2021-11-24 (Wed)✎
『日本百景』 秋 第498回 谷川岳・一ノ倉沢 〔群馬県〕
晩秋の一ノ倉沢と
冠雪の一ノ倉沢大岩盤
一ノ倉沢 いちのくらさわ (上信越高原国立公園)
群馬・新潟県境にある三国(みくに)山脈の主峰・谷川岳のすぐ北に位置する一ノ倉岳 1974m の東側斜面の沢で、湯檜曽(ゆびそ)川右岸の支谷の一つで、群馬県利根郡みなかみ町に属する。 谷川岳頂上のオキの耳から延びる東尾根と、一ノ倉岳から延びる一ノ倉尾根に抱かれた幅約800メートルに及ぶ岩壁の部分をいう。
ほぼ垂直に岩崖を落とす
峻嶮な嵓を魅せる谷川岳大岩盤群
マチガ沢・幽ノ沢と共に、ほぼ垂直に岩崖を落とす峻嶮な嵓であるが、谷川岳の沢登りや岩登りでは、この沢を登る登山者がもっとも多い。 ここは天気が激変しやすく、また雪解けが遅く、雪崩や豪雨や濃霧があり、谷川岳の登山コースのうちでこの一ノ倉沢ルートが最も難路である。
あまりにも急峻な為に遭難者を
収容できず30年間放置したとか
宙づりとなった遺体のザイルローブを
一斉射撃で切って収容した事例もあったという
1931年の上越線全通以降、2012年までの谷川岳での遭難死者統計を見ると805名の遭難死者を出しており、これは世界の8000m峰14座を合わせた遭難死者より多く、この谷川岳の遭難死者数は、不名誉なギネス世界記録として記載されている。 もちろん、その死者の大半が一ノ倉沢での遭難案件である。
この事も相俟って、1967年に県制定の谷川岳遭難防止条例でこの沢が危険指定地域に含められている。
土合・一ノ倉沢・谷川岳周辺の詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR越後湯沢駅より鉄道利用(0:30)→土合駅(1:30)→一ノ倉沢出合
《2日目》 一ノ倉沢出合(0:30)→巌剛新道入口(3:40)→肩ノ小屋分岐
(0:05)→谷川岳・トマの耳(0:15)→谷川岳・オキの耳(0:20)→肩ノ小屋
(2:00)→大障子避難小屋
《3日目》 大障子避難小屋(1:20)→万太郎山(2:30)→エビス大黒ノ頭(1:30)→仙ノ倉山
(0:50)→平標山(0:40)→平標山ノ家(1:40)→平標登山口よりバス
(0:40)→JR越後湯沢駅
日没直後の一ノ倉沢
《1日目》 一ノ倉沢出合へ
今回秋を締める項目として、谷川連峰を縦走して越後の国へ抜ける山旅をしようと思う。
それも、紅葉美しい《一ノ倉沢》や《マチガ沢》を望み、初冠雪をまとった美しい峰々を目指す最も贅沢な時を選んで登ってみようと思う。
なおワテの登山技量では
一ノ倉沢を登攀するのはムリなので
眺めて写真を撮るだけにしよう
このプレミアムステージを目指すには、やはりそれ相当の準備が必要だ。 初冠雪とはいえ、雪である。 当然、夏とは全く違う条件となるのだ。 登頂に要する時間や稜線を歩く所要時間も、夏のようにはいかないのである。 その点を十分に留意しておこう。
夜行列車の到着時には
登山者で溢れかえったという
土合駅も昔の物語に
さて、この谷川岳の登山口へのアプローチであるが、昔と現在とはヤマ事情が大いに異なっているのである。 そして、その顕著な例がこの谷川岳であろう。 それは、かつては『谷川岳を目指すヤマ屋さんなら必達の駅』であった土合駅が、時を経て全く持って使い物にならなくなってしまっていたのである。
普通列車のみで1日僅か5往復
その日の内にヤマに登る事ができる
列車は地上ホームに着く
6:38着の登り始発列車のみ
現在のJR上越線の土合駅発着本数は1日上下5本づつで、しかもその日のうちに登山可能な列車は土合に6:38到着する越後湯沢からの上り始発列車のみで、高崎(東京方面)からの下り始発列車の到着時刻は8:37と全く使い物にならないのである。
かつては、登山客を満載にした東京からの夜行列車が夜明け前に土合に到着し、登山者を吐き出していた。 夜行列車の到着する夜明け前の土合駅は、谷川岳を目指す登山者の前衛基地となっていて、夜行列車を降りた眠気眼の登山者に課せられる最初の試練が待ち受けていたのである。 それは、登山用具一式担いでの『土合駅・462段の階段昇り』で、これは谷川岳を目指す登山者の語り草となっていたのであった。
かつては装備一式を担いで
この462段の階段を上る事が
谷川岳登山の最初に向き合う儀式だった
※ ウィキペディア画像を拝借
だが今は『日本一のモグラ駅』という
珍駅ぶりをアピールした
『駅降り鉄』相手の観光駅となってるよ
だが、今は鉄道を利用して登山するなどナンセンスの極みで、そういったヤマ事情の移り変わりを知らずに挑んだこのタワケ以外に、この『土合駅・462段』を登って谷川岳に挑む奴など皆無なのであった。
でもワテ・・
最初に谷川岳を訪れた時に
装備一式担いでこの階段上ったよ
なら、現在のマイカー登山者以外の公共交通利用の登山者はどのようにしているかというと、多くがダイレクトに谷川岳のロープウェイ乗り場に着く旅行業者がチャーターした観光ツアーバス利用で、極々少数派に落ちた鉄道を利用する登山客も高崎から水上まで上越線に乗り、水上駅からロープウェイ乗場直行のシャトルバスに乗り継ぐようになっている。
この駅に登山者が溢れたのは
もう半世紀近く前の
昔の話となってしまったよ
※ ウィキペディア画像を拝借
この時は登山の格好をしていた数名が全て水上駅で降りたので、「谷川岳に登りに来たのと違うのか?」と不可思議に思っていた答えはコレだったというか、あまりにもヤマ事情の移り変わりに疎すぎるタワケ(筆者)のクオリティが成せる技なんだろうね。
遭難死者のギネス認定された
『魔の山』への登山事情が
時を経て様変わりしていたを
知らぬはタワケ一人なりけり
鉄道利用の全ての登山者は、水上からシャトルバスに乗り換えて、ロープウェイで稜線まで登る『トレッキング登山者』だったのですね。 恐らく、今日はロープウェイ乗場前のホテルか、ロープウェイ頂上駅にある山荘に宿泊するのだろう。
でも鉄道を利用したからこそ
一般の登山者が味わえない
日没直後の一ノ倉沢に出会えたのかも
話は脱線したが、このように鉄道利用で谷川岳に登るのは時代にそぐわなくなってきていて、鉄道利用は限りなく無駄な行程となるのである。 だから、敢えて鉄道利用とするなら、前日に登山口にアプローチするのは当然の事であるが、どうせ登山口で一夜を明かすなら、絶景を魅せる《一ノ倉沢出合》まで進んでいくのがいいだろう。
でももうちょっと
上手く撮ってればなぁ
:
夕方の部は全部影ってしまったよ
この行程なら午後に土合に着く列車で十分だし、土合駅から舗装された破線国道291号線(この国道は一ノ倉出合~清水峠~清水集落の区間で、踏跡すらも完全に消失していている)一ノ倉沢の夕景も望めるのだ。
翌朝の日の出前雲が多く
光が差し込まないと思われたが
青空があったので
出発ギリギリまで待ってみると
一ノ倉沢の大岩盤が朝日に輝きだしたよ
陽に照らされたのは
ほんの一瞬だったが
紅葉が鮮やかになったよ
紅葉に彩られた素晴らしい情景を・・、それも夕景と夜明けの空との両方を味わう事ができるのだ。
また、《一ノ倉沢出合》は休憩所(元避難小屋)・トイレ・水場・駐車場(現在は土合ロープウェイ乗場~一ノ倉沢は一般車進入禁止)と全てが整備されているので、寒さ対策さえしっかりすれば(これから冠雪の山に登るので、その位の準備は万全のハズ)ここでの一夜が明かせるのである。
先程に絶景として目にした
あの大岩盤の上へ
前おきが長くなったが、翌日の朝に秋の一ノ倉沢の絶景を拝んでから、雪をまとった谷川岳に登るとしよう。
※ 続きは、次回の『谷川連峰・秋』にて
トップスピードで走るシンカンセンを
横から完璧に撮るアイテムとして
秒間120コマの画像が獲れる(もう撮る
とは言えない)デシカメがあるという
でもそんなの必要だろうか?
そして完璧な写真ほど
『下らない駄作』はないのである
少なくともワテはそのように思う
なぜなら人それぞれに
『完璧』の捉え方が違うので
人によっては自身の『完璧』が
「コレのドコが完璧なの?」と
なる事が多々あるのだ
それに計算上で完璧を求める為に
車両が高速で通過する1秒に
120コマもの画像を獲って
その中から『完璧』と目される1枚を探すムダ
もちろん選に漏れた『完璧』に
近いデキの1秒当たり119のコマは
日の目を見ずに消去される訳だ
そんなムダをする位なら
背景とシンカンセンを別に2枚撮って
アイコラで自身の想定する『完璧』に
貼り合わせりゃ済むだろうがよ
それにデジカメはそういう
操作に優れているのだし
コマの選定や選に漏れた
ボツなコマその他大勢の消去という
ムダな労力も省けるんじゃね?
そして『完璧』を計算によって
造り出せるアイテムがあるなら
撮影は一回コッキリで済むジャンよ
どっかから気に入った背景を取りこんで
自身のお気に入り画像を貼り付けていけば
いつも『完璧』が上がるって訳だ
まぁ背筋の寒くなる『完璧』なんだけどね
要するに失敗のない世界は
感動のない世界だっていう訳だよ
だからワテは生涯において
デジタルを使わないのですね
それは感動と自分の能力を失いたくないから
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