風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第162話  空木岳と空木カール

よも”ヤマ”話  第162話  空木岳と空木カール 〔長野県〕 '96・8
檜尾岳 2728m(昨日に続き登頂)、熊沢岳 2778m(2度目の登頂)、東川岳 2671m、
空木岳 2864m【名峰百選 65峰目】

y162-t.jpg湧き立つガスと空木岳
池ノ平カール壁より

  空木岳 うつきたけ (中央アルプス国定公園) ※ 2020年3月に県立自然公園から格上げ
長野県駒ヶ根市、飯島町、大桑村にまたがる標高2,864 mの峰である。 木曽駒ヶ岳山群以外では、木曽山脈(中央アルプス)で最も標高の高い山となっている。

中央アルプスのほぼ中央に位置し、伊那谷の太田切川及び木曽谷の伊奈川の源頭の峰となっている。
その昔は『前駒ヶ岳』と呼ばれていた(営林署の伊那谷経営計画地図にはそう記されている)が、その後に『空木岳』と名を変えている。 その山名の由来は、春に伊那谷から望むこの峰の山頂部の残雪模様が満開のウツギの花のように見える事から、その名がついたという。

山頂の東側には氷河地形である空木カールと空木平があり、夏にはお花畑の器となる。 また、花崗岩で構成されている山頂付近は、白い砂礫とハイマツの緑とのコントラストが美しく、その縞模様が印象的である。 頂上からの展望も素晴らしく、北アルプスを始めとして乗鞍岳・御岳山・八ヶ岳連峰、そして目の前には南アルプスの大パノラマと中部地方のほとんどの山を一望できる。



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中央アルプス縦走路(檜尾岳~池山尾根)詳細図
※ 南駒ヶ岳・三ノ沢岳への使い回し予定

   行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR駒ヶ根駅よりバス(0:50)→しらび平よりロープウェイ(0:10)→千畳敷 
     (0:40)→浄土乗越・木曽駒ヶ岳までは往復1時間40分
     (0:20)→宝剣岳(1:00)→極楽平(2:20)→檜尾岳(0:10)→桧尾岳避難小屋
     ※ マイカーの場合は菅ノ台の有料駐車場に車を止めバスに乗る
        この先の駒ヶ根橋で一般車両通行止
《2日目》 桧尾岳避難小屋(0:10)→檜尾岳(1:20)→熊沢岳(2:00)→木曽殿越
     (1:30)→空木岳(1:00)→空木避難小屋
《3日目》 空木避難小屋(1:30)→小地獄・大地獄(1:20)→池山小屋
     (1:30)→駒ヶ根高原登山口 (0:20)→菅ノ台バス停よりバス
     (0:15)→JR駒ヶ根駅 ※ マイカー利用は菅野台で車回収
  ※ 前話『第161話 宝剣岳岩稜』の続き

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池ノ平カールから湧き立つガスが
カール壁を覆う迫力シーンが望めた

 《2日目》 稜線を伝って空木岳へ
朝、雲海を挟んで対峙する空木岳を眺めたなら、出発するとしよう。 檜尾岳の上に出ると、波のような稜線の起伏が空木岳に向かって連なっているのが望めるだろう。 まずは、恐竜の背びれの如くギザギサの岩峰・熊沢岳 2778m へ向けて登っていく。

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熊沢岳の頂上には
薬の花・トウヤクリンドウが
数多く咲いていた

この山の宝剣岳側、つまり登り方は幾分緩やかで苦もなく登れるが、下りにかかる空木岳側は《池ノ平カール》を隔てたカール壁が窓状に切れ込んでおり、このカール壁の裏側をトラバースで越えていかねばならない。 比較的楽に登り着ける熊沢岳の頂上には、雄叫びを上げるクマのような大岩が鎮座している。
だが、これよりの下り道が少し厄介となる。

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湧き立つガスがカール壁を
覆う迫力シーンを望む

眺めはカール壁が逆光に黒光りしてなかなかシブイが、この間の通路には鎖アリ、一枚岩のトラバースアリと気を引き締める必要がある。 特に窓の最低部、やや空木岳よりの長い一枚岩のトラバースは、朝露などで濡れていると滑りやすいので注意が必要だ。 

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今イチな天気を補って
あまりあるカール壁とガスの
織りなす迫力のシーンが望めた

この鎖場を越えるとルンゼ状の岩登りとなり、手足を引っ掛けて登っていくとハイマツに囲まれた砂礫の丘の上に出る。 標高2703mのピークである。 この頂上は小庭園を成しており、トウヤクリンドウなどが咲くお花畑となっていた。

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ガスの水蒸気に濡れて
七色の水玉を乗せるツメクサ

また天気が良ければ、《池ノ平カール》を見下ろす眺めと、木曽駒ヶ岳・宝剣岳・空木岳のおりなす山岳パノラマも眺める事ができるだろう。 

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湧き立つガスの先に
目指す空木岳がある

2703mピークからは波打つように連なる稜線のコブを忠実に越えていくが、足場も熊沢岳の窓に比べると格段に良くなり、すんなりと東川岳 2671メートル までたどり着ける。 実際には桧尾岳から東川岳まではピークが5つあるが、数を気にして歩くよりは速やかに通過する方が精神的にも楽である。 

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下に木曽殿越山荘が見えるが
滑りやすい急傾斜で降りるのに
手間取ってなかなか着かない

東川岳からは、砕石混じりのザラ場をジグザグに下っていく。 下りに《木曽殿越》の小屋が見えるが、これがなかなか着かない。 得てして距離というものは、目に見えて意識の中にかかると長くなるモノである。 急な下りをジグザグに切って下るだけ下ると、やがて小屋が設置した土嚢の階段を下って《木曽殿越》の小屋前に下り着く。

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断崖絶壁の崖っぷちに
建てられている木曽殿山荘
※『山小屋nfo』より

この小屋は二階建てのプレハブ小屋で、食事付で宿泊できる。 木曽駒に寄っての縦走や、テント・火器を持たない縦走者にはうってつけの小屋である。 ただ、かなりの谷間に位置しているので、朝日の写真目当てならばやや不利かもしれない。 

この小屋の名称である『木曽殿』とは、木曽義仲の事である。 800年以上の昔に『木曽殿』こと木曽義仲が、「仕従を従えてこの峠を乗り越えた」との伝説からこの名称がつけられているのだが、史実では「ほとんど疑わしい」との事である。 《木曽谷》と《伊那谷》がスッパリと切れ落ちて風が吹き上げる難所を、戦上手の義仲が兵馬の危険を犯してまで通る事はないだろうから。 

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木曽殿の力水
※『山小屋nfo』より

なお、この小屋から片道8分ほどの所に『木曽殿の力水』という水場があるが、この先の稜線に水場は見当たらないので、南駒ヶ岳方面へ向かうならば水を汲んでおく事が必須となる。 まぁ、小屋で『有料の水を買う』って手もあるけど。

小屋前でひと息着いたなら、空木岳へ登っていこう。 空木岳へは、小屋よりハイマツ帯を一直線に登っていく。 この急坂に息が上がる頃、ハイマツが途切れて《木曽殿越》の鞍部が見渡せる所に出る。
この高台より見下ろす《木曽殿越》は、木曽・伊那の両側が深く切れ落ち、2つの谷を隔てる稜線が刃のように迫り上がって壮観だ。 ここからは空木岳をかたどる大きな岩壁が現れ出し、この岩をヘツったり、高巻いたり、くぐり抜けたりしながら登っていく。 

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鎖のない岩崖をよじ登って
肩の上に出ると
空木岳までもうすぐだ

やがて、最も大きな岩の基部を巻くように進んでいくと、鎖場跡の難所に差しかかる。 以前に鎖が掛けられていた形跡はあるが今はなく、文字通りよじ登らねばならない。 コレをよじ登ると、オーバーハング状に迫り出している大岩の伊那側をヘツッて稜線上に飛び出る。 稜線上に積み重なる傾いた岩の上をトラバースしたり、飛び越えたりすると、白亜の岩が散りばめられた空木岳 2864m の頂上だ。 

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花崗岩が積み重なる
空木岳の頂上にて

空木岳の頂上からは、宝剣岳に連なる岩峰群の連なりや南北アルプスの山屏風、堀の深い山岳美を魅せる南駒ヶ岳など、中央にそびえる高峰ならではの大パノラマを堪能できるであろう。 また、美しい白亜の花崗岩と、風化した砂とでおりなす山頂庭園の風景もいい。 ここから南駒ヶ岳方面へも縦走路は続いているが、そちらは数年後に登った時の『よも“ヤマ”話』で語る事にして、今回はここで下山としたい。

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熊沢岳より望む池山尾根
今日はこの尾根を下って
雲の下にある下界へ

さて、頂上での素晴らしい眺めを満喫したなら、『花のうつわ』《空木カール》に向けて下っていこう。
頂上から下ること10分足らずで、《駒峰ヒュッテ》の建つ《空木平》に出る。 ここでカールに下る道と、カール壁沿いに伝う道とに分かれる。 カール壁伝いの道はカールに下るより30分は早く抜ける事ができるが、《駒石》付近を除いてハイマツで覆われて展望も今イチである。

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花の山旅なら迷わず
空木カールに下るルートを取ろう

だが、花が目当てなら、迷わずカールに向かって下っていこう。 なぜなら、摺鉢状に削られたカール底部は季節になると、高山植物の咲き乱れる『花のうつわ』となるからだ。

晩夏の花のうつわ・その1
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ヒメクワガタかな?

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リンドウと肩を並べる秋の花
ウメバチソウ

ハクサンイチゲ・オヤマノエンドウ・シナノキンバイ・シクサンフウロ・ウメバチソウ・トウヤクリンドウなど、五色の花々がカールに彩りを添える。 ちなみにワテは、この山行ではカールに下り、南駒ヶ岳山行の時は稜線伝いの道を行ったので、両ルート共に体験済である。

晩夏の花のうつわ・その2
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ハイマツの陰にひっそりと
露に濡れた花落ちたチングルマ

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イソヒヨドリ?
花名不詳

さて、カールへ下っていくルートであるが、花を見ながら下りるからであろうか、頂上から見えていた《空木避難小屋》へはなかなか着かない。 また、カール底は岩が不規則に転がる河原状を成しているので、足にもかなり負担がかかる。

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こんなのを駆け下る事を続けると
歳食った後々に膝が潰れるよ

これは到底、山岳地図などが示している『30分』では行けそうにない。 従って、この行程表では『1時間』としたのであるが・・。 ヘタれた今なら、1時間以上かかるだろうけど。

晩夏の花のうつわ・その3
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淡いピンクを魅せる
ハクサンフウロ

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ミヤマダイコンソウかな?
ウサキギクの大型版

それなりの時間をかけて下っていくと、やがてダケカンバの樹木に囲まれたバラック小屋・《空木避難小屋》が見えてくるだろう。 この避難小屋は管理人の入っている《駒峰ヒュッテ》と違いかなり荒れている。 また、水場となる沢の上にトイレの残骸があり、水に関しても心許ない感じである。

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ワテが訪れた時の空木岳避難小屋は
壊れた扉を持ち上げて入る
『天岩戸』式の石室だった
※ 昭文社地図ガイドの口絵写真より

このトイレは扉が外れかけていて、使うならば見られるのを覚悟で使うしかなく、当然誰一人使用者は見受けられなかった。 だが、『花のうつわ』のカールを通るので人気があり、ワテが利用した日も15人位と同宿となったよ。

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今は建て替えられて
トイレもある快適な小屋と
なっているようだ
※『山小屋nfo』より

ちなみに現在は、建て替えられて快適な小屋となっているようである。 もちろん、トイレも設置されている事だろう。 でも、ロマンのある山旅なら、昔の天岩戸のような置き扉(壊れていて鉄板の扉を持ち上げて入らねばならなかった)の石室も捨てたモノではないだろうね。



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カールの夜明け
夏の終わりとなると
昨日降った夕立が
ガスとなって湧き立つ

 《3日目》 池山尾根を下山して駒ヶ根高原へ
今日は、《駒ヶ根高原》までイッキに下っていく。 距離にして11km・標高差1500mとかなりある。 従ってここでも、山での基本である早発を心掛けよう。 《空木避難小屋》の壊れた鉄板扉を持ち上げて外に出てみると、朝の黄金色に染まった空とカールを抱く空木岳を望む事ができるだろう。

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頂上まで行かずとも
花のうつわ・空木カールに繰り出して
カメラ片手に遊べばいい

もし、余裕があるなら、朝の光を浴びて輝く空木岳へ往復してくるのもいいだろう。
なお、空木岳に登頂するなら、行程時間は3時間増となる。←今は絶対ムリ!!

翌朝の花のうつわ
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ヨツバシオガマ

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イブキトラノオ

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秋の花の代表格
リンドウ

小屋を出て沢沿いに歩いていくと、カール地形の窪みが尽きてくる。 なおもカール壁を斜めに登っていくと、《駒峰ヒュッテ》からの稜線通しの道と合流する。

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尾根道と合流すると
ヤマの景色は見納めとなる

ここから下の《駒ヶ根高原》まで延々と樹林帯の中をいくので、見通しはほとんど利かない。 
また、樹林帯の中を縫うようにいくので、道を見失ってブッシュに迷い込みやすい。 延々と続く薄暗い樹林帯の急下降にいささかウンザリするが、見るべきものもないので以外と早く下っていける。 

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本来なら《大地獄・小地獄》を
掲載せねばならないのだが
撮るの忘れちゃったので
駒ヶ根の街の俯瞰おば・・

やがて、コース唯一の鎖場・《大地獄・小地獄》に差しかかる。 だが、鎖場としては何の事もない所で、急なハシゴがあるのと岩をヘツる所に鎖が掛けられてあるだけである。 どちらかといえば、空木岳の《木曽殿越》側の方が鎖が必要だと思うのだが・・。 これを越えると再び樹林帯の中のジグザグ下りとなり、見通しのほとんど利かない中を1時間半程下っていく。 やがて、《池山分岐》という水場施設の残骸が残る木立の丘に下り着く事ができるだろう。 

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池山小屋前の水場
池山分岐まで来ると
稜線で確保に苦労した水が
容易に手に入る
※『山小屋nfo』より

地名の通り池山 1774m まで登山道は続いているが、あまり登り甲斐もなさそうなので無視していく事にしよう。 この分岐からしばらく歩いていくと沢のせせらぎが聞えてきて、やかてこの沢を見下ろす土手の上を行くようになる。 すると、程なく池山の避難小屋が沢べりに建っているのが見えるだろう。

この小屋も《空木避難小屋》同様にボロボロであるが、清水の沢が近くにある分だけ環境的にはマシかもしれない(現在はこの小屋は取り壊され、《池山分岐》に水場施設とログハウス風の新しい小屋が建てられている)。 

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ログハウスとなり宿泊協力金を
取るようになった池山小屋
厳冬期にここまでくる
登山者が結構いるらしい
※『山小屋nfo』より

《池山小屋》からは遊歩道然となって、広い緩やかな下り道が続き歩きよい。 あまり見通しの良くない《タカウチバ展望台》を過ぎると、《駒ヶ根高原》のスキー場から延びる林道に出る。 ここでようやく、下界の眺めを見る事ができるだろう。 ワテが降りた時は、野外コンサートが発する大音響が耳をつんざいたよ。

後は、林道を交差しながら山道を下っていくと、《駒ヶ根高原スキー場》の脇に出る。 そこから舗装道を20分程で、《駒ヶ根高原》の《菅ノ台》のバス停である。 バス便は多くあるので、ホテル街でひと風呂浴びてから帰路に着こう。 なお、《菅ノ台》のバス停は、マイカーの大型駐車場前のバス停である。


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確か天皇信奉右翼共は
東京五輪開催日はシナ共産党の
立党百周年行事と被る日だから

東京五輪を開催する事によって
シナに心理的ダメージを与える事が
できるとホザいてたな
それに開催反対者はシナに与する国賊だと
でも結果はどうだ?

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シナは「東京五輪開催協力の貸しがあるぞ」
「日本はその『貸し』に応える責務がある」
とシナ五輪外交ボイコットに釘刺してるぞ

こうしてシナの顔色を伺い
アメリカの動向に歩調を合わせる
二股外交・・即ちコウモリ外交に
陥りつつあるぞ

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両方に疎まれて詰む以外にないのだ
下手するとアメより制裁を食らうぞ

このように東京五輪は
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国民を殺し国民から職を奪い
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