風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第195話  奥香肌峡・ヌタハラ谷 夫婦滝下段

よも”ヤマ”話 第195話 奥香肌峡・ヌタハラ谷 夫婦滝下段 〔三重県〕 '98・ 5

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夫婦滝・下段
2段で落差20m位か
放物線状に落ちた落水が
岩に当たって対(夫婦)の絹糸となる

  奥香肌峡・ヌタハラ谷 おくかはだきょう・ぬたはらだに (室生赤目青山国定公園)
三重県松阪市(当時は飯南郡飯高町だった)の台高北東部にある奥香肌(おくかはだ)峡と称される蓮川(はちすがわ)には、スケールの大きな名渓や秀渓がいくつもあり、初級者から上級者まで幅広く楽しむ事ができる。

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今回は夫婦滝・下段までしか行けなくて
なので滝写真は夫婦滝・下段のみ

その蓮川上流部に位置し、豊かな自然が広がる桧塚奥峰を源頭として東南に流れる渓谷がヌタハラ谷である。 夫婦滝3段100mや不動滝2段50m、ネコ滝2段40m、アザミ滝30mなど秀瀑・美瀑を多く抱き、凝縮された連瀑とゴルジュの中で、台高の渓谷美を存分に味わう事ができる美渓として渓流遡行を生業とする者を虜にしている。

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この先はまたいずれの
『よも“ヤマ”話』にて

蓮川界隈では訪れる方の多い谷であり、現れる滝には高巻き道が通されているが、荒天によって沢が荒れて流木や土石流などが堆積してそのルートを覆い隠す事が多いので、相応のルートファインディング力が必要だろう。 現に、今回は夫婦滝・下段の先の高巻き道が不明瞭で発見できずに引き返しとなったのだから。



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ヌタハラ谷・夫婦滝下段までの遡行図

   行程表          駐車場・トイレ・山小屋情報
橿原市街より車(2:00)→蓮峡・ヌタハラ谷出合(1:40)→夫婦滝
  ※ 今回は夫婦滝より滝の高巻きルートが発見できず、夫婦滝・下段で引き返し

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夫婦滝・下段の上段の瀬
ムリヤリ感があるなぁ

今回の『よも“ヤマ”話』は沢登りを主とするかなり困難なバリエーションルートで、結果も途中どころか最初の大瀑の下段で引き返しとなった失敗行程である。 要するに、この谷はほぼ初めて沢に入った「ワテの手に追えず」、途中の《夫婦滝》で引き返した苦い経験を記す事にしよう。

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ここで一夜を過ごす根性がなければ
この沢の遡行は諦めましょう

このコースを行くにあたっては絶対に無理は禁物であるし、できるだけ行動がしやすいように事を運ぶべきである。 もちろん、前日のアプローチは絶対条件である。 けれど、光が全くない真っ暗闇で、ともすればツキノワグマが出没するような林道傍で車寝する度胸というか、神経の太さは必要だろう。
従って、このルート攻略は沢に入る前から『超難関』だったりするのである。

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渓谷の入口からは沢を下に見る
杣道(木こり道)をゆく

この一夜を明かして空が明るくなれば、この難関たる渓谷に入っていこう。 《奥香肌・蓮》の駐車可能なスペースから土砂災害復旧中の林道を15分程歩くと、《ヌタハラ谷出合》に出る。 

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杣道の下には小さな
滝が数多く掛かっている
沢を直に行くなら
ザイルが必要だろう

ここから、いきなりゴルジュが待ち受ける沢に下りてもいいが、ゴルジュや釜の通過にはたぶんザイルが必要となろう。 ここは、林道を100m程進んだ所にある杣道(木こり道)の残骸を伝っていく方がいいだろう。 だが、この杣道とて所々で不明瞭となり、かなりのルートファインディング力が試される事となる。 

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先程の滝を落ち口から望む

沢の崖上につけられた道ともいえぬ“犬走り”を恐る恐る伝っていくと、下に嵓や滝が美しい釜やナメ床を形成しているのが望めるだろう。 5~15m程のナメ滝や美瀑を幾度となく見送ると、杣道は一度大きく沢を離れて涸れた支沢を大きく迂回してから《ヌタハラ本谷》の約100m上の土手に出る。

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土石流で杣道が
埋め尽くされている

ここからの杣道は天候が荒れる度に発生する土石流で埋め尽くされ、更にルートが不明瞭となっていて、振り返って「よくもまあ歩けるものだ」と感心する位に劣悪な条件となってくる。 もちろん、この劣悪で踏跡らしきモノを踏み外すと、谷底に転げ落ちるのは必定である。 

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炭焼釜跡の岩で造った釜跡からは
沢中を遡行していく

やがて、杣道は沢の方へ下ってきて、《炭焼釜跡》の石垣の前で途切れている。 ここから沢に入り、対岸の《炭焼釜跡》の草地に渡ってからは、淵や滝の釜などの深みを避けながら沢を遡っていく。
もちろん、ここは『一般向け』ではないので、徒渉位置を示すリボンなどは一切ない。 沢の流れを読む力が大いに試されるのである。 沢を2~3回渡ると、美しい釜を持つ美瀑が滔々と白布を掛けている。
この滝が《ヌタハラ谷》を『名渓』といわしめる《夫婦滝》である。

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渓谷は夫婦滝・下段で
行き止まりとなる

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この2対の落水が夫婦滝の
名の由来かは判らないが
美しき夫婦の対に魅えた

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落水は夫婦となる前に
一筋の放物線を描く

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それは凛々しき弧を描いていた

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そして突出した岩の媒酌で
落水は夫婦の対となる

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山奥に潜む夫婦滝の
馴れ初めを語ってみた

ここからは、左岸を大きく高巻いてルンゼの上から滝上に這い上がるのだが、到底高巻きができるとは思えないような情景が周りを取り囲んでいる。 それでも、半分土砂崩れの支沢を文字通り這い上がっていくしか“手”がないのであるが、沢の超ビキナーっていうか『初めて』のワテには手に負えるものではなかった。

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滝の右側(左岸)の崖は何とか
這い上がれる感じがするが
それまでに何度もズリ落ちて
手足がボロボロで突破は困難だった

それでも何度かアタックを試みたが、ザイルが無ければ到底滝の上には這い上がる事ができなさそうである。 最後に土砂崩れの上手が上方に迫り、もしかしたらここを突破すれば活路が開かれると思われたが、もう既に土手を登れずに何度もズリ落ちて足と腕が細かい傷だらけとなっていたので、今回はここで断念して引き上げる事にした。

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それでも奥に行ってみると
左に土砂崖がありどうやら高巻き道は
この土砂崖を這い上がるようだ
だが手足がボロボロだった為に
今回はリベンジを誓って
ここで引き返す事にした

初めての沢行で知識や技術もなく、そして沢靴以外に装備もなく、招く結果としてはほぼ当然の結果だとは思うが、それでも悔しかった。 だから断念した時に、数分の間ルートと思しき土砂崖を睨んでいたと思う。

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この滝の上はどんな
落水模様を魅せているのだろう

人は失敗して、多くの事を体験する。 だから失敗の体験は後に化ける事になるかもしれない。
だから『失敗のない』、あるいは失敗を消し去って『無かった事にできる』デジタルは、便利だが人にとっては能力を奪う諸刃のとなる危険を秘めていると思うのだな。

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流すと絹糸の如く繊細に
直に見ると荒々しく
落水を叩きつける名瀑の妙

だからできる事は、安易にデジタルの力を借りずに自身の力で解決する事が必要なのだ。
いや、自身の力で『解決しよう』と試みる事が大切なのだと思う。 事の全てを自力で解決するなどできないのだから。

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もしかしたらこの上の
流れが魅えるかもと上を望むが
上部は樹々のベールで覆われていた

更に最も大切な事は、『失敗したまま放置しない』って事だ。 それは、心に秘めた本願が成就するまで何度も挑めばいいのだ。 こういう事に限っては、チャンスもアタックの機会もその気になれば無限にあるのだから。

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夫婦滝・下段の前の実の姿は
大岩が転がる荒れた沢だった

・・という訳で、次の『よも“ヤマ”話』のヌタハラ谷遡行では、夫婦滝・下段の先を記述する事を予定したいと思う。 今から、この先の記事を書くのが楽しみで仕方ないのである。


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デジタルカメラやミラーレスカメラが
全く売れていない
どれ位売れていないかというと

canonAE-1が席巻した1980年代前半の
カメラが最も売れた時期の7%
1/14しか売れていないのである

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この状況にカメラ量販店も
『○○カメラ』という屋号とは裏腹に
カメラコーナーは3階や4階の隅に追いやられて
しかも売り場にはほとんど人は立ち止まらず
商談はほとんど成立していないようだ

そしてメインとなる1階エントランス前の売場は
スマホなどの携帯機器とそのアクセサリー、
2階はタブレットやWiFiなどパソコン機器
3階もエスカレーター前はエアコンなどの
家電製品や時計・宝石などの装飾品売場となっている

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ポイントカードに登録している為に
毎月くるヨドバシカメラのチラシ広告も
トップページに今年の
エアコンの最新モデルが載る始末

カメラ屋を名乗るのに
カメラの広告は全く無かったようだ
『ヨドバシデンキ』と変えたら?と思う程に

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でもなぜにここまで
デジタルカメラやミラーレスカメラが
売れなくなったのか?
それはコレらのカメラもどきが
つまらない事この上ないからである

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楽しければ多少価格が多少張っても
売れるハズなのである
そのつまらなさ下らなさは
人の深層心理で感じている
目には見えないモノなのである
次回に続く
たぶん3回続くと思う







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