風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第535回  剱沢・秋景 その3 (剱沢下降)

『日本百景』 秋  第535回  剱沢・秋景 その3 (剱沢下降) 〔富山県〕

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剱沢のカールが源頭の
壮大な雪渓が続く剱沢

  剱沢雪渓 つるぎさわせっけい (中部山岳国立公園)
富山県中新川郡立山町にあり、剱岳 2999m の南側で、別山 2880m ・剱御前岳 2776.8m から剱岳の南東を削るU字谷(氷河地形)が剱沢で、真砂沢との出合にある標高1760m の真砂沢ロッジの上部にある雪渓が剱沢雪渓で、白馬大雪渓や針ノ木大雪渓と並んで『日本三大雪渓』にも数えられている。

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長次郎谷の源頭部より
剱沢へ連なる雪渓を望む

剱沢雪渓の途中には、北側の剱岳本峰へと詰め上がる長次郎谷(ちょうじろうたん)、平蔵谷(へいぞうたん)が伸び、そのいずれにも雪渓ができている。 長次郎谷は、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)が測量を行なうべく剱岳に三角点を設置する為に、明治40年7月13日に初登頂(歴史に残る近代登山として初めての登頂)する際に山案内を行なった名ガイド・宇治長次郎(うじちょうじろう)の名を採った沢である。

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一直線に標高差1000mを落とす
平蔵谷雪渓

平蔵谷は剱岳残雪期の入門ルートとなっているが、大正2年に日本山岳会の近藤茂吉を長次郎谷から剱岳へと案内し、剱岳から別山への初下降を実現させた佐伯平蔵を讃え、近藤茂吉が名付けたものである。
実際には、それ以前に宇治長次郎が谷を下っているが、すでに長次郎谷が横にある為、佐伯平蔵の名を冠した谷になったという。

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逆光にギラリと光る源次郎尾根
長次郎谷雪渓・熊ノ岩より

この剱沢雪渓から剱岳本峰へと突き上げる長次郎谷、平蔵谷、そしてその間の源次郎尾根は、『岩と雪の殿堂』と呼ばれる剱岳を象徴する景観になっている。 剱沢雪渓の登山道は近年の温暖化の影響を受け、夏の後半以降には雪渓のトラバースができずに迂回路を設けるなどの対策が取られているので、晩夏以降で特に秋の入山の際には注意が必要である。

八ッ峰
剱の壮大さを示す三ノ窓雪渓の氷河

ちなみに、剱岳では三ノ窓雪渓と小窓雪渓が近年に氷河に認定されてるが、剱沢雪渓も巨大で、しかも移動する氷体があるという事が認められているのである。 また、剱沢北股の源頭となる三ノ窓雪渓は国内最大の氷河であるなど、剱岳の形成する沢のほとんどが氷河の可能性を秘めている。



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剱沢雪渓 行程詳細図
※ 別の剱沢山行の地図を転用

   行程記録  ※ 今回も『行程』と言うには不様過ぎるな・・
《1日目》 富山地鉄・立山駅よりケーブルカーと高原バス利用(1:10)→室堂(3:40)→剱沢
《2日目》 剱沢より剱沢へ紅葉狩り(1:10)→剱沢〔連泊〕
      ※ 平蔵谷出合まで空身で片道1時間
《3日目》 剱沢(3:50)→真砂沢小屋前
《4日目》 真砂沢小屋前(0:10)→真砂沢出合(1:40)→ハシゴ谷乗越(1:40)→内蔵助平
     (2:20)→内蔵助谷出合(1:40)→黒部第四ダムよりトロリーバス利用
     (0:15)→扇沢よりバス(0:35)→JR・信濃大町駅
  ※ 剱沢で引き返した今回の山行と過去の山行をムリヤリ引っ付けた為、日程が1日増えてマス
  ※ ムリヤリ《2日目》を挿入した為に、『第533回 その1』の続きの性格が濃くなってマス

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豪華絢爛絵巻を魅せられに

 《3日目》 剱沢を下って真砂沢へ
朝6時に目覚めて、テントより外を見るとまたとない快晴の天気・・。 テントを畳んで6:45に《剱沢》を出発。 テント一式を担いでノタノタと下っていく。 以前はホイホイ行けた《剱沢》への下りも、今は転ぶのと、膝をイワすのを恐れてヨチヨチ歩き。

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素晴らしき剱の情景は裏剱にある

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剱の岩峰に
雲が湧いていい感じ

この剱沢の下りは一番キライなガラガラの礫岩の下りで所要時間が加算され、《剱沢》の水場(雪渓の端のかなり上部)にたどり着くのに1時間かかってしまったよ。

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紅葉の斑点模様で彩られた剱の岩塔

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伏流水となって地下を
流れていた剱沢の水が
滝となって地表に出てくる

こんな感じで足が着いていかずにダラダラと歩いていくが、雪渓はなかなか現れない。
《平蔵谷》の手前で漸く雪渓が見えてきたが、大きなクレバスが底まで抜けていて到底歩く事はできない。

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平蔵谷出合の少し手前で
ようやく雪渓が姿を魅せるが
崩壊しかけで雪渓上は歩けない

剣御前小屋のスタッフが言っていた通り、雪渓の状態は最悪のようである。 従って、巻道を行くが、この巻道もかなり荒れているようで歩くのに苦労する。 下りに手間取っていると、新たなる『ヘタレ全開』の案が頭を支配してくるようになる。

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紅葉は素晴らしいが
巻き道はかなり荒れていて
足元は注意が必要

前日に30分あれば行ける《剱沢》へ40分かかっている事から、ヘタレの王道が始まるのである。
それは、「真砂沢でストップして寝ようかなァ」という妙案である。 約1時間程下って《平蔵谷》を見送った後に、下から3名の登山者とすれ違う。 このグループは年配でこの登りでちょっとヘバっているらしく、かなり長く立ち止まっていた。

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平蔵谷の雪渓は
完全に崩壊していた

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平蔵谷の上部は雪渓は皆無で
完全に岩が露出していた

この登山者達と対面してちょっと立ち話に興じたのだが、その中で《真砂沢出合》の先の橋が落とされている事などを確認できた。 中でも、《阿曽原小屋》がダメだって事を聞いたのは貴重だった。
何でも《別山谷》で雪渓が残っていて、今年は《下ノ廊下》の大半が通行止となっているとの事。
「今年は(通行が)ずっとダメらしいよ」との事である。

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この年の紅葉は当たりのようだ

コレで決まった。 《仙人池》まで行っても、《下ノ廊下》が通行止では《欅平》へ抜ける事は叶わない、即ち“帰れない”のである。 これは、先程の『ヘタレ案』が『正規の案』に昇格する“渡りに船”の情報だ。 しかも、有り難い事に『ヘタレ案』を充実したものに変更するべくの下山路も教えてくれた。
それは、「《黒部ダム》に抜ける道を下山に使えばいい 私達もそこから登ってきたよ」との事だった。

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剱・八ッ峰から
剱沢を染め上げる紅葉

ついでに《真砂沢》のテント場の状況も聞いて、その状況の良さ(板が敷いてあって、その上にテントを張れるらしい)にルンルン気分となり、さらに『ヘタレ』に磨きをかけてダラダラと下っていく。

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剱沢下降の最大の難所
スラブの一枚岩をザイル一本で
下っていかねばならない

さて、秋の雪渓はクレバスだらけで、道のほとんどが右岸につけられた高巻き道である。
岩コロがゴツゴツして歩き辛い。 根性なしのヘタレから僅かなる“やる気”を奪う事など造作もない状況である。

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滑り落ちると雪渓縁の
クレバスの下に落ちてしまう

かつて歩いた時にはそれほど苦難でなかった巻道の一枚岩の下りも、クレバスの穴を見ながらのエグイ下降で、更に雪渓が後退した分の15mが加算されて30m位となっていた。 もう、尻餅着きながらの『ペッピリ下り』でこれを越える。

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周囲の山なみも彩り鮮やかな
紅葉最盛期なのに
この山域の山小屋は
全て閉じていて誰もいない

だが、紅葉は剱の全山を染め上げる素晴らしいものだった。 タダでさえ時間がかかっていて“ヤバめ”なのに、更にカメラを取り出す時間をかけて写真を撮らねばならないのだ。 まぁ、「写真なんか撮らずにサッサと歩け!」と言われればそれまでなのだが。 でも、コレ見てカメラを出さないなら、「何でカメラ一式持ってきたの?」と問われると押し黙ってしまうだろう。 それでは、その素晴らしき紅葉をごろうじろ。

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この素晴らしき紅葉を
言葉で表現するのはムリ
言えるのはひとこと「とくとごろうじろ」

さて、最もエグい30mの一枚岩の尻餅下降を終えると、《長次郎谷》の入口に出る。 「かつては、コレ登ったんだよね~」、「そして、この雪渓の入口まで雪渓を伝って40分程で行けたんだよねぇ~」と、最早戻ってくる事は有り得ぬ『過去の栄光』に浸りまくるタワケがそこにいた。

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長次郎出合は分岐に
岩が立っていてそれが目印となる

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長次郎出合をアップで
秋は長次郎雪渓も
ほぼ崩壊していて登高不能だ

雪渓はここから急傾斜となり、巻道もそれに合わせて急下降となる。 急下降で高度を下げると、程なく巻道は雪渓と合流する。 雪渓は全般的にヘタれているが、この《長次郎谷出合》付近が最も残っていて、ルートもこの辺りで雪渓を横断する。

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長次郎谷が合わさると
剱沢雪渓も急傾斜となる

雪渓を渡るのはさほどでもないが、対岸の方はクレバス寸前にバリバリの筋が入っていて、見た目はかなりおっかない。 なぜなら、この溝に下りて渡るが、この溝で滑るとクレバスに落ちてしまう可能性があるからだ。

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長次郎出合の
少し下で雪渓を渡る

一応軽の6本爪アイゼンは持ってきたものの、出すのも面倒臭いし装着にも10分かかるが、一度長次郎雪渓の登高で引き返した時にクレバスにハマりかけた事がある(このタワケ・・、こんな体験しといて、よく平々凡々としていられるな)し、せっかく担いできたので装着して雪渓を渡る。 雪渓を渡ると、後は問題ない所だけだった・・ような。 でも、ザラ砂のロープ付急下降が2ヶ所あったりして。

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長次郎谷の氷河遺跡
熊ノ岩
この写真があるって事は
本当に登った事あるって事だよね

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背後に後立山が見えてくると
真砂沢出合も近い

かつての栄光だった長次郎谷(かつては、こういう所も行ったのよ 今のワテ自身を見ると到底信じられないけど)を眺めて写真を撮ったりしながら、下りのコースタイム1時間半の所を2時間半近くかけて、城跡のように石垣で囲まれた《真砂沢》の小屋に着く。 小屋は紅葉が真っ盛りでも、既に『冬眠中』であった。

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真砂沢小屋は紅葉最盛期に
早くも冬眠中だった

閉鎖された小屋の周りをグルリと偵察して、先程に仕入れた“美味しい”情報である『テントを張れる板敷き』を探す。 板敷きはすぐに見つかり、“喜んで!”その上にテントを張る。 テントを張り終えてひと息着いた後に時計を見ると、まだ9時半をまわった所だった。 こんなに早く“店じまい”するのは、かつて南アの《千枚小屋》で、下から4時間15分で登りきった時(この時も9時半位だったなぁ)以来か。

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冬眠中で板は打ち付けられているが
テントを張れる板敷きは石垣の中にあり
その上にテントを張れば暖かい一夜となる

「そういえば最も早く“店じまい”したのは、北海道の《上ホロ小屋》での『7時15分でストップ』の時だなぁ」などと、過去の栄光を頭に浮かべてニヤつく。 まぁ、何にせよ、通常では有り得ないフザケた時間でのストップである事には変わりないしィ。

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周囲を見渡せば
この“おフザケ行程”も許されるだろう

だが、周囲を見渡せば、この“おフザケ行程”も許されるだろうと思う。 “たぶん”であるが・・。
この情景の前では、何を言っても言葉とならない。 それでは、こんな“おフザケ”行程をしてまで見たかった情景・・、豪華絢爛・錦絵巻を梳くとごろうじろ。

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この紅葉と岩峰の絶景に
次回は『真砂沢の紅葉』で
1つ記事を書く事にしたよ

豪華絢爛たる錦絵巻は如何だったでしょうか? まぁ、このブログの内容は“おフザケ”の限りを尽くしていますが、筆者もヤル時は(常人の半分位は)ヤルでしょう? この日は、写真撮って寝るだけ(翌朝まで都合13時間寝た)の怠惰な1日であったが、かなり充実していました・・ハイ。

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日が当たったテント内は
30.5度にもなって
沢そばで水遊びに興じていた

ちなみに、テント内の最高気温が30.5℃まで上がってやんの。 《剱沢》との温度差は33.5℃だったりする。 最高気温の時はさすがにテント内で昼寝できる状況ではなく、沢へ逃げて水辺で写真撮ってたよ。
でも、日が山に隠れて陰りだすと途端に気温が落ちてきた。 夜半過ぎの最低気温は5.5℃。
だが、昨日の教訓が活きて、『プープークッション』を仕立てて快適に眠れたよ。

  ※ 2つ前の写真下のコメでも記したように、次回は『第536回 真砂沢の紅葉』で・・


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