2011-11-11 (Fri)✎
『オホーツク縦貫鉄道の夢』 第22回 オホーツクを望む『名も無き丘』へ・・
昭和62年3月19日をもって時を止めた路線の証
『オホーツク縦貫鉄道の夢』という空想旅の中で復活させよう
季節に逆らう事を断念し、しばらく休止中だった『密かな人気(があるかもしれない)』のこのシリーズを再開しようと思う。 少し期間が開いたので、筆者としては話の整合性を保つべく、面倒でも最初から見て頂く事をお勧めしよう。 まぁ、これは90%以上が筆者の願望の元に述べている事だが、いきなり四半世紀近く前の路線の事を「さも在るかの如く」語る文を見ると、何を言ってるか理解できないだろうから・・。
それでは、網走駅の母屋側ではあるが、駅端の切欠ホームである0番線に停まっているキハ22型の単行気動車に乗り込む所から再開しよう。
さて、これからの区間が、『オホーツク縦貫鉄道』構想の主要区間となる“偉大なるローカル線”たる区間である。 四季折々に風光明媚な沿線風景を抱き、かつて力と余裕とそれに裏づけされた“優しさ”を持ち合わせていた“日本”という国の実力の証だったローカル線。 そして、少年から青年への過渡期だった私の心を虜にした“オホーツク縦貫”のローカル線に、思いを込めて再び乗り込もうと思う。
これからの区間を語るにあたり、最初に出てくるのはやはり“後悔”の念であろうか。
ローカル線に夢中になっていたあの頃は、小僧だった事もあって“鉄道しか目に入らない”状態であった。 そして今、この旅行記を記述するに際して、毎度このような後悔が心に過るのである。
“あぁ、もっと、沿線風景に目を向けていたなら・・”と。
これからの区間を語るにあたり、最初に出てくるのはやはり“後悔”の念であろうか。
ローカル線に夢中になっていたあの頃は、小僧だった事もあって“鉄道しか目に入らない”状態であった。 そして今、この旅行記を記述するに際して、毎度このような後悔が心に過るのである。
“あぁ、もっと、沿線風景に目を向けていたなら・・”と。
湧網線のあゆみ
今や転換バスも廃止の憂き目に・・
素晴らしい沿線風景の事をアレコレと語りたいのだが、残念ながらそれを魅せる手段に窮乏しているのが現状である。 そのような状況でも限られた“手持ちのコマ”を駆使して、できる限り“私の青少年時代に心を奪われた鉄道風景”を語っていこう・・と思う。
素晴らしい沿線風景の事をアレコレと語りたいのだが、残念ながらそれを魅せる手段に窮乏しているのが現状である。 そのような状況でも限られた“手持ちのコマ”を駆使して、できる限り“私の青少年時代に心を奪われた鉄道風景”を語っていこう・・と思う。
この支離滅裂な『架空旅行記』で“あの頃の鉄道”に思いを馳せる方が一人でもいたなら、“この企画をして良かった・・”と心から思うのである。今回乗り込む湧網線の列車は、網走駅の母屋寄りの北見側の端にある《0番線ホーム》から発車する。
湧網線はキハ22やキハ40の単行運転だった
湧網線は傾斜の比較的少ない路線であったようで、冬季でも馬力不足と揶揄されるキハ22や40が単行で走っていた。 1日5往復の超閑散線ゆえに“列車に乗ってのめぐり旅”は実際には不可能に近いのだが、そこは『架空』という事でいつもの如く“タイムスケジュール”は無視って事で。
網走駅を発車した列車は、しばらく石北本線と平行する。 やがて、《大曲》という板張りのホームだけの乗降場の所で、左へ反れていく石北本線と分かれて直進する。 ちなみに、この《大曲》乗降場のすぐ近くには『網走監獄』ならぬ《網走刑務所》がある。
網走駅を発車した列車は、しばらく石北本線と平行する。 やがて、《大曲》という板張りのホームだけの乗降場の所で、左へ反れていく石北本線と分かれて直進する。 ちなみに、この《大曲》乗降場のすぐ近くには『網走監獄』ならぬ《網走刑務所》がある。
これは、観光名所となっている『網走監獄』とは違い、受刑者を収監する本当の刑務所である。
更にウンチクを付けると、今の網走刑務所はかつてのような政治犯や思想犯などの国家に対する罪の者が対象ではなく、窃盗などの軽犯罪者が対象との事である。
《大曲》を出ると、すぐに《網走湖》が見え出す。 《網走湖》が途切れて丘状の所に出ると《二見ヶ岡》である。 この地名は、『《網走湖》と、このすぐ先にある《能取湖》を同時に見れる丘(岡)』からつけられたそうである。 あの当時に戻れるとしたなら、この『2つの湖を見れる丘』も、鉄道風景の一つとして追い求めたいなぁと思う。
そして、別に立ち寄った訳でもないのだが、妙に印象に残る乗降場《二見中央》に着く。
この“立ち寄った事もない乗降場”が印象深い訳は、何かの写真を目にして心に刻まれた“記憶”があるからである。
この“立ち寄った事もない乗降場”が印象深い訳は、何かの写真を目にして心に刻まれた“記憶”があるからである。
二見中央仮乗降場のもう一つの“記憶”
は「ふたみちゅうお」との日本語文法
と違えた表記の駅名標であった
それは、『風雪舞う夜の乗降場と闇夜を切り裂く踏切の赤い警告灯』の画像で、このシーンを頭に思い描くと“特定地方交通線・湧網線の現実”を垣間見た思いがするのである。
私がこれを目にした頃は幼い小僧だったけれども、小僧ながらもこういう“心に訴えかけるシーン”を撮りたいものだ・・と畏敬の念を抱いたものである。
力行の噴煙を上げて・・ 出発!
“二つの湖を見る丘”を越えると、《能取湖》が車窓に広がってくる。 やがて、有人駅だった《卯原内》に着く。 現在この場所には《網走市鉄道記念館》が置かれ、蒸気機関車が静態保存されている。
私は蒸気機関車には全く興味がないので、何も調べていないのだが・・。
なお、蒸気機関車の後に留置されている客車は、夏のシーズン時にはライダーハウスとなるらしい。
また、旧線路跡は《サイクリングロード》として整備されていた。 でも、改めて見ると、かなり幅が狭い。 “鉄道路盤ってこんなに狭く小さな幅だったのかな”なんて思う程に・・。
卯原内付近の能取湖
実はこれしか能取湖の写真がなかったりして
実はこれしか能取湖の写真がなかったりして
湧網線の線路は、《卯原内》の手前より《能取湖》にピッタリと寄り添っていく。
湖の大方半周分を寄り添う感じだ。 《能取湖》の名景といえば、やはり秋の珊瑚草の群落であろう。
これも何かの雑誌で見た事があるだけなのだが、珊瑚草の赤い絨毯が広がる《能取湖》と湧網線列車の写真には強く憧れたものだ。
能取湖と湧網線列車
黒く影ってしまったね
まぁ、9月下旬など、訪れる事が叶う時期であるはずもないので、結局心に果たせぬ思いを残したまま廃止となって時が過ぎ去ってしまったが。 なお、残念ながら珊瑚草の画像を持ち合わせていないので、『能取湖の珊瑚草群落』へのリンクを観光サイトさん(『花あるき北海道』・著者 北海道経済部 さん)よりさせてもらいました。
縁起のいい北見“平和”ゆきの『寿』切符
最も湖に近づく《北見平和》を経て、《能取湖》半周の旅が終わりに差しかかると《能取》だ。
これより線路は左に大きく向きを変え、オホーツク海を目指す。 お薦め時は、言わずもがな冬の流氷接岸時だろう。 車窓に流氷を見ながら進むと、程なく集落が見えてきて《常呂》に到着する。
これより線路は左に大きく向きを変え、オホーツク海を目指す。 お薦め時は、言わずもがな冬の流氷接岸時だろう。 車窓に流氷を見ながら進むと、程なく集落が見えてきて《常呂》に到着する。
常呂駅観光旅行記念の絵入り入場券
《常呂》では、ある風景を見る為に下車する事にしよう。
それは、素晴らしい風景を魅せる『名も無き丘』だ。
『一本の樹』
広大な丘に立つ一本の大樹は
いつも街を見護っている・・
シバレたか細い白樺越しに
下界とオホーツク流氷を望む
下界とオホーツク流氷を望む
『名も無き丘』に立つ『一本の樹』と常呂の街
だがこの時は既に『オホーツク縦貫鉄道』は夢となり
だがこの時は既に『オホーツク縦貫鉄道』は夢となり
息を呑むほどに美しい樹氷並木
『一本の樹』へ続く足跡
だが、以前にユースホステルのツアーで訪れただけの場所なので位置的な事はアヤフヤであるし、この地に降り立ったとしても、この『名も無き丘』にはたどり着けないかもしれない。
「もしかしたなら、もうそんな所は実在しない」という事も十分有り得るのだ。
でも、再びこの地を訪れるチャンスがあるのなら、地元の人に教えを乞うてでも探して目にしたい風景である。
『湧網線列車と流氷』のテレホンカード
『とほ』宿の民宿で購入したものだが
結構レアでないかい?
さよなら湧網線記念スタンプの
常呂駅バージョン
素晴らしい情景を魅せる『名も無き丘』を心ゆくまで堪能したなら、《常呂》駅に戻る。
たぶん、ここで『1日』という時間を使い果たしてしまう事だと思うので、これより先は次回という事で。
『湧網線のあゆみ』と“さよなら湧網号”のヘッドマーク
『さよなら湧網線・乗車証明証』より
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No title * by 風来梨
こんばんは。
次はさよなら列車の登場ですよ~。
乞う、ご期待。
次はさよなら列車の登場ですよ~。
乞う、ご期待。
ありがとうございます。傑作!