風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第503回  高見山・樹氷

『日本百景』 冬  第503回  高見山・樹氷 〔奈良県・三重県〕

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標高は1250m程と
中央高地の山の登山口よりも低いが
樹氷の魅れる山として有名な高見山

  高見山 たかみやま
奈良県吉野郡東吉野村と三重県松阪市(旧飯南郡飯高町)との境界にあり、標高1,248.4mの峰である。
台高山脈の北端に位置しており、奈良県側の紀ノ川支流の高見川と、三重県側の櫛田川の源頭となる。
また、この山付近を中央構造線が通っている。

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高角神社の石灯篭は
雪でバリバリに凍っていた

神武天皇東征の際、櫛田川から大和へと入ったとする説があり、山頂にはここに上って四方を見たと謂われる『国見岩』や、道案内を勤めた八咫烏を祀る高角神社がある。 また、万葉集に歌われた石上麻呂の「我妹子を いざ見の山も高みかも 大和の見えぬ 国遠みかも」の「いざ見の山」に当たる山が、この高見山ではないかと言われている。

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樹氷と冷気と朝日が織りなす
得も言えぬ色彩を魅せてくれるかも

関西では冬に霧氷や樹氷を見る事ができる峰として有名である。 東西に長い山容で、南北方向からだとなだらかな山を魅せるが、東西方向からだと尖って山容を魅せる事から『関西のマッターホルン』との異名を持つ。

美しいピラミッド型をしたこの峰は、春のアセビやコアジサイ・秋の紅葉など四季を通じて楽しめる山で、山頂からは雄大な眺めを望む事ができる。 とりわけ魅力的なのが、山頂のブナ林が霧氷に覆われる冬期であり、その美しい情景を抜きにして高見山を語る事はできない。



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高見山と周辺の滝の位置図

   行程表         駐車場・トイレ・山小屋情報
橿原市街より車(1:20)→高見峠(0:50)→高見山(1:20)→高見峠より車
(1:20)→橿原市街

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お山をいつまでも美しく・・

近畿地方で唯一樹氷が望まれるという高見山に、その季節・冬に登ってみよう。 この高見山は「樹氷が望める」といっても標高が低いので、朝方を過ぎると解けて落ちてしまうのである。 従って、ワテは夜間山行を試みたのである。 まぁ、これは、少々精神的にタフでないと実行できないので、特にお薦めはしないのであるが・・。 それでは、高見山に登ってみよう。

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西日本地域で唯一
樹氷が魅れるという高見山へ

さて、この高見山に登る自体はそれ程の苦もなく登っていけるので、一番の問題というとアプローチの事となってくる。 それは、交通機関が全く使用に耐えないという事だ。 従って、マイカーなどでのアプローチとなるが、ここで怖いのは路面凍結だ。

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旧道にある高見峠
冬は道がパリパリに凍った
アイスバーンとなる
※ ウィキペディア画像を拝借

もちろん、タイヤチェーンは当たり前(スタッドレスタイヤでは心許ないかも)の事としても、それでも滑るのである。 特に、国道166号より離れて旧国道の峠道に入ると完全なアイスバーンとなっているので、運転に自信のない方は旧国道の分岐に車を止めて、翌朝2時間早く出発する事をお薦めする。

さて、この項目をこの行程表通りに実行(決してお薦めはしないが)するなら、必ず前日までに《高見峠》までアプローチが必須となる。 そして、車の中で仮眠を取って、夜明け前の4:00頃の出発となる。 《高見峠》は便所の施設があり、全くの山中という訳でもないのであるが、夜間の真っ暗闇であるのでその手の事が苦手な方もこの行程はキツイかもしれない。

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真冬の夜明け前は丸太の階段が
雪で完全に埋もれている
※ ウィキペディア画像を拝借

夜明け前の3時半頃に起きて、カンテラとアイゼンとピッケルを用意して、買い置きの朝食のパンと飲料水・暖取り用に携帯コンロとカメラをザックに詰め込んで出発だ。 鳥居の立つ登山口をくぐると、丸太の階段の登りとなる。

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カンテラ一つで暗闇の
こんな雪の傾斜を登っていく
※ 下山時に撮影

何分、真っ暗闇にカンテラ一つなので、アイゼンを丸太に引っ掛けないように注意したい。 
やがて、右に折れて樹林帯の中に入り、完全に雪面となった急坂を登っていく。 たぶん、初めての通行となるので、雪面の踏跡はほとんど期待できない。 カンテラをかざすと雪が白く光り、真っ暗闇のはずなのだが結構前方が視認できる。

ここは、今までの山での体験に基づくルートファインディング力で、通路を的確に読んでいこう。
概ね、樹林に囲まれて登りやすい斜面が通路である。 この樹林帯を抜けると大いに展望が開けた所に出る。 ここにはベンチが設置されていて、展望台となっているのであろう。 

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月明かりに南北方向から魅た
丸っこい姿の高見山が浮き出ていた
夜明け前で写真が撮れなかったので
下山時の写真おば・・

上を見上げると、月明かりに照らされて高見山の丸っこい頂上丘が見渡せる。 振り返ると満点の星空の下、台高の山々がシャドーとなって紺の空に溶け込んでいる。 そして、東の空がほんの少し白くなっている。 夜明けは近いのだ。

ここからは見上げる高見山の頂上丘に向かって、ジグザグを切りながら登りつめていく。 先ほどの展望台からは道標が次々と現れてきて、進路の不安はなくなる。 稜線に近づいているのか雪も先程よりは少なくなり、楽に高度を稼いでいける。

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この『頂上まであと300m』の
標柱あたりから樹氷が現れ出す
※ 下山時に撮影

やがて、『頂上まであと300m』の標柱を見やると、大きなつづら折りでジグザクに斜面をつめていく。 そろそろ東の空も赤く染まりだして、先程まで暗闇に溶け込んでいた台高の山なみがくっきりとその姿を魅せ始める。 数回つづら折りを経ると、見上げる位置に立派な祠が建っているのが見えるだろう。
そこが高見山 1249m の頂上だ。 

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神武帝ゆかりの
高角神社が建つ高見山頂上

峠から高見山頂上まで標高差300m・所要時間50分と、冒頭で述べた通り登山としてはハイキングコース程度の簡単なものだ。 例え雪があったとしても、初心者でも登っていけるだろう。 だが、それだけでは、『日本百景』たる眺めにはありつけない。 その『日本百景』たる眺め・・。 それは、次に掲載する写真で語るとしよう。 これを見たいが為に、こんな苦労をするのだから。

高見山の頂上到着は5時過ぎ。 空がほんの少し赤く染まり出した頃だ。 日の出は7時過ぎ。 
多少の時間がある。 ここは、頂上直下にある避難小屋兼展望台で日の出時まで待機する事にしよう。
ここで活躍するのが携帯コンロである。 紅茶のティパックなどを持参したなら、朝食は豪華なブレックファーストに変わる。 この条件だと、少しの優位な事がとても贅沢に思えてしまう。 

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始めはガスって
日の出はムリだと思えたが

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雲間から差し込んだ朝日が
冷気で霧散する凍った水蒸気に乱反射して
周囲の空を摩訶不思議な色に染め上げた

そして、日の出時。 この日は、素晴らしい色彩を魅せた日であった。 始めは、「ガスって、ダメだな」と思ったのであるが、その水蒸気に朝日が反射して黄金色に輝いたのだ。 何ともいえぬ素晴らしい色彩。 これこそ『日本百景』たる情景なのだ。 キツい夜間山行をしてでも魅たかった情景なのだ。

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その空の色彩は夜明けの茜色とは
少し異る「初めて目にした」色彩だった

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それは美しくも何か起こりそうな
意味深な色合いに思えた

この情景の前には、どんな文を連ねても当てはまらない。 そして、二度と見る事が叶わないかもしれない。 そんな『日本百景』たる情景を目にしたのは、幸福であったと思う。 やはり、山の朝は、何かしらの『クライマックス』があるのだ。 しばし、寒さを忘れてこのクライマックスに酔いしれよう。

高見山発 冬のクライマックス
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やがてその光は樹氷を
黄金色に染め上げていく

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今日の空の意味深な色合いは
樹氷を黄金色の宝物に変える
空の意思表示だったのか?

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朝日が昇って凍った朝霞を解かして
クライマックスの瞬間は
終わりを迎える

朝の光が高くなり空が白くなってきたなら、こんどは避難小屋の屋上にある展望台に上がってみよう。
そこからは、《香落谷》の山々が朝日に染まっている姿が望まれるだろう。 中でも、倶留尊山や兜岳の特徴ある姿に目を奪われる事だろう。 1000mそこそこの「他愛のない」と思われがちな山なみが、朝の色づく空と調和して感動的な情景を魅せてくれるのだ。 努力をしたなら、山は・・自然は・・必ず答えてくれる。 ワテはそう信じている。

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意味深な色彩を魅せていた
朝霞のカーテンが
サッと引き開けられて

いつまでもこの景色に酔っていたいが、朝の景色はすぐに終わりとなる。 日が高くなると、そろそろ樹氷も解け始めてくる。 こうなってくると、そろそろ引き上げ時だ。

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だが樹氷は本当に寒い日でないと
こんな感じとなって拝む事はできない
2週間ほど前(12/20 頃)に
訪れた時はこんな状態だった

下山であるが、往路を戻るのであるが夜に通った事もあり、展望を含めて初めて下るルートの感覚で下りていく事ができる。 下りでも、新たなる発見があるかもしれない。 

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覆っていた朝霞が晴れると
朝の台高の山々が広がる絶景となる

山頂よりつづら折りの坂を下っていくが、南面には常に台高の山なみが望まれる。 これを見ながらの贅沢な下り道だ。 カメラを取り出して歩き撮りをしていると、登りに擁した時間の1.5倍位かかるかもしれない。 でも、下りに1時間半かかったとしても、《高見峠》に着く時刻は9時半前後である。
ここは、できるだけ贅沢に下っていこう。

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あれほど太かった樹氷の雪が解け
雪が乗る枝木となった

着実に下って300m毎の道標を3本見やると、ベンチのある展望台の前に出る。 ここから仰ぎ見る高見山の情景は、真に感慨深い。 夜に見た月明かりに照らされたあの情景があるからであろう。

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ここまで下って周囲に
雪がなくなると
間もなく峠に降り着く

展望台を過ぎると樹林帯に入り、しばらく雪原を下ると《高見峠》の鳥居の前に飛び出し、幻のようなこの山行が終わりを告げる。 これで高見山の登山を終えたのであるが、先程も述べた通り、まだ時間は9時過ぎだ。 周辺にある『木梶三滝』などをめぐってから帰路に着くのもいいだろう。 


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オミクロン株の感染が拡大してきた
原因と理由は簡単だ

それはシナ五輪が近づいてきて
海外合宿や海外遠征に出る為に
国への出入りが増え
また強化の為に外人コーチなどを
招へいしているからである

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外人コーチの招へいは
付き添うスタッフや家族などを含めると
1人当たりで100人前後の入国となるのだ

また海外合宿などに参加して
もらってきた奴らも病原体となる訳だ
そいつらの国への出入口が東京なのである

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そしてシナ五輪は自国の感染状況を
ひた隠しにするシナ・・
この武漢ウイルスを世界に蔓延させた
シナで行われるのだ

東京五輪で参加した外人によって
感染爆発を引き起こし
170万の感染と17000の死者を出した
結果からもこんな事は
容易に予測着くハズである

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なのに何の対策も打ち出さないまま
また東京五輪と同じ過ちを
繰り返そうとしている

感染源ではない日本人を規制しても
感染拡大を防げるハズもない
規制するのは日本人の出入国と
外人の入国である

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その過ちは東京五輪で
感染爆発を引き起こした奴らを
処罰しなかったからこそ
繰り返されるのだ









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こんばんは! * by MT
南アルプスの山々についてお教えいただきありがとうございます。とてもうれしく思います。ひとつひとつ楽しみながら確認作業をさせていただきました。今回こちらの奈良の高見山で思い出したのですが、羽田から大阪に向かうとき、左側の席に座っていると大阪の手前で奈良と和歌山の山々を見ることが出来るのですが、そちらも険しい山々が続きびっくりします。最初見たときは関西にもこんな山地があるとわかってびっくりでした。

Re: こんばんは! * by  風来梨
MTさん、こんばんは。
お返事が遅くなりスミマセン。 記事の書き溜めに時間を食っちゃいました。

大阪の山で上空から見て嶮しく感じるのは、恐らく大峰山ですね。
この地域は雨が多く、密林や黒部に匹敵する渓谷をいくつも創造してます。

標高は最高峰の大峰・八剣山でも1915mと2000mにも届きませんが、滝は100m、ともすれば200mを越える滝が数多くあります。
しかもこういった滝の半分が、正式な名のない無名滝です。

結構深い山域ですね。大峰山は。

コメント






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こんばんは!

南アルプスの山々についてお教えいただきありがとうございます。とてもうれしく思います。ひとつひとつ楽しみながら確認作業をさせていただきました。今回こちらの奈良の高見山で思い出したのですが、羽田から大阪に向かうとき、左側の席に座っていると大阪の手前で奈良と和歌山の山々を見ることが出来るのですが、そちらも険しい山々が続きびっくりします。最初見たときは関西にもこんな山地があるとわかってびっくりでした。
2022-01-08 * MT [ 編集 ]

Re: こんばんは!

MTさん、こんばんは。
お返事が遅くなりスミマセン。 記事の書き溜めに時間を食っちゃいました。

大阪の山で上空から見て嶮しく感じるのは、恐らく大峰山ですね。
この地域は雨が多く、密林や黒部に匹敵する渓谷をいくつも創造してます。

標高は最高峰の大峰・八剣山でも1915mと2000mにも届きませんが、滝は100m、ともすれば200mを越える滝が数多くあります。
しかもこういった滝の半分が、正式な名のない無名滝です。

結構深い山域ですね。大峰山は。
2022-01-10 *  風来梨 [ 編集 ]