2010-12-15 (Wed)✎
名峰百選の山々 第4回 『27 浅草岳』 新潟県・福島県 只見山系(越後三山只見国定公園)
1586m コース難度 ★★ 体力度 ★★
冬に田子倉湖畔より見上げる浅草岳
名峰百選の山々の第4回目として御紹介する浅草岳であるが、近年の秘境ブームで脚光を浴びた時期があったとはいえ、『奥只見』という陸の孤島の感が否めない所に位置する山である。
それ故に交通機関は至って不便で、たとえ新幹線を使ったとしてもその日の内に浅草岳に登るのは不可能だ。 それは、JR只見線の運行本数が1日4本と極端に少なく、とても使えたものではないからである。 そして、下山からの帰りの列車にも神経を使わねばならない。
なぜなら、会津蒲生駅からの会津若松方面の最終列車は、17:57と極端に早いのである。
これらの事から考えても、ここは登山口と下山口が異なる事を承知で、マイカー利用以外には有り得ないかもしれない。 車なら前日に田子倉湖前の登山口までアプローチをしてそのまま車中泊する事で、早朝に登り始める事ができるからだ。
また、田子倉駅からの山頂ピストンも可能だ。 この場合、6時間少々で山頂を踏んで田子倉駅に戻ってくることができる。 だが、この山に登るのなら、是非とも神秘の湿原・《沼ノ平》へ足を運びたいものだ。
この浅草岳を選んだ理由は山頂からの素晴らしい眺めは元よりであるが、それ以上に神秘的なベールに包まれた《沼ノ平》の大湿原を抱いている山として、とても神秘的に感じたからである。 それでは、浅草岳と神秘の湿原・《沼ノ平》をめぐってみよう。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
田子倉登山口(2:00)→剣ヶ峰(1:30)→浅草岳(0:25)→浅草岳避難小屋(1:20)→沼ノ平
(1:40)→入叶津登山口(0:40)→叶津集落(1:00)→JR会津蒲生駅
(1:40)→入叶津登山口(0:40)→叶津集落(1:00)→JR会津蒲生駅
アプローチが困難ゆえに登山方法を長々と連ねたが、とにかく浅草岳に登ってみよう。
《田子倉登山口》に入っていくと、しばらくは高低差のない平坦な道が続く。 《幽ノ沢》を渡り少し登ると、頂上に至るまでの最後の水場・《大久保沢》を跨ぐ。 水筒に、水をしっかりと確保して登ろう。
ここからは一転して、キツい急登となる。 標高差950m・4kmの道程である。
ジグザグ急登で樹林帯を乗り越えると、眼下に《田子倉湖》が見渡せる稜線の上に飛び出る。
稜線の上に出てから、しばらく岩場伝いに登っていくと、《剣ヶ峰》というピークの上に立てるだろう。
この《剣ヶ峰》は素晴らしい展望台で、優雅な浅草岳の姿とは対照的に荒々しい稜線を魅せる鬼ヶ面山 1465メートル の大岩壁と、豊富な残雪を魅せる“雪国”越後の山なみが印象的だ。
ジグザグ急登で樹林帯を乗り越えると、眼下に《田子倉湖》が見渡せる稜線の上に飛び出る。
稜線の上に出てから、しばらく岩場伝いに登っていくと、《剣ヶ峰》というピークの上に立てるだろう。
この《剣ヶ峰》は素晴らしい展望台で、優雅な浅草岳の姿とは対照的に荒々しい稜線を魅せる鬼ヶ面山 1465メートル の大岩壁と、豊富な残雪を魅せる“雪国”越後の山なみが印象的だ。
浅草岳稜線より望む鬼ヶ面山
もちろん、《田子倉湖》も湖面を蒼く輝かせている。 《剣ヶ峰》を過ぎると、再びジグザグの急登となる。 《剣ヶ峰》から見えたあの優雅な山裾からは想像できないような急登に汗を搾られる。
やがて『あと1.4km』の標識を過ぎ、3~4回ジグザグ登りをこなすと、《湖見峠》に出る。
ここは、《田子倉湖》と《奥只見湖》を一番よく望める所・・との事である。 ここまでくれば、あとひと息だ。
湖見峠より見る奥只見湖
やがて道は草原へと変わり、広潤な気分満点で浅草岳 1586メートル の頂上に登り着く。
頂上からの眺めは、“素晴らしい”というような月並みな言葉では語れない。
空を駆け抜ける雲と奥只見湖
この日の雲の情景は
また格別であった
地平線より次々とやってくる湧き立つ雲、越後三山や荒沢岳の山なみ、蒼く輝く《田子倉湖》や《奥只見湖》、残雪眩しい鬼ヶ面山の大岩壁、浅草岳の頂上から続く大草原がそよ風にたなびき・・、言葉を越えた『感動』がそこにはあったのだ。 頂上で感動を思いっきり味わったなら、頂上から続く大草原を伝って神秘の湿原・《沼ノ平》をめぐってみよう。
浅草岳直下の大草原
見た目は立派だがトイレ無の
浅草岳避難小屋
絶景を見ながら池塘が点在する大草原を約30分下ると、《小三本沢》の源頭に立つ《浅草岳避難小屋》前に出る。 この小屋は登山地図等からは黙殺されているが、どうしてどうして、とても立派でしっかりした無人小屋である。 小屋からは沢に沿ってコバイケイソウなどのお花畑が続くが、やがて潅木帯に入り緩やかに下っていく。
1時間半ほど潅木帯を下ると、《沼ノ平》経由と《沼ノ平》を避けて平石山の尾根道を直接下るルートとの分岐に出る。 平石山経由だと1時間近く短縮できるが、ここは念願の《沼ノ平》に向かうべく左へ進路を取る。 この分岐から《沼ノ平》までは予想外の急下降で、時には尻をつけねば下れぬ所もあった。
標高差にして300m近く下ると、清水を豊富に流す沢を徒渉する。 この沢は避難小屋前で見た優しい小沢・《小三本沢》である。 澄んだ清らかな水・・、そして豊富な水は遙かな自然を創造する。
そう、この清らかな水によって、《沼ノ平》の大湿原は創造されたのだ。
そう、この清らかな水によって、《沼ノ平》の大湿原は創造されたのだ。
“神秘の沼”・沼ノ平
コウホネ浮かぶ曲沼
《沼ノ平》・・。 コウホネなどの水生植物が咲き乱れる沼ノ周りに、枯れた樹木が一重、二重と重なり、近寄りがたい神秘的な雰囲気をかもし出している。 また、あまり人が近寄らないのか、道は完全なぬかるみとなって足をからませて行く手を遮る。 自然がその力の全てを出して、この神秘の沼を護っているのかもしれない。
この他、涼風吹く“風穴”や湧泉の沼などを見ながら、沢を寄せ集めて“河川”となった《叶津川》を徒渉して(ちなみに、この山域は桟道などの整備は全くない)平石山の山裾を斜めに登っていくと、平石山経由の道と合流する。 合流地点から約40分・・、枯れ草の盛る道を下っていくと、国道289号線の果てにある登山口に出る。
この国道ルートは古来より越後へ抜ける“八十里越”の道で、雪深い越後と奥会津を結ぶ短絡道であった。
《沼ノ平》・・。 コウホネなどの水生植物が咲き乱れる沼ノ周りに、枯れた樹木が一重、二重と重なり、近寄りがたい神秘的な雰囲気をかもし出している。 また、あまり人が近寄らないのか、道は完全なぬかるみとなって足をからませて行く手を遮る。 自然がその力の全てを出して、この神秘の沼を護っているのかもしれない。
この他、涼風吹く“風穴”や湧泉の沼などを見ながら、沢を寄せ集めて“河川”となった《叶津川》を徒渉して(ちなみに、この山域は桟道などの整備は全くない)平石山の山裾を斜めに登っていくと、平石山経由の道と合流する。 合流地点から約40分・・、枯れ草の盛る道を下っていくと、国道289号線の果てにある登山口に出る。
この国道ルートは古来より越後へ抜ける“八十里越”の道で、雪深い越後と奥会津を結ぶ短絡道であった。
実際の長さの10倍の名をつけられた事に、この峠道を越える事の困難さが語られている・・と言えよう。
全くの無人地帯の登山口より、最寄り駅の会津蒲生駅までは6.7km。 舗装はされているが、とにかく長い。 それに、JR只見線の列車は1日4本しかない。 あがいても無駄だ。 ゆっくり歩こう。
遅くとも、上下の最終列車列車には乗れるだろう。
遅くとも、上下の最終列車列車には乗れるだろう。
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