風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第174話  谷川岳 act1 その1 (谷川岳へ)

よも”ヤマ”話  第174話  谷川岳 act1 その1 (谷川岳へ) 〔群馬県・新潟県〕 '97・ 8
谷川岳・トマの耳 1963m、谷川岳・オキの耳 1977m【名峰百選 69峰目】、一ノ倉岳 1974m、
谷川・茂倉岳 1978m

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朝日を浴びて輝く
谷川岳の峰々が魅られる
一ノ倉沢の絶景

  谷川岳 たにかわたけ (上信越高原国立公園)
群馬・新潟の県境にある三国山脈の山で、周囲の万太郎山・仙ノ倉山・茂倉岳などを総じて谷川連峰という。 谷川岳の頂部は2峰に分かれており、それぞれトマの耳(標高1,963m)、オキの耳(標高1,977m)と呼ばれている。 元来この峰は『トマ』・『オキ』の“二つ耳”と呼ばれ、谷川岳の名は隣の俎嵓(マナイタグラ)が名乗っていた。

だが、国土地理院の5万分の1地図の誤記のために、『トマ』・『オキ』の“二つ耳”が谷川岳と呼ばれるようになったのである。 また、横に展開する岩峰・一ノ倉岳などの周囲の山域も含めて『谷川岳』と呼ばれる事もある。

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谷川岳を目指す一般登山者の
ほぼ全てが3時間足らずで頂上に立てる
ロープウェイを利用する
※『エポック社』より

谷川岳は初級者から上級者向けまでの変化に富む登山コースを有し、土合駅からのアクセスがよく取り付きまでに要する時間がさほど長くかからない位置にあり複数のルートが開拓された為に、年間4万人を越える登山者が訪れる。 その一方で、危険個所の多さと急激な気候変化が影響し、遭難者の多い山としても知られる。 一ノ倉沢などの谷川岳の岩場は、その険しさから剱岳・穂高岳とともに日本三大岩場の一つに数えられ、ロッククライミングの聖地となっている。

谷川岳の標高は2,000mにも満たないが、急峻な岩壁と複雑な地形に加えて、中央分水嶺のために天候の変化も激しく、過去の遭難者の数は群を抜いて多い。 遭難者の多くは一ノ倉沢などの岩壁からの登頂によるもので、一般的なルート(天神尾根)はほとんど危険な箇所もなく遭難者も少ない。

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谷川岳遭難者の大半が
この岩屏風の登攀者である

1931年から統計が取られている谷川岳遭難事故記録によると、2012年までに805名の死者が出ているとの事で、これは世界各国の8000メートル峰14座の死者を合計しても637名であり、この飛び抜けた数は日本のみならず『世界の山のワースト記録』としてギネス世界記録に記載されている。 こうした事から、『魔の山』『人喰い山』『死の山』とも呼ばれる事がある。 また、遭難の防止の為に、群馬県谷川岳遭難防止条例が制定されている。



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谷川岳周回ルート・1日目 行程詳細図

   行程表           駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR水上駅より(0:20)→土合駅前(1:00)→巌剛新道入口
      (3:40)→肩ノ小屋分岐(0:05)→谷川岳・トマの耳(0:15)→谷川岳・オキの耳
      (1:20)→茂倉岳(0:10)→茂倉避難小屋
《2日目》 茂倉避難小屋(0:15)→茂倉岳(1:40)→武能岳(0:40)→蓬峠
      (1:10)→新道・旧道分岐(1:30)→JR巡視小屋(0:45)→一ノ倉沢出合
      (1:10)→JR土合駅より鉄道利用(0:30)→JR越後湯沢駅

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最高峰の谷川岳・オキの耳

 《1日目》 巌剛新道を使って谷川岳主稜線へ
谷川岳の東面にある《一ノ倉沢》・《幽ノ沢》・《マチガ沢》などの急峻な谷は、ハーケンの音が響くクライマーの世界だ。 とても、一般ハイカーが行ける領域ではない。 ならば、せめて壮大なスケールの谷を望み、歴々のクライマー達が馳せた登攀の夢を感じとりながらこの山を極めたいものである。

谷川岳登頂には数多くのルートがあるが、この行程では《マチガ沢》を眼下に見下ろしながら登っていく『巌剛新道』のルートを選んだ。 それでは、素晴らしい展望を望みながら“耳二ツ”の谷川岳へ登ってみよう。

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40年前は谷川岳登山者の聖地だった
地上まで486段の『階段駅』・土合
今は『駅降り鉄』さんの聖地となっている

・・谷川岳登山の窓口となるJR上越線・土合駅は、ある事で有名な駅だ。 それは下りホームが、何と「地上まで486段の階段を経た地下の底にある」という事である。 だが、この階段を昇るのがヤマ屋の儀式だったのは遠く40年くらい前の事で、今の土合駅は鉄道ファンや観光客が車で乗りつけて、『486段の階段駅』のみを体験する体験主体の駅となっていて、「鉄道でこの峰に挑むのは皆無」と言われて久しくなっている。

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今は駅前に車を止めた観光客が
体験往復するだけとなってる
地上まで486段の階段駅

それは、現在のJR上越線の運行状況(1日上下5本)では、とても使えたものではないし、実際の始発列車の到着が午前8時過ぎと全く『使えない』からである。 ちなみにワテは、今回の『初めての谷川連峰』は『山旅放浪』の最中であった事から車でのアプローチだが、次回のアタックでは、谷川岳に挑む前の『ヤマの儀式』をやったよ。

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でもワテは次の谷川岳アタックでは
22㎏担いで『486段のヤマの儀式』をやったよ
上り10分切ったよ
(9分2秒←計ってる所が小市民)
恐るべき『奇跡の体力』

なお、行程表は以前は土合駅まで鉄道利用としていたが、これはもう時代にそぐわないっていうか、土合駅下車でこの峰に登るのは不可能に近いので、今時の水上からシャトルバス利用に書き換えたよ。
だが、できればこの行程表のように土合駅で降りて、駅から歩いていきたいものだ。 なぜなら、シャトルバスでロープウェイの乗り場まで行ってしまうと、誘惑に負けてロープウェイに乗っちゃいそうだしィ。 話は反れたが、谷川岳周遊の山旅を始めよう。

・・土合駅から『谷川岳ロープウェイ』の乗場を経て舗装道を約3km歩くと、『巌剛新道』の登山口である《マチガ沢出合》に着く。

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ロープウェイを使わず
正規の登山道を登っていくと
感動の景色を味わえるよ
朝の一ノ倉沢にて

谷川岳本峰まで、ほぼ垂直に突き立っている急峻な岩壁を魅せる《マチガ沢》の全容を眺めたなら、石を積み上げた道標のある『巌剛新道』の登山口へ入っていこう。 登山口に入ってしばらくは、ツガの樹木に囲まれた登り良い道が続く。 やがて《マチガ沢》が近づいてきて、《マチガ沢》を遡行する登攀コースを分けて、左側にそびえる《西黒尾根》の樹林帯の中へ入っていく。

分岐では、足元の岩にペンキで『ガンゴー↑』と指示してあるが、これを見落として沢の対岸にある『マチガ沢登攀コース』のペンキ印につられて、《マチガ沢》に入ってしまうことがあるので注意が必要だ。
道迷いを避ける為、「『巌剛新道』は、いっさい沢を渡らない」と憶えておくといいだろう(今は、ロープで進入を阻止しているようである)っていうか、このタワケは間違ってマチガ沢の途中まで登ってしまったんだよね。

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コレを間違えて滝の下まで気づかないとは
ワールドクラスのタワケっぷりだな

それで降りる時は多少苦労したよ。 登攀装備何もナシの一般登山者のいでたちで岩稜登攀ルートを『一丁噛み』したのだから。 まぁ、当時に保持していた『奇跡の体力』で何とかしたけど・・ね。
今なら、『スーパーオチャメ』になってたかも。

この分岐を過ぎると、樹林帯の中につけられた幅の広い登山道を急登していく。 約1時間位の急登に汗を搾られると、ようやく樹木に切れ間が出てきて、《マチカ沢》の垂直の岩峰と天を衝くような尖峰、そして大きな雪渓より湧き出た水を落とす《マチガ沢大滝》を望む事ができる。 展望の利くこの辺りが、谷川岳とのちょうど中間地点くらいである。 

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正規ルートから望む
段瀑のマチガ沢大滝
そりゃあ下りるのに苦労するわ・・なぁ

ここからつづら折りの登りを3~4度繰り返すと、シラビソなどの背の高い樹木からダケカンバなどの潅木に変わってくる。 登るごとに《マチガ沢》の展望が良くなってきて、更に峻嶮に・・、更に壮大なスケールで天を衝く東尾根の峰々が臨場感大きく迫ってくる。 また背後には、東尾根の尖峰とは対照的に、緑豊かな白毛門が端正な三角錐の容姿を魅せている。 

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端正な姿を魅せる
白毛門が望めた

展望が良くなってから更に急登でつめていくと、これまでの幅広い土道から、稜線直前の岩稜登りへと変わる。 ここからは、簡単ではあるが鎖場が2~3ヶ所続き緊張させられる。 この岩稜を鎖片手によじ登っていくと、《西黒尾根》の稜線に飛び出す。 ここは《ガレ沢のコル》といい、《西黒尾根》通しの道との合流地点だ。 

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臨場感のある本物の眺めは
実際に登らないと味わえない

ここからの展望は、いままで下から見上げていた《マチガ沢》の大きな雪渓が遙か下に見下ろせて、かなり登ってきたことを実感できる。 また、《マチガ沢》の尖峰群が、岩壁を連ねて谷川岳の主稜線につながり迫力満点だ。 一方、西側を見渡すと、緑濃き山なみとロープウェイの施設が見える。 

西側の尾根は総じて緩やかで、東側の《マチガ沢》の大岩稜とのギャップがすざましい。
稜線上からは、岩ガレが積み重なってラクダのコブのような峰を次々と越えていく。 この辺りは浮石が多く、足元に注意したい。 この岩ガレの峰を直登気味に登っていくと、《氷河の跡》と呼ばれる一枚岩のV字溝が現れる。

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肩の広場に建つ
谷川岳・肩ノ小屋
かつては素泊まり小屋だったが
今は食事提供アリの山荘となってる
※ 別の時にスマホで撮影

これを越えて、西側から寄り添ってきた尾根直下の台地よりトラバース気味に斜めに登りつめていくと、《肩ノ広場》と呼ばれる広い稜線上に出る。 ここまで来ると、谷川岳の『耳二ツ』の片側・トマの耳へはあと一息だ。 ものの5分で頂上に登り着くだろう。

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谷川岳・トマの耳にて
腹・・出てますねェ
でもこの時がいつも
コースタイムを1時間は切る
『奇跡の体力』絶頂期だったよ
格言・・『出る腹は最強のダイナモである』

谷川岳・トマの耳の標高は1963m。 もう一方の“耳”・オキの耳には標高で一歩及ばないが、三角点を備えて谷川岳主稜線の中で随一の眺望を誇っている。 岩の積み重なった細長い頂上では、ロープウェイ利用の日帰りハイカーが弁当を広げて思い思いに頂上を極めた充実感に浸っている。 

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鋭く尖った最高峰のオキの耳が
煙るガスで更に鋭角的に魅えた

トマの耳でひと息ついたなら、もう一つの“耳”・オキの耳 1977m に行ってみよう。 こちらは谷川岳最高峰であるにもかかわらず、2つの“耳”をつなぐ吊尾根が嶮しいのが災いして、やってくる人は半減する。 そして眺めも、こちらの方が《マチガ沢》を真下に見下ろせて、より迫力があるようだ。 

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オキの耳から、ハイカーがくつろぐトマの耳をカメラに収めて出発しよう。 ここからは、谷川岳東面屈指の険悪な谷が魅せる鋭い岩稜と岩壁を下に“覗き”ながら主稜線を伝っていく。 主稜線は細く、幅は1mそこそこしかない。 踏み外すと、結果は言うまでもないのである。

そして、特にオキの耳から大きな一枚岩を斜めに下っていく所は、目に入る景色が景色だけに緊張させられる。 この花崗岩の大きな一枚岩を斜めに下ると、西側斜面に移ってハイマツの中をトラバース気味に巻いていく。 これはたぶん、《一ノ倉沢》の中でも最も登攀が困難といわれる《衝立岩》やA~Dの各ルンゼが突き出している所を回避した為であろう。 

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通称《ノゾキ》から眼下に広がる
一ノ倉沢を覗き込む

ハイマツの中の巻道を通り抜けると再び稜線上に出て、東面の鋭い岩稜と岩壁が眼下に広がってくる。
ここは、谷川岳と一ノ倉岳とを結ぶ主稜線の最低部に当たり、通称《ノゾキ》と呼ばれている。
ここからは、壮大なスケールで切れ落ちている《一ノ倉沢》を見下ろすことができる。 実際、そのすざましい威圧感に足が竦み、その名の通り“覗く”のがやっとの事であろう。 

この《ノゾキ》を通過すると、主稜線は一ノ倉岳へ向かって一直線に高度を上げている。
当然、これを急登で乗り越えなければならない。 標高差200m近くの急登と、日本屈指の鋭い岩稜が突き上げている“痩せ尾根”を通過する緊張感が合わさって、かなり疲れる事だろう。 緊張する事によって普段の倍は疲れて登り着いた一ノ倉岳 1974m 山頂は、今までの緊張がウソのようになだらかな草原が茂倉岳に向かって続いている。 

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完全無欠のドラムカンな
一ノ倉沢避難小屋
後に越路のドラムカンに泊まるが
コレより数十倍マシで快適だった
※ 別の時にスマホで撮影

また、この頂上にある避難小屋は、ドラム缶を半分に切って伏せただけの“非難”したくなるような造りの小屋(というか・・本当にドラムカン)であった。 後に小マシなドラムカン小屋の宿泊体験も経験するが、コリはちょっと「使えない」よな。

このドラムカンを見送って草原の中を20分ばかり緩やかに上下すると、茂倉岳 1978m に着く。
茂倉岳からの展望は明日の行程で紹介する事して、眼下に見下ろせる今日の宿・《茂倉岳避難小屋》へ向かおう。 

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この山行をした四半世紀前は
新築小屋だった茂倉岳避難小屋

茂倉岳から避難小屋までは、ものの10分もあればたどり着ける。 この避難小屋は新しく綺麗で、快適な一夜を過せる事だろう。 また、水場も1分下った所・・と、ごく近いのが嬉しい。 

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夕方に近づくと
天気が回復してオキノ耳の
鋭い岩突起が望めた

さて、明日は、東面屈指の鋭い岩稜を見ながら、風にそよぐ草原とお花畑の中を歩く、変化に富んだ魅力あふれるコースを使って下山しよう。

  ※ 続きは、次話の『第175話 その2』にて・・。


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お金ってあればあるほどいいけど
半面人の気力を奪う魔性のモノだよね
なぜなら何でも金の力に
頼るようになるからだ

金のない頃は全ての事で
身体の力でねじ伏せよう
と考える能動的な思考形態だったよな

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でもデジタルと同じで
身近に便利極まる最強アイテムである
お金がたんまりあると
その便利さに溺れてしまうんだよね

このように溺れる事が癖になると
金がなくなった時がヤバいよね
それはかつてあった「身体でねじ伏せる力」も
歳と共に・・であるが廃れていくし・・ね

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だから極力溺れないように
ベンリナモノに頼らない事を
癖づける事が必要だよね
もしかの時に即『ゲームオーバー』に
陥って潰れない為にも

身近な所では全てをパソコン検索しないで
辞書や地図を使って自らの手で調べる事や
記憶力を高める為に暗記をする事
アナログ機構を使って想像力と
捜索力・分析力・決断力を磨くって事だね

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そして粘着質にならない事
なんたって粘着質な奴は
脳卒中のリスクが高いらしいしィ
でもコレって結構ムズかしい

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でも最大は自分の力や思考力といった
自らの力を使って枯渇させない事だよね
昔の金が無かった頃に比べて
歳のせいもあるがバイタリティーと
パフォーマンス力が激減した今に思う事である



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