風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第531回  常念越え その2 (常念から蝶ヶ岳)

『日本百景』 秋   第531回   常念越え その2 (常念から蝶ヶ岳)  〔長野県〕

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常念岳から続く蝶ヶ岳への縦走路

  蝶ヶ岳 ちょうがたけ (中部山岳国立公園)
飛騨山脈(北アルプス)にある標高2,677mの山で、常念山脈の稜線上の常念岳の南に位置し、山体すべてが長野県に属する。 中部山岳国立公園内にある。 蝶槍の南に三等三角点(標高2,664.32m、点名は蝶ヶ岳)があり、蝶ヶ岳ヒュッテのすぐ裏手にある長塀ノ頭が最高点(標高2,677m)である。

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蝶ヶ岳ヒュッテの裏手にある
長塀ノ頭が蝶ヶ岳最高点で
現在の頂上となっている
※ ウィキペディア画像を拝借

飛騨山脈南部の常念山脈のほぼ中央部にあり、蝶ヶ岳の三角点北側の小ピークの岩峰は蝶槍と呼ばれている。 西側は梓川を挟んで遮るものがなく、穂高岳と槍ヶ岳の山なみを眺める絶好の展望台となっている。 また山頂付近からは、安曇野・浅間山・富士山・南アルプスなどを望む事ができる。

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かつての山頂でコチラの方が
岩塔を成し山頂らしい蝶槍
※ ウィキペディア画像を拝借

以前の蝶ヶ岳の山頂は蝶槍を指していたが、1990年頃から標高最高点の長塀ノ頭とするように変わったようである。 山体はなだらかで、蝶ヶ池・妖精ノ池などの湖沼が点在する。 稜線は二重稜線となっていて、この二重稜線が積雪に大きく関与して高山植物の分布に影響を与えている。 山頂付近は森林限界のハイマツ帯で、ライチョウの生息地となっている。

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山名の由来は高山蝶・
ミヤマモンキチョウの
雪形が現れる事から
※ ウィキペディア画像を拝借

江戸時代・正保年代の1640年代の絵図には、蝶ヶ岳の山名の表記があった。 それは5月下旬から6月上旬頃に、蝶ヶ岳山直下南側の稜線付近に白い羽根のチョウの雪形が現れる事から蝶ヶ岳と呼ばれるようになったようである。

山名の由来はこの雪形で、安曇野(安曇野市豊科付近)から見えるこのチョウの雪形を農耕の目安としていた。 また5月下旬頃に、蝶ヶ岳の三角点の付近の稜線に『黒い蝶』の雪形が見られる。
山岳写真家の田淵行男は『山の紋章・雪形』で、この蝶の雪形をミヤマモンキチョウに例えた。



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常念越え縦走ルート・行程詳細図

   行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報   
《1日目》 JR穂高駅よりタクシー利用(0:40)→ヒエ平登山口(1:20)→大滝ベンチ
     (2:00)→胸突八丁(1:20)→常念乗越
《2日目》 常念乗越(1:10)→常念岳(0:50)→2512mの広場(3:00)→蝶槍
     (0:50)→蝶ヶ岳〔蝶ヶ岳ヒュッテ〕
《3日目》 蝶ヶ岳〔蝶ヶ岳ヒュッテ〕(0:40)→長塀山(3:00)→徳沢園
     (2:00)→上高地バスターミナル
  ※ 『第530回 常念越え その1』の続き

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朝日に輝く常念岳
この美しき情景に
出発準備の手が止まったよ

 《2日目》 常念岳より蝶ヶ岳へ
朝、天気が良ければ、目の前にピンク色の空に浮かぶ槍・穂高の山屏風を望む事ができるだろう。
こんな素晴らしい情景を魅せられると出発準備の手が止まってしまう事だろうが、それを振り切って出発の準備を継続しよう。 さもなければ、ここで不意の沈殿となってしまうから・・。

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朝日を浴びる横通岳が
”おはよう!”といってるような


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朝日を浴びる槍の穂先をアップ
これを目にしないと
常念縦走は始まらない 

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登り始めはまだ朝日を浴びた
常念岳山体の影が
裏銀座の山々に掛かっていた

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続いて穂高山塊もドアップで

出発準備が整ったら、フイルムカメラを首にぶら下げて出発だ。 フイルムカメラを首にぶら下げたのは、もちろん常念岳に登る最中で槍・穂高の山屏風が魅せる朝の情景を収める為だ。

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常念岳へはガレ場の急登だが
槍・穂高の絶景に魅せられながら
なのであまり苦も無く登っていける

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 ある程度登ると常念山脈最高峰の
大天井岳が見えてくる

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信州側を望むと朝日のバックライトで輝く
安曇野の山々の向こうの雲海上に
戸隠や妙高などの山々が浮かんでいた

さて、常念岳の登りは、延々とザレ場の急登である。 朝の一番気持ちいい時間帯に登り始めるからか、急登で荷を担いだヘタレの筆者でさえも、コースタイム通りの1:10で頂上に登り着けるのである。

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登っていくうちに
日も高くなってきて
山を浮かべる天海も白く輝き出した

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見下ろすと昨日の夜に
一夜の夢を紡いだ常念乗越の
テント場と常念小屋が見渡せる

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大天井岳が山脈状の山なみに
変わるとまもなく常念岳の頂上だ

だが、ザラ場は滑りやすくて浮石も多く、途中には簡単な鎖場も一ヶ所あるので、槍・穂高の山屏風に魅かれて足元が散漫にならぬよう注意したい。

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頂上に立つ道標と槍ヶ岳

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頂上の祠と木の山頂プラカードと
槍・穂高の山屏風

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神の如く鎮座する穂高山塊

登り着いた頂上は祠と山名を表記した方位盤と祠が立つ狭い岩の積み重なりの上で、7~8人で満員となる。

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裾に紅葉をまとい梓川の流れを従え
重厚に鎮座する姿
これこそ神の情景だ 

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天衝く槍の穂先は
いつ魅てもかっこいい!

頂上からの眺めは”槍・穂高の絶好の展望台”の呼び名の通り、中腹から上高地までを紅葉で染め上げた穂高連峰が連なり、その背後に尖峰の穂先を突き出す槍ヶ岳が山岳情景をキッチリと締めている。

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白馬三山以南で唯一
標高2900mを越える高峰・大天井岳と
北アの山のオーケストラ

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“天を衝く”という言葉
そのままの様相を魅せる槍の穂先

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涸沢カールが
最も望めるカットおば・・

空は筋雲が天の高さを演出する絶好の秋空で、またとない山岳情景であった。 信州側を望むと戸隠や妙高・八ヶ岳から、果ては谷川や浅間山、そして中央アルプスや南アルプスもうっすらとではあるが見渡せる。

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スカイブルーの空色の下
真綿の雲海に浮かぶ
谷川・八ヶ岳・浅間山・中央アルプスの
錚々たる山なみ

この爽快な秋空の山頂にいつまでも居たい所だが、目的地の蝶ヶ岳までコースタイムで5時間でしかも筆者の苦手な下りで、今の『奇跡の体力』を喪失した筆者なら何時間かかるか判らない懸念もあるので、滞在時間30分程で出発する。

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これだけ魅せられると
立ち去り辛いが
これを最後に踏ん切りをつけようか

下りは予想通り岩が敷き詰まったガレ帯という、『奇跡の体力』を失ってヘタレきった筆者(タワケ)の最も嫌う下りだ。 幕営装備の重荷を担いで重心が上ると、こういった浮石のある不安定な岩石帯を伝うのは冷や汗をかく。

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常念岳の飛騨側からの
威圧的な眺め
その容貌の通りタワケの足を止める
大ガレ場の下りとなる

なぜなら、重心が上がり転びやすくなる上に、元からの平衡感覚の鈍さが加わって、こういった岩を飛び越えたり跨いだりするのに苦手意識があるからだ。 歳を喰ったせいもあって脚が思う様に上がらなくなり、何でもない所でも躓いて転んだり、膝への衝撃を嫌って何でもない所でも尻を着いて降りるなど、大いにタイムをロスするのである。

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横にそびえる穂高の山肌を飾る
紅葉も更にタワケの足を
引き留める要因となる

足腰のしっかりした方なら何でもない岩石帯の下りなのであるが、ヘタレきった筆者(タワケ)はそうはいかないのである。 まぁ、『奇跡の体力』を有した最盛期の時などは、下りより登りの方が速かった事もザラにあったしィ。

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『威圧的な常念岳』の写真は
2枚上で使っちまったので
威圧ある穂高の大岩盤おば・・

このような醜態を見せながらの下りだったので時間を大いに喰って、この岩石帯が一段落する2512mのコブ上の広場に着くまでに1時間50分かかってしまったよ。 この2512mのコブ上は、これまで下ってきた常念岳が大きく威圧的にそびえ立つ姿を望める絶好の休憩場所だ。

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コースタイム30分の下りを
1:50かかった大ヘタレを
槍の穂先の絶景で誤魔かそう

この場所でひと息着くべく荷を下ろして地図を取り出し見ると、この2512mのコブ上まで『下り0:30』と記載されていて少々愕然としたよ。 もちろん愕然とした理由は、かつての最盛期と比べての衰え具合の激しさに・・である。 でも、いくら何でもあの下りを一般登山者が30分で下るのはムリだろう。
まぁ、筆者(タワケ)のように2時間近くはかかり過ぎではあるけれど。 従って、行程表では、この区間のコースタイムは下りで50分としたのだが・・。

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常念岳から歩いてきた
道程を振り返る

さて、ここからの蝶ヶ岳までの稜線は、尾根上のコブを2つ乗り越えて蝶槍に至るのである。 
尾根上のコブを乗り越えるという事は、当然アップダウンがあるという事だ。 そして「コブが2つ」と言う事は、計3回のアップダウンがあるという事である。

2592mのコブまでの稜線はやや痩せていて高度感があるが、足場はしっかりしているので問題はない。 ”偽2592mのコブ”(稜線を歩いていると、これが2592mのコブだと思ってしまう)まで登り返してこのコブを乗り越すと樹林帯に突入して、周囲が先程までの岩稜帯から林の中に様変わりする。
夏ならば、これより2592mのコブまでニッコウキスゲなどのお花畑が続くらしい。

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夏はニッコウキスゲなどの高山植物なら
秋は山肌を染める艶やかな紅葉だ

”偽2592mのコブ”からは、樹林帯の中を一度下ってから同じ位登り返すと”ホンモノ”の2592mのコブ上に出る。 まぁ、”ホンモノ”と言っても2592mのコブ自体が山頂とは認められてないので、この”ホンモノ”の2592mのコブ上に山頂を示すモノは皆無ではあるが・・。

このコブを乗り越すと周囲は樹林帯ではあるが陽が射し込んで開けた感じとなるが、想定外の大下りが待ち受けている。 そのオーダーは180mと、かなりデカい下りである。 そして下っていく眼前に登り返すのが宿命として対峙する蝶槍の山体がデンと居座っている。 その登り返しのオーダーは250mと、今下っている180mと合わさってかなりのアップダウンとなるのである。

その登り返しであるが、再び日差しを遮る樹林帯に突入し、ルンゼ状に掘られた粘土質の足どり重い急登となるのである。 この足どり重い急登に筆者は、常念岳からの下りでヘタれて散々醜態を晒していたのが別人のように、蝶槍まで息も切らさずヘタレる事無くイッキに登っていけたのである。

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岩が積み重なった
蝶槍の頂から望む槍の穂先

常念岳からの下りに2時間近くを擁してやっと着いた2512mのコブからこの蝶槍までをコースタイムの15分アンダーの2:45で到達したよ。 蝶槍に登り着いてすぐに時計を見ると、先述の如くコースタイムより早かったので「『奇跡の体力』ちょっと復活!」とヌカ喜びしてしまったよ。

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蝶槍から見下ろす
涸沢までの道には燃える紅葉があった

この事は、『奇跡』といったら『奇跡』の部類に入るのであろうが・・。 だが、常念岳下りのタイムロスが響いて、常念岳山頂から蝶槍の総所要時間はコースタイムより1時間以上オーバーの4:40だったよ。

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真正面にそびえ立つ穂高連峰の
山屏風も陰り出してきた

そういう訳で蝶槍に着いた時には午後を周っていて、真正面にそびえ立つ穂高連峰の山屏風も陰り出していたよ。 蝶槍からは稜線は二重山稜となって大きく広がり、二重山稜の間の盆地状となった所を小さなアップダウンを交えて詰めていくと、4~50分で蝶ヶ岳ヒュッテに着く。

今日はこのヒュッテの奥の高台にあるテント場で幕営するのだが、その前に蝶槍から頂上の栄冠を奪い取った蝶ヶ岳本峰を踏んでくるとしよう。 その頂上までは、ブラブラと歩いて所要1~2分だ。

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1990年より新たに頂上となった
ヒュッテ裏の丘山の長塀ノ頭
※ ウィキペディア画像を拝借

蝶ヶ岳の本峰は2677mと蝶槍の2664mより13m高いのであるが、頂上標柱がなければどこが頂上かも判り辛い上に下にテント場が見える締まらない眺めの山頂で、山頂に到達した実感や頂上らしさは蝶槍よりかなり劣っているのである。 まぁ、蝶槍は午後に入り陰ってきてとはいえ、上高地側が切れ落ちた岩稜で正面に穂高連峰の山屏風がそびえ立っているのだから。

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蝶ヶ岳最高峰からの眺めは
テント場とヒュッテが
目の前にあって今イチだったよ
※『蝶ヶ岳ヒュッテ』より

蝶ヶ岳に着いた午後からは夕立交じりの曇天となって山岳風景も隠されてしまったので、今日はおとなしく早めの食事の後はすぐさま就寝する事にする。 もう7時前から寝に入って、まだ日が落ちきらぬ内に寝ついていたようである。 明日は上高地までのロングラン下山だ。 下りは苦手なので、素晴らしい槍穂高の山屏風の朝景色を魅て気分を良くすべく「明日、天気になぁ~れ」。

  ※ 続きは次回の『第532回 その3・上高地へ下山』に続く。


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前回の続き
生きる力を磨くというのは体験という
引き出しを数多く作りそれを活用いく
知恵を持つしかないのだ
これはネットや勉学といった学校教育では
絶対に得る事の出来ない知恵である

ワテの親父はこのオッサンのように
世間の恨みつらみを吐くクズではなかったが
同じく働いて家に金を入れる事がなかったので

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ガキ世代は半分一匹狼のような状況と
学校に行く事で仲間内での処世術の
両方の体験という引き出しを得る事ができた

表の顔としては学校の奴らと諍いを
起こさぬように努めつつ諍いが起こると
間髪入れずにその場から逃げたよ

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要するに諍いの渦中となって
行く意味も得るモノもなくなった
学校に通う事をサボって
大好きだった廃止ローカル線を
追っかける旅に出たのである

だが『旅』は今持っている所持金で
旅先での生活費を賄いその日の宿泊場所を決め
日に数本しか運行されない
廃止ローカル線の撮影のプロデュースと
旅を成功させる為のマネージメントが必要となる

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こうして体験という引き出しを
楽しい事に興じながら取得して
いざ困難に遭遇した時にその引き出しを
活用する知恵を出す力を鍛えたのである
まぁ真冬の駅寝などで随分引き出しが増えたよ

これは何が言いたいのかというと
もし困難に遭遇したなら逃げる事が
可能であれば先ずその場から逃げる事である
逃げた為に後々負うリスクは
そのリスクが顕著となったその時に考えればいい

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だって経験不足で
対処法が解らないから
凍ってしまうんだろ?
ならばまずはその場から逃げる事だよ

でも大人になって金が絡むと
逃げられなくなるので
ガキの内に精神的な苦痛からは
逃げる知恵を持つ事だね

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何でもかんでも逃げちゃいけないけど
苛めや存在の否定やシカトなど
自身の精神の安寧や命に関わる事なら
即逃げる決断をする事だね

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これで学歴や地位といったモノが
最下層となるリスクは負うが
代わりに生きる術の引き出しを多く得て
無学歴で仕事のできない無能であるが
楽しい生活が過ごせるようになったのである


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