風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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私の訪ねた路線  第60回  肥薩線 その2 (人吉~隼人)

『私の訪ねた路線』  第58回  肥薩線 その2 (人吉~隼人)  〔熊本県・宮崎県・鹿児島県〕
 

ワクワクする
ファーストショットの瞬間
 
《路線データ》
   営業区間と営業キロ               輸送密度 / 営業係数(’15)
  八代~隼人 124.2km                      552  /  379
運行本数
  八代~人吉 特急【かわせみ・やませみ】、【いさぶろう・しんぺい】下り3本・上り4本
        普通 8往復
  人吉~吉松 普通 3往復(内 2往復 八代より特急の【いさぶろう・しんぺい】
  吉松~隼人 特急【はやとの風】2往復、普通 下り11本・上り12本
 

2時間歩き周って
時にはヤブ漕ぎまでして
ようやく見つけました
 
   《乗車記》
間違えて、1回飛ばしちゃいました。 スンマセン。 それでは、人吉からの観光路線として再生した『昔の鹿児島への幹線鉄道』の情景を追ってみよう。 なお、八代~人吉までの(その1)は、『私の訪ねた路線 第58回』をどうぞ。
 
城下町・人吉までは、まがいなりにも鉄道としての存在価値は見出せていたようだ。 県都・熊本と人吉を結ぶ路線として、優等列車も区間を削られつつも存在しているのである。 だが、この路線が建設された目的である九州第一の都市・博多への旅客輸送は、高速バスにその座を奪われたみたいだ。 この3月に新幹線が開通したと言えども、本州との往来ならともかく、博多までの移動は間違いなく高速バスであろう。
 
だが、人吉を過ぎると、乗客は観光客以外にほぼ皆無となる。 一家に2台・3台とある乗用車が鉄道の存在価値を奪い、そして交通弱者たる学生・老人の利用も、世代の交代や離村による人口の流失で計算できなくなってきている。
 
だからであろうか、昼の2本の観光列車は、2両目の運転席後ろの優先座席部分の7席のロングシート以外は、全て観光客向けの指定席となっている。 もし、定期的に乗客がいたとしたなら、たぶん抗議の嵐になるだろうが、そういう事がないという事に、本当に県境の峠越えをする定期利用客は皆無なのだ・・と証明されているようである。
 
それでは、その観光列車に乗ってみよう。 人吉を出ると、少しの間は城下町・人吉の路地裏のような所を走る。隣に敷かれた線路は、元国鉄の廃止対象路線の第三セクター・くま川鉄道である。
だが、今の運行本数を比べると、国鉄→JRとして残った肥薩線は僅か5往復の超閑散線、くま川鉄道は14~15本の運行が有って本線格となっている。 くま川鉄道とは、藩主・相良氏の菩提寺近くに設けられた駅・相良藩願成寺駅の手前まで併走する。
 
くま川鉄道と別れると、九州自動車道を見ながら山に分け入っていく。 暫くして九州自動車道と離れて雑木林の中へ入っていく。 やがて、トンネルに突入し、何度かトンネルを越えて標高を稼いでいく。
そして、最後の長いトンネルが、大畑のループ線を上に載せるトンネルとなる。
 

スイッチバックを経て
大畑駅に入線する
観光列車【しんぺい】号
 
下り列車は、そのまま右手から大畑駅に入っていく。 大畑駅は昔のSL時代に、機関車と機関士の休憩所として設けられた駅だ。 決して、集落があったから設けられた駅ではない。 この駅を設けないと、機関車はこれよりの矢岳越えをする事ができず、機関士も疲労で生命に危険が及ぶ為である。
 

古き良き時代の姿のまま現代へ
大畑駅舎
 
だが今は、かつての設備を『魅せる』事で、その存在価値を見出しているのだ。 観光列車は全ての駅で5~6分の停車時間を設けていて、観光客の駅散策を誘っているが、観光シーズンでは5~6分では乗客の散策時間には足りず、いつも発車時刻を5分以上オーバーしているみたいだ。 もちろん、「そんな事は想定内」とでも言うように、車内アテンダントや運転士は余裕をかましていたが。
 

大畑駅・上り列車の
スイッチバック風景
 
さて、大畑駅を出た列車は、いよいよ大畑のスイッチバック&ループ区間に突入する。 列車の従業員さん達にとっては、このループ越えが最も忙しい時間帯だ。 運転士はスイッチバックの引込み線に徐行で入線させ、再び運転ハンドルを持って車両間を移動してループへ入っていく。
 

ループを終えた列車は
トンネル経て下界へと
 
もちろん、運転席を変える毎にタイフォンのサービス付だ。 車内アテンダントさんは、右見て説明し、左を見て説明し、説明に併せて車内を巡回し、撮影スポットでは窓ごとにスポットからの情景を見せる為に徐行・停車していくのだ。
 

これよりループに挑む
『いさぶろう』
 
気動車も、坂の途中で停まり、5メートルほど噴かしてまた停まりで、かなり負荷が掛かっているようだ。
それに加えて、観光客にグッズ販売も取り混ぜて行っている。 もう、大衆食堂のお昼時のような煩雑さだ。
 
大畑駅の全景が見渡せるスポットで窓ごとに停車しての説明を終えると、一段落するようだ。
気動車はまともに推進し、10分程進むと分水嶺の矢岳だ。 大畑から矢岳まで22分の所要があるが、その内の2/3はループ越えと大畑駅でのタイムオーバーの調整時間であろう。
 

築100年の木造駅・矢岳駅
 
矢岳は、開通当初からの木造駅だ。 観光目的とはいえ、レトロ調の駅名標はそそるものがある。
そして、矢岳駅の目玉なのであろうか、かつて峠越えに供した蒸気機関車が静態保存されている。
まぁ、ワテはSLには全く興味がないので、SL見学に出向くほぼ全ての観光客を余所に、誰もいない駅舎やレトロな駅名標の写真を撮っていたが・・。
 

皆が展示機関車に行ってる隙に
 

レトロ調の駅名版は
そそりますね
 
次の真幸までは、霧島連山とえびの盆地の街並みが望める『日本三大車窓』の矢岳越えの展望が広がる。
天気のいい日は桜島や開聞岳まで望めるという。 まぁ、私は霧島の高千穂峰以上は望めなかったが。
ちなみに、高千穂峰を見るなら、韓国岳で見た方が感慨深いよ。
 
この区間でのスポットは、矢岳を出てすぐの県境標と、この矢岳越えの展望、そしてこの列車の愛称につけられている『いさぶろう』、『しんぺい』の由来となる明治の英傑・山縣伊三郎と後藤新平の筆による扁額が掲げられた矢岳第一トンネルであろうか。
 

観光列車を駅で撮るなら
発車間際以外は無理ですね
 
観光スポット毎に停車・徐行しつつ、宮崎県の真幸に着く。 この駅は逆Z型のスイッチバック駅で、ここでも運転手が前後に移動してスイッチバック運行をする。 この真幸駅であるが麓より駅前まで道路がつながっており、麓の農家の方々による宮崎の名産品の即売会が行われている。 また、駅名に応じて幸せの鐘が設置されていて、観光客の全てが数珠つなぎに鳴らして行くので、かなり喧しい。
 

観光列車が行ってしまうと
静かな山間の駅に還る
 
だが、この駅は駅名とは裏腹に、土石流災害やSL時代の大事故などの負の歴史が圧しかかっている・・との事である。 この真幸を出ると、山を駆け下ってえびの盆地の端にある吉松に着く。 今の吉松はローカルの一駅でしかないが、かつて肥薩線が鹿児島本線、吉都線が日豊本線と呼ばれていた時は、熊本・宮崎・鹿児島を結ぶ交通の要衝であったのである。
 
運行区間は、この吉松で完全に分断され、吉松~隼人はまた別の列車を仕立てた観光路線として存在している。 それでは、最後の観光区間を乗ってみよう。  吉松を出ると、元祖ループ線(ワテの中では・・)を有した旧国鉄山野線の分岐駅だった駅だ。 山野線が使っていた母屋寄りの1番ホームは現在は封印されている。
 
次の大隅横川は、肥薩線開業時からの木造駅で、築100年を経た国の有形登録文化財として登録されている『重文』駅である。 次の植村駅は、掘っ立て小屋のような傾いた待合室が残る棒線駅。
だが、この傾きかけた待合室も、築100年を経た『重文』級の待合室なのである。 だが、その扱いの差にはかなりのものがある。
 

全く関係ないけど
肥薩線写真のお気に入りを一枚
スンマセン
この区間の写真有りません(涙)
 
次の霧島温泉駅は、元々霧島西口と名乗っていた駅だ。 霧島の起点であるえびの高原へ行くならば、宮崎県側の小林市から入るルートと、この霧島温泉駅のある霧島市から入るルートがある。
時間が許すなら、これよりバスに乗り継いで霧島やえびの高原でアウトドアを楽しむのもいいだろう。
 
次の嘉例川駅も、大隅横川と同じく築100年の『重文』駅である。 比べるとこちらの方が、よりレトロ調で古き良き時代の駅設備が博物館の如く残っている。 この駅を見せる為に、観光目的の特急も停車するようである。
 
次の中福良は、典型的な田舎の無人駅だ。 駅には綺麗に花が植えられて、下車すると周囲の景色と相俟ってほっとするような駅である。 次の表木山は、交換可能の駅舎のない無人駅。 駅舎はあったが取り壊されて、簡易のカプセル駅となったようだ。
 
次の日当山は、雰囲気のいい木造待合室のある駅。 近くには日当山温泉がある。 次は、肥薩線の長い旅を終えて、終着の隼人に着く。 隼人駅は駅舎の駅名看板の左に薩摩藩の家紋の丸十字が掲げられている。 そして、桜島を望んで行き交っていた旧国鉄大隅線の分岐駅でもあった。 だが、途中駅でしかなかったので、あまりこの駅の印象はないのである。

   ※ 詳細は『魅惑の鉄道写真集』より『肥薩線』を御覧下さい。





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No title * by makirin
ご無沙汰しております。^_^;

まるで地元の風景ですね~wwwwww播但線はご存じでしょうかw

ちょうどそんな感じですね^^103系の電車みたい^^

実家の市の駅は無人駅ですがいい感じの駅ですよwwwちょうどこの

写真とそう変わらないかな~wwwwww

今好きなのは こうのとり287系白い車両がいいですwww

新型ですけど 昔のがいいって方も断然多いのですけどww

でも田舎の風景とマッチしてていいんですよね~wwwwww

No title * by 風来梨
こんばんは。 お久しぶりです。

播但線も長閑な雰囲気がありますね。 寺前まで電化したので、ちょっと架線が邪魔ですけど。

また、いろいろいい景色を教えて下さいね。
今日は有り難うございます。

コメント






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No title

ご無沙汰しております。^_^;

まるで地元の風景ですね~wwwwww播但線はご存じでしょうかw

ちょうどそんな感じですね^^103系の電車みたい^^

実家の市の駅は無人駅ですがいい感じの駅ですよwwwちょうどこの

写真とそう変わらないかな~wwwwww

今好きなのは こうのとり287系白い車両がいいですwww

新型ですけど 昔のがいいって方も断然多いのですけどww

でも田舎の風景とマッチしてていいんですよね~wwwwww
2011-10-15 * makirin [ 編集 ]

No title

こんばんは。 お久しぶりです。

播但線も長閑な雰囲気がありますね。 寺前まで電化したので、ちょっと架線が邪魔ですけど。

また、いろいろいい景色を教えて下さいね。
今日は有り難うございます。
2011-10-15 * 風来梨 [ 編集 ]