2021-05-12 (Wed)✎
よも”ヤマ”話 第141話 ニペソツ山 〔北海道〕 '96・7
東大雪・天狗岳 1868m、ニペソツ山 2013m【名峰百選 56峰目】
天高く尖峰を突き立てるその姿から
『北の槍』と称されるニペソツ山
※ 所有する写真集『北海道の山』より
ニベソツ山 にぺそつやま (大雪山国立公園)
北海道の東大雪にある標高2,013 mの山で、北海道十勝総合振興局管内新得町と上士幌町の境にあり、標高2,000mを超える山としては国内で最も東に位置している。 唯一、東大雪で2000mを超す山である。
山名は十勝川の支流ニペソツ川の源に位置する事に由来し、その『ニペソツ』とはニペソツ川を指すアイヌ語の「ニペㇱ・オ・イ nipes-ot-i(シナノキの樹皮・内皮・が群在する・もの」が略されて伝わっているという説が出されているが、この説はまだ十分に検証されていない。
山頂付近は森林限界のハイマツ帯で、多くの高山植物が自生している。 この為、二等三角点のある山頂からは、ウペペサンケ山・トムラウシ山・大雪山・石狩岳など360度の展望が得られる。
氷河時代の生き残り
エゾナキウサギ
※ ウィキペディア画像を拝借
北東にある登山道の溶岩の積み重なった岩場にはエゾナキウサギが生息し、時折岩の隙間から姿を現し、その鳴き声が周囲にこだまする。 またシマリスが姿を現す事もある。
対峙する石狩岳方向から望むと
夜明けの空に穂先を突き立てる
『北の槍』の絶景が望める
石狩岳が山脈の盟主の様相をなしているのに対し、ニペソツ山は孤高を誇る赴きがある。
石狩岳から見た鋭く天を指す姿は、別名『北の槍』と呼ばれるが如く強烈な印象を抱かせる絶景である。
その山容の如く頂上東面は急峻な岩壁となっており、頂上付近の登山路はこの岩壁の上をゆくので注意が必要である。 前述のように独立尖峰で、石狩岳やウペペサンケ山など他の東大雪の山々へ縦走路はない。
1978年末に路線廃止に
先んじてバス代行運転となって
閉鎖された十勝三股駅
ニペソツと石狩岳の登山基地となる十勝三股は、かつて木材産出地として多くの人家があり、帯広から鉄道も通っていたが、今は三国峠などへの観光目当てのドライバー相手の軽食喫茶が一件あるのみで、住人はゼロのゴーストタウンとなっている。
かつて十勝三股は林業で栄え
人口も1500人程いたというが
今は喫茶店が1軒あるだけで
住人ゼロのゴーストタウンとなっている
ニペソツ山・十六ノ沢ルート 詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
上士幌町・糠平より車(0:50)→杉沢出合(2:00)→天狗ノコル(1:00)→前天狗
(1:40)→ニペソツ山(1:10)→前天狗(0:40)→天狗ノコル(1:30)→杉沢出合より車
(0:50)→上士幌町・糠平
ニペソツ山では視界不良で
ほとんど山の写真が撮れなかったので
※ ウィキペディア画像を拝借
この山は孤高を成す独立峰で周囲の山々への縦走路が無く、「日帰りで登頂できる」とはいえども。往復15kmの長丁場であるので早朝から登り始めたい。 それに対応するには、前夜の内に《杉沢出合》に入っておく事が必須となろう。
住人ゼロのゴーストタウンと
なった十勝三股が
ニペソツ山登山の拠点だ
・・かつての木材搬出の要害・『十勝三股』から林道が延びている。 この林道は途中で2方向に別れ、右手は石狩岳の《十石峠》や《シュナイダーコース》の登山口へ、左手はこれから目指すニペソツ山の《杉沢出合》へと、それぞれ延びている。
進路を左手に取って、林道の砂利道を都合約9km進んでいくと、《杉沢出合》の林道終点に着く。
車がやっとUターンできる程度の狭い空地に車を止めて、林道脇にテントを張って休もう。
なお、《杉沢出合》の車止めの前は、目の前を清らかな沢が流れる絶好のキャンプ適地となっている。
『カムイミンタラ(神遊びの庭)』・・
「神が遊ぶ庭」たる絶景の山へ
:
タウシュベツ橋梁より覗くニペソツ山
この清らかな沢は『十六ノ沢』といい、ワテがいままで見てきた沢の中で最も清流と思える際らかな沢で、少しでも水が濁っていれば生息しないといわれる岩魚が泳いでいるのが視認できた。 そして、ここはニペソツ山登山だけでなく、渓流釣り目的の者も訪れる。
若き日のワテは、この岩魚釣りのおっちゃんが糸を垂れている姿をみていたのだが、このおっちゃんが「オマエもやってみるか?」と、菜(さえ)箸に釣り針をつけた糸を通して針の先に餌をつけただけの簡易に拵えた釣り竿を渡してくれた。
自身で釣ってすぐに
火で炙って食った岩魚は
生涯で一番旨い魚だった
※ ウィキペディア画像を拝借
でも、こんな安易な仕掛けの釣り竿で、ド素人のワテが釣り糸を垂れても「釣れた」よ。
それ以来は釣りに興味を抱く事がなく、後にも先にも釣りなどした事無いので、これが生涯最初で最後の釣り上げた獲物である。
そして撮った獲物(岩魚)は、さっそく焚火で炙って夜飯のおかずにしたよ。 何もつけずにただ炙っただけなのに、自然味溢れる絶妙な塩味が利いていて、ホコホコとした食感も楽しめる生涯で一番美味な魚料理となったよ。 ここに潜む岩魚は、清らかな沢の水苔を食する絶品の岩魚なんだろうね。
さて、話は少し脱線したが、山の話に戻そう。 先程も述べたように、この山は「日帰り登山の山」といえども往復にかなりの時間を要し、早朝から登り始めなければタイムオーバーとなってしまう危険があるので、前日アプローチが必須となるのだ。 それに、早朝出発は山行の鉄則だ。 いい山旅の鍵は、ほとんどこれにかかっているのである。
チシマフウロ
ハクサンフウロの亜種で
北海道の山のみに咲く花
:
スンマセン・・天候が悪くて
山岳風景写真が撮れなかったので
唯一撮れた花の写真を
意味なく並べ掲載しまっす
翌朝、空が明るくなった5時過ぎに出発。 天狗岳やニペソツ山への距離が示してある登山口の道標を越えると、昨日岩魚を釣り上げた清流・杉沢(十六ノ沢)が流れていて、これを桟橋で渡る。 ここで、今日の行動水を水筒に汲んでいくといい。 沢を渡ると、対岸の土手を急登していく。 途中、山の湧水で足場がぬかるんで歩きにくい所もあるが、おおむね足場のしっかりした樹林帯の急斜面を登っていく。
ミヤマキンバイ
黄色い花はあまり花の種を
知らないのでたぶん・・
区間ごとに《前天狗》までの距離を示してある看板が木に掛けてあるが、これが“クセ者”であまり信用はできない。 それは、「上部にある看板が下の看板よりも、残りの距離表示が長い」という決定的な欠陥があるからだ。 これをアテにして登ると、事実を知った時の疲れが倍増するので念の為。
エゾイソツツジ
登山口に近い標高の低い森の中に
ひっそりと咲いている
登山口から延々と続く樹林帯の急登で汗を搾り取るだけ搾り取られるが、小天狗山が樹木の間から見えるようになると、ようやくこの急登も一段落着く。 しばらく、小天狗山を見ながらの緩やかな道が続くが、アカエゾマツの木々が視界を遮るようになり、最後のつめの急登でこれを乗りきると小天狗山から延びた稜線上のピークの上に出る。 しかし、ピークといっても展望の全く利かない林の中で、ピークに立った事すら意識できないであろう。
エゾノハクサンイチゲ
この花の大群落は
大地を白く輝かすほど
ここから下りとなり、迫り出した大岩を巻くようなトラバースで進行方向を180度転換して下っていく。 辺りが樹林帯から笹地に変わるまで下っていくと、《天狗ノコル》に下り着く。 ここは雪渓のある時は何とかテント場として使えそうだが、雪渓が消えると蒸し焼かれたような荒地で、とてもではないが泊まる気にはなれない。
イワブクロ
砂礫地に咲く花なので
ロックガーデンを行く地点で掲載
この荒地を越えると、ハイマツの上に積み重なった《前天狗》への登りだ。 それ程キツくないハイマツのブッシュ漕ぎでこのハイマツ帯を抜け出ると、ロックガーデンのような岩ガレ場の直登だ。
ロックガーデンの上部に抜け出ると展望はすごぶる良くなるが、これといって際だった山がなく、まだ一級の展望とは言い難い。 従って、黙々とこのロックガーデンを登っていこう。
ウメバチソウ
この花が撮れる時は大概天気が悪い
何でだろう?
やがて傾斜は緩くなり、大きな窪地状の中を歩いていく。 ここは、辺り一面岩ガレとなっていて同じような眺めが続き、ともすればリングワンダリングに陥る危険性のある所だ。 ガスに巻かれた時などは、充分な注意が必要だろう。 ガレ場の窪地を高台までつめるように登ってこのピークの上に立つと、前面の展望がパッと開けて、第一級の素晴らしき展望が眼前に広がる。
こんな写真が撮りたいと
この後も再度ニペソツ山に登ったが
いずれも曇天で未だ願望は成就せず
※ 所有する写真集『北海道の山』より
ここが《前天狗》で、ここから撮られたニペソツ山の写真がしばしば風景写真集に使われている事からも解かるように、ニペソツ山が最も凛々しくその姿を魅せる所なのだ。 しかし、ガスのかかり方も早く、なかなかいいシャッターチャンスにならないのも確かな事だ。 ワテも、このおかげで撮り損ねたのである。
割と珍しいミヤマアズマギクは撮れたけど
山岳風景は壊滅的に撮れなんだ
さて、《前天狗》からは、一度窪地に向かってロックガーデンを150m急下降する。 途中、浮石などが多くあり歩きにくい。 これを下りきると窪地のお花畑となるが、花を愛でる暇もなく、再び岩ガレ場の登り返しとなる。 これから、このようなアップダウンを数回繰り返すので、思った以上に時間がかかる。
この登り返しを乗りきると、砂礫地のお花畑を見ながら、全面に迫り出してくる天狗岳への緩やかな登りとなる。
砂礫地に咲く花・イワブクロ
天狗岳の登路は切りたった西斜面を巻くように登っていくのだが、この山には頂上の標示が全くなく、いつの間にか乗り越えてしまう感じである。 感覚としては、最も下が切れ落ちて見える所辺りがピークであると考えていいだろう。 天狗岳を越えると、眼前にそびえるニペソツ山に向かって急下降していく。
約150m下りきって稜線の鞍部に立つと、これより限りなく急峻なニペソツ山の東斜面の縁を350mイッキに登り返す、この山行最大のアルバイトが始まるのだ。
チシマフウロ
:
この花の本家が
ピンク色のハクサンフウロ
本州向けの亜種が
艶っぽい赤紫のグンナイフウロ
ルンゼ状のザラ地の急登で汗を搾り取られ、ふくら脛が引きつるのにひたすら耐えて登っていこう。
このキツい登りも、ニペソツ山東斜面の崩落地が眼前に立ちはばかって見えるようになると一段落する。
ここは、ニペソツ山の崖っぷちに沿ってミヤマオダマキやミヤマアズマギクのお花畑となっていて、切りたった東斜面の崖を背景にするといいアングルなりそうだ。 だが、何分切りたった崖に近づくので、充分な注意が必要だ。
イワヒゲ
:
イワヒゲとジムカデは判別がムズい
端が細いのがイワヒゲで
葉がムカデ状なのがジムカデ
このお花畑を過ぎると、東斜面の崩落地を避けるように進路を右に変えて、北斜面のガレ場を巻くようにトラバースして反対側の西斜面に乗り移る。 この辺りは、辛い登りにひたすら耐えたご褒美の如く、辺り一面にお花畑が広がる。 西斜面に移ると尾根筋の緩やかな道となり、そのままニペソツ山の頂上へと連なっている。
天気が悪くても
アリバイ写真は撮ります
西斜面に乗り移ってから約7~8分登ると、『東大雪』の秀峰・ニペソツ山 2013メートル の頂上だ。 頂上からの眺めは、石狩連峰の大きな“楯”の後ろに、残雪模様の美しい大雪の山々や《高根ヶ原》の大平原が広がって壮観だ。
この日は完全なる曇天で雲海が深く
僅かに石狩岳とその背後に
大雪の山なみが望めるのみだった
その様相は満潮時に
島が僅かに海面上に
出ているような感じだった
こういう状態だったので
石狩連峰・音更山で
魅せられた大雪の絶景おば
一方、振り返った東側は、先程に見た東斜面が怖い位に真っすぐ谷底に切れ落ちている。
この切れ落ちた崖っぷちにも花が群落を成していて、カラフトゲンゲ・シコタンソウ・エゾルリソウなどが可憐な姿を魅せている。
お花畑は断崖絶壁の縁にあった
:
過去に花を撮ろうとしての
転落死亡事故もあるらしい
断崖上のシナノキンバイの群落
:
転落防止の為に
腹這いになって望遠で撮ったよ
思わず近づきたい所なのだが、過去に転落死亡事故のある危険地帯なので、近づかない方が良さそうだ。
ミヤマアズマギクは
断崖のかなり手前に
咲いていたので安心して撮れた
重たそうな花身を垂れる
ミヤマオダマキ
『東大雪』の最高点の眺めを満喫したなら、下山に取りかかろう。 帰路は往路をたどるが、天狗岳・前天狗・小天狗と3つの登り返しがあるので、思ったより時間がかかる。 カメラ片手に下っていくなら、登りと同じ位の所要時間を見るべきだろうね。 特に、上りより下りの方が時間がかかるワテは・・。
薄紫色の儚き花・チシマフウロ
:
一瞬日差しが照って
花の色が鮮やかになったよ
今回一番よく見かけたのが
砂礫地の花・イワブクロ
・・ちなみに、この時は『奇跡の体力』全盛期であったのだが、登りがコースタイム1時間切りの3:30、下りがカメラ片手にダラダラ下りをしたとはいえ4:30かかっちまったよ。 今は下りが絶望的に遅く、下りでコースタイムの2.4倍かかる『下り三倍満』をカマした事もあるしィ。
取り敢えず『北の槍』と呼ばれる
ニペソツ山は踏破しますた
想定されるシナの有事は
恐らく台湾侵攻であろう
シナの戦略では台湾を制し
そこを足掛かりに日本の沖縄とその米軍基地に
軍事的な楔を打ち込む事だろう
だから一度有事が起きれば
シナは日本に潜入させた
工作員を総動員して日本を揺さぶるだろう
もちろんその手法は工作員による国内テロだ
要人暗殺・無差別暗殺・『武漢ウイルス』拡散
オウムのような毒ガス散布・施設爆破など
なりふり構わずやってくるだろう
それは元から勝ち目のないシナが
軍事的に劣勢となれば
すぐにでも実行されるだろし
日米によるシナの沿岸の機雷封鎖が
行われればたちまちシナは窮地となるだろう
工作員はどんな姿に化けてでも侵入してくる
それを防ぐ手立ては東京五輪の中止と
シナ・チョンの入国に厳しい制限を
加える有事法制の発動だ
そういう状況の中で敵の工作員を
フリーパスで招き入れる東京五輪の開催を煽るのは
真に日本を滅ぼそうとする
敵(シナ・チョン)の工作行為に他ならない
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No Subject * by 鳳山
北海道には独特の動物がいるそうですが、エゾナキウサギかわいいですね。大自然を満喫されている風来梨さんが羨ましいです(笑)。
Re: No Subject * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
ナキウサギはホトンドハムスターのような成りですが、れっきとしたエサギ目のウサギ科で、氷河時代の生き残りと云われる如く
、氷河時代から世代を伝える生態的にはたくましい種なのですね。
そして花は、エゾノハクサンイチゲ・エゾコザクラ・カラフトハナシノブ・チシマフウロなど、「エゾ」・「カラフト」・「チシマ」の北海道固有種は元より、ピハイロキンバイ・ユウバリソウ・リシリリンドウなど、山名を冠した固有種も数多くある花の楽園ですね。
ナキウサギはホトンドハムスターのような成りですが、れっきとしたエサギ目のウサギ科で、氷河時代の生き残りと云われる如く
、氷河時代から世代を伝える生態的にはたくましい種なのですね。
そして花は、エゾノハクサンイチゲ・エゾコザクラ・カラフトハナシノブ・チシマフウロなど、「エゾ」・「カラフト」・「チシマ」の北海道固有種は元より、ピハイロキンバイ・ユウバリソウ・リシリリンドウなど、山名を冠した固有種も数多くある花の楽園ですね。