2022-05-25 (Wed)✎
『路線の思い出』 第488回 白糠線・上茶路駅跡 〔北海道〕
40年近くの時をかけて
自然に還ろうとする上茶路駅ホーム
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度(’79) / 営業係数(’83)
白糠~北進 33.1km 123 / 3077
廃止年月日 転換処置 廃止時運行本数
’83/10/23 白糠町営バス 3往復
現役時の上茶路駅舎
:
かつては年間の石炭輸送
10万トンを捌く有人駅で
立派な駅舎があった
上茶路駅(かみちゃろえき)は、かつて北海道白糠郡白糠町上茶路にあった国鉄・白糠線の駅(廃駅)である。 白糠線の廃線に伴って、1983年10月23日に廃駅となった。 廃止時点で、島式ホーム片面使用の1面1線を有する駅であった。 その他、貨物取扱の名残である側線を有していた。
列車が行き交った時は
駅は確かに生きていた
1983年の路線廃止年の時点で駅舎側に3本の側線があり、うち2本は駅舎とホームをつなぐ構内踏切の部分のみ撤去されており、残り1本は踏切手前までの敷設であった。また、転轍機は全て外されていた。
ホームは線路の東側(北進方面に向かって右手側)に存在し、上屋を有していた。
車で委託販売者が販売に来ていた
上茶路から北進への硬券の乗車券
無人駅となっていたが、有人駅時代の駅舎が残っていた。 乗車券類は簡易委託化されており、廃止時まで委託者が自家用車で駅に乗り着けて販売を行なっていた。 1981年度の1日乗降客数は3人との事。
路線廃止後は軌道自転車を使った
遊戯施設として利用された事もあった
※『北海道・ローカル線の旅』より
朽ちるに任せたホーム上屋と
軌道自転車施設の運用時に
レプリカとして設けられた駅名標が
破損した状態で残っていた
ホームの上屋は残存しているが朽ちるに任せ、駅名標は軌道自転車施設としての運用時に設置された字体の違うレプリカ駅名標が破損した状態で残っている。 線路の一部(駅構内及び構内から上茶路跨線橋附近まで)は信号機や駅前広場が残存し、軌道自転車も放置されていた。
路線往時の駅名標はコチラ
駅舎も廃止後20年ほど残存したが、2004年頃に解体されている。 駅舎内には信号操作盤も残されていた。 ホームの周囲にも木が茂り、林の中に還りつつある状況である。 軌道自転車は、2011年に新得町の新内駅跡にある狩勝高原エコトロッコ鉄道に移譲された。
元は上茶路坑からの運炭道
酷道マニアが一目置く
『道道665号・上茶路停車場線』
駅前広場と国道392号の間の50mほどは、『北海道道665号・上茶路上茶路停車場線』によって接続されている。
夏は草木が伸びて
駅への道は判別不能となっていた
:
ぢ・つ・わ・・訪れたものの
駅跡を発見できずに通り過ぎた事が
2回程あったりして
※ ウィキペディア画像を拝借
だが、この区間は幅2メートル程度の未舗装路で路面に草木が生い茂り、国道側からの接続地点には駅の入口を示した道路標示等がなかった。 道道に入って左側へ数mの地点に道道665号の標識があるが、国道側から見ると木に隠れており極めて判別しにくい状況である。
廃業で放置され草原となった
『上茶路青少年旅行村』
駅付近は荒地・雑木林が広がる他は、目立つ人工物は国道392号と道道665号の接続地点に建物が1軒あるのみである。 この建物は、元『上茶路青少年旅行村』の管理者の居宅である。
この駅でナシナシ駅寝をした朝に
撮ったワテ生涯きってのお宝写真
我が青春のローカル線・白糠線の中心駅・上茶路駅の跡は、路線廃止から大方40年近くが立ち、かつての施設は全て自然に還りつつある。 その力はコンクリートをめくりあげ、鉄に絡みつき、かつて雄別炭鉱・上茶路坑の炭鉱町として人口1万人以上を抱えた地が、今や現存する人が居住する建物は、元『上茶路青少年旅行村』の管理者が経営する工房以外になく、他は酪農倉庫や厩舎のみである。
炭鉱街として栄えた時は
居住人口が10000人を数えた
※『廃墟・雄別炭鉱』より
そして、人口1万以上でパチンコ屋や映画館・遊郭さえあったという炭鉱街も、建物すら見当たらない原野となっている。 その凄しいギャプは、パラレルワールドにでも入り込んだような錯覚さえ覚える。
人口1万人が町ごと忽然と消えるのは
ダムで沈む以外にはないと思っていた
※『廃墟・雄別炭鉱』より
それを例えると、人口1万の街が忽然と消えたようなものだからだ。 更に例えると、白糠線のあった白糠町規模の町が人口ごと、更に建物ごと忽然と消えたという事なのである。
路線往時は国道以外の道は
全てダート道だった
道すがらには牧場の厩舎があり
放牧地へ牛が道を渡るシーンが見られた
そういえば、白糠線在りし時にお世話になったおばあさんの商店は跡形もなかったなぁ。
牛が放牧場から厩舎に帰った際に通ったダート道も舗装道路となって、厩舎も見当たらなかった。
ただ、白糠線跡の線路を外された鉄橋がたたずんでいたのみだった。
レールを外された
橋梁がたたずんでいた
この鉄橋に列車が行き交っていた時
原野は全て背丈より伸びた草木に覆われ、まだ白い輝きを残す白糠線のコンクリート支柱が不自然に目立っていた。 そして、元は道道上がりでナンバーも『酷道』が潜む300番台後半の国道392号線も、高規格道路並みに整備されて今や車が100km/hでぶっ飛ばす道となっていた。
無料区間となった道東道の
白糠インターチェンジ
:
真っ先に廃止淘汰された所が
今は札幌・帯広・釧路への
交通の要衝となっていた
※ ウィキペディア画像を拝借
更に言えば、下手の次の駅・縫別の前には、『道東自動車道』が建設されてインターチェンジが設けられている。 即ち、日本一の赤字線で日本で2番目に輸送密度が低くて、国鉄が定めた廃止指定年月日より早く、廃止指定線のトップを切って廃止となった白糠線の沿線が、この『道東自動車道』のインターチェンジが設けられた為に、釧路方面は元より帯広・千歳・札幌方面へ向かう玄関口となる重要な位置づけとなったのである。
だが金を取れる程に通行量はなく
建設費の回収ができない所か
他の交通機関を窮地に追いやるだけの
『壮大なムダ』となっていた
※ ユーチューブ『無料区間をゆく』より
でも、鉄道が真っ先に廃止になるような所で、この高速道路とて金を取る程の通行需要はなく、本別から釧路側は無料区間となっている。 正直言うと、建設費の回収もままならない壮大なムダである。
そして、この道東道の帯広以遠がなくても、高規格整備された一般国道を伝えばそれほど時間の浪費もなく釧路へ行けるし、既に開通して運用している既存の交通手段を、ただでさえ需要が少ない地域での共倒れから守る事ができるのだ。
その既存の交通手段とは、もちろん鉄道の在来線である。 だが、『整備シンカンセン』でも判る通り、この国の政治屋共は建設業が生み出す利権を第一に考えている。 だから、開催すれば感染爆発となる事必至と世界の研究機関が警告を発する中で、『利権第一』『一部の選ばれた奴らの欲望第一』で開催した東京五輪によって、日本の国は感染爆発&経済衰退の大損害を被ったのだ。
帯広~釧路のバイパス線として
特急の高速運行も想定された白糠線は
廃止線のトップを切って廃止された路線の
施設とは思えぬ高規格の路線だった
それは、かつての鉄道建設も『鉄建公団』という利権集団のいいなりとなって建設を続けた結果が、廃止ローカル線問題と言っても過言ではないが、鉄道は鉱山から産出された鉱石輸送や貨物輸送など必要に迫られて大いに役に立った時期があり、利用者である地域に住む住民、即ち国民も整備・拡充を望んでいたのである。
大赤字で廃止となったこの白糠線は
運炭という必要に迫られて建設されたが
『整備シンカンセン』は
開業しても始めから赤字必至で
地域住民の誰も開業を望んでいないのだ
だが、今の『整備シンカンセン』や無料区間となる程の原野地帯に建設する高速道路は、地域に住む住民・・、即ち国民の誰も整備・拡充を望んでいないのである。 こんなのを建設するムダをする位なら、税金を1人1000円でも下げてもらった方がよほど有り難いのである。
1日の運行が僅か3本・輸送密度123人/日・
営業係数3077の『日本一の赤字線』白糠線と
現在の鉄道路線と比較すれば
白糠線は大して目立たぬ存在になる程に
鉄道全体が衰退していた
だが、『利権第一』でムダを推し進めた結果、鉄道は崩壊状態となり、日本一の赤字線で日本で2番目に輸送密度が低くかった白糠線の輸送実績(123人/日・営業係数 3077)は、現在では全国で10番目位のレベルになっている。
また、『本線』を名乗り地方都市である紋別も通っていた名寄本線の輸送密度はJR全路線の中位よりちょっと下くらいとなって、「名寄本線を廃止するなら、より業績の悪い山陰本線や土讃本線の閑散区間も廃止対象となる」ような矛盾状態となっている。 この事は文句をつければキリがないので、『我が青春のローカル線』の思い出に浸る事にしよう。
廃業放置された『上茶路青少年旅行村』
内にたたずむ野鳥観察小屋
※『白糠町営キャンプ場』のウェブサイトより
かつての炭鉱住宅跡の敷地を利用した『上茶路青少年旅行村』はとっくの昔に閉鎖され、かつての施設は自然のままに放置されていた。 そして、青春時代を謳歌した上茶路駅は、自然に還っていた。
その偉大かつ壮大な力に怖ささえ覚える。
樹々がコンクリートの
ホームを包み込みあるいは突き破って
繭状に同化しようとしていた
それは、樹々がコンクリート製の駅ホームを取り囲み、あるいは突き破って繭の如く包み込んで、元にあった状況に戻そうとしているのである。 それは、自然の力が魅せる『輪廻転生』そのままの姿である。
途中でブッタ斬られた
コンクリート橋の軌道面には
植物が自生し始めていた
線路を撤去されたコンクリート軌道の軌道面は、下地がコンクリートであるにも関わらず、草木が芽生え始めているのである。 恐らく、長年の放置で空気中のチリや埃が橋の上に積もって土となり、その上に草木の種が飛来して植物が自生し始めているのだ。
かつて駅舎があった跡地は
蓮のような植物が
生い茂る湿地となっていた
駅舎が撤去された跡地は、蓮のような植物が生い茂る湿地となるなど完全に自然に還っている。
もう、遺構としては残っているものの、鉄道が通っていた跡という概念は薄れて消えつつあるね。
その思い出が自然に還って消失する切なさが頭に浮かんで、しばし呆然とたたずんでいたよ。
人員整理や契約打切りなどの
会社都合で解雇された者の為にある
失業保険などの公的支援
これは「仕事が嫌だ」
「雇われて命令されるのが嫌だ」
「会社や会社に従順な奴らが
自分達技術屋をスポイルした」
「外国資本によってIT関連会社は潰れればいい」と
自身を干す勤め先を逆恨みし
「使えないから会社に干されている」
自身を省みようとせずに
努力もナシに『FIRE』を目論む
呆れた理由の自己都合退職者には適用されない
これをウソで偽り公的支援をせしめたら
全て不正受給案件となる
しかも「再度就業する気は全くない」
という悪意ある不正受給で
これは罪が一等重い『給付金詐欺』となる
これは仕事を探す者全てに
対しての敵対行為であり
また働いて税を払う全ての
労働者に対しても敵対行為となるからだ
例の『FIRE』を目指すオッサンは
嬉しそうに働かないで公的給付金を
せしめる算段を語っているが
要するに『FIRE』を実行したなら
全ての公的支援を受ける事ができないのである
それどころか必ずこの言動は
給付先である関係機関に
筒抜けとなりブラックリスト指定され
申請した途端に門前払いとなるだろう
働かず努力もせずに
世間への逆恨みだけを原動力に
公的援助をせしめようとする奴には
必ず世間をナメた事への報いがあるのだ
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