風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第520回  九重山

『日本百景』 夏  第520回  九重山 〔大分県〕

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九重中岳・久住山と
九重の盟主揃い踏み

   九重山 くじゅうざん (阿蘇くじゅう国立公園)
大分県玖珠郡九重町と竹田市久住町の境界に位置する山々の総称で、個々の峰を示すものではない。
最高峰は九州本土最高峰でもある中岳 (標高1,791m)である。 一般的には、火山群や周辺地域全体を指す時はくじゅう連山(九重連山)、その主峰となっている一つの峰を指す場合には、呼称が同じの久住山 (標高1,787m)も用いている。 また、国土地理院の火山土地条件図では、『くじゅう連山』とひらがな表記になっている。 峰々を取り囲む一帯は、阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。

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見上げる久住山は凛々しく
真に盟主たる峰だ

なぜ、このように同じ呼称の2つの名が生じたかというと、古くから山麓の旧竹田領側に九重山白水寺(法華院)と、旧肥後領側に久住山猪鹿寺の2つの寺院が開かれ、山号を基にした表記がそれぞれの地域に結びつく事となり、九重町では『九重山』、久住町では『久住山』の表記が用いられるようになったからだという。

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久住山より望む
御池と九州最高峰の九重・中岳

国土地理院の5万分の1地形図「宮原」の初版(1903年、明治36年)では、標高1787,9mの嶺峯を『久住山』、星生山や久住山などの嶺峯の総称を『九重山』と表記しているとの事。 山域の統一的な名称については論争があったが、旧直入郡久住町と玖珠郡九重町との協議で、黒岳・大船山・平治岳・三俣山・稲星山・久住山等の山々の総称をひらがな表記で『くじゅう連山』とする折衷案で合意した。

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九重のお勧めは時期は
この花でヤマが
ピンクに染まる初夏の季節だ

これによって、『阿蘇国立公園』にこの地域を加えて改名するに当たって、公園名称を『阿蘇くじゅう国立公園』とする事になった。 また、坊ヶツル・タデ原のラムサール条約への登録名も『くじゅう坊ヶツル・タデ原湿原』となっている。

この山群には数にして10数峰、標高にして1,700m前後の火山体が、東西13km・南北10kmの範囲に固まって存在している。 西部には久住山をはじめとする久住山系の山々が連なり、広い坊ヶツルの草原をはさんだ東側の対面には、大船山を中心とする大船山系の山々が並ぶ。

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絶好の展望所となっている
くつかけ山展望台より望む飯田高原

山々の周囲は北麓の飯田高原と、南麓の久住高原という広大な高原状草原が展開し、放牧場や我が国を代表する温泉郷が点在するなど、西日本屈指の観光地となっている。 また、初夏には『坊ヶつる讃歌』に詠われたミヤマキリシマが、大船山や平治岳の斜面をピンクの斑点で染め上げる。



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九重連山周遊ルート行程詳細図
この地図作成に7時間近くかかっちまったよ

   行程記録 → 『日本百景』の行程表と所要タイムが大いに異なりますが何か?
《1日目》 豊後中村駅よりバス(1:00)→牧ノ戸峠(3:00)→九重・中岳(1:00)→久住山
     (0:40)→久住分レ避難小屋
《2日目》 久住分レ避難小屋(1:10)→スガモリ越(1:10)→三俣山・本峰
       三俣山・本峰より三俣山のお鉢めぐり、三俣山・北峰を通って所要2:30
      ※ 三俣山・本峰から下る踏跡は傾斜がキツく危険なので、南峰からの緩やかな
        ルートを伝っての一周コースの方が断然よい
       三俣山のお鉢めぐり(2:30)→三俣山・南峰(1:10)→スガモリ越
      (1:10)→法華院温泉・坊ヶツル
《3日目》 法華院温泉・坊ヶツル(1:00)→大戸越 (0:40)→平治岳(0:35)→大戸越
     (1:35)→段原(0:35)→大船山(0:25)→段原(1:45)→法華院温泉・坊ヶツル
《4日目》 法華院温泉・坊ヶツル(2:00)→長者原よりバス(0:55)→JR豊後中村駅

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九重山最高峰の中岳より望む
三俣山と平治岳に囲まれた
ヤマのオアシス・坊ヶツル

 《1日目》 牧ノ戸峠より九重山群の山々へ
九州屈指の雄峰群に、久方ぶりに挑んでみよう。 アタックしたあれから四半世紀の時が過ぎ、歳食って身体はヘタれ、以前のようにシャキシャキと歩く事はままならないようになったが、それでもかつての旺盛を極めた時のスタイルである『テント山行』でいこうと思う。

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我が国を代表する観光地の阿蘇・九重で
しかもピンクの花でヤマが染まる時期は
駐車場待ちの心配も出てくるだろう

そして、かつてのように自由にフラっと山旅に出るのも難しくなったので、時を見定めて最高の季節に訪れる事にしよう。 その最高の季節とは、峰々の頂稜部がピンクの斑点で染まる初夏・・、ミヤマキリシマの花が一斉に花開く6月の初旬だ。 なお、この山行記録は、2年に分けたモノを1つにしてるので、途中から掲載写真が違う年の写真になっているので、そこの所は悪しからず。

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ミヤマキリシマの花期の九重は
長者原の1000台収容の駐車場でも
追い付かない位に車がやってくる
※『フォートラベル』より

九重の山めぐりで、ミヤマキリシマが満開となる6月の初旬は、如何に1000台以上の駐車許容のある長者原でも、ハイカーの車で駐車待ちを強いられるケースになると思う。 登山靴で足元を固めたハイカーから、スニーカーは履きのトレッキング、極めつけは街のショッピングモールに繰り出すようなオシャレな靴で牧場めぐりなどをする「歩く気のない観光客」まで、千差万別で押し寄せるのだから。

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三俣山が飯田高原に裾野を下ろす

また、近いとはいえ登山口と下山口が別であるという事も踏まえると、ここはマイカーやレンタカーより鉄道と路線バスを利用した方が得策だろう。 駐車場の空き待ちで時間を潰されるのは、週末登山では致命的な痛手となるのだから。

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湯布院に向かう観光バスより便利な
九重町のコミュニティバス
※ 九重町のウェブより

だが、バスの時刻に遅れると、便数が数本と限られているので目も当てられなくなるので、自身の体力を考えて+1時間は余裕のある行程を組む必要があるだろうね。 なお、久大本線の豊後中村からのバスは町営のコミュニティバスで、1日3往復程である。 また、湯布院に抜ける九州横断の観光バスもあるが、時刻が悪くあまり使い勝手はよくない。

さて、豊後中村からのバスは、平日(週末休みに有給1日を足したので、登山日は金曜日となろう)なら乗り換えアリで、登山基地の長者原や牧ノ戸峠まで運んでくれる。 所要は牧ノ戸峠まで1時間って所だろう。

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牧ノ戸峠に建つレストハウス
※『フォートラベル』より

牧ノ戸峠には茶屋が建っていて、登山者よりトレッキング程度のいでたちのドライブ行楽の方が多いみたいだ。 まぁ、ここまでの到達に時間を食い(週末休みを使っての登山なので、前日に登山口までアプローチする日程増などできないしィ)、登り始めが昼前と登山に適さない時刻となってしまったので、当たり前といえば当たり前なのだが・・。

登り始めが昼前という事で、極力『逃げ』を打てる行程である事も想定しなければならないだろうね。
なぜなら、四半世紀前と違って歳食って身体がヘタっているので、『途中でヘバッてバタンキュー』となる事が大いに考えられるのであるから。

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スニーカー履きの行楽客でも行けるように
展望台のくつかけ山までは
コンクリート舗装されている

水筒に水を補給したら出発だ。 宿泊予定の坊ヶツルまで水場はないので、より多めに水を持参するべきだろうね。 牧ノ戸峠からは、四半世紀前の記憶と同じくコンクリートで固められたゆるやかな傾斜の階段道を標高差にして約170mイッキ登りする。 初夏の日差しが照りつけて暑い。 このコンクリートの坂道を登りつめると、展望が開けたくつかけ山 1503m の頂上サークル上に出る。

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くつかけ山は好展望台で
背後を振り返ると
小国富士・湧蓋山が望める

ここからは、振り向けば飯田高原と湧蓋山 1500m が広がり、前を向けばこれより目指す九重山 1787m と、最高峰の九重・中岳 1791m の緑濃き新緑の峰の揃い踏みが魅られる。 これよりは展望は抜群なものの、遮蔽物が全くない高原状の丘の上を行くので、初夏とはいえ日中の日照りで蒸し焼きとなる。

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登る途中で望む
緑り濃き初夏の九重山

この炎天下での拠り所は、そろそろに姿を魅せ始めるピンクの斑点・ミヤマキリシマが山腹を染め始める景観だろうか。

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このあたりからそろそろ
九重のピンクの妖精
ミヤマキリシマの花が現れ出す

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ピンクの花に影を入れると
色の七変化が楽しめるよ

歳食って身体がヘタっている事に加えて『昼から登山』で、本来なら油を売っている余裕はないのだが、このミヤマキリシマのピンクの斑点が山野を染めているのを目にすると、カメラを向けずにはいられないだろう。 こうして自爆により、更に時間費やしていく。

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庭園状に咲き誇るミヤマキリシマ

やがて、いままで2つ揃って魅せていた片方の九重・中岳が九重山の後ろに隠されてゆき、九重山だけが正面にそびえるようになり、左側に溶岩ドームの星生山(ほっしょうさん)1762m が対峙するようになる。

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初夏のピンクの斑点と
春の萌える緑の斑点とのコラボ

なお、この星生山は1995年の噴火により登山禁止の処置が取られていたが、2002年に解除されたとの事。 余裕があれば登ってもいいが、目指す久住山の方が展望が利くだろうし、身体もヘタってなおかつ炎天下の日差しなので、あえて見送る事にしよう。

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ヤマをピンクに染めて
だが今年は虫食いの為に不発で
花の勢いは例年の1/3しかないらしい

この星生山の手前で道は2手に分かれ、星生山の山裾を伝う右の道が九重・中岳や久住山などへゆくメインルートとなる。 道は火山灰土が積もった灰土道や軽石となった火山石が転がる砂利道となる。

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星生山の溶岩流帯より望む久住山

また、星生山の溶岩流跡では黒くデカイ火山岩の筋となり、これを跨ぎ越えると、すり鉢状となったドリーネが見えてきて、そのドリーネに向かって白い火山岩のガラ場を急下降する。 急下降したドリーネの底に久住分レの避難小屋が建っている。

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かつては白壁が不気味な
荒廃しきりのドラキュラ屋敷だった
久住分レの避難小屋が
こんなに立派になって(涙)
※ 大分県のウェブサイトより

この小屋の四半世紀前は、小屋の前で泊まった事のある大船山避難小屋と同じく、白い壁のドラキュラ屋敷のような怪しいブロック小屋で、中は火山灰土が敷き詰められた土間(大船山避難小屋は更に割れた窓ガラスが火山灰土に粉してあった)で、もちろんトイレなどなく「使えない避難小屋」だったが、今現在は建て替えられて水洗トイレ付きの美しく快適な避難小屋となっている。

ここに荷物を置いて、九重山最高峰の中岳と久住山の揃い踏みを踏破してこよう。 まずは最高峰の中岳。 久住分レの避難小屋から約1時間って所だろう。 ちなみに、久住山は40分って所だろうか。

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星生山から続く噴火跡の
火山丘とスガモリ越に至る南千里

小屋の建つドリーネの壁を外登りすると坊ヶツルへの道を分け、程なく中岳と久住山の分岐に差し掛かる。 中岳は左下に分かれる道を伝い、久住山はそのまま直進して登っていくといい。 中岳へ向かうべく左下に分かれる道を行くと、爆裂火口に水が溜まり池となった御池が青い水を湛えているのが見える。

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エメラルドの水を湛える
神秘の池・九重御池

その右側の池の畔につけられた道を伝っていくと、池を半周周って池を囲む火口壁の上に立つ。
なお、池の左側を半周するルートもあり、コチラを取ると天狗ヶ城という岩ドームを上下して右側ルートと合流する。 この岩ドームは四半世紀前に通ったので、ヘタれた今回は大人しく池の右側ルートを行く事にしよう。

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岩の積み重なりをよじ登ると
九州最高峰の九重・中岳の頂だ

さて、池を囲む火口壁の上に立つと、九重最高峰の九重・中岳まで10分程だ。 溶岩ドーム特有の岩の積み重なりをよじ登っていくと、標高1791mと九州最高峰の中岳の頂に着く。 中岳の頂からは、三俣山が悠然とそびえ、坊ヶツルの青々とした草原と背後にそびえる大船山が一望できる。 しばし、この絶景を前にひと息入れよう。

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九州一の高みから望む絶景で
ひと息着くとしよう

九重最高峰の九重・中岳の展望を楽しんだなら、次は午後の逆光に黒光りする久住山に向かうとしよう。 九重・中岳の岩の積み重なりを慎重に降りて、放棄されて四半世紀前と同じままに荒廃した池ノ避難小屋を見やって、池の右回りルートの1段上につけられたルートをゆく。 コレが中岳と久住山との最短道のようだ。

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バイパスルートはミヤマキリシマの
ちょっとした群落地だった

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ミヤマキリシマの花コロニー

このバイパス道を行くと、中岳と久住山の間の窪みを少し大きく上下して、久住山の中腹辺りに取り付く。 後は久住分レからの道と合流して、標高差100mほど急登して稜線上に出で、稜線上の火山岩の岩コロ帯を跨ぎ越えると、九重山群の盟主とされる久住山 1787m の頂上だ。

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火山岩が積み重なった久住山の頂

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久住山の山頂より
バイパス路の起伏と三俣山を望む

この頂上からは、九重の火山ドームの起伏が一望できるが、午後も時間が経っているのでややくすんでもいるだろう。 それよりも、山麓を望んでみよう。 久住高原の青々とした草原地帯と、九重山の斜面を染めるミヤマキリシマのピンクの斑点・・。 この峰の展望の“推し”は真にコレであろう。

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山の斜面を染めるピンクの紋様と
草原広がる高原風景
久住山のお勧めは真にコレ

でも、時間を見ると、もう午後3時となっている。 計画では坊ヶツルまでゆくつもりであったが、無理していくと到着が6時過ぎとなって、坊ヶツルでの余裕がなくなってしまうし、法華院温泉も入れず終いとなるだろうから、ここは久住分レの避難小屋を一夜の宿とする事にしようか。

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中はものすごくキレイで
快適な避難小屋だ
※ 大分県のウェブサイトより

なお、この避難小屋には水場はなく、こういった時を想定したなら、出発前に水を多めに持参する事が活きてくるのである。 また、お勧めはしないけど、ここで水を得る裏技もあるし・・ね

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久住山は逆光で撮っても
黒潰れとなるので
星生山からの噴火斜面を掲載しますた

それでは、暮れなずむ久住山を見ながら、九重のヤまに抱かれた一夜を結ぶとしようか。

  ※ 続きは、次回『第521回 三俣山めぐり』にて


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金を貯めるって事は如何にムダな
費用を出さない事である
これは金を貯める為に「最善の方法だ」
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悪手である事がしばしばあるのだ

まずは安売りだからと買い溜めする奴は
金が貯まらない奴の典型例なのである
買い物の手間を面倒臭さがって
ハショる事で思わぬ出費となるからである

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全てを捨てるハメとなるのだ
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食欲も湧かず残して捨てるのだ

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