風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第507回  冬に幻となる橋

『日本百景』 冬  第507回  冬に幻となる橋 〔北海道〕

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幻の橋は冬の凍結した湖を護る
龍の化身となっていた

  タウシュベツ川橋梁 たうしゅべつがわきょうりょう (北海道遺産)
北海道上士幌町の糠平湖にある、路線廃止となった旧国鉄士幌線のコンクリート製アーチ橋で、糠平ダム竣工で人造湖の糠平湖が形成される前に通じていた士幌線の旧線(路線付け替え前)に架かる鉄道橋跡である。 名称に関しては『川』を省略しタウシュベツ橋梁と称されるが、鉄道橋としての本来の正式名称ではなく、また上士幌町や保存会も正式名を継承している。

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凍結した湖面に堤体の影を
魅たさにムリヤリ訪れたが
冬はそれがムリだと判った

アーチ橋構造で、よく晴れた風のない日には湖面に橋が映ると眼鏡のように見えるので『めがね橋』の別名を持つ。 古代ローマの遺跡を思わせるその姿は周辺の景色とも調和し、最初の『北海道遺産』に選定された『旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群』の1つに含まれる。

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幻の橋の冬は湖の守護神として
何人も近づけないオーラを放っていた

元々は、国鉄・士幌線(1987年廃線)が1939年に十勝三股駅まで開通した際に、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられた橋である。 上に記したように、1955年に水力発電用の人造ダム湖である糠平ダムが建設され、橋梁周辺が湖底に沈む事になった為に、士幌線は湖を避けるように新線に付け替えられた。 その際に橋梁上の線路は撤去されたものの、橋梁自体は湖の中に残される事となり、現在までその姿を留めている。

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湖の水位の変化で
古代ローマ遺跡となったり
カムイミンタラを護る
龍の化身となったりする

糠平湖は人造湖であり、季節や発電によって水位が劇的に変化する為、橋梁全体が水没してしまう時期もあれば、水位が低くなって橋梁全体が見渡せる時期もある。 その様子から、『幻の橋』とも呼ばれる。



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夜明け前のグラデーションに
溶け込む幻の橋

   行程表          
上士幌町・糠平より車(0:20)→丸山橋〔糠平湖東岸林道入口〕より約4km・徒歩で所要約1時間でタウシュベツ川橋梁入口、入口より200mほどで糠平湖とタウシュベツ川橋梁前に出る

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今回の記事内容は限りなく
「やめといた方が無難」でっす

糠平市街に鉄道記念館があり、士幌線の説明資料や他の橋梁についての情報があるので、事前知識を仕入れてから行くのも有用だろう。 また、現在は危険防止の為に林道入口にゲートが設けられて施錠され、車は進入できない。 まぁ、冬季は除雪されていないので、車は通れないけど・・。

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だが『バカ』をしないと
魅る事が叶わぬ情景があった

また、今回のような行動は観光目的で北海道に来た旅人が取る行動ではなく、かなりの身の危険が伴うので、やめた方が無難である事を念頭で記しておきたい。 また、夜明けの秘境を行くので、前夜は《糠平温泉》まで進んでおく事が必須となる。

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だから『バカ』をするなら
自己責任で・・って事で

《糠平温泉》は温泉地で「ひと風呂浴びる」には都合がいいが、温泉ホテルに泊まってしまうと翌朝夜明け前の行動が不可能=夜明けの情景を追えなくなるのである。 従って、車の中で夜を明かすしか手はないだろう。 なお、《糠平温泉》にある『ひがし大雪記念館』前の駐車場には凍結防止の為の暖房付きの公衆トイレがあり、車寝するには都合がいい。 でも、車の中は氷点下10℃前後になるので、これもやめた方が無難である。

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タウシュベツ橋梁に続く
旧線路の敷設跡の軌道道

そして、翌日の日の出前の天気は快晴の星空である事が必須条件となろう。 それは《三国峠》越えの国道273号が、吹雪くと通行止となるからである。 道が通行止となると、その時点でこの計画は“ポシャる”のであるから・・。

翌朝は夜明けのはるか前の4時に《糠平温泉》を出る。 広い道だか無人地帯で街頭一つない国道273号線を10数km進むと、《糠平湖東岸林道》の入口である《丸山橋》に着く。 前述のように、この林道を100m入った先にゲートがあって施錠されていて、車はゲート前の除雪車転回場までとなる。
ここからは徒歩で歩いていくしかない。 なお、言うまでもなく付近はヒグマの生息地である。

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真冬は一般旅行者は生命の危険を
伴うって事で一切解放されてない

なお、一般的なタウシュベツ橋梁の見学は冬季は実施されておらず、もちろん林道も解放されておらず除雪もされてない。 現状のタウシュベツ川橋梁の見学は、NPO『東大雪アーチ橋保存会』の主催する見学ツアー(ツアー参加には《糠平温泉》にある宿での宿泊が必須となる)に参加して、主催者側がチヤーターした車(ゲート通過の許可を得た車)で向かう以外に方法はないようだ。

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林道は月灯りの中の
この状況って感じだ
※ 林道に並行する旧線路盤跡

《タウシュベツ橋梁》までの残り4kmは、林道を夜明け前に歩いていく事になるのだが、この地域は猛烈に寒いものの積雪はそれほどになく、積雪は1m位のようである。 《タウシュベツ橋梁》での夜明けが魅たいので、5時前後には歩き始める。 外は真っ暗・・というほどではなく、雲間より月明かりが差し込んでいた。 気温は氷点下20℃近くまで下がっている(日の出後に確認したら氷点下18度だった)ようだが、気が入っている事もあってあまり寒さは感じなかった。

後は、延々と月明かりの中歩くだけだ。 時折監視の車が通るのか、林道には轍が掘られてあって迷う事はない。 そして、轍は通った車の車重で踏み固められていたので、ズボズボとハマる事もない。
好条件の中で快調に歩き続けた・・ハズなのだが、なかなか4kmは手強く、『タウシュベツ入口』とある掛札の分岐に着いた頃には、6時と空はもう明るくなりかけていた。 北海道は緯度が高いので、冬でも夜明けは6時半頃なのである。 もっとも、日没も4時過ぎと滅法早いが・・。

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ラッセルで湖岸に出ると
橋の姿はなく湖に潜む龍がいた

そして、最後の200mをラッセルしながら突き進むと、厳冬の神秘がそこに・・「ほとんど雪に埋もれていた」。 真に『まぼろしの橋』だった。 ほとんど湖の減水が行なわれていないようで、予想以上に埋もれていていた。

夜明け前に魅た
奇跡のグラデーション
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湖の龍の化身と化した
『幻の橋』が護る
カムイミンタラの山々

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龍となった橋の途切れた尖先と
カムイミンタラの山々

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その情景は真にカムイミンタラ
(神遊びの庭)だった

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夜明けの時が近づき
グラデーションで黒い影だった
白銀の山が姿を現し出す

バラ色に膿んだ脳ミソ(バラ色に膿まなきゃ、こんな事しないだろうしィ)に、「アーチの間から初日の出の斜光・・(これ行ったの正月)」などと『薔薇色の汁』を浸していたのだが・・。 まぁ、目論みは半分以上達成できなかったが、せっかくきたのだからこのような状況も「良し」として撮りまくる事としよう。 それでは、その結果をごろうじろ。

『幻の橋』・・日ノ出の情景
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湖を護る龍の化身となった
『幻の橋』の背後から日が昇る

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その情景は神懸かっていた

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日を背後にすると
剥き出しとなった鉄筋が
龍の角のようだった

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この情景を目にして
この橋は列車を通す為でなく
この姿を魅せる為に存在したと思えた

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御神渡りのように
湖面を裂いて
姿を身を沈める『幻の橋』

湖面に下りて橋の中ほどまで踏み入ってシャッターを切る。 そして振り返ると、白銀となった大雪の山なみがそびえ立っていた。

幻の橋とカムイミンタラの山々
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背後の山々はウペペサンケ山か

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橋の奥にそびえる白峰は
名峰・ニペソツ山だ

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あの白銀の山に夏に登った事を
懐かしみズームで寄せてみる

「あれは東大雪の隠れた名峰・ウぺぺサンケ山 1835メートル かなぁ。 それとも、東大雪の孤高の峰・ニペソツ山 2013メートル かな・・」などと思い浮かべながら、山を強調するべく露光をアンダーに仕立てる。

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訪れる前の目論見では
橋の下に御来光を入れて
撮るって事だったが
雪の湖面に埋まり過ぎて無理だったよ

そうこうしてると、時は瞬く間に過ぎ去り、もう9時となっていた。 そして、足元を見て“ギョッ”とする。 今まで踏み歩いた足跡から水が染み出して水溜りとなっていたのである。 「こりゃぁ、下手すりゃドボンやぞ!」と、慌てて橋の袂に戻る。 その時、サイレンと供にダム湖放水の警告放送が流れてきた。 このサイレンによって、今年の正月の冒険はひとまず幕を閉じたのである。 後は、ゆっくりと往路を戻る。

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湖の減水で水位が下がる雪解け始めと
渇水期には姿を現す『幻の橋』

それでは、《タウシュベツ川橋梁》についてのウンチクを少々・・。 1年を通して姿を現すのは、周囲の雪解けが始まる4月~5月と、渇水期の10~11月である。 それ以外は糠平湖の水位が上がって湖水の中に堤体を沈める。

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湛水期は堤体のほとんどを
湖水下に沈める

水没中の水圧と結氷期前後の氷による外力などに加えて、凍結・融解を繰り返す凍害によって躯体の損傷が拡大していく。 また、橋梁建設の工法として、現場打ち鉄筋コンクリート枠の内部に割石を詰める、現代でも法枠工で用いられる手法が採用されている。 この工法によって安く・早く・優美な形状のアーチを築造する事ができたが、当然ながらこの工法には短所もあった。

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この美しい堤体を魅せる橋の
短所はその構造で
外枠の経年劣化で内部が
剝き出しとなり崩壊する事であった

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何度も湖水下への沈降を繰り返し
ボロボロに劣化した
タウシュベツ橋梁の堤体

それは、もし外側のコンクリート枠が崩れたなら、内部の詰め石が容易に崩壊する欠点を抱えているのである。 長年に渡り湖水への水没を繰り返した事から、凍害によってこの弱点が露呈し、2003年頃から始まった橋堤体の崩壊が顕著となり、2017年にも大きく崩壊して橋の崩壊は時間の問題となっている。

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ダム湖の管理先は
ダム発電所施設のみが重要で
人類の遺産は「無駄な費用」
として興味がないらしい

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国のエネルギー施策の根幹である
発電施設も大切だが
人の『心』を護る事も大切だと思うワテ

土地を管理する電源開発株式会社は、「橋梁は国鉄が放棄したもので、言うなれば『廃墟』であり、ダム湖は管理下にあるが橋梁は管理していない。 地元から保存に関する要望がある訳でもなく、対応は考えていない」と述べ、保存には否定的な見解を示している。

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アーチ橋は北海道遺産に指定されたが
旧線上にあり維持費がかかる
タウシュベツ橋梁は指定外という矛盾

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付け替えられた新線のアーチ橋は
騎乗可のミニチュア列車が
走るなど観光施設化されている

アーチ橋梁群は北海道遺産に選定されているが、タウシュベツ川橋梁はその立地の悪さから、保存措置の対象外とされている。 これに対し、貴重な歴史遺産として補修を熱望する声もあるが、費用・財政面で極めて厳しい状況にある。 また逆に、あえて保存措置を取らず在るがままに任せて、朽ち行く姿を遺跡として観察しようとする考え方もまた多いという。


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