2021-06-23 (Wed)✎
『日本百景』 夏 第481回 暑寒別岳 〔北海道〕
エゾカンゾウ花咲く雨竜沼湿原と
それを見守る暑寒別の山々
暑寒別岳 しょかんべつたけ (暑寒別天売焼尻国定公園)
『北海道の尾瀬』に例えられる雨竜沼湿原と共に最近脚光を浴びているのが、“原始の山”・暑寒別岳だ。 北海道の空知支庁と留萌支庁にまたがる標高1491mの山である。 増毛山地の主峰で、暑寒別天売焼尻国定公園内にある。
第三紀(約400万~200万年前)に活動した火山で、山名の由来はアイヌ語で「滝の上にある川」を意味する「ソー・カ・アン・ペツ」かせとの事である。 冬の季節風が厳しいため積雪が多く、初夏でも残雪が多い。 この豊富な積雪が創造するこの山の魅力は、何といっても高山植物だろう。 広大な丘状の山頂台地に、色とりどりの花々が咲き乱れるのである。
この山を『花の峰』と
言わしめた山上に広がるお花畑
・・チシマギキョウ・エゾノハクサンイチゲ・チシマリンドウ・チシマゲンゲ・ミヤマキンバイ・オヤマノエンドウ・カラフトハナシノブ・チシマフウロなど、色とりどりの花々が大地を飾るのである。
また、豊富な残雪をまとい、見事な縞模様を魅せるのも圧巻だ。
この山上の“楽園”に行くには、3つのコースがある。 日本海側からは、増毛と箸別からの2つの登山コースがある。 また反対側からも、雨竜沼湿原を突っ切る長大コースがある。 どれをとってもかなりキツいコースだが、あの大地を彩りつくす花々を目にしたなら、きっと誰しも“登って良かった”と思うに違いない。
暑寒別岳・増毛ルート 行程詳細図
行程表 《増毛コース》 駐車場・トイレ・山小屋情報
増毛町市街より車(0:50)→暑寒荘(1:50)→五合目(2:10)→暑寒別岳(1:30)→五合目
増毛町市街より車(0:50)→暑寒荘(1:50)→五合目(2:10)→暑寒別岳(1:30)→五合目
(1:30)→暑寒荘より車(0:50)→増毛町市街
稀少種のリシリリンドウ
魅られる花の峰へ
この1500mにも満たないこの山は、ワテが高山植物の花の虜となった山である。 それと同時に、この素晴らしい花の峰が選に漏れ、山頂に俗に染まった宗教の神殿が建つなど山の自然とは相容れない筑波山や、ゴルフのカントリークラブが乱立する天城山など、登山の魅力の欠片もない山を『名山』とする『百名山』に大いなる疑念を持ち始めたのも、この山に登ってからである。
ミヤマリンドウ
:
「花の峰より人が擦りつけた
宗教歴史に染まった山」の
選考基準をワテは認めない
その後、この深田久弥が女を弄ぶ卑劣な輩で、『日本百名山』以外の著作物のほとんどが放送作家だった最初の夫人(盗作した上に別の女に走り、この婦人を捨てた)の書いたモノの盗作だった事も知り、よりこの輩に嫌悪を覚えるようになったのだけれど。
ウコンウツギ
:
この輩の事は虫唾が走るので
気を鎮めるべく花の写真をば・・
後にワテが【名峰百選】を選定した理由の一つは、こんな下劣奸による選別を認めたくなかったからである。 もちろん、ワテが【名峰百選】として山を選んだ事も、行為としてはこの下劣奸と同じなのは百も承知である。 これを承知する証として、【名峰百選】の事を説明する度に「この【名峰百選】は『ワテだけのオリジナル』で、他の人には一切当てはまらない」と付け加えているのである。
まぁ、この事となるヒートアップしてしまうのでこの辺で置いといて、この山の登山について語ろうと思う。 前述で紹介した通り、この暑寒別岳には3つの登山ルートがあり、どのルートも日帰りではあるが、いずれも往復にまる1日を要する初心者には厳しいルートなのである。
『北海道の尾瀬』・雨竜沼湿原
:
雨竜沼湿原・南暑寒別を
めぐってのルートも捨て難いが
距離が長過ぎて日帰りでは
戻れるかどうか心許ない
その3つのルートの概要を記すと、南暑寒別岳軽油のルートは長大過ぎて日帰りでは不安であるり、もう一つのルート・箸別のルートは登山口の標高は最も高いが、登山口の山小屋が貧相(といっても、十分に使えるレベル)であった事から、残る増毛ルートを選択したのである。
山荘真っ青の豪勢な設備を備えて
しかも無料な暑寒荘
その増毛ルートの登山口に建つ山小屋の《暑寒荘》は、布団(毛布付)アリ~の、水が蛇口から常時出ていて食材が揃えば一品料理の調理も可能な炊事場アリ~の、トイレは建物内にアリ~の(再びこの山に登った時には、山荘前に身障者用のウォシュレットトイレも設置されていた)と、そこらの民宿顔負けの宿泊施設で、しかも無料と来たからたまらないのである。 もちろん、野外バーべキュー用の設備もあったし、テーブル・イスも完備だしィ。
この豪勢な山荘でグッスリ眠って(さすがに電気の設備はないので、暗くなったらすぐに寝た)、翌朝の登山日を迎えよう。 翌朝は弱い雨が降ったり止んだりする生憎の天候で、雨合羽を着て登り始める。
五合目の蚊が飛び交う錆びたドラム缶は
さすがに撮る気がしなかったので
花(ハクサンチトドリ)の写真おば・・
早朝から登り始めたはいいが、この増毛ルートの登山口は280mと標高が低い森の中にあり、雨の森で夏とくれば蚊が寄ってくるのである。 もう、盲ら滅法手を叩けば2匹くらい始末できる位に蚊がまとわり着き、かなり蚊に喰われたよ。 これが標高が8~900mを超える5合目まで続くのである。
従って、2合目までは急登で、5合目まででも6.2kmあるという厳しめの増毛ルートだが、この道中は「蚊を叩き殺しながら歩いた」という記憶しかなかったりして。
ミヤマウサギギク
:
五合目までは長い林道状の道歩き
蚊の来襲・はっぱムシムシの
溜め置きドラム缶と
一切見せ場ナシだったよ
やがて”水場”と指定された5合目に登り着くが、この”水場”は錆びたドラム缶に溜め置いた「葉っぱムシムシ~」な水で、使えば山頂に行き着くまでに腹を下してで息絶えるやもしれん「ヤバ過ぎる」水だったよ。
チシマギキョウ
:
アリューシャンからの花の便り
もちろん、このドラムカンの上でヤブ蚊がボウフラを育てているようだしィ。 なので、5合目では雨の中で小休止しただけで出発する。 なので、「道中は水を得る事ができたない」と認識しておいた方がいいだろう。 登り始めに行動水を汲んで持っていく登山の『お約束』なのだけれど。
5合目を過ぎて6合目に差し掛かるとハイマツが現れ始め、滑りやすいガレ砂道の急坂をロープを手繰っての急登となる。 これを登りきると尾根に出て、程なく7合目の『滝見台』に登り着く。
七合目・滝見台
西暑寒別岳の中腹に掛かる
無名滝が望める
※ 増毛町のウェブサイト『登山案内』より
その無名滝は近寄る事が不能で
この場所以外に望む術のない秘滝だった
この日は雨で見る事は適わなかったが、真正面にそびえる西暑寒別岳の中腹に落差70~80mの無名滝が掛かるのが見える。
七合目を過ぎた辺りから
ゴゼンタチバナを皮切りに
チラホラと花が現れ始めた
この辺りから、ゴゼンタチバナなどの小規模なお花畑がチラホラと現れ出すが、頂上はこんなショボイモノではないので1枚だけ撮ってスルーする事にしよう。
八合目『旋風岩』
目の前にそびえるのは『ニセピーク』
※ 増毛町のウェブサイト『登山案内』より
ハイマツの中を縫うように登りつめると、「展望台もどき」の8合目『扇風岩』の岩塊の上に立つ。
何故にここが「もどき」なのかと云うと、ここから見えるピークは暑寒別岳ではない『ニセピーク』だからである。 まぁ、ワテが登った時は雨は止んだものの、視界は皆無であったが・・。
もうあとひと登りで『花の楽園』へ
ミヤマキンバイ
この8合目からが結構長い。 9合目の指標まで尾根の緩やかなたわみを突っ切って、この9合目から先程に『扇風岩』から見えた『ニセピーク』までが、ロープを手繰っての滑りやすいザレ場の急登となっているのだ。 恐らく、この急登が最もキツいようだ。 それに加えてここまで9km近く山道を歩いた疲れと、登山の序盤にやぶ蚊に喰われまくったダメージと、1500mを切る山とは思えない相次ぐ急登で、かなりコタえるモノがある。
ロープをたぐって急登をつめると
この峰を『花の峰』と言わしめた
『花の楽園』があった
だが、このロープを手繰っての急登を乗り切ると、その先についにあった! 『花の楽園』が・・。
花の峰に集う可憐な花たち
儚い薄紫色を魅せる
チシマフウロ
花の楽園の中でもひと際小さく
そしてひと際魅惑の濃紺を魅せる
稀少種・リシリリンドウ
固有種のマシケゲンゲか?
“樺太”の呼称を冠する北の花
カラフトハナシノブ
頂上台地を余す事なく埋め尽くす花の園。 あまりにも花が有り過ぎて、「どうカメラを向けたらいいのか」戸惑ったよ。 だから、魅せられて感じた思いの1/10も撮れなかったと思う。
浮き立つ
エゾノハクサンイチゲ
:
ワテの生涯で
一番の花の写真が撮れた!
だが、悔いはない。 なぜなら、コレが撮れたから。 この1枚は、ワテの写真でも最もお気に入りの『花の写真』となったのだから。 その他にもカラフトハナシノブや戸惑うばかりの濃紺を魅せるマシケリンドウなどを見ながらゆくと、『暑寒別岳頂上 1491メートル』の標柱が岩の間に突き刺された暑寒別岳の頂上に着く。 ここまで4時間余りだ。
暑寒別岳・頂上にて
頂上の周りは
ウコンウツギのお花畑だった
下りは往路を戻るが、雲間から日が差してきて、遅まきながら日本海へと続く展望が望めたよ。
下山してからの今夜も、最高の山小屋の暑寒荘に連泊する事にしたよ。
このヒトモドキ共はあくまでも
日本人の命より五輪の利権みたいだから
コッチも方針転換するよ
五輪開催で感染拡大したら
開催を煽って日本人の命を
危機に至らしめたこのヒトモドキ共を
大量殺人者として糾弾していく事にしたよ
だかこの話題はここまでで
これからのこのバナー下は
写真や鉄道の事を記していこうかと
ワテがそれなりに写真か
撮れるようになったのは
小僧の頃にトプコンT-35Lという
レンジファインダーのカメラを使って
知らずの内に体得したからだと思う
それは9~10歳の小僧の時から
ピント合わせはもちろんの事
絞り・シャッター速度など全てがマニュアルで
800gと今のF-1と変わらない
重さのカメラを手持ちで撮影して
いっぱい失敗して時に成功して
失敗の悔しさと成功の喜びを
味わったからだと思う
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No Subject * by 鳳山
暑寒別岳、初めて知りました。無名の滝、行けるものなら行きたいですね。日本海側にもこのような山があるんですね。勉強になりました。
Re: No Subject * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
暑寒別岳は標高で1500に満たない山ですけど、内陸側に『北海道の尾瀬』と云われる雨竜沼湿原を従える神秘&花の宝庫の山ですね。 そして、日本は『瑞(穂)の国』・・。 知られざる滝が隠れていますね。 落差100mを越える無名滝が、あちこちに潜んでいます。
暑寒別岳は標高で1500に満たない山ですけど、内陸側に『北海道の尾瀬』と云われる雨竜沼湿原を従える神秘&花の宝庫の山ですね。 そして、日本は『瑞(穂)の国』・・。 知られざる滝が隠れていますね。 落差100mを越える無名滝が、あちこちに潜んでいます。