
血まみれで山に登ったり『肋軟骨の日々』なんて事もあったなぁ。 ピッケルの刃先で掌を割った事もあったっけ。 その他にも、お湯をひっくり返して・・もあったなぁ。 それでも、ヘラヘラ笑いながら山を上り下りしているのだから、自分で言うのも何だが結構丈夫である。
 

結構丈夫な身体と
ナンチャッテの王道を行く能天気と
都合の悪い事は即座に忘れる
忘却力があったればこそ・・
 
さて、手を捻挫しようがしまいが、下るのはトコトン遅い私。 かつて、登りで1時間位で来た銀玉水~小朝日の分岐の道だが、なかなか着かない。 なかなか着かない事で、マイナス思考が頭にもたげてくる。 それも、卑屈なマイナス思考が。 それは、「銀玉水で抜かれた兄ちゃんは、もう古寺鉱泉の分岐まで行っとるのかなぁ」などという、遅い自らを対比する嘆き・愚痴である。

愚痴っていても早くはならないが不思議と疲れを忘れて時が経つので、私的な結果においては、この愚痴が出る事は『結果オーライ』なのである。 その証拠といっては何だが、愚痴が出てからすぐに小朝日岳の直下にある分岐に着いたし、ほんの少し歩いただけで、『ハナヌキ峰まで2.5km』の道標が現れた。
だか、この2.5kmの長い事。

それは、手前の古寺山という突起を超えた先にある遥かに低い山なのだが、「あれまでを2.5kmとすると、この古寺山まで何キロなの?」という疑問がふつふつと湧き上がるのである。 
歩いた感じでは、古寺山まででも十分2.5kmはあると思うのだが。 そして、古寺山の登りに取り掛かった時、銀玉水のあの兄さんがちょうど古寺山の頂から立ち去ろうとしているのが見えた。 これは、ワテが思ったより早かったのか・・、それとも。
 

古寺山では最後の
朝日連峰の情景が望まれる

大朝日岳はあのダイナミックな
山おろしの雲が被さっていた
 
まぁ、古寺山の登りは標高差で100m程なので、大した事なく登りきる。 古寺山 1501メートル の頂は、朝日連峰の最後の展望台だ。 大きく厚いガスのべールで覆われた大朝日岳の山体と、快晴で雲海より突き出す西朝日岳などのスカイラインが心ゆくまで眺められる。 最後の山の情景を心ゆくまで堪能したなら、後は下り地獄だ。
 

下っていく内に
紅葉の最前線に突入していく
 
しかし、ただが900m降りるだけで、なんでこんなに時間がかかるのか?と思える急下降である。
感覚としては、「急傾斜の連続で、かなり下りたつもりでいるのに、現実はちっとも下ってないのでは?」という所だろうか。 枯葉で埋まるルンゼ状の坂を足がダルくなる位下って振り返ると、今降りた標高差400mが正面に垂直の高さを魅せてくれる。 でも、感覚としては、「もっと下っててもいいだろう」って程に下った感じがあるので、何か疲れる眺めだ。
 

秋色に魅せられて
 
さて、下りの急坂が一段落すると、古寺鉱泉への下り道との分岐に出る。 この分岐では、メインルートは日暮沢小屋ではなくて、この古寺鉱泉へのルートだ。 まぁ、鄙びた一軒宿の鉱泉宿があると言うし、車があればこちら側を使うだろうね。
 

こんなのを魅せられると
トコトン遅い下りが更に遅くなる

その分岐を『サブルート』側の日暮沢小屋へ進路を取る。 ここからはハナヌキ峰への登りだ。
分岐からの登り際は、下りの疲れも伴って“もの凄い傾斜”に見えるが、登ってみると大した事はない。
下りで足がもつれて転倒するような“ナンチャッテ”でも、息が上がらずにこなせたのだから信用してもいいだろう。
 

あの遥か低い山まで
2.5kmって事はないだろう
 
だが、疑問といえば、あの道標から“たった2.5km”って事はないだろうって事である。 「2.5kmと言えば、環状線の天満~京橋(何の脈絡で地元ネタを持ち出しとるんだ?)と同じようなものだ。
自転車で15分前後、歩いても30分チョイだぞ!」と、ブツブツ念じながら歩く。
 
ブツブツ念じながら行くと、あっという間にハナヌキ峰(頂上標柱はなかったみたい)を乗り越えて、紅葉前線の真っ只中に突入する。 今年は天候不順からか「紅葉は今イチ」との評が流れているが、それでも今の紅葉のピークである標高900m前後は圧巻だ。
 

青空と紅葉と
 
・・美しい紅葉を目にして気分も上々と思えたのだが、またもや先程の古寺山からの下り以上に急傾斜で、今度は樹木の根のオマケ付の急下降となる。 もう、膝の膝蓋骨が破裂しそうな下りであった。
 

燃えるような山の秋
 
でも、急な割にはあまり標高差を劇的に駆け下っているような感覚はなく、この急坂は見た目と落ち方(木の根によって掘られて段差がキツイ)だけが凄い“見掛け倒し”のモノのようである。 だが、“見かけ”だけであったとしても、以前から下り技術の進歩がない『ナンチャッテ』の膝蓋骨が悲鳴を上げている事には変わりはない。

秘瀑・竜門滝

この急坂を1時間位か下っていくと、沢音が聞こえ出してきて、「漸く終わり」を感じさせる。
後は、竜門滝を眺めて、程なく日暮沢の小屋に着く手筈である。 でも、「やっぱり」というか「お約束通り」というか、沢音が聞こえ出してからが更に急傾斜となって、横に足を挿しながら下っていく『カニ歩き』でしか下れなくなっていく。
 
なぜなら、前を向くスタンダードな降り方だと、膝蓋骨が痛くて持たないからだ。 ここでも30分位かかって、漸く沢が眼前に見えてくる平坦な所へ降り立つ。 ここから数分で竜門滝だ。 この滝の滝つぼは微妙に樹木に隠れ気味で、直下降のザイルがあったが、時間に急いている事と疲れで全くといっていい程に「降りよう」とは思わなかった。

そこで、「滝の見えるいい位置はないか」と入ってみると、膝が裏返るような激痛が走った。
やはり、あの坂は膝にはかなり負担があったのだろう。 この痛さは2~3分残り、ビッコを引きながら滝が見える位置を探すと、あったよ。 滝全体を見渡せる所が。 そこで滝写真を撮って、膝蓋骨の痛みが和らいだのを見計らって出発。

 林道歩きの最中に見た錦絵巻
 
もう、ほぼ平坦で膝に負担が掛からなかった事もあり、あの膝の痛みは一過性のモノで済んだようだ。
後は、枯葉で埋まる道を10分ほど行くと、林道の砂利が見えてくる。 林道を300mほど行くと、日暮沢の小屋が見えてくるだろう。
 
だが、これで終わりではない。 ここから平日のみ日に3本のバス停留所まで、6.4kmのタイムレース付の林道歩きが待っているのだ。 秋の情景を楽しみながら、さりとてバスの発車時間に遅れぬ様、調整しながら歩いていこう。

   ※ 詳細はメインサイトの『撮影旅行記』より、『朝日連峰の秋・・』を御覧下さい。
 
 
 
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No title * by おがちゃん
臨場感あふれる記事 素晴らしいですね!

ダイナミックな山おろし 凄いですね
登ってみたら もっと良さがわかるんだろうな♪
朝日連邦 月山 鳥海山 懐かしいです
これからも 「痛いの痛いの飛んでいけ~」で頑張ってください♪ ポチッ☆

No title * by 風来梨
おがちゃんさん、こんばんは。

早速、コメント頂き、有り難うございます。
今回の朝日は天気に恵まれ、最高の山旅が演出できました。

山の稜線は紅葉には少し遅かったですが、夕景色と朝の山おろしは最高でした。 これに魅せられるから、また山に行きたくなります。

コメント






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No title

臨場感あふれる記事 素晴らしいですね!

ダイナミックな山おろし 凄いですね
登ってみたら もっと良さがわかるんだろうな♪
朝日連邦 月山 鳥海山 懐かしいです
これからも 「痛いの痛いの飛んでいけ~」で頑張ってください♪ ポチッ☆
2011-12-04 * おがちゃん [ 編集 ]

No title

おがちゃんさん、こんばんは。

早速、コメント頂き、有り難うございます。
今回の朝日は天気に恵まれ、最高の山旅が演出できました。

山の稜線は紅葉には少し遅かったですが、夕景色と朝の山おろしは最高でした。 これに魅せられるから、また山に行きたくなります。
2011-12-04 * 風来梨 [ 編集 ]