2011-11-26 (Sat)✎
名峰百選の山々 第41回 『20 大朝日岳』(その2 act 1) 山形県・新潟県
朝日山系(磐梯朝日国立公園) 1870m コース難度 ★★ 体力度 ★★
大朝日岳とその肩に建つ大朝日小屋
標高2000m未満とは信じ難いスケールの
標高2000m未満とは信じ難いスケールの
デカイ山なみを魅せてくれる
今回は、この秋に行った『朝日連峰の秋山めぐり』を、現役時代の使い果たした貯金に虚勢を張る“ナンチャッテ”“自堕落”山ノボラーの観点から述べてみようと思う。
さて、登山口である日暮沢小屋にたどり着くまででも、普通の人からしたら考えれない“オチャメ”をかますエピソードがあるのだが、文字数を考えたらその事は割愛せざるを得まい。
今回の山旅の行程図
それでは、今回の行程記録おば・・
《1日目》 日暮沢小屋(2:40)→清太岩山(1:20)→竜門山(1:30)→西朝日岳
《1日目》 日暮沢小屋(2:40)→清太岩山(1:20)→竜門山(1:30)→西朝日岳
(1:30)→大朝日小屋・大朝日岳頂上まで15分
《2日目》 大朝日小屋(0:30)→銀玉水(0:30)→小朝日岳分岐(0:40)→古寺山
《2日目》 大朝日小屋(0:30)→銀玉水(0:30)→小朝日岳分岐(0:40)→古寺山
(1:10)→ハナヌキ峰(1:20)→竜門滝(0:20)→日暮沢小屋
《1日目》 日暮沢小屋から稜線を通って大朝日のテッペンへ・・
さて、のんびり準備しても、5時過ぎには出発準備が整う。 取り敢えず薄っすらと明るくなり出したので、沢に水を汲みに行って帰ってくると、歩ける程には明るくなっていた。 5:40に小屋を出発。
秋色満開だが曇天でスッキリしない色合いの中を登っていく。 写真を撮る上ではハズレだが、登る分にはこういう曇天の方が暑くなくていい。
登り始めは良いが、徐々に坂の傾斜がキツくなっていって、足もついていかなくなってゆく。
さて、のんびり準備しても、5時過ぎには出発準備が整う。 取り敢えず薄っすらと明るくなり出したので、沢に水を汲みに行って帰ってくると、歩ける程には明るくなっていた。 5:40に小屋を出発。
秋色満開だが曇天でスッキリしない色合いの中を登っていく。 写真を撮る上ではハズレだが、登る分にはこういう曇天の方が暑くなくていい。
登り始めは良いが、徐々に坂の傾斜がキツくなっていって、足もついていかなくなってゆく。
キツい坂に喘ぎながら登っていると、どうしても脳みそが『バラ色』になる。 「もう、500以上登った(何の脈絡もなく勝手に500m登った事になっている)ので、あと200mほどで清太岩山だ」と、自己完結に向かっていく。
だが、事実は脳内妄想で500m登っただけで何の裏付けもなく、しかも小屋から清太岩山までの標高差も、実際は900mの所を700mとしているオチャメたっぷりの大タワケが筆者そのものなのである。
真っ赤に燃える
ナナカマドの実
だから・・である。 「見逃した」と思い込んでいた水場(地図で小屋より350~400m登った所にある水場マークがある)の看板が眼前に現れた時は、愕然となったよ。 今まで信じていた事が全て音を立てて崩れる瞬間だったのだから。 これで完全にダレてしまって、これよりは『100m進んだら立ち止まる』を繰り返すヘバリモードに突入したのであった。
ひたすらダラダラと、「アト200mの標高差」と思い込んでいた標高差500mを登っていく。
だが、シャキシャキ登っても、筆者のように後ろから蹴り上げたくなるようなダラダラ登りでも、やがてはその高みに辿り着くのだ。
ただ所要時間と、その登っていく姿が清々しいか鬱陶しいかの違いがあるだけである。 そうでなければ、ナンチャッテなワテのような山ノボラーは存在を許されないのだ。 で、いつの間にか、清太岩山 1495メートル の頂上へ。
ただ所要時間と、その登っていく姿が清々しいか鬱陶しいかの違いがあるだけである。 そうでなければ、ナンチャッテなワテのような山ノボラーは存在を許されないのだ。 で、いつの間にか、清太岩山 1495メートル の頂上へ。
稜線上に出て
最初に魅せられたもの
それは雲海より突き出す
峰々の神々しい姿だった
徐々に途切れていく
雲海も峰々の素晴らしい景観を
更にドレスアップする
スカイブルーと
雲海と晩秋の山なみと
頂上に出ると、そこは雲海の上となり朝日連峰の山なみがそびえる快晴の山岳日和であった。
白い綿のような雲海、スカイブルーの空、秋の黄土色に染まった山々。 目に入る情景の何もかも爽快であった。 ただ一つ、訓練せずに山に登って、案の定ヘタレている筆者の姿を除いて。
白い綿のような雲海、スカイブルーの空、秋の黄土色に染まった山々。 目に入る情景の何もかも爽快であった。 ただ一つ、訓練せずに山に登って、案の定ヘタレている筆者の姿を除いて。
ここからは、稜線上の竜門山へと続く一筋の登路が見える。 だがその登道は、手前で見えなくなっているのである。 なぜなら、大きく下って登り返す地形だからだ。 これを見た途端「ウェ~」と思ったが、登り返してみればヘタレでも行ける位に大した事はなかった。
竜門山へ続く一筋の道
そして、次の高みであるユウフン山 1565メートル へ。 更に稜線の山なみが近づき、そして竜門山の肩に建つ竜門小屋も見えていた。 ・・実を言うと、今日はこの竜門山でストップしようかと考えていたのである。 だから、「あと、もうちょっと」なのである。 その事に勢いを取り戻した単純な筆者は、この登りは今までダレていた事を露とも忘れて人なみ以上の速さで乗り切り、10時前には竜門山の分岐点に立ったのである。
肩に建つ竜門小屋が見えてくると
“衝動”(怠け心)に駆られてしまいそう
ここまで4時間00分とコースタイムより20分オーバーだが、清太岩山から竜門山まではコースタイム1:20と、ユウフン山での休憩時間を含めてコースタイム通りに行ってしまったのである。
この予想外の『ガンバリ』によって小屋へ予定通りに向かってしまうと、図らずも『快晴の山岳日和の朝10時に小屋に沈殿』という無駄・矛盾を招いてしまう事になってしまったのである。
綿雲の衣装をまとって
凛々しくそびえる朝日連峰№1と№2
なので、仕方なく大朝日岳へと進路を取る。 コースタイムは竜門山から2時間程だが、「1時頃までに着いたらいいや・・」と考えた途端に元のヘタレに逆戻りして、これよりは『V・Max』を発動して究極のダラケ歩きとなる。 カメラを取りだしたのが原因なのが、水を飲みだしたのが原因なのか、とにかく足が全く前に進まなくなってしまったのである。
この清々しい登路を
ダラけるだけダラけ登り
コースタイム上では1時間の西朝日岳まで1時間30分かかり、西朝日岳で何をするでもなく10分留まり、西朝日岳から見える大朝日小屋までの1時間の道程に1時間30分を費やしてしまったのである。
晩秋の秋色に染まる西朝日岳
もう、足は完全に前に出なくなり、フラフラヘロヘロと稜線上の高低差100m程を上下する。
かつて30分少々で行き交ったこの区間が、15年後には3倍の時間を要する事になろうとは露ほども思わなかったであろう、あの時のワテは。
さぁ・・ヘタレに鞭打って
あの尖がりの所まで歩いていこう
あの尖がりの所まで歩いていこう
そして、小屋前の水場・金玉水に着いたのは13:10。 大朝日の避難小屋は水場がなく、水はここで汲んで持ち上げなければならないので、荷物をデポって水を汲みに行く。 ポリタンクを片手に持って、「もう歩きたくない」という気持ちを態度で表現したヘロヘロの千鳥足でガラ場を下っていくが、『やる気がない』・『足が上がらない』・『足が前に出ない』の三拍子が揃っていたので、岩ころに躓いて派手に転んだ。
転び方の様子は『血まみれの大ケガ』級のハデなモノであった(岩で顔の側面をブチそうになった)が、悪運長者のワテである。 運良く岩の前に手の甲が入ってセーフ。 ケガも岩でブチそうになった顔をガードした掌にバルカン傷が入った程度である。 でも確かに、顔から落下して「ヤバい」と直感するほどの転び方であった。 あぁ、衰えとは、こういう所に現れるのね。
転び方の様子は『血まみれの大ケガ』級のハデなモノであった(岩で顔の側面をブチそうになった)が、悪運長者のワテである。 運良く岩の前に手の甲が入ってセーフ。 ケガも岩でブチそうになった顔をガードした掌にバルカン傷が入った程度である。 でも確かに、顔から落下して「ヤバい」と直感するほどの転び方であった。 あぁ、衰えとは、こういう所に現れるのね。
あまりにも立派な
朝日岳避難小屋
こうして、「あわや・・」の水汲みを終えて小屋までの標高差50mを登っていくが、意識は完全に萎えきっていた。 小屋の高台までは10段程の木段が柵のように設置されているが、1段ごとに立ち止まり、15分はかかったのではないか・・と思う。 こうして、1:40に小屋に着く。 これ程にダレていたにもかかわらず、小屋には一番乗りであった。 すぐに先に頂上に行っていた兄さんがやってきたが・・。
もうしんどいので、山頂は後回しにして寝る。 1時間ほどぐっすり寝て3時過ぎ、大朝日の頂上へ行く。
頂上へ行くといっても、小屋から10分少々の距離だ。 1時間寝て多少復活したので、人なみの10分で頂上へ。
頂上からは、日が傾いて夕暮れ少し前の日のまばゆい光と、順光側の柔らかい斜光線の情景が広がる。
朝日連峰の最高峰から望む鳥海や月山は、そのシルエットが美しい。 また、今日伝ってきた西朝日の山体が、逆光に黒光りしてそそる情景となっていた。 それでは、山頂での山風景をしばしごろうじろ。
誰もいない大朝日岳頂上にて
ブロッケン現る
月山へ続くスカイブルー
雲海に浮かぶ
朝日連峰主稜線
雲海に霞む山形の町なみ
思うがまま山頂で撮って下る。 小屋に戻ったのは4時過ぎ。 あと1時間でクライマックスがやってくる。 もちろん、夕日から落日の情景だ。 そのショータイムは、4:45から5:10位までの30分足らずだ。 だが、この30分足らずで、目まぐるしく情景が変わっていくのだ。
西朝日岳が夕日に染まり
西朝日の山体が黒光りから赤く染まったかと思うと、いきなりガスが湧き上がって何も見えない状態となり、それがいっとき続いて「今日はもうダメか」と思った矢先にサ~っとガスが霧散して、今度は以東岳が赤く染まっていた。 また、月山や鳥海は雲海からその頭だけを突き出し、ほのかに赤く焼けていた。
一日で最も素晴らしい色を
魅せてくれた
言葉で書くとこんな感じだが、実際はもっと感動ものなのである。 真に「100聞は一見にしかず」である。 従ってその情景は、掲載写真で魅て頂く事にしようか。 それでは、拙い写真なれど、とくとごろうじろ。
さぁ・・ショータイムの始まりだ
陽が沈む瞬間は
いっとき明るくなって
振り返れば名峰・月山が
ピンク色の空に浮かび
蔵王の山も
艶やかな色に包まれて
これより急速に星空の世界へと
様変わりしていく
暮れなずむ情景を
叙情的に撮ってみた
この夕日のショータイムが終わると、真っ暗となる。 あるのは、ワテとその直後に着いた兄さんの宿泊者2名のカンテラの光だけ・・である。 後はメシ食って、それ以外にする事ないのて7時前には就寝に入る。 明日の朝日のショータイムに期待しながら眠るとしよう。
続き《2日目》の下山行は、次回の大朝日岳(その2 act 2)にて・・
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