風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第487回  南ア・最後の未踏区へ・・その2

『日本百景』 夏  第487回  南ア・最後の未踏区へ・・その2(悪沢岳)〔静岡県・長野県〕

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荒川三山の中で最も存在感のあるのが
最高峰・悪沢岳だろう

  悪沢岳 わるさわたけ (南アルプス国立公園)
南アルプスの最深部に位置する前岳・中岳・東岳の3つの峰をまとめて荒川三山と呼ぶが、いずれも3000m級の山で、潮陵部に雪を纏いし時は遠く東海道線の車窓からでも、横一列に並んだ姿をはっきり見る事ができるだろう。

その荒川三山の内で最も東側の峰で、三山の最高峰として鎮座しているのが悪沢岳 3141m である。
この峰国土地理院上の登録山名では、「荒川岳の東側の峰」という事にちなんで”東岳”という凡庸な名が付けられているが、この峰を志すほぼ全ての『山の民』が”悪沢岳”と呼称している。

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悪沢岳の北東斜面と対峙する笊ヶ岳は
互いに急峻・険悪なV字谷を刻み
その険悪さに『悪沢』と呼ばれていた

その”悪沢岳”の名の由来は、この峰を源に発した沢や谷がとても急峻な為に、地の猟師たちに『悪沢』と呼ばれていた事に由来すると言われている。 前述のように、標高3,141mは荒川三山の最高峰であり、日本でも6番目の高さである。 なお、この峰は荒川三山の最高峰でありながら、三角点が国土地理院上の『荒川岳』の主峰である荒川中岳 3083m に置かれ、三角点を有さない事も特徴の一つと言えるだろう。

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ひと際凛々しさを魅せた
南アのもう一つの盟主・赤石岳

山頂からは南アルプスの山々が一望の下に見渡せて、時間を忘れさせてくれる。 悪沢岳の東斜面と中岳南東斜面には、約2万年前に存在した氷河によって浸食されたカール地形があり、その底部にはモレーンも確認されている。

また、この山域はお花畑が発達していて、雪が消えると多彩な花々が可憐な姿を魅せてくれる。
このお花畑は、北アルプスによく見られる単一の花によるお花畑ではなく、一つのお花畑に10数種類以上の花々が咲き競っているのが魅られる。 

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朝の光を浴びて
宝石となったミヤマキンバイ
千枚岳のお花畑にて

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悪沢岳の南面にある
カールを埋め尽くす花・花・花

そのお花畑は千枚小屋から千枚岳、悪沢岳と中岳の鞍部南面に形成されたカールの天然の器の中、荒川前岳の東南の斜面などにあり、多彩な花々が咲き競う情景を魅せてくれる。

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荒川前岳南東斜面の
標高差400mに及ぶ広大なお花畑

中でも、荒川前岳の東南の斜面のお花畑は南アルプス最大の広さを誇り、百花繚乱のごとく色とりどりの花々で染め尽くされる。 この広大なお花畑は、雪が消えると多彩な花々が咲き競い、南アルプス南部の盟主・赤石岳を借景とした絶景を魅せてくれる。



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南ア・最後の未踏区へ・・
前半部分の行程地図

   行程記録  ※ 今回実際にかかった時間ですけど・・、何か?
《1日目》 大井川鉄道・千頭駅よりタクシー利用(1:30)→畑薙・登山者駐車場(0:55)→椹島
《2日目》 椹島(3:00)→清水平〔水場〕(3:30)→千枚小屋
《3日目》 千枚小屋(0:45)→千枚岳(1:40)→悪沢岳(1:40)→中岳分岐
       中岳分岐より荒川前岳斜面のお花畑散策、往復1時間(2:30)→高山裏露営地
《4日目》 高山裏露営地(3:20)→小河内岳(2:20)→三伏峠(2:20)→鳥倉登山口よりバス
     (1:50)→JR・伊那大島駅
  ※ 前回の『第486回 その1』の続き

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千枚岳より望む赤石岳の朝景

  《3日目》 荒川三山とお花畑の大斜面をめぐり高山裏へ
朝4時に目覚ましをセットする。 昼から寝溜めした事もあって、目覚ましより30分程早く目が覚める。
今回の山行では体力の衰え度数が未知数である事から、極力水を使う手間を省く事にした。 
いつもの山行での朝は水を使うラーメンが主流だったが、今回の山行では朝はパン食とした。 
そして飲み水も、粉末のジュースにして火も使わぬ事にした。 まぁ、夏だからできる事なんだけどね。

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朝の紅に染まった富士
千枚小屋のテラスからは
夜明けの富士の絶景が望める

手間を省く事で出発時間を早める事ができるのだから、体力の衰えた今現在では使える手法だと思う。
空が赤く染まり出した朝5時前には小屋のテラスに立とう。

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シルエット富士の頂に
幸運の『矢』が飛んだ奇跡の絶景

この《千枚小屋》は、「朝の富士のシルエットが最も美しい」との評判がある小屋だ。 朝の黄金色に輝く光と端正な三角錐を描く富士、そして特徴ある二つの峰を突き出す笊ヶ岳などに視線を奪われる絶景を堪能したなら、千枚岳への頂点へと登っていこう。

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登山道が整備されておらず
今なお南アで指折りの難関峰・
笊ヶ岳の朝景に登山の夢を馳せる

千枚岳へは登り始めからいきなりハイマツ帯のジグザグ急登だが、かぎろい色に染まる空の中で美しいシルエットを魅せる富士山の姿には、言葉抜きに感動させられる。

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登りの道中・・
木々の間から朝の富士の
シルエットが望める

ここから望む富士の姿が、ワテの一番の「お気に入り」である。 もちろん、『日本百景』の『39 富士山』の項目でも、この場所を紹介している。 そしてその説明は、この場を借りたいと思う。
しばらく立ち止まって、“お気に入り”の風景を心ゆくまで味わおう。 

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陽が昇る瞬間・・
富士が浮かぶ雲海が光り輝いた

朝日の放つ輝きは、山の景色だけではなく周囲に散らばる花々にも感動を与えてくれる。
光を浴びて黄金色に輝く花、朝露の宝石を輝かす花、風にそよぐチングルマの黄金の実・・。 

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朝の光が花が落ちて実となり始めた
チングルマを宝石に変えた

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グンナイフウロも
朝の光のバックライトを浴びて
エロスな色彩を魅せた

五色の花々が日の光を浴びて輝き、七色に十色に変わる様にも言葉に尽くせぬ“感動がある。 
素晴らしき景色の中、あまりにも短い45分はあっという間に過ぎ去って、千枚岳 2880メートル の頂上へ登り着く。

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頂上では晩夏の花・
チシマギキョウの蕾がお出迎え

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千枚岳の頂上標と
笊ヶ岳など赤石南嶺の山々と富士山

千枚岳からの眺めは言うまでもなく雄大で、朝の光が黄金色から眩い白に変わりつつある空の下、北は塩見岳へ連なる未踏区にそびえる峰々と、その背後に北岳や間ノ岳といった日本の屋根を成す峰々がその頂で雲海を突き破っている。

千枚岳頂上発 絶景かな・・
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東は眩く輝く明けり空と
富士のシルエット

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南は雲海の衣をまとう
南アルプスの盟主・赤石岳の雄姿

東はまだうっすらとピンクの残る空と富士山、西はこれより登る悪沢岳へと続く縦走路、そして南は巨大な山塊で文字通り『山』を魅せてくれる赤石岳・・と名峰が目白押しだ。 この贅沢なパノラマを満喫したなら、いよいよ『憧れの峰』・悪沢岳にアタックしよう。

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これより目指す悪沢岳は
ライトグリーンの輝きを魅せていた

千枚岳背後のゴチャゴチャした岩稜を越えると、先程ライトグリーンに光っていた荒川・丸山へのなだらかな登りとなる。 ちなみに地理学上の『悪沢岳』は、悪沢(実際にある)の源頭であるこの荒川・丸山が当てはまるとの事であるが、だから『東岳』と呼称するのは夢の無い話なので、ワテはこれより目指す最高峰を『悪沢岳』と呼んでいる。

悪沢岳に咲く花々
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朝露と朝の光が合わさって
眩く輝くキンポウゲの花

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エンドウ系の尖った花
花名不詳

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その紫色がエロスを魅せる
グンナイフウロ

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真に山野に散らばる
輝く真珠のイワツメクサ

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岩陰に姿を隠すように咲く
イワカガミ

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これも花名不詳
このように色々な種の
花々が魅られる

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クロユリ・コマクサと並ぶ
花の女王・コオニユリ

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一見クシャクシャな成りだが
咲けば白いバラのような
キバナシャマナゲ

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重そうな花の頭を垂れる
ミヤマオダマキ

この時点では、雲一つない快晴だった。 それに気を良くしてカメラ片手にお花畑で戯れていると、あっという間に雲が垂れ込めてきた。 『山の天気は変わりやすい』というが、「これは行き過ぎたろ~」と思うのは甘い考えなのだろうか。

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国土地理院上の山名は
平凡な荒川・東岳だが

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この峰を志す『山の民』の
ほぼ全てが”悪沢岳”と呼んでいる

そうこうしている内に、荒川三山の最高峰・悪沢岳 3141メートル の頂上に着く。 到着は7:30で、所要は約2時間半って所だ。 でも、先程に覆ってきたガスで白霧の世界だった。 「この頂に立つのは3度目だし、まぁええか」と、休憩も程ほどに出発しようと思ったが、中岳の方から大判カメラを持った方がやってきて、この方とカメラ談義に花を咲かしてしまう。

悪沢岳のこの日の空
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頂上に着いた直後は北西面の
未踏区の峰々が少し望めるだけだった

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やがて峰々を覆っていた
雲のベールが切れ始めて

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峰々が現れて『憧れの峰』の
頂に立った喜びが甦ってきた

すると、ガスはみるみる内に晴れて、白峰三山や赤石岳が峰をもたげてきた。 大判カメラの方は、「ここは、晴れる時はいつもこんな感じだな」と頷く。 続けて、「10時位でまたガスってくるから、これが今日最後のチャンスかもね」といって、大判特有の重厚なシャッター音をとどろかしていた。

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笊ヶ岳を始めとした赤石南嶺のそびえる
南東面はいち早くガスが晴れていた

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着いた時には諦めていた
赤石岳方向もガスが散り始め

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脇に漂うガス雲で更に凛々しい
「今日の奇跡」的な絶景を魅せてくれた

着いた時の状況からだと、南アの山なみをカメラに収められたのは「たなぼた」モノだろう。
これに気を良くして、カメラを首にぶら下げながら悪沢岳を後にする。

  ※ 続きは、次回の『第488回 その3』にて・・


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