風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第137話  知床連山縦走 その2

よも”ヤマ”話  第137話  知床連山縦走 その2 (羅臼平~知円別岳鞍部)〔北海道〕 '96・7
知床・南岳 1459m

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サシルイ岳の高みより
ミツミネ山と羅臼岳を望む

  知床連山縦走路 しれとこれんざんじゅうそうろ (知床国立公園)
我が国で”手付かず”の自然が残る最後の秘境・知床。 その秘めたる半島の中央部の屋根たる部分を示すのが、最高峰の羅臼岳 1660m から硫黄岳 1563m の知床・硫黄岳への知床連山である。

最高峰の羅臼岳でも標高1660mと、さほどに高くない山域だが、全国的に有名となった羅臼岳以外には登山道はあまり整備されておらず、また登山口に木下小屋があるだけで避難小屋は一切皆無の山域なので、食糧・幕営装備一式を担いでの山行が必須となる。

また、羅臼岳から先の縦走路には案内道標が乏しく、夏の早い時期などは途中の沼の流水で沼地となった踏み跡を歩いたり、巨大雪渓の登降を余儀なくされたりするのである。 そして、ヒグマの活動域なので、縦走途中で遭遇する事もありえるだろう。 従って、体力と共にルートファイン力やアクシデントに対する対応力もそれなりに身に着けて挑む事が必要となる。

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硫黄岳グラウンドの火口壁に
よく咲いているというシレトコスミレ
ワテは発見できずに撮れず終い
※ ウェブ・花図鑑より

だが、この山域でしか見られない秘花・シレトコスミレや、今なお噴煙を上げる硫黄岳の噴火口をめぐる神秘の山旅が味わえるルートでもある。 でも、体験した者にしか味わえない秘境体験ができるのだ。
さぁ、体力など準備を万端にして、日本最後の秘境を辿ってみようではないか。



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知床連山縦走ルート《2日目》 行程詳細図

   行程表               駐車場・トイレ・山小屋情報                                   
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
     (0:45)→羅臼平
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
     (0:40)→知円別岳鞍部のグラウンド
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
     (0:20)→第一噴火口分岐(2:40)→新墳火口(1:00)→硫黄山登山口
     (0:25)→湯ノ滝バス停よりバス(0:35)→岩尾別温泉より車(0:30)→斜里町・ウトロ
  ※ 前話『第136話 その1』の続きです

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知床の未開の原野を歩いていこう

 《2日目》 サシルイ岳・二つ池を越えて知円別岳鞍部へ
「もし、今日中に下山するなら、空が明るくなる頃には《羅臼平》を出よう」とメインサイト『日本百景』の本文では記したが、結論付けると『奇跡の体力』のホルダーであった当時のワテをしても、今日中の下山は難しいと思われる。 それは、道が不明瞭でルートファインに時間を要する事や、雪渓登高や水深10cmとなった沼地歩きなど、このルートがバリエーションルートに匹敵するからである。

そうでなくても起伏に富んだ長い稜線歩きなので、早く出発するに限る。 《羅臼平》を出発すると、いきなりミツミネ山鞍部への急登だ。 これは下部に急傾斜の雪渓があり、見た目はすごくキツそうだが登ってみるとそれ程でもなく、約15分で片が着く。 ミツミネ山の鞍部に着くと、全面に羅臼岳の岩のドームが見える。 まるで、《羅臼平》にドーンとのしかかっているような重量感がある。 

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朝の内は晴れていたのだけれど

ここからミツミネ山の鞍部まで登った分、そっくりそのまま下っていく。 しかし、傾斜は緩やかで、脇に咲いている花が朝日を浴びて輝くのを見ながらの爽快な下り道である。 やがて下方に、《ミツミネ山幕営地》のカラフルなテントが見え出す。 この谷へ下りきると、《ミツミネ山幕営地》だ。

ここは水場のある知床連峰では指定された幕営地で、山のガイド本ではほとんどがここを宿泊地にしての1泊2日行程でコース説明をしている。 だが、歩く距離やコース難度を考えると、「よほどの健脚でないと、1泊2日はキツイのではないか」と思う。 そのコース難度ぶりは、記事を進める中でおいおい明らかにしていこう。 

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なぜヤマにきてまで
『日常』を履行したがるのか?
水場には残飯や歯磨き粉が「汚い花」と
なって浮いていたという
テント場での「紙のキバナシャクナゲ」と
揶揄される用便紙のように・・

また、水場で歯磨きや洗い物をする不埒者がいるらしく水場は荒れ気味なのと、雪渓からの流水なので晩夏には涸れる事があり、テント場の質としては羅臼平の方が適しているだろう。 但し、羅臼平からだと1泊2日は不可能で、2泊3日行程が確定するのであるが・・。

さて、《ミツミネ山幕営地》を出ると、サシルイ岳への200mに及ぶ急登が待ち受けている。 
このハイマツ交じりの急登を乗りきってサシルイ岳鞍部に立つと、知床連峰随一の眺めが四方に広がる。 ミツミネ山の3つの山の又の間からの羅臼岳の眺めや、東側の国後島のうっすらとしたシルエットも“最果て”を感じさせる。 

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ミツミネ山の3つの山の
又の間から望む羅臼岳

それから、サシルイ岳 1564m の長大な雪渓と、その果てに霧がかかって見える硫黄山など、急登の疲れを振りほどいてなお余りある素晴らしい眺めが広がる。 続く縦走路はサシルイ岳の頂上は通らず、斜里側を巻くように道がつけられている。 なお、サイルイ岳には、この鞍部から右側の一段高い突起へ約10分の登りである。

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サシルイ岳から硫黄岳を望む

サシルイ岳鞍部からは、先程見下ろした長大な雪渓を下っていく事となる。 この雪渓、傾斜は緩やかなのだが雪渓への取付が不明瞭で、ともすれば左側の土手についている踏跡に入り込みそうになるので注意が必要だ。 雪渓に取り付いたなら、延々と続く雪渓を下っていく。 

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雪渓からの強烈な照り返しに
メゲてサシルイ岳の
長大雪渓を撮るの忘れたよ
なのでキジムシロ(花の写真)おば・・

距離にして約1km・約250mの標高差を下りきると、ようやく雪渓は途切れて雪解け水が下を流れる笹地に突入する。 この笹地を下っていくと、やがて笹が途切れて視界が開けた広い窪地に下り立つ。
しかし、先程からの雪解け水がこの窪地に流れ込み、足元はひどいぬかるみを含む湿地帯となっている。 所々、水が浮くような道を足場を確かめながら歩くので、思った以上に時間がかかる。

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ぬかるみに足を取られて転ぶと
泥坊主となって即『ゲームオーバー』なので
掲載可能な写真が少ないデス・・ハイ

水面より出た草地にはエゾコザクラやイワイチョウなどが咲いているが、いかんせん、この足場ゆえに容易に近づけない。 近づいたとしても、とてもカメラで接写できる状況にない。 このグチョグチョの湿地帯を何とか越えると、今度はオッカバケ岳への標高差150mの登りだ。 

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掲載できる写真が少ないと
撮った写真を総動員するので
文脈と全くつながらない写真が
埋め合わせ的に使用されマス・・ハイ

ここは、先程の湿地帯と打って変わって、砂礫地のハイマツ漕ぎをしながらの登りだ。 この全く違う登りは、後々ジワジワと体にコタえてくるのである。 ハイマツ帯を越えて砂礫地の急傾斜を登りきると、オッカバケ岳の頂上らしき丘の上に立つ。 

“らしき”という表現のように、この山には頂上を示すものが何一つないのである。 もしかしたなら、別に頂上の“高み”があるのかもしれない。 なお、後々に調べると、縦走路はオッカパケ岳の頂上は通らないようである。

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オッカパケ岳の高みからは
《二ッ沼》が見下ろせる
※ 知床縦走ルート案内(ヤマレコ)より

このオッカバケ岳の頂上“もどき”からは、《二ッ沼》が見下ろせる。 また、振り向けばサシルイ岳より、先程下った雪渓が一直線に下に向けて眩いばかりに白く光っている。 オッカバケ岳よりは、今までの困難な道とは一変して、お花畑の中の緩やかな下りである。 チングルマ・エゾノハクサンイチゲ・キンバイソウ・アオノツガザクラ・・などが咲く中をゆっくり下って、山を歩く喜びを充分に味わおう。 

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オッカバケ岳の周囲のみ
足場を気にせず写真が撮れる
“夢の花道”となる

下りきると、この“夢の道”は途切れて、再び《二ッ沼》の湿地帯に突入する。 しかも、沼の周りを巻く部分では、先程の湿地帯よりも更にひどい状況で、もはや水深10cmの水の中を歩くようなものである。

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水深10cmの沼地歩きでは
写真を撮る事は適いませんので
別の所で撮ったエゾコザクラおば・・

ちょっとでも水深が浅くなるように、水面下の藻草を踏みながら歩いていくのだが、足元の判断を誤ると途端に踏み抜いて靴の中が水浸しとなる。 ここで転ぶような事があると、水浸しになって戦意を喪失する事だろう。 

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今は木道などが整備されているだろうが
当時は雪解け水の流入で水深10cmと
なった沼の縁を強行突破せねばならなかった
※ 知床縦走ルート案内(ヤマレコ)より

こんなひどい湿地帯にもかかわらず、事もあろうにこの《二ッ沼》を幕営地として紹介しているガイド本もあるのだ。 この湿地帯のどこを見渡しても、テント適地の乾いた丘などは見当たらない。
もう少し、キチンと調査してガイドして欲しいものだ。 この困難極まる湿地帯を何とか乗り越えると、再び南岳へのハイマツ漕ぎの登りとなる。

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水深10cmの沼地歩きに引き続き
砂礫地のハイマツ漕ぎで
写真を・・以下同文で
イワブクロおば・・

先程とは、これまた全く違った内容の道となるのだ。 そして、先程の湿地帯で濡れた登山靴に土がまとわり付き、靴の重量が1.5倍になって一歩一歩が重い。 しかも、この時間帯となると日が高くなってジリジリと照りつけるようになり、“暑さ”とも戦わねばならない。 ハイマツ帯の坂を半周巻くように登っていくと、南岳の肩に登り着く。 

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グラウンドコースの分岐だった所から
硫黄岳の火口丘(グラウンド)を見下ろして
いやぁ・・昔は硫黄ガスが充満しそうな
所を歩いていたワケですな

ここは硫黄山の火口丘へ下りていく、通称・“グラウンドコース”の分岐であった所だが、現在このコースは火山活動の不安定さや、ヒグマの頻繁な出没などで通行禁止となっている。 この肩からは、火口原を下に見ながら硫黄山の外輪山を伝うように歩いていく。 歩いていくと、外輪山上にある砂礫でできた突起が立ちはばかる。 これが縦走路の中で唯一ピークを踏む南岳 1459m で、当然これを登っていく。 

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標高1500mとは思えぬ絶景が広がる
※ 知床縦走ルート案内(ヤマレコ)より

登り着くと、標高1500m以下とは思えないような絶景が広がっている。 前方にだたっ広い火口丘を従えた硫黄山が、トゲドゲしい山容を魅せている。 東側には、知床・東岳が横たわっている。
また、背後には羅臼岳が程よく離れてそびえたち、今まで歩いてきた稜線の起伏が連なっている。
濃い緑の山肌に所々、雪渓のまだら模様を載せた雄大な眺めである。

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知円別岳の鞍部は
お花畑のある平坦な窪地で
絶好のキャンプサイトだった

南岳からは、ハイマツ帯に交じって花が咲く道を下っていく。 下り着くと、知円別岳の鞍部である。
ここはお花畑の広がる平坦な窪地で、絶好のキャンプサイトとなっている。 しかし水場はなく、持参した水が少ないと、近くにある雪田を解かして利用する事になる。 ここまでの道程がハードだったが為に疲れがどっと噴き出した事だし、やや早いがこの下に広がるお花畑の広場でストップする事にしよう。

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知円別岳の鞍部は
花の咲き乱れる楽園だった

ここからは道は一層キツくなり、下山するまで6時間を越える。 たとえ、下りついたとしても、バスの最終便は出てしまって下山口で幕営という事になろう。 それならば、前述の通り今日はここで幕営する事にしよう。 明日は、硫黄山へのアプローチと下山である。 他のガイド本では簡単に書き流してしるものの、実際に歩いてみたら解かる折り紙付きの難コースである。

  ※ 続きは次話の『第138話 その3』にて


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もはやチョンやシナの操り人形と
なっているチョンの背乗り・天皇
もしかしたら元凶のヒロヒトも
チョンやシナの操り人形として
日本の国を毀損し続けたのかもしれない

天皇が日本人ならアキヒトのように
国土(竹島)を侵略しようとしたチョンに
「(売 春婦騒動の事で)謝る事も吝かでない」
チョンに渡る事を望みそれが叶わぬと
『謝罪書簡』を認めたりしないだろう

己がチョンに侮辱される事は
国の象徴の侮辱=日本人の侮辱と知り
チョンの一連の無礼に対して
『無礼者!』と一喝するハズでしょ?
何ヘラヘラ笑ってるの?
チョンである事がチョンバレですよ

ヒロヒトによる日本の国を
『悪』としての世界謝罪行脚で
日本は「謝って金をタカられる」
『謝罪ATM国家』に貶められ

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それにつけ入ったシナやチョンに
タカられ続けた金が
今日の『武漢ウイルス』の開発資金に
なった事も十二分に有り得るよ


このようにチョンの背乗り天皇由来の
『Kの法則』は世界中を蝕む諸悪の根源で
一刻も早くチョンの正体を暴いての追放と
チョンとの関わりを断つ事が必要なのだ



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No Subject * by 鳳山
知床半島って手付かずの自然が残っているというイメージがあったんですが、実際に写真で見たのは初めてです。その知床連山を縦走されたなんで羨ましい限りです(笑)。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

知床は完全なる原生の植生が残る『日本最後の楽園』と云われてますが、世界遺産登録後にかなり整備の手が入った&立入禁止区域が拡大されて、滝を遡って滝の温泉に入る『カムイワッカの湯滝』は「観光客には危険」と立入禁止となり、入口の沢に足を浸けるだけの観光地となってますね。

でも、この記事当時は世界遺産登録前で何の規制もない代わりに、全く登山道整備も入っていませんでした。 だから、今以上に厳しい山行でしたね。 恐らく、若き『奇跡の体力』が無かったら、行けなかったでしょうね。

No Subject * by ねむろ大喜
ゴールデンウイークには、知床に行こうと思っていますが、登るんでなく浸かりに行きます^^)

Re: No Subject * by  風来梨
ねむろ大喜さん、こんにちは。

知床が「思い立ったら訪れる事ができる」のは羨ましい限りで。

知床の温泉では、岩尾別の『ホテル・地ノ果テ』、ウトロ温泉、羅臼温泉と、今は通行禁止で入れない効能が「疲労増進&足裏の爛れ」という究極温泉のカムイワッカの湯滝に入った事があります。

羅臼温泉は閑散としてましたね。 やっぱり、ウトロに比べて不便だからでしょうね。

コメント






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No Subject

知床半島って手付かずの自然が残っているというイメージがあったんですが、実際に写真で見たのは初めてです。その知床連山を縦走されたなんで羨ましい限りです(笑)。
2021-03-25 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんばんは。

知床は完全なる原生の植生が残る『日本最後の楽園』と云われてますが、世界遺産登録後にかなり整備の手が入った&立入禁止区域が拡大されて、滝を遡って滝の温泉に入る『カムイワッカの湯滝』は「観光客には危険」と立入禁止となり、入口の沢に足を浸けるだけの観光地となってますね。

でも、この記事当時は世界遺産登録前で何の規制もない代わりに、全く登山道整備も入っていませんでした。 だから、今以上に厳しい山行でしたね。 恐らく、若き『奇跡の体力』が無かったら、行けなかったでしょうね。
2021-03-25 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

ゴールデンウイークには、知床に行こうと思っていますが、登るんでなく浸かりに行きます^^)
2021-03-27 * ねむろ大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

ねむろ大喜さん、こんにちは。

知床が「思い立ったら訪れる事ができる」のは羨ましい限りで。

知床の温泉では、岩尾別の『ホテル・地ノ果テ』、ウトロ温泉、羅臼温泉と、今は通行禁止で入れない効能が「疲労増進&足裏の爛れ」という究極温泉のカムイワッカの湯滝に入った事があります。

羅臼温泉は閑散としてましたね。 やっぱり、ウトロに比べて不便だからでしょうね。
2021-03-28 *  風来梨 [ 編集 ]