2021-12-02 (Thu)✎
『日本百景』 秋 第499回 冠雪の谷川連峰 〔群馬県・新潟県〕
初冠雪の谷川岳・一ノ倉沢岩稜
谷川連峰 たにかわれんぽう (上信越高原国立公園)
上州(群馬県)と越後(新潟県)を境とする上越国境線に鎮座する三国山脈の主峰・谷川岳を盟主とした連峰群である。 主峰の谷川岳は『二つ耳』と呼ばれる双耳峰で、最高点の標高は1977mで『オキの耳』と呼ばれている。
マチガ沢出合より
谷川岳東面を望む
谷川連峰は東南西北の4つの面から形成されている。 東面は湯桧曽川とその支流の流域からなり、白毛門・笠ヶ岳・朝日岳に始まり、清水峠から蓬峠・茂倉岳・一ノ倉岳・谷川岳の『双耳峰』を経て天神尾根に至る山域である。 ここ山域には、一ノ倉沢・幽ノ沢・マチガ沢など日本有数の岩場があって、登山者もこの東面が一番多い。
南面は、天神尾根から見て西側の国境稜線上を西へ延びるオジカ沢ノ頭から、南西に分かれて連なる爼嵓(まないたぐら)へと延びる山域である。 この尾根から出る沢筋が谷川で、地理学的な『谷川岳』は谷川の源頭である爼嵓を指していたが、国土地理院の誤表記によって現在の『二つ耳』が谷川岳となった。
岩稜は東面ほど派手でないが、俎嵓の岩場はその規模と大きさで魅了させられる存在だ。
何かの前兆を予感させるような
意味深な夕空が仙ノ倉山に至る
上越国境稜線を染めていた
谷川岳西面は谷川連峰の最も西端にあり、オジカ沢ノ頭から万太郎山・仙ノ倉山・平標山を経て三国山に至る山々に囲まれている。 谷川岳から連峰最高峰で唯一2000mを越える仙ノ倉山を越えて越後湯沢口に抜けるルートは谷川連峰縦走路となっているが、長く宿泊設備も乏しいので比較的縦走者は少ない。
朝日岳から清水峠や
越後の山々を望む
谷川岳の北面は越後側を指すもので、上州側の東・南・西の各面と国境稜線で接している。
上州側に比べれば穏やかな山容で、断崖や岩峰は少ない。 また、蓬峠など草原を成していて谷川岳山域ではまた違った魅力を持っている。
谷川連峰は、標高2000m前後で高さからいえば中級山岳だが、ハイキングや日帰り山行から、全装備を担いでの縦走登山、岩稜を登攀して制覇するハードロッククライミングまで、バラエティに富んだ登山が可能な山域である。 そのバラエティーに富んだ山容から、谷川連峰は『魔の山』と『簡単な初心者の山』の2つの面をもった山域といえる。
土合・一ノ倉沢・谷川岳周辺の詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR越後湯沢駅より鉄道利用(0:30)→土合駅(1:30)→一ノ倉沢出合
《2日目》 一ノ倉沢出合(0:30)→巌剛新道入口(3:40)→肩ノ小屋分岐
(0:05)→谷川岳・トマの耳(0:15)→谷川岳・オキの耳(0:20)→肩ノ小屋
(2:00)→大障子避難小屋
《3日目》 大障子避難小屋(1:20)→万太郎山(2:30)→エビス大黒ノ頭(1:30)→仙ノ倉山
(0:50)→平標山(0:40)→平標山ノ家(1:40)→平標登山口よりバス
(0:40)→JR越後湯沢駅
※ 前回《1日目》『第498回 谷川岳・一ノ倉沢』の続き
長大な上越国境を伝って
いで湯の里・越後湯沢へ
《2日目》 巌剛新道を使って谷川連峰・国境稜線縦走路へ
朝、夜明け前に《一ノ倉沢出合》に立とう。 山に初冠雪が魅られる10月中~下旬の日の出時刻は、6:00過ぎであろう。
初冠雪の岩稜に光が届くと
持ってきたフイルム数が
不安になる程の絶景となる
日の出前を《一ノ倉沢》で味わって、日の光で岩稜線が輝く様を《マチガ沢》で味わうという少々欲張りな計画を立ててしまったので、一ノ倉沢は6時前の出発となる。 当然、いつでも出発できるように準備をしておこう。 《一ノ倉沢出合》から、『巌剛新道』の登山口である《マチガ沢出合》までは30分位の距離である。
朝日に輝く初冠雪の
谷川岳岩稜と紅葉のコラポが
望めるのは一ノ倉沢の避難小屋で
寒さに耐えた御褒美ですね
途中の《マチガ沢》で雪をまとった岩稜が輝く様を望んだなら、《マチガ沢出合》にある『巌剛新道』登山口より登高開始だ。 『巌剛新道』の登山口をくぐると、しばらく石畳みの道が続く。 やがて、『マチガ沢登攀コース』との分岐であった所に出る。 だが、今はコチラのルートは廃道となったようで、ロープで進入を防いでいた。
始めて谷川岳に登った時は
登攀ルート分岐に進入を阻むロープが
張っておらず間違って入って少し苦労したが
冠雪した今は苦労どころじゃないだろうね
これを越えると石畳みの道は終わり、山道らしい急傾斜となってくる。 この急登で登って標高が高くなっていくと、チラホラと根雪が現れてくる事だろう。
足元に根雪が現れ始めたら
岩稜がやや近づいてきた
登るごとにこの根雪が増えてきて、やがて完全に地面が雪で覆われる程までになると、《見晴台》と呼ばれる展望地に着く。 《マチガ沢大滝》と雪をまとった東面の荒々しい岩稜が、美しい情景を魅せている。 そろそろ疲れも出る頃だろうから、ここで素晴らしい景色を眺めながら一息入れよう。
谷川岳頂上まで約半分の
見晴台まで登ると雪の岩稜も
山で撮った写真のようになっている
この《見晴台》は、谷川岳の頂上までの約半分といった所であろうか。 《見晴台》より30分ばかり登ると、《西黒尾根》の岩稜に取り付く。 ここは鎖場となっていて、レベルとしては簡単なものだが、今は雪があるので難易度は比べ物にならない程に高くなる。 もし、下山でこのルートを通るなら、それなりの雪山技術が必要であろう。
西黒尾根との合流地点では
一ノ倉尾根の大岩盤が迫ってくる
この鎖場を乗り越えると、《西黒尾根》の稜線上に出る。 この稜線上からの展望はすごぶる良く、東面の《マチガ沢》の荒々しい尖峰群に加え、前面に谷川岳本峰が迫力を持って押し迫ってくる。
また左側は、ロープウェイの駅と《天神尾根》の登路を登るハイカー達も見渡せる。
なお、こちらの《天神尾根》は雪もほとんどなく傾斜も緩やかなので、この時期に谷川岳のみを目指す方はこちらのコースを使う方が賢明であろう。 実際、ハイカーと思しき軽装備の登山者は、季節を問わず全てこちらを利用しているようだ。
谷川岳・耳二つ揃い踏み
この山行での『一番星』ですね
迫力ある谷川岳の大岩壁を望んだなら、この岩壁に取り付こう。 岩ガレが積み重なったような岩壁を登っていくが、岩に根雪が絡んで踏ん張りが利かないので登りにくい。 この岩稜を直登気味に登っていくと、《氷河の跡》という一枚岩のV字溝を通る。 この時期のV字溝は完全に雪で埋まり、あまり感覚はないかもしれない。
谷川岳の肩と
谷川岳三角点峰のトマノ耳
これを越えると傾斜は緩くなり、西側から寄り添ってきた『天神尾根』直下の台地よりトラバース気味に雪田をつめると、稜線上の《肩ノ広場》に出る。 荷物を《肩ノ広場》の石塔の一角にデポしての軽い身なりで、谷川岳の『耳二ツ』を踏んでこよう。
谷川岳の最高点・オキノ耳
オキノ耳より望む越後の山なみ
三角点頂上のトマの耳へはものの5分、最高点のオキの耳へは20分位かかるだろう。 トマの耳では、明らかに「ロープウェイで来ました」という軽装備のハイカーが弁当を広げてたむろっている。
なお、オキの耳への痩せた吊尾根は雪が乗っているので、往来には注意が必要だ。
谷川岳~上越国境稜線前半の詳細図
谷川岳の『耳二ツ』で素晴らしい眺めを満喫したなら、荷物をデポった所まで戻って縦走を開始しよう。 今日は、谷川連峰の主稜線を1/4ほど行った《大障子避難小屋》までの道程だ。 《肩ノ小屋》は10月の最終土日位までは開いているので、ひと息着いていくのもいいだろう。
肩ノ小屋からは西に延びる
上越国境稜線を伝っていく
さて、《肩ノ小屋》からは西に延びる国境稜線を伝っていくのだが、こちらは見事な程に人は通らず、山が抱く本来の魅力である「静けさ」が戻ってくる。 《肩ノ小屋》を出ると、《中ゴー尾根分岐》まで約200m急下降する。
この鞍部は吹き抜ける風で飛ばされるのか雪はほとんどなく、枯れササが斜面全体を覆っている。
振り返ると、通ってきた道程を顧みる事ができて感慨深い。 ルート上には《肩ノ小屋》からのキロポストがあって、正確な距離(あくまでも、この標示を信用しての事だか)も確認できていい。
この枯れササ帯を下りきると、《中ゴー尾根分岐》だ。 この鞍部からは、道の状況は一変する。
始めのうちは同じような枯れササの草原だが、徐々に尾根の幅が狭くなり、やがてハイマツの突き出る痩せた岩稜の痩せ尾根へと変わっていくのだ。
夏ならば大した事もないレベルの岩稜だが、それが災いしてか鎖などの設置はなく、凍った一枚岩のトラバースなどは、ハイマツと岩角にしがみついて乗り越えなければならない。 また、《谷川本谷》側は完全に切れ落ちて、高度感はかなりある。 稜線上での難所はここだけなので、気を引き締めていこう。
鎖がなく雪が乗ると難所となる
小岩稜を越えてオジカ沢ノ頭に
ついてホッと一息を着く
この難所を登りきると、《オジカ沢ノ頭》だ。 ここからの情景は、春と見まがうような美しいライトグリーンの草原が広がる。 この稜線は典型的な雪食地形のようである。 雪の乗る東面は先程のものを含めて、浸食により削られて荒々しい痩せ尾根を魅せている。 一方、季節風の影響を受けない西面は雪による浸食を受けず、限りなく穏やかな春を思わせるような情景が広がるのだ。
この頂の上に着いたなら、これらのギャップに少し困惑するだろう。 つい先程まで、岩角にしがみつきながらの難所越えをしてきたのだから。 このため息さえ出る情景の変化に対して、気持ちを落ち着かせるべく、水筒を取り出してちょっと小休止しよう。 渇いた喉を癒す事で、随分と気持ちが落ち着くハズである。
谷川の源頭に位置し
地理学上は『谷川岳』の俎嵓
:
踏み跡を直進するとバリエーション
ルートに入ってしまうので
俎嵓の立派な山容に惑わされぬように
さて、ここからは進路を右手に変え、春のようなライトグリーンの大草原の中を下っていく。
なお、《オジカ沢ノ頭》より直進する踏跡があるが、これは爼嵓(まないたぐら)への踏跡で、《谷川本谷》の沢を遡行をしたクライマーの踏跡なので入り込まないようにしたい。 天気のいい日ならよもや間違える事はないだろうが、元々は『谷川岳』を名乗っていた爼嵓が立派な山体を魅せているだけに目標を誤りやすく、ガスに巻かれた時などは注意が必要だ。
ドラムカンの底が上げられた
高床式ドラムカンの
オジカ沢ノ頭の避難小屋
《オジカ沢ノ頭》の頂上直下に避難小屋があるが、これは写真のような造りのドラムカンで、完全無欠のトラムカンである《一ノ倉避難小屋》が高床式になったようなモノである。
完全無欠のドラムカンで
『伝説のドラムカン小屋』な
一ノ倉避難小屋
:
初めての谷川岳登山の時に目にして
思わず撮っちまったよ
この『伝説』を
その様相は、バキュームカーのタンクに毛が生えたようなもので、ちょっと使う気にはなれない。
なぜ、こんな事を記したのかというと、これより向かう今日の宿泊場・《大障子避難小屋》も「こんなのだったら嫌だなぁ」と頭に過ったからである。
オジカ沢ノ頭からは90度右折して
西に延びる国境稜線を伝っていく
草原を標高差200m大下りして対面の丘に緩やかに登り返すと、注目!?の《大障子避難小屋》が見えてくる。 形はドラムカンだが、下地の基礎がしっかりしていて見た目はまともそうだ。 どちらにせよ、この場所以外に宿泊適地はないので、避難小屋に向かって進んでいこう。
大きなドラムカンで
使用可能な大障司避難小屋
※『谷川岳の避難小屋』より
ちなみに、《大障子避難小屋》であるが、中は6畳位のスペースがあり、中はスノコが敷かれてあった。 また、誰かが置き忘れたのが銀マットもあって、小屋の中にテントを張らなくても凌げそうである(ワテは、初めて行く所は必ずテントを所持している。 避難小屋利用時に小屋が期待ハズレだった時の苦難!?を考えると『保険』は必要だろうから)。 ただ、屋根に穴が開いているらしく、雨漏りはしていたが・・。
中はすのこが敷いてあり
中でテントを張らずとも宿泊可能
※『谷川岳の避難小屋』より
さて、小屋に荷物を置いて、シュラフを敷くなどの宿泊の手続き!?を済ませたなら、水を汲みに行こう。
水場は《赤谷川本谷》の源流沢で、避難小屋の群馬県側の斜面を10分程下った所にある。
二度も汲みにいくのは面倒なので、明日の行動水の分も汲んでおこう。
なお、この国境稜線上で確実に水を得れる所はこの場所以外にはなく、この稜線を縦走する場合の宿泊場はこの場所で設定する他にないだろう。 小屋の中は侘しいが、誰もいないこの場所からの夕景色はまた格別であった。
美しくも望まぬ前兆
空が得も言えぬ美しき
茜色に染まっていた
明日登る万太郎山の方角には
アカネに染まった雲が縞を描いていた
その縞となった雲は西の空から
放射状に押し寄せているようだった
その雲は時を置かず
空を雄大に旋回し始める
恐らく空を旋回しながら全てを
雨雲で覆っていくのだろう
そして幾重もの縞を描き
日没と共に空を雨雲で覆いつくす
:
美しくも明日は荒天確実の
望まない空情景だった
こんな夕景だと翌日はたいがい雨になるのだが、今はそんな負の面の事は考えずに、この素晴らしい夕暮れ空を心ゆくまで味わおう。
※ 続きは次回の『第500回 仙ノ倉山』にて
ガンダム・マクロスネタの続き3回目
ガンダム・マクロス共に続編が多数出ているが
Z・ZZ・逆襲のシャア・ユニコーン・originと
初代の筋書きに沿って展開してるモノと
ガンダムの名を借りただけの全くの別物とある
どちらかというと別物の方が多数派で
あらゆる違った設定がなされて
サイコを始めとして遺伝子操作
月の伝説のサイコの力・プロレスなど
マクロス的な歌の力以外の何でも使ってるようだ
でも最近ともなるとネタ切れを起こしたのか
熱心にガンダムを見てないと
ダブルオーのように内容が
全く解らんモノも出始めている
だから最近のダブルオー・AGE・
レコンギスタなんかは見る気がしない
そのガンダムの中で
いいと思ったのはサイコの力を
使わない手法の3つの作品だ
一つは群像劇の鉄血のオルフェンスだ
あらすじは奴隷だった少年団が
ヤクザの手法で成り上がっていくが
最後は反勢力として潰されるというオチだ
ビーム兵器を一切使わず
ドツキ合いで白黒つける手法は斬新だったし
仲間一人一人の死に意味を持たせて
意味のないモブ死にキャラが
なかったのもよかった
次にOVAの『ポケットの中の戦争』だ
ジオンのサイコでない一人の兵士が主人公で
ガンダムに対してあらゆる仕掛けを駆使して
ザク一機で対等に渡り合うのが良かった
普段のガンダムなら即刻消えるモブキャラが・・である
3つめはこれもOVAの『08MS小隊』だ
これもサイコは使われず
戦術を駆使して一機づつ倒すスタイルや
軍人としての本分と敵の兵士と
恋仲となっての葛藤などが良かった
いいものもあればプロレスやら
何故戦うのかの設定が崩壊して
訳の分からん状況になってたダブルオーなど
見る気がしないモノも多々あったが
:
次はマクロスサイドの続編をば・・
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