風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第534回  剱沢・秋景 その2 (平蔵谷出合)

『日本百景』 秋  第534回  剱沢・秋景 その2 (平蔵谷) 〔富山県〕

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もはや根腐れ雪となっている
平蔵谷出合の剱沢雪渓上端と
紅葉に彩られた剱岳の岩稜

  剱沢・平蔵谷 つるぎさわ・へいぞうたん (中部山岳国立公園)
富山県中新川郡立山町を流れる黒部川の支流で、四大支流の一つの沢である。 源頭部(別山平=剱沢)のキャンプ場や、山岳氷河である三ノ窓氷河や小窓氷河、落差140mの剱大滝など秘めたる滝が存在する事で知られる。

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この岩峰の裏側に三ノ窓雪渓を
源頭とする北股が流れている

剱沢は黒部川の四大支流のひとつで、南北に走る剱岳の主稜線の東側の水をすべて集める。 
中間部の二股で、北股と南股に分岐している。 北股は三ノ窓氷河・小窓氷河を源流とし、南股には平蔵谷・長次郎谷・真砂沢などがある。

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剱沢・南股にある剱沢雪渓は
秋は早々に小屋が営業を終えて
登山者はほとんど通らなくなり
プライベートな絶景を独り占めできる

いずれも厚い万年雪を堆積させ、剱岳が岩と雪の殿堂といわれる所以となっている。 南北の枝流が合流する二股から下流は深い峡谷をなし、剱大滝を経て黒部下ノ廊下に注ぐ。 この合流点が黒部峡谷十字峡である。

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剱沢の南股厳冬にある別山平は
剱岳の絶景が広がる
登山者にとっての絶好のオアシスだ

南股源流のカールの底が別山平で、剱沢小屋や野営場、山岳警備隊の派出所などがあって 剱岳登山の代表的な基地となっている。 その剱沢の万年雪渓であるが、地球温暖化の影響からか近年の秋の融雪が異常なほどに進み、平蔵谷出合から長次郎谷出合にかけては剱沢右岸の急な岩場を交えた険しい巻き道を通行せねばならない状況となっている。

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地球温暖化の為か
近年は早い内から雪渓が崩壊して
秋には平蔵谷まで下っても
雪渓が消滅している事がある

特に平蔵谷出合の先の標高2000m辺りから下では早い内から融雪が進み、8月下旬には平蔵谷出合と長次郎谷出合との間の雪渓がほぼ消滅して、残る雪塊も根腐れ状態で足を踏み入れる事も適わぬ状態となって雪渓通しでの通行ができなくなり、上記の急な岩場を通行を余儀なくされている。

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秋シーズンは雪渓が消滅して
指標通りのルートとは違う事もある

秋のシーズン末には平蔵谷出合付近やその上部の雪渓も崩壊が進み、剱沢小屋から真砂沢ロッジまで雪の上を一度も乗らずに通行する年もあるようになり、通常では長次郎谷出合で雪渓を渡って剱沢の右岸から左岸へ横断するルートとなっているが、この部分も雪渓の崩壊が進んで秋の雪渓通行は不可能となっているようである。 従って、真砂沢小屋では登山者の通路確保の為、雪渓が崩壊した長次郎谷出合の少し下で谷底まで下り、剱沢を飛び石で渡渉して通行する仮ルートを整備している状況である。



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剱沢から黒部ダム縦走路 行程詳細図
※『剱の谷へ紅葉狩り』より転用

   行程記録  ※ 今回も『行程』と言うには不様過ぎるな・・
《1日目》 富山地鉄・立山駅よりケーブルカーと高原バス利用(1:10)→室堂(3:40)→剱沢
《2日目》 剱沢より剱沢へ紅葉狩り(1:10)→剱沢〔連泊〕
      ※ 平蔵谷出合まで空身で片道1時間
《3日目》 剱沢(3:50)→真砂沢小屋前
《4日目》 真砂沢小屋前(0:10)→真砂沢出合(1:40)→ハシゴ谷乗越(1:40)→内蔵助平
     (2:20)→内蔵助谷出合(1:40)→黒部第四ダムよりトロリーバス利用
     (0:15)→扇沢よりバス(0:35)→JR・信濃大町駅
  ※ 剱沢で引き返した今回の山行と過去の山行をムリヤリ引っ付けた為、日程が1日増えてマス
  ※ 前回『第533回 その1』の続き

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今回の『紅葉狩り』では
色づく山の紅葉は元より
雲の情景により魅せられた

今日は黒部を目指してこの山行を企画したが、別山乗越への上りでタイムオーバー(今まではヘタレていても登りではあまりタイムオーバーとはならなかった)となって、真砂沢への下りを断念して平蔵谷までの『紅葉狩り』に計画変更したのであるが、真砂沢や黒部・内蔵助谷の紅葉の記事を書きたくてムリヤリ過去に歩いた山行と合体させて黒部まで歩いた事にしたので、今日の行程は平蔵谷までの『紅葉狩り』と称した剱沢沈殿・散歩行程となっているので悪しからず。

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剱沢界隈は冬は豪雪となる為
剱沢が紅葉最盛期に入る前の10月第2週で
周辺の小屋は閉められて
紅葉の最盛期なのに誰もいない
不可思議な状態となる

それでは、テントをデポった空身の身軽な成りで、相棒のフイルムカメラ片手に平蔵谷までの『紅葉狩り』と洒落こむとしよう。 この日の天気は時折日が差し込む曇天で、朝方は谷筋に光が差し込まぬ薄暗い中を歩いていく。

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池塘には風がなく水面も澱まず
剱をクッキリと映し出して
雲も魅惑的だったが光量不足が残念

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朝の水面投影が残念だったので
斜陽で影を掛け始める
昨日の剱の絶景おば・・

剱沢・別山平の丘の縁までくると池塘があって、水面に剱岳の一部を投影していたので狙ってみるが、光量不足で薄暗くなって今イチである。

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こんな感じのガレ場を
延々と下っていく

この池塘の先に昔の剱沢小屋と思しき石垣に囲まれた建物の横からガラ場をジグザグに下っていく。
近年は雪渓が減退して秋には全く雪が見られなくなっている。

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下り始めは曇って
剱の岩盤も影っていたが

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時折射す朝日が
剱の岩塔の先を照らし始める

剱沢右岸のガレ場をダラダラと下っていくと、谷に対峙してそびえる剱の岩盤や紅葉に時折射す朝の光が届き始め、彩り豊かな眺めとなっていく。

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やがて剱の本峰にも朝の光が届いて
秋山を喜びが湧き立ってくる

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更に下っていくと
朝の光を浴びて輝く
剱の源次郎尾根の
岩峰に魅せられるだろう

また、基本今日の天気は曇りなので、時折指す朝の光と途切れ途切れとなっていろんな模様を描く雲とがコラボして、剱の岩盤をドレスアップする。

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雲がちぎれて青空が
広がるようになっていたが
陽の光は雲に遮られ
彩り鮮やかまでは至らず

やがて、地盤の底を伏流水となって流れていた剱沢の流れが滝となって表れる。 この滝の上に、剱沢にもう一軒建つ山小屋『剱山荘』への分岐がある。

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伏流水となって地下を流れていた
剱沢が滝となって噴き出してくる

一度真砂沢の渡渉装備を持たずに真砂沢で引き返した時に『剱山荘』経由で戻った事があったが、かなりキツい急登だったかと。

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平蔵のコルに至る稜線上に
月が見えていた

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下りていく毎に紅葉に彩られた
剱の岩峰が様々な姿を魅せてくれる

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秋に彩られた剱の谷と
朝の光に輝く岩峰と
様々な模様を魅せる空の千切れ雲と

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剱の岩峰が
紅葉の十二単で彩られて

後は剱沢の右岸のガレ場を下っていくが、約1時間ほど下るとようやく雪渓の上端が見えてくる。
ここまではそんなにキツイ足場もなく、テントをデポった身軽ななりでも歩く事ができる。

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この右岸の張り出し部を
周り込むと

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ようやく剱沢雪渓の
上端が見えてくる

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冒頭の説明文の通り
完全な根腐れ雪で
雪渓歩行はムリのようだ

雪渓は見えるといっても塊が少しある位の根腐れ状態で、雪渓の下に下りる事は叶わない。 
また、これより雪が腐って歩行不能な雪渓の巻き道として、剱沢右岸のスラブの一枚岩の鎖場など難関な区間となるので、ここらで引き返す事にしよう。

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これ以上進むと鎖場も出てくるので
『紅葉狩り』という気軽な行程では
この辺りが折り返し点となるだろう

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この紅葉を独り占め

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剱の岩峰にかつて歩いた
長次郎雪渓や剱の北方稜線を思う

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いつもは覆われればがっかりするが
今日の空の雲
様々なアートな情景を魅せてくれた

なお、今日の行程自体が『散歩』と同様なので、撮った写真を羅列する記事構成となるので、その点も悪しからず。 でも、千切れて様々な模様となる空の雲や、時折射す光を浴びて輝く剱の岩盤群、光を浴びて彩り鮮やかとなる紅葉と、シャッターを押す指が止まらなくなる。

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シャッターを押す指が止まらなくなって
残り枚数を計算していたつもりが
残りのフイルム枚数が20枚程度に

でも、数に限りがあり、それが美しく代えがたいモノを創造する力となるフイルムカメラなので、大いに情景を味わいながら撮る事にしようか。

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だからクレオパトラニードルなど
この先からでないと
見れない岩峰を撮る事にした

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それと撮った枚数が
少ないと思っていた
山肌の紅葉のドアップも

この観る・考える・想像する・選択するといった写真を撮るのに重要なファクターを端折るデジタルは、人の能力を錆付かせるモノでしかない事を改めて感じるよ。

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源次郎尾根の下方峰は
剱の岩峰の中でも
幾分まろやかな様相を魅せる

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今日の所は記事の進行上
この辺りで引き返すとしよう

たぶん、デジカメならこの『紅葉狩り』の楽しさも半減するだろうし、あんなニセモノの画像製造装置でこの素晴らしい情景を表したくないし、また到底表す事も適わないと思うよ。 そして写真に幻滅してしまうだろうね、ワテは・・。

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帰り始めると意地悪にも
雲がアートを魅せて足止めをする

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今日の雲は本当に
奇跡のアートだった

そして、パソコンでどうにでも画像を偽造できるから、『スマホに付いてるカメラで撮る楽をしても結果は変わらない』というデジタルの持つ黒魔術にかかって、ヤル気もなくして山から足が遠のいてしまうな・・ワテなら。

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空を強調しすぎて
ヤマが影ってしまったよ

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なので角度を変えて
ヤマにも光が当たるように
即興で修正する
こういうのがパソコンで画像を
偽造するデジタルには絶対にない
写真の醍醐味なんだよね

そう考えると、人間の能力を枯渇させるだけでなく人間のヤル気や気力も奪い、また皆横並びで同じ道具を使ってその道具に行動を縛られるので、同じ場面に相対すると揉め事となるなど考える事を止めてネットや道具に頼りきった為の弊害も噴き出してくる。 もし、ワテもデジタルを使っていたら、今自分が最も嫌う写真撮りのスタイルとなっていただろうね・・、たぶん。

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次はヘタレに対応するべく
剱沢・真砂沢・黒部渓谷と
3泊のゆとりある行程で
リベンジを狙おうかと

また、デジタルのグチになってしまったが、幸いワテは一生涯フイルムカメラを使うと心に決めているので、こんな病魔のような悪害に罹る事はないだろう。 最近の便利さは人の考える力を奪っていく。
そして気がつけば、分析力や想像力といった能力の根幹を無くしていくのだ。 最近のデジカメ使いによるモラル違反の数々も、こういった所から来ているのである。 それでは、フイルムカメラで心から良かったと思える山行の各シーンをごろうじろ。

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紅葉の十二単をまとった
剱の岩峰をアップで

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美しく彩る紅葉もバッチリと

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最後に掲載のキメ写真は
十二単をまとう剱の岩峰と
空の雲アートをコラボして

  ※ 続きは次回の『第535回 その3』に続く。

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これまでこのバナー下では
真実だけど閲覧者がドン退きする
事ばかり書いているので
当然閲覧者数に支持される
本当の人気がないこのブログ

なので今回のバナー下は砕けて
この正月の旅計画を考える事にしようか

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今年は数年ぶりに冬の北海道に行こうかと
それは前々から撮りたいと思っていた
釧網本線・茅沼に飛来する丹頂や
コッタロ湿原での野鳥撮影

そして数年前まで毎年通っていた
春国岱と温根沼の白鳥のテイクオフなど
根室のプレミアム撮影地めぐり
それと来年3月末で路線の区間廃止が
確定した留萌本線の『撮り鉄』だね

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留萌本線は先行廃止区間の留萌~増毛で
思いっきりシクジったので
今回の石狩沼田~留萌の『撮り鉄』には
大いなるリベンジがかかっている

ワテはヤマにしろ旅にしろ
シクジった事に対してのリベンジ心が
己を奮い立たせる事だと思っているので
この旅企画にはそれとなく力が入る

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でも根室・釧路と留萌は
離れているんだよね
レンタカーで往来したら
返却地までの回送がシンドイしィ

なのでアラフィフの年では有り得ない
『おバカ』も考えている
それはもちろん留萌本線での
『駅寝&撮り鉄』by テントである

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大抵北海道の正月は太平洋側の
根室・釧路は晴天が続き
日本海側の留萌では爆弾低気圧の通過で
大荒れとなるのである

これは過去2回車で留萌に訪れて
ホワイトアウトの恐怖や『ウヤ』(運休の事)を
知らずに吹雪の中1時間列車を待って
クタバリかけたリベンジなので
正月の留萌の荒れる天気は体験済みだ

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そして北海道での冬のテント駅寝は
川端・落石・豊ヶ岡と何回か体験していて
その寒さと対処法を憶えている
だから激しく『オチャメ』る事はないだろう

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また余裕があれば
ニセコで羊蹄山バックに
シンカンセンで廃止が決まった
函館本線の山線区間も・・
でも今はキハ40ではなくモアイなんだよね





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