2022-09-03 (Sat)✎
『日本百景』 晩夏 第526回 南ア・鋸岳 その1 (甲斐駒ヶ岳~六合石室) 〔山梨県・長野県〕
六合石室前で望む鋸の岩塔に
明日に挑む一夜の夢を紡いで
鋸岳・六合石室 のこぎりだけ・ろくごういしむろ (南アルプス国立公園)
北岳など白峰三山と甲斐駒ヶ岳を要し、南フルプスの中でもメジャーな北部山域で、甲斐駒ヶ岳の北西に隣接し、その名のごとく鋸状の急峻な山容をしている峰がある。 それが標高 2,685m の鋸岳である。
南アルプス林道バスの
車窓より望む
秋の鋸岳岩両稜群
甲斐駒ヶ岳から続く稜線上にいくつもの頂をもたげ、その頂の全てが急峻な岩峰を成して、戸台口からの南アルプス林道バスの車窓からは、その鋸刃のような岩峰群を望む事ができる。 だが、その急峻な容姿が示す通りに登頂への一般ルートはなく、ある程度の岩登りの技術を要する難易度の高い山とされている。
また、ルート上には営業山小屋はなく、最も近い山小屋でも甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根の七丈小屋や北沢峠の山荘など1日行程分の距離がある。 これらの事から、山体の急峻さとも相まって隣接する甲斐駒ヶ岳と比べて登山者は極めて少なく、この峰を目指すなら幕営装備一式を担ぎ、なおかつ難度の高い岩稜を通過する技量が要るだろう。
甲斐駒より望む鋸岳
:
第一高点の坊主頭が良く目立つ
そして、この鋸岳の魅力である鋸刃のような岩峰群を踏破するなら、三ツ頭と甲斐駒ヶ岳との鞍部にある無人の避難小屋で『伝説の石室』と云われる六合目の石室を中継点に、最低でも1珀2日の行程が必要となる。 この石室は2006年秋に改修されて床板が設けられたものの、以前は石を積まれただけの石室そのもので、中は暗闇の土間で中でテントを張るなどしないと泊まれるものではなかった。 もちろんの事であるが、トイレ・水場共にない。
カールを抱く仙丈ヶ岳が
朝の光を浴びて優雅な姿を魅せる
だが、カールを抱く雄大な仙丈ヶ岳の朝景色や、まだまだ遠くにそびえる鋸岳の岩稜群など、この場所でしか望めない絶景を独り占めできるプライベート登山を満喫できるのである。 この朝の絶景に力をもらって、難関たる鋸刃の踏破に挑むのである。
甲斐駒ヶ岳~鋸岳 核心部分のルート詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原よりバス(0:25)→北沢峠(1:00)→仙水峠
(1:20)→駒津峰(1:20)→甲斐駒ヶ岳(1:30)→六合石室
《2日目》 六合石室(2:10)→中ノ川乗越(0:40)→鋸岳・第二高点(2:00)→鋸岳・第一高点
(0:30)→角兵衛沢ノコル(1:40)→大岩下ノ岩小屋(1:40)→角兵衛沢入口
(2:20)→北沢峠
《3日目》 北沢峠よりバス(0:25)→広河原よりバス(2:05)→JR甲府駅
伝説の石室で魅た
明日に挑む山の絶景
《1日目》 北沢峠から甲斐駒ヶ岳を経て六合石室へ
《戸台》方面からのバスの車窓より仰ぎ見ると、その名の通り“鋸”の稜線が望める。 今回は、この悪絶たる稜線に挑んでみようと思う。 だが、岳人を虜にさせるあの稜線は、そう易々といけない所でもあるのだ。 体力面・装備面・技術面でしっかりと準備した者だけが、チャレンジを許される山域なのである。 その事を十分に踏まえてチャレンジしよう。
《広河原》からの始発バスに乗れば本日の行程は何とかこなせるが、これに接続するバスのJR甲府駅発車時刻がAM3:00と、ほとんど睡眠が取れぬ状態となる。 このような状態で鎖付きの難所を通過するのはどうか・・と思うのだ。 ここは、登山のセオリーである早朝登山を守るべく《北沢峠》での幕営か、最低でも《広河原》での前夜泊は実行して頂きたいと思う。 それでは、コースガイドを始めよう。
甲斐駒ヶ岳までの行程図
※ 別の記事の地図の使い回しでっす
:
今回は甲斐駒ヶ岳までの道程は
記述文や掲載写真が膨大となるので
簡単に留める事にしよう
なお、記述する文章や掲載写真が膨大となるので、《北沢峠》から《仙水峠》を経て甲斐駒ヶ岳の頂上までは、過去の写真の使い回しで簡単に済ませる事にしよう。 それと、甲斐駒ヶ岳までのルートは《仙水峠》のルートを取る事にしよう。
なぜなら、甲斐駒ヶ岳まではこのルートが最も楽で、《仙水小屋》前で水を得る事ができるからだ。
児子山の尾根ルートだと、一切の水場がないのである。 従って、《仙水小屋》前では最低2日分の3㍑は汲んでいこう。 後は、甲斐駒ヶ岳に向かって登っていくだけであるが、甲斐駒ヶ岳本峰への取付には岩登りの練習も兼ねて直登コースを取る事にしよう。
甲斐駒ヶ岳の祠と晩夏の夏空
甲斐駒ヶ岳 2967m の頂上で北岳 3192m や、仙丈ケ岳 3033m・鳳凰三山 2840m の他、富士山 3776m などの山々を眺めたなら、気を引き締めて甲斐駒ヶ岳の《北西尾根》を下っていこう。
登る最中は曇りがちだった空が
急速に晴れてきた
今日は目にする事ができなかった
富士も初めて姿を現した
頂上の外れに朽ちた道標があり、『鋸岳(危)』と示す方向へ下っていくが、踏跡や道を示すリボンがほとんどなく、ルートの発見に苦労する。
仙丈ヶ岳を覆っていた雲が
魔法が解かれたように
急速に消えていく
白亜の似たような岩塊が並ぶ甲斐駒ヶ岳の《北西尾根》は、岩石の積み重なりの間が空洞となっていたり、容易に下れそうな岩塊の先が絶壁であったり・・と一筋縄ではいかない。 また、前方も同じような岩石が積み重なり、先が読めない所がしばしばある。 やがて、『九合目』という道標を見やると、大きな一枚岩壁が足元に現れる。 これが、今日最大の難所だ。
急速に天候が回復して
振り返ると甲斐駒ヶ岳が
勇壮な姿を魅せてくれた
この岩壁は、左側に巻きつけてある針金(本当に針金であった)を使って50m直下降する。
高度感があり、しかも直下降なのでかなりスリルがある。 この岩壁を下ると尾根は広くなり、左に緩く下っていく。 この広い尾根はケルンや石柱が突き立った砂礫地となっていて、ガスがなければ《六合石室》の赤錆びた屋根が左下に見えてくるだろう。
先程まで湧き立つ雲に
覆われていた仙丈ヶ岳が
スッキリとした空の下に現れた
砂礫地から一度樹林帯に入り、再び石柱が立つガラ場に出ると、《六合石室》の下降点と思しき分岐に出る。 なぜ“思しき”と記述したのかというと、《六合石室》までは巨石が積み重なっているだけで、とても道とはいえないからである。 岩を乗り越え踏み越えながら下っていくと、積まれた石垣に屋根を乗せただけの《六合石室》に着く。
石垣にトタン屋根が乗るだけで
床ナシの土間の
『伝説の石室』六合石室
中は床もなく噂通りの荒廃状況で、『南アルプス山域でも、その点で有名な小屋』という触れ込みは大いに頷ける。 この小屋に泊るのなら、中にテントを張るのが妥当であろう。 雨風は凌げるが、それ以上は凌げそうにないからである。
明日目指す鋸岳は
まだまだ遠い
なお水場は、『この巨石のガラ場を10分下った所で得る事ができる』としているが、足場が悪い事やどの辺りなのかの見当をつけにくい事などから見合わせた方が賢明であろう。 その為にも、《仙水小屋》の水場で2日分の水を汲んで担ぎ上げる事が必要となるのだ。
仙丈ヶ岳と落日
1日で最高に魅せるシーンに備えて
まとわりつく雲を全て落とした仙丈ヶ岳
そして落日の時がやってきた
落日直後に少し黒くなった
姿を魅せる仙丈ヶ岳
空も茜に染まり始めて
1日の終わりに魅せる
ショータイムの準備が整った
・・小屋はボロいが、ここより眺める仙丈ヶ岳の美しさには語る言葉も見当たらない。 “床もなく荒廃しきり”の小屋なれど、その静寂としたムードは数ある山小屋の中でも最も味わいがあるのではないだろうか。
1日のクライマックスを魅せる
最高のステージ in『伝説の石室』
鋸岳岩峰の西方に陽が沈み
更にその西にある仙丈ヶ岳が
茜空に染まり出す
雲海に先に浮かぶ中央アルプスも
茜色の光に照らされる
やがて完全なる日没の時を迎えた
1日の終わりって何故に
こんな感傷的な色を魅せるのだろう
それは1日の終わりを
名残り惜しむ空の思念か
それとも明日の朝へ
期待を持たせるべくの
最大限の演出なのか
残り漂う雲が夕陽の茜色の光で染まり
このステージでしか望めない
奇跡の絶景を魅せる
そして絶景のステージは
終幕を迎える
ステージが終幕となった後は
山は闇に包まれていく
山の静寂と素晴らしき展望は、その場所を一夜の住処とする山の民を幻想の世界へ誘う事だろう。
それでは、粗末な小屋なれど、山の民にとってはとびきり贅沢な夢の一夜を紡ぐ事にしよう。
※ 続く《2日目》は、次回の『第527回 その2』にて・・。
社会に出て対応できない
弱さを晒して嘆いても
誰も助けてはくれないし
そんな奴はどこに居場所を置こうが
同じ結末を迎えると思うよ
例のオッサンが大手電機会社の
若手社員が上司からパワハラに遭って
自ら命を絶った事での遺族との和解が
成立した事を取り上げて
また企業による労働者の迫害だと力説していたよ
何でもこの企業で自ら命を絶った者が
過去に4人いるなど事が起こる度に
「再発防止に真剣に取り組む」と逃げ口上を発し
解決金だけで事を終わらせようとするなど
反省の色が全くない事を唱えていたよ
何でもこの会社の上司が
自ら命を絶った新入社員の部下に対して
「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで」
などとホザいたとの事
まぁ発言自体は許されざる事だけど
こんな言葉をほざく奴は
どこの会社でも役所のような公的機関でも
必ず数人はいるよ
まぁ実績を示した叩き上げで
出世した奴なんかの多くが
この傾向にあるだろうね
でもワテに言わせると
「窓から飛び降りろ」と言われたら
飛び降りて死ぬのかよ?と言いたいよ
反抗しろよ! 暴れても構わないよ
それは自分の命を守る為の正当防衛だ
それにそんな会社即効辞めろよ!
イビられて命を絶つ位なら
別にアルバイターでも構わんジャン
コイツの守りたかったのは何?
優秀な学歴で大手企業に入ったという肩書なの?
それって命を賭すほどに
大切なモノなの?って思うよ
:
この記事完成の時点で16段落と
長くなったので2回に分けました
でも最終的には18~20段落となるだろうね
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