風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第167話  宮之浦岳

よも”ヤマ”話  第167話   宮之浦岳  〔鹿児島県〕  '97・5
宮之浦岳 1936m(2001年に1m高く標高改定)【名峰百選 66峰目】、屋久・栗生岳 1867m

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永田岳の仏面岩付近より望む
屋久島及び九州最高峰・宮之浦岳

  宮之浦岳 みやのうらたけ (屋久島国立公園)
鹿児島県の屋久島中央部にそびえる山で、海上から屋久島を望むとこの峰を頂点とする中央山岳部が洋上アルプスの如くそびえ立つ様が望める。 標高 1,936 mで、屋久島の最高峰であり九州地方の最高峰でもある。 なお、九州本土の最高峰は、大分県の九重連山・中岳で標高 1,791mである。 山域はユネスコによって、世界遺産の『屋久島』として登録されている。

一等三角点を持つ峰で、関西以西では四国の愛媛県の石鎚山 1,982 m・徳島県の剣山 1,955 m に次ぐ西日本第3の高峰である。 山名の由来は、益救神社の建つ湊の集落が宮之浦と呼ばれるようになり、宮之浦集落の山岳信仰(岳参り)の山として登られた事からとの事である。

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宮之浦岳の頂上付近より望む
荒々しい岩塔を
突き立てた屋久・永田岳

熊毛郡屋久島町内にあり、永田岳 1,886 m・栗生岳1,867 m とで、屋久島三岳と呼ばれている(栗生岳ではなく黒味岳を屋久島三岳とする例もある)。 1,000万年以上前に地殻変動によって隆起したといわれており、主に花崗岩で形成されている。

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宮之浦岳と黒味岳の揃い踏み

屋久島ではモッチョム岳・愛子岳など麓より見える山を『前岳』、麓より見えない山を『奥岳』と呼んでおり、宮之浦岳は奥岳の1峰に数えられている。 屋久島の最高峰で麓から急激にせり上がる為か、最も海寄りの永田岳を除いて奥岳の峰々は海岸沿いの人里からはその姿を望む事ができず、山の上か海上からしか望む事ができない。

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蕾を膨らませる
ヤクシマシャクニゲ
※ ウィキペディア画像を拝借

地質は花崗岩からなり、山上では侵食された奇岩が多く見られる。 植生の分布は、標高約1600m以上の山頂部ではヤクシマダケ(ヤクザサ)にヤクシマシャクナゲ・アセビ・ミヤマビャクシンなどが点在する風衝草原で、その下に屋久杉・ヒメシャラなどの樹林帯が広がっている。

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宮之浦岳の標高は長年
頂上標柱の立つ
三角点の1935mだった
※『360@旅行ナビ』より

長年、宮之浦岳の標高は 1,935 m とされ、屋久島島内では「いつも(1)曇って(9)見えんで(3)ござる(5)」との語呂合わせで覚えられてきたが、2001年に国土地理院が標高を測量した結果、それまで最高地点としていた三角点より、南東へ約5.3m離れた岩盤の上が最高地点である事が判明した。 これに伴い、同年12月から宮之浦岳の標高は 1,936 m に改定される事となった。

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エメラルド色の清水が流れる淀川
この川も名水百選の
『屋久島宮之浦岳流水』の1つだ

「1ヶ月に40日の雨が降る」と云われる屋久島の山間部の年間降水量は、10000mmを超えると推測されている。 実際に屋久島の山岳の東側中腹のヤクスギランド(標高1000m)や淀川登山口(標高1380m)では、年間10000㎜以上の雨量がしばしば観測されている。 その一方で標高1831mの黒味岳山頂付近ではやや少なく、年間5000-6000mm程度の降水量が観測されている。 宮之浦岳を含む屋久島を流れる河川は1985年に『屋久島宮之浦岳流水』として名水百選に選定されている。



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屋久・宮之浦岳周回ルート詳細図

   行程表          駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 鹿児島港・北埠頭より航路利用(3:45)→屋久・宮之浦港よりタクシー
     (0:45)→白谷雲水峡(1:10)→白谷小屋
《2日目》 白谷小屋(1:10)→軌道出合(1:15)→大株歩道(0:30)→ウィルソン株
     (1:30)→縄文杉(0:10)→高塚小屋(1:00)→新高塚小屋
  ※ 大雨に降られて新高塚小屋で1日停滞アリ
《3日目》 新高塚小屋(2:10)→平石ノ岩屋(0:30)→焼野三叉路
       焼野三叉路から永田岳・往復所要約1時間30分
       焼野三叉路(0:30)→宮之浦岳(1:30)→黒味岳分岐・黒味岳往復 所要約40分
       黒味岳分岐(0:10)→花之江河(1:20)→淀川小屋
     (0:50)→淀川登山口よりタクシー利用(1:00)→安房バス停よりバス
     (0:45)→栗尾橋バス停(0:30)→青少年旅行村〔キャンプ場〕
《4日目》 青少年旅行村(1:00)→大川ノ滝(1:00)→青少年旅行村
     (0:30)→栗尾橋バス停よりバス(0:15)→湯泊バス停・湯泊温泉
     (1:10)→屋久・宮之浦港より航路利用(3:45)→鹿児島港・北埠頭
  ※ 前話『第166話 屋久・永田岳』の続き

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永田岳の頂で洋上アルプスの眺めを
心ゆくまで堪能したなら
屋久島最高峰・宮之浦岳へ向かうとしよう

永田岳の頂上でそよ風に吹かれながら心ゆくまで眺めを堪能したなら、荷物のデポってある《焼野三叉路》へ戻ろう。 なお、永田岳の往復は、眺めた感覚よりかなり時間を食うのである。 頂上でくつろぐ時間を含めて、往復で2時間近くの時間を見ておいた方がいいだろう。 なお、《焼野三叉路》に戻り着いた時間が10時半を超えていたなら、安房バス停まで下りきるのはムリで淀川小屋で宿泊、つまりもう1日日程が間延びしかねない事を把握しておこう。

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多くの水蒸気を含み
神秘的な靄が掛かる宮之浦岳

《焼野三叉路》に戻って荷物を回収したなら、いよいよ【名峰百選】のしんがりを締める名峰・宮之浦岳の頂上を目指す。 《焼野三叉路》より岩ガレの中を30分ばかり登ると、花崗岩の庭を形成する宮之浦岳 1935m の頂上だ。

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恐らく標高を1m上げた岩塊で
アリバイ写真おば・・

頂上からは、山肌に突き刺さる岩々が奇抜な容姿を象る永田岳や密かな大瀑・《龍王ノ滝》、広がる草原の裾野、海辺に寄り添う街など、『屋久島』の全てが見渡せる。 しばし、この素晴らしき眺めを味わおう。

宮之浦岳より望む
奇怪な容姿の永田岳
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対峙する永田岳は
ゴツゴツの荒々しい岩峰

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対する宮之浦岳は
穏やかで女性的な草原の山だ

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永田岳を目にした時点で
〔名峰次選〕選定を決めたよ

さて、下山は、ここから南下して日本最南の高層湿原・《花之江河》に立ち寄って、《淀川登山口》に下りるルートを辿ろう。

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宮之浦岳でも洋上アルプス
たる眺めが広がっていた

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栗生岳の先までは
穏やかな傾斜の下降だが

宮之浦岳から栗尾岳 1867m までは勾配の比較的緩いザラ場の下りだが、栗尾岳を境に急下降が始まる。 200m程イッキに下って、《淀川口》からの登りでは最終水場となる《小揚子沢》の源頭を渡る。

ここからは、沢の流水で常に濡れた岩をトラバース気味に伝っていく。 このトラバースは転落する程の高度ではないが、濡れて滑りやすい上に足場が細くイバラの根が所々に絡んで歩き辛い。 『花之江河まで4km』の標識を見る辺りから荒れた涸れ沢や樹林帯が絡むようになり、樹木の隙間を縫うように下っていくと、《投石ノ岩屋》がある《投石平》に着く。

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硫黄ガスで粉状に食されて
触ればボロボロと崩れる南沢の岩
長居すると有毒ガスの中毒になるやも

この辺りは河原状を成していて、南沢の源頭が奇怪なツガワラの湿原を形成していた。 この辺りは何らかの硫黄化合物を含んでいるのだろうか・・、岩は所々黄色の粉状に食されて触ればボロボロと崩壊する。 当然、ツガの樹木も、立ち枯れて白骸化した“ワラ”となるのである。

『屋久島』の沢で唯一「飲みたくない」この沢を渡り、簡単なロープやハシゴのついた道を細かく上下しながら下っていく。 やがて、下り着いた丘の上に『黒味岳』を指示する道標を見るだろう。
ここが黒味岳 1831m 分岐である。

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裏の屋久島三岳と云われる
独特な岩塔をもたげる黒味岳

黒味岳へは、往復で40分位である。 下山にかかる時間を考慮して、また自分の足と相談して往復するかどうか決めよう。 黒味岳へは、取り立てて変わった道でもないので割愛する。 この分岐から板敷の階段を10分ばかり下っていくと、日本最南の高層湿原・《花之江河》である。

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我が国の高層湿原の
最南端と云われる花之江河

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花之江河は特別天然記念物に
指定されているので木道が整備されている

五月末の花期ならば、ヤクシマシャクナゲやヤクシマホシツツジ・マイヅルソウなどの花が咲き乱れるとの事である。 しかし、現状では池塘原が乏しく、やや迫力不足である。

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だが湿原の状況は400m先の
小花之江河の方が魅せられる

写真映像を求めるなら、この400m先の《小花之江河》の方が“モノ”になるだろう。 《小花之江河》は小ぶりながらも山上庭園を成しており、杉やツガの巨木が池塘に映し出されて絵となっている。

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見渡せばヤシオツツジのような
白い花がチラホラと咲いていた

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流水が蛇行して
池塘を形成していく

これからは、完全に整備された下り道をひたすら下っていくのみである。 そろそろこの辺りで、下山した後の事を考えておくべきだろう。 それは、《淀川登山口》からの“足”の問題である。 作戦としては、できるだけ下山者の一団にくっついていこう。 これは「あわよくばタクシーの便乗を狙う」という、ややセコい作戦である。 しかし、この作戦の失敗は3時間の林道歩きの上に、日程が1日延びる(3時間歩いて《ヤクスギランド》15:01発はまず間に合わないだろう)事となるので、大変重要な作戦!?だ。

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エメラルドに光る淀川を渡ると

駆け出したくなるようなダラダラした下りを1時間強歩いていくと、エメラルド色に光る《淀川》を渡り、その畔に建つ《淀川小屋》に出る。

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宮之浦岳への最短ルートで
屋久島の小屋で
最も人気がある淀川小屋

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小屋内部も有人小屋同様の
豪勢な造りだ
※ 上下いずれも『360@旅行ナビ』より

宮之浦岳のみを目指すなら、この《淀川小屋》を基点にしていくと1泊2日で登頂可能だ。
現に、このプランで登る人が最も多いと聞く。

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冷たい淀川の清水で
喉を潤したなら残るは
下山口までラストスパートだ

冷たい《淀川》の水で力をつけて、登山口まであと40分を急ぎ足で下っていく。 やがて、何でもない所からタクシーの待つ林道に飛び出るだろう。 得てして、長距離を歩く山旅の終わりは、このようにあっけないものである。

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9時間に及ぶ長い行程も
あっけなく下山口に飛び出て終わる

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今は舗装されて駐車場まであるのね
昔は密林の中の
荒れた空き地だったのに
※ 上下2枚いずれも『好日山荘』のウェブサイトより

後は、タクシーで約50分で《安房》の街へ・・。 《安房》からは明日の《大川ノ滝》を目指すべく、バスで終点・《栗尾橋》へ向かう。 今日は疲れてさすがに宿を取りたい所だが、シーズン中に飛び込みで宿が取れる程甘くもなく、また宿を予約して予定通りに登ってこれる程登山は甘くない。 結局は、キャンプ場での一夜となるだろう。 明日は、『名瀑百選』にも選されている《大川ノ滝》を見て、『屋久島』を後にしよう。

  ※ 続く行程は、次話の『第168話 大川ノ滝』にて


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大阪の行政を牛耳っている維新だが
ハシゲや現知事の吉村など
TVメディア露出による人気に胡坐をかき
大阪の行政を食いモノにしている節がある

その最たるものが『大阪都構想』だった
「都構想で大阪市を廃止し
現状にある24の区を4つの特別区とし
行政権限と税の収納権を大阪府に謙譲する
二重行政の解消及びスリム化政策」としているが

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真実は大阪市の税収の6割に及ぶ財源と
権限を大阪府知事への無償献上という
維新による大阪行政の私物化だったのである

この劣悪な大阪の私物化は良識ある
大阪市民によって看破されたが
共産党や在日チョン野党が
党利党略で都構想に反対した為に
思考が歪められて危ない所だったよ

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だが維新はどうしても大阪を私物化
したいらしく住民投票で1度廃案となったのを
再度土俵〔住民投票〕に上げたりしたが
これも良識ある大阪市民によって破棄された

その後も維新は「大阪都構想は断念した」
と言いながら「大阪市民の半数近くは
都構想に賛成した」として『一元化条例』で
大阪市の財源2000億円を
大阪府に無償献上する事を取り決めたのだ

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そして広域行政に関わる財源の
2000億円を大阪市よりぶん取って
したい放題をしてるようだ

まずは学校の統廃合だ
大学のように学生が成人の場合は構わないが
小・中学校は生徒である児童の
登校に要する負担増
即ち親世代の養育負担が増えるのだ

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まぁ学校の統廃合は
教師要員の不足という問題の解決には
一役を担っているので考え所だろうけど

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だが維新は大阪の緊縮財政を手掛けるより
まずすべき事があるだろうが!
それは『大阪都構想への移管準備費用』・・
廃案で無駄となった市税110億円の弁済だろう
これを弁済せねば大阪行政に携わる資格などない!









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