2023-07-11 (Tue)✎
よも”ヤマ”話 第197話 コイカクシュサツナイ岳 〔北海道〕 '98・ 8
夏尾根ノ頭 1719m、コイカクシュサツナイ岳 1721m
上二俣より見上げる
コイカクシュサツナイ岳
コイカクシュサツナイ岳 こいかくしゅさつないたけ (日高山脈襟裳国定公園)
札内川の支流コイカクシュサツナイ沢の上流にある山で、山名を訳せば『東側を通るサツナイ(の峰)』という事となるだろうか。 コイカクシュサツナイ沢を遡ってある奥の二股から、急な尾根に登山道がついている。 これがかなり急で、『日高三大バカ登り』の一つとされている。
沢を遡行した上に
3kmで標高差1100mのバカ登り
コレでも日高の初心者ルートデス
コイカクシュサツナイ沢の出合から頂上までは約8時間を要し、相当な健脚でなければ空身でも日帰りは難しい。 また、この峰はカムイエクウチカウシ山や1839峰への縦走の起点に位置し、日高の縦走目的のアプローチとして登られる事が多いが、中部日高の大展望を目してこの峰だけを往復する登山者も多い。
果てしなく山なみが続く
何もないけど懐深い情景
なお、コイカクシュサツナイ岳より先は、南北いずれの稜線も踏み跡程度の難路で、猛烈なブッシュ漕ぎを強いられるなど道なき道を進み、余程に体力を有していない(例に出せば、最低2泊の食料と幕営装備を担いで『日高三大バカ登り』を登りきる体力)とまず縦走は叶わない。
中部日高・国境稜線の山々への行程図
※ 来る1839峰でも使い回し予定
行程表 ※ コースタイムについては
『奇跡の体力』を結した時の実際の所要時間を記載
《1日目》 中札内村・上札内より車(0:35)→札内ヒュッテ
《2日目》 札内ヒュッテ(2:30)→コイカクシュサツナイ沢・上二俣
(3:30)→コイカクシュサツナイ岳
※ 帰路も疲れが入って登りと同等の時間を有した
今回は中部日高の『入門ルート』ですが
『入門ルート』でも空身で
沢の遡行つきの往復10時間でっす
今日の行程は10時間近くを要する《超ハード行程》である。 前日に《札内ヒュッテ》までのアプローチは当たり前の事として、出発はできるだけ早くしたいものである。
’97年の札内川ダム完成により
新しく建て替えられた札内ヒュッテ
※『中札内観光協会』より
薪ストーブのある囲炉裏付き
※『中札内観光協会』より
もちろんトイレも
小屋中にある
※『中札内観光協会』より
ちなみに旧札内ヒュッテは
三角屋根の素朴な山小屋だった
’97年の札内川ダム完成により新しく建て替えられたヒュッテ(山小屋としての雰囲気は、水没した旧ヒュッテが断然上である)から、これまた立派なトンネルと舗装道路を400m程行くと登山口がある。
登山口といっても、これより沢をつめていくので、ただ川が流れているだけの所ではあるが・・。
壮大なムダ・・
日高横断道路・道道111号線の高規格道路
※ 中札内村のウェブペーシより
このトンネルを抜けてすぐに
コイカクシュサツナイ沢の入渓口がある
※ 中札内村のウェブペーシより
ちなみに道道はトンネルの先は
工事凍結で砂利道となり
許可を得た車以外は通行不可
:
この道をたどると
カムエクへの入渓口・七ノ沢出合に至る
道路建設の資材置場跡(現在は、登山者の駐車場)より沢に入っていく。 これより遡るコイカクシュサツナイ沢は比較的水量が少なく、また広い中州が多くあるので、沢の遡行としては初心者向けである。
穏やかで浅く中州も広くあり
沢としては初心者向けだが
増水すると川幅が広く途端にピンチとなるよ
だが、一部のガイドが言うように、「水量が少なければ登山靴でも渡れる」といったような事は絶対に有り得ないので御注意を。
沢を飛び石伝いに渡るのは
踏み外して捻挫したり
滑って転倒しての大ケガにつながるので
水に入って着実に渡る方がいい
尾根の取付となる《上二俣》まで、技術に応じて数回から数十回の徒渉がある。 ワテとしては、幕営装備一式の重荷を背負って飛び石伝いに飛んでいくのは如何なものか!?と思うので、飛び石伝いなど無理せず徒渉した方がいいと考えるが・・。
函の入口(下流側)
函は3ヶ所あり2ヶ所は高巻き道だが
1ヶ所は直に函を通過せねばならない
函は深い所で
股スレスレ(水深7~80cm)となる
だから濡れるのは
避けようがないのである
沢の道中、砂防ダムと函状に迫った所が2ヶ所の計3ヶ所の高巻きがあり、きわどい所はこれによって難なく通過できる。 概ね、二つ連続する函の高巻き地点が、《上二俣》までの中間点である。
沢が右俣・左俣に分かれる上二俣
:
ルートは左俣(右手の沢)の
少し入った所から急登で登っていく
さて、沢の順調につめていくと沢が二つに分かれていて、その中央から夏尾根に向って一直線に伸びている“ドン突き”に出る。 ここが、日高の山への取付点《上二俣》である。 《上二俣》は二張り程度ならテントも設営できるので、水のあるビバークサイトとしてはうってつけである。
ウメバチソウ
:
『日高三大バカ登り』は
さすがに写真など撮れるハズもないから
花の写真を羅列します
さて、左俣(右側の沢)に入ってすぐに土手に上がると、そこからは『日高』特有のイッキ登りが始まる。 徒渉靴から登山靴に履き替えて、水を2㍑は汲んでいこう。 この先、水が入手できる保証はないのである。
時期は8月のお盆の頃
北海道では9月の中頃には
紅葉の季節となるから
山はリンドウを主とした秋の花色だった
取付点より深いササやぶを漕いでいくと、本州の中央高地の山とは比べ物にならない猛烈なイッキ登り(約3kmで標高差1050mを登りつめる)が始まる。 しかも、先程水を持てるだけ補給したので、その分の荷重がモロに肩に食い込み、ふくら脛が悲鳴を上げるのは必定だ。 また、見通しが利かない樹林帯の中の蒸し暑い登りで、見る見る内に体の水分が汗として搾り取られる。
ウメバチソウ
秋の花って
なぜか寂しい表情を魅せるね
何でもシーズン中は、毎日のようにこのルートを行く中高年の『日高初心者』が、脱水症状や熱中症で『ヘリのお世話』になっているそうである。 “沢で缶詰を食らって”の救助ならいざ知らず、体力面でお世話になるようでは、その者にとっては『日高』は決して足を踏み入れてはならぬ領域だ・・と肝に銘じるべきだろう。
『奇跡の体力』のホルダー
だった頃のワテの雄姿
:
担ぐザックには登山靴が入って
身長以上に高くなってたよ
※ カムエク下山直後の若き日のワテ
これが冒頭で述べた、幕営なら水4㍑と2日分の食料を含めた装備一式を担いで、この『日高三大バカ登り』を登りきってまだ余裕の体力(この先もブッシュ漕ぎが待っている)がないと、日高の縦走は叶わないという事である。
岩陰にひっそりと咲く
ウメバチソウとミヤマリンドウ
約1時間半ほど登ると、心なしか傾斜が緩くなりひと息着けるようになる。 この辺りから、少しづつハイマツが現れ始める。 今の段階では“カワイイ”ものだが、これが国境稜線に出ると行く手を阻む“困難”となるのだ。 徐々に傾斜が緩くなって、やがて標高1305m地点のビバーク可能な小空地に出る。
ここが尾根上で唯一、腰を下ろして休憩できる所だ。
花が見られるようになると
ゴールは近い
もうひとガンバリ
これより先は、再び急登高となる。 休憩した小空地から、またもや空に向って反り上がっている尾根を見ると、これより先の苦闘も想像に難くないだろう。 150m程イッキ登りすると、樹林帯を抜けて裸岩の突き出した痩せ尾根の上を行くようになる。
目指すコイカクまでの
最後の急登
ハイマツをつかみ、踏みしめながらこの岩尾根をつめていくと、台形状の様相を魅せるコイカクシュサツナイ岳が左正面に見えるようになる。 ここまでくれば、ハイマツの根に足を取られるものの、一投足で《夏尾根ノ頭》に出る事ができる。
夏尾根ノ頭から望む
深い山なみの情景
鶴翼の姿を広げる中部日高の盟主
『カムエク』ことカムイエクウチカウシ山
《夏尾根ノ頭》からは、憧れの山・カムイエクウチカウシ山 1979m から、1823峰 1826m を経て足元まで連なる緑濃き日高の国境稜線が見渡せる。 さすがに“カムエク”はデカく、風格・威圧感も他の山々とは抜きん出た存在である。 鶴翼を両側に広げるが如く、均整の取れた長い尾根がそう魅せるのだろう。
ガスをまとっていた憧れの無名峰
1839(イッパーサンキュー)峰が
南ア・塩見岳ばりの
『漆黒の鉄兜』の姿を現した
そして振り向くと、1839峰 1842m が『漆黒の鉄兜』の如く、派生尾根の先に突き出している。
2000mに満たない山々なれど、南アルプスの間ノ岳や塩見岳などの雄峰の容姿を彷彿させるものがある。 いや、ここまでたどり着くのが困難なゆえ、よりスケール感が胸に込み上げてくるだろう。
気品を感じる濃い紫と
美しい花の容姿
夏の最後を惜しむべく
力の限り咲いていた
純白の光を放つウメバチソウ
けれど花びらの散ったのもあった
夏は駆け足で去っていく
盛夏と秋の彩りの中間点の
季節の変わり目の夏の盆
華やかさはないが
いぶし銀の姿を魅せてくれる
さて、夏尾根の頭からコイカクシュサツナイ岳 1721m までは僅か10分程であるが、お花畑を愛でながらの快適な稜線歩きだ。 コイカクシュサツナイ岳の頂上は狭いながらも段々状になっていて、昼寝には頃良い所だ。 この山までなら日帰りも可能なので、地元のベテラン登山者などの昼寝場所となっている。
名が知られぬ峰であるこの峰の頂上標は
竹串に板で拵えた手製で道標リボンの
赤い布でその存在を示していた
コイボクピチャリ川がおりなす
原始のカール地形が望めた
今回の山行は日帰りの空身装備である為に、頂上でのひと時を味わったなら下りに取り掛からねばならないのである。 グズグスしていると、日の落ちた夜の沢を行くハメになったり、上二俣でナシナシビバークとなってしまうからである。 『奇跡の体力』を有した黄金期でもこうなのだから、今は空身日帰りは到底ムリですね。
カムエクへと続く
中部日高の国境稜線
1826峰を覆っていた雲が切れて
背後にカムエクが姿を現した
1839峰の雄姿を目にした途端
この数年内のターゲットが
この峰である事を確信したよ
なお、今回はコイカクシュサツナイ岳折り返しであるが、ここで目にした南アルブス・塩見岳ばりの『漆黒の鉄兜』をもたげる1839峰に、「近いうちに、我が〔名峰次選〕に選びし1839峰に必ず登ろう」と心に誓ったよ。
あの漆黒の鉄兜の踏破は
またいずれの『よも“ヤマ”話』にて
下りは忠実に往路を下っていくが、ここで一つ最後の注意をしておくとしよう。 それは、空身とはいえ、渡渉靴と登山靴の2足を担がねばならないという事だ。 特に幕営装備だと、沢の遡行中は装備一式のザックの上に登山靴を詰めねばならないので、ザックが爆発して自身の身長より高くなるなど、大いに嵩張りますよ。 そして、もの凄く不安定だし・・。 あんなのを担げたかつての『奇跡の体力』に合掌。
近いうちに1839峰踏破の為に
再び来るぞと誓って沢を後にする
日本が落ちる事を望む例の無職のオッサン
最近日本の株価がやや下がっている事で
有頂天(日本の株価が下がって喜ぶとは
在日チョンそのもの)となっているけど
日経平均が30000円を切るような暴落はないよ
今までが上がり過ぎた反動なだけで
31500円台で落ち着くよ
それよりも金利上げ上げによっての
欧米諸国の経済破綻の方が怖いよ
欧米諸国が破綻すると日本も影響を食らうので
オッサンが希望する日経平均30000円割れ
も有りえるかも・・だけど
その前にオッサンの持つアメ株が紙クズになるよ
日本を侮辱する奴が潰れて失意のうちに
この世から去ってくれたら
ワテはその方が愉快だし
国民の払った税金に寄生する
害虫が一匹消えるので一石二鳥だわ
でもこの手の奴は口では毎度の如く
「死にたい」とほざき日本を侮辱するけど
一向に実行しないし
日本から公的支援の汁を
ちゅーちゅー吸うダニとなっているよ
それに息子が外で友達と遊ぶのに
必要な金が高いとほざいてるよ
自分の無職を棚に上げて家族に規制を
かけ始めると家族崩壊が待ってるよ
公的資金を吸うダニが潰れるのを見るもまた楽し
それに日本はまだまだ
海外に支援できる位に力があるよ
支援の方法が『ATM』と云われるように
「出せ」と言われるままなのが悔しいけど
とにかくまだまだ金を出せる力はあるのだ
:
次回に続く
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