風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第143話  吾妻連峰縦走 その1

よも”ヤマ”話  第143話  吾妻連峰縦走 その1 
            (天元台~西吾妻山~弥兵衛平) 〔山形県・福島県〕 '96・7
中大 1964m 、西吾妻山 2035m【名峰百選 58峰目】

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稜線に散りばめられた池塘と
周りを囲み咲くワタスゲ

  吾妻連峰 あづまれんぽう (磐梯朝日国立公園)
東北の名峰の中で“ピリッ”とスパイスを効かした存在が、この吾妻連峰であろう。 しかし、この美しき連峰も、スキー場やスカイラインの乱開発で麓は「見るも無残」となってしまった。 そして、その魔の手は、連峰の東部分を覆い尽くしてしまった。 そして、西側も県を代表するスキー場となっている。
これは、自然を楽しむワテにとっては至極残念な事である。 

スキー場の開発は、広大な山の斜面を“ハゲ山”とする愚かな行為である。 しかも、木々を切り除くだけではなく、二度と木が生えぬように地表に“根枯らし”などの毒を撒くのである。 言わば、スキー場開発は“人殺し”ならぬ“山殺し”、ひいては“自然界に対する反逆行為”なのである。 この事に対する警鐘から、我が『日本百景』で補欠ながらもこの吾妻連峰を選んだという側面もある。 

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吾妻連峰稜線からの眺望
曇天なるも晴れていたら
大展望を予感させる眺めだった

だが、この吾妻連峰も、稜線まで登れば素晴らしい景観が待っている。 《いろは沼》・《弥兵衛平》の池塘群、穏やかな草原状の山を染める高山植物の花々、《五色沼》のコバルトブルーの輝き、《谷地平》の大湿原など美しき景観を抱いているのだ。 もちろん、この素晴らしき景観を抱いている事こそ、吾妻連峰を選んだ主な理由である。



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吾妻連峰縦走《1日目》の行程詳細図

   行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報                                               《1日目》 米沢駅よりバス(0:50)→白布湯元よりロープウェイ(0:05)→天元台
       天元台よりリフト3回乗継(0:30)→北望台(0:20)中大カモシカ展望台
     (0:45)→天狗岩(0:15)→西吾妻山(0:50)→人形石(1:30)→滑川温泉分岐
     (0:30)→弥兵衛平小屋
《2日目》 弥兵衛平小屋(0:35)→滑川温泉分岐(0:15)→東大巓(1:45)→烏帽子山
     (2:45)→一切経山(0:55)→浄土平よりバス(1:05)→福島駅

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吾妻連峰の最高峰・西吾妻山
※ ウィキペディア画像を拝借

 《1日目》 天元台より西吾妻山を経て弥兵衛平へ
白布湯元からのロープウェイとリフトは、標高1920m地点まで苦もなく上げてくれる。 これはこれで大変有り難いのではあるが、難点もある。 それは始発の発車時間が朝の8:20と、とんでもなく遅いのである。 しかも上のリフトに至っては、9:30と「登山者の都合は全く眼中にナシ」といった案配だ。

それゆえに、登り始めが10時と苦虫を噛み潰すような時間となるのだ。 こういう訳で、西吾妻山の先の西大巓などの峰は今回「お預け」となってしまった。 とにかく、ロープウェイとリフトを乗り継いで《北望台》までいこう。 

《北望台》より整備された石段を約20分ほど登っていくと、周囲が開けた好展望地に出る。 
ここが中大巓 1964メートル 山頂の《カモシカ展望台》だ。

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生憎の曇天で
カモシカ展望台からは
何も望めなかった

ワテの登った時は濃霧で視界がなかったが、たとえ眺望があったとしても、スキー場のリフトやゲレンデ化されたバゲ山が目に入ってきてあまりいい眺めではないかもしれない。 この《カモシカ展望台》からは、稜線歩きとなる。 展望台から庭園状に仕切られた丘を下っていくと、東大巓方面と西大巓方面への分岐に差しかかる。 

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眼前に盛り上がる
最高峰・西吾妻山へ登っていこう

ここは吾妻連峰の最高峰・西吾妻山へ登るべく、西の方向へ進む。 分岐からすぐの雪渓を渡ると、吾妻連峰屈指の清水が湧き出る水場がある。 この清水で喉を潤したなら、再び最高峰へ向けて登っていこう。 この清水から、岩道の標高差100mの急登となる。 この岩道は常に日陰で、所々に根腐れ雪が被っていて滑りやすいので気をつけていこう。

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凡天岩の庭園に
咲いていたイワブクロ

これを登りきると、池塘とハイマツの広がる《凡天岩》の山上庭園に出る。 この《凡天岩》の上に立つと、待ちに待った山岳風景が視界に広がる。 晴れていれば、飯豊連峰・蔵王・磐梯山・朝日連峰・月山・・と四方に展開する雄大な山岳風景を楽む事ができるが、ワテの登った日は周囲が厚い雲に覆われた曇天で近くの山以外の展望はなかったよ。 

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凡天岩より望む山なみ
重苦しい曇天で近くに
そびえる山以外の展望がなかった

吾妻連峰は気軽に山の稜線に立てるようにはなったが、山好きが満足できる情景を望むには、ここまで来なければならなくなった。 この風景を目にして、改めて山斜面におけるスキー場乱開発に危惧を感じるのである。 素晴らしくも、問題提議のある眺めを望んだら先に進もう。 《凡天岩》から、再びハイマツ帯に分け入って約10分でこれを抜けると、《吾妻神社》の祠の建つ《天狗平》の広場に出る。 

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天狗岩上に建つ吾妻神社
※ ウィキペディア画像を拝借

辺りは、ただっ広い河原状の丘だ。 この広場の最奥に、《吾妻神社》の祠がある。 山岳信仰に興味があるなら、御参りしてから行くといいだろう。 最高峰の西吾妻山へは、この広場の手前から、湿地状の窪地に下る。

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泥炭層の湿地に咲くオトギリソウ

この湿地は湿原の乾燥跡で、泥炭層から草花が目を吹き出している。 高山植物も豊富で、ミヤマリンドウ・ワタスゲ・タカネスミレなどが彩りを添えていた。

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湿原に咲く花
イワイチョウ

この窪地を突っ切るとツガやヒノキの樹林帯に入り込んで、これを10分程登ると吾妻連峰で唯一2000mを越える最高峰・西吾妻山 2035メートル 山頂だ。

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ツガの樹林に囲まれて眺望皆無で
最高峰でありながら知名度の低い
悲運な峰・西吾妻山

だが、ツガの林に囲まれて眺望がないのが残念だ。 樹木の隙間より、《西吾妻避難小屋》が見えるだけである。 この西吾妻山は、最高峰であるにもかかわらず、縦走路から離れていて、その上にこの眺めが災いして比較的無視されがちな“悲運”の山である。 山頂の眺望を求めるなら、西大巓がいいだろう。
登頂の記録写真を撮ったなら、《カモシカ展望台》下の分岐まで往路を忠実に引き返そう。 

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できるだけスキー場やリフトなど
人工物が入らないように撮る

この分岐から中大巓の山腹をトラバース気味に登っていくと、《人形石》の大岩の立つ砂礫地の広場に出る。 ここは眺めはいいのだが、くつろいで眺めを楽しむ雰囲気ではない。 それは、《カモシカ展望台》より10分と、トレッキングハイカーにとっては絶好の基点となっていて、中高年・スニーカー族が思い思いに弁当を広げてたむろっているからだ。 《人形石》の岩の上は途切れる事がなく人が上り、そして奇声を発している。 とても、『アリバイ写真』を撮る気分にはなれない。 

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人形岩より離れて
人影がまばらになると
ようやく登山者の領域となる

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草原と風にそよぐワタスゲ
いよいよこれからが
クライマックスだ

・・という訳で、足早にこの場所を去る事にする。 《人形石》から先は約200mの急下降となっていて、下りてしまうと帰りの登り返しがキツいせいか、ハイカーには敬遠されて人影もまばらとなる。
ようやく、登山者の領域に入ってきたのだ。 もちろん、眺めもこれからが“最高潮”となるのだ。 

吾妻の山で草原漫遊
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いろは沼など
大小の池塘が点在する

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池塘の周囲は
お花畑となっていた

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目を見張るのは
やはり大地を白く染めるワタスゲだ

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曇天で眺望は今イチだったけど

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イワイチョウ
花は満開で楽しい草原漫遊だったよ

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クライマックスは
草原を白く輝かすワタスゲの大群落

《いろは沼》の大小無数の池塘群、そしてその周りを白い綿で覆うワタスゲの大群落、湿原に咲くハクサンフウロやハクサンチドリのお花畑など、乱開発の余波に追いやられた吾妻連峰の魅力がようやくここで現れたのである。 願わくばこれ以上、山の魅力を追い込まないで欲しいと願うのであるが・・。

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ミヤマリンドウ
しっとりとした空模様には
淡い紫が良く映える

池塘やお花畑の続く平原を心地よい緩やかなアップダウンで乗り越えると、《明月湖・滑川温泉分岐》に出る。 

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明月湖と縦走路の分岐付近
これより明月湖に建つ避難小屋まで
ワタスゲの花道中となる

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ワタスゲの白で染まる
真にワタスゲの花道中

今日は、《明月湖畔》に建つ《弥兵衛平避難小屋》に泊ろう。 《明月湖》までは、この分岐から約30分の距離だ。 ハイマツの中にひっそりと咲くイワナシやジムカデの白い花を見ながら、ゆっくりと下っていこう。

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明月湖畔に建つ
弥兵衛平避難小屋

《弥兵衛平避難小屋》は近年に改築された(ここで言う『近年』とは、この縦走を行った’96年を基準にしての事である)らしく、二階建ての内便所付の立派な小屋である。

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銀明水の傍に
咲いていたイワカガミ

但し、水場は更に7~8分下方の《銀明水》まで汲みにいかねばならないが・・。 明日は吾妻連峰を縦走して、ダイナミックな山岳風景を楽しもう。

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明日は連峰の東に
そびえる山々を踏破していこう

  ※ 《2日目》の行程は、次話の『第144話 吾妻連峰縦走 その2』にて


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