2021-03-11 (Thu)✎
よも”ヤマ”話 第136話 知床連山縦走 その1 (羅臼岳)〔北海道〕 '96・7
羅臼岳 1660m(2度目の登頂)
サシルイ岳方向から望む羅臼岳
知 床 しれとこ (知床国立公園)
秘境・知床・・。 アイヌの言葉で“地の果て”を意味する読み名の通り、半島の海岸線のほとんどが断崖絶壁となって切れ落ち、沢は全て滝となって直接海に落ち込む。 陸もほとんどが未開の地で、未だ岬まで行ける登山道もない。 岬にたどり着くには、「海路より他なし」という所である。 それだけに、自然もありのままで触れる事ができ、北海道への旅行者の人気は常に№1である。 しかし、この影響で、やや“俗化”してきた感もある。
その知床でワテがお薦めするのは、特に人の多い知床五湖やライダーの巣になっている知床峠ではなく、知床を上から眺める事のできる知床連峰の縦走だ。 羅臼岳 1660メートル の上から眺める国後島はまた感慨深いものがあり、原始の香り漂う稜線の道をたどり、もう一つの盟主・硫黄山 1563メートル の上から眺める“地の果て”のロマンあふれる眺めを体感をもって味わおう。
そして、もう一つの“憬れの地”・知床岬にもいってみたい。 岬めぐりの船で知床岬を見にいくのも悪くはないが、ワテには“歩いて知床岬を踏む”という野望がある。 困難だが、是非ともやってみたい。
だから、その可能性がある内は、船での岬めぐりはとっておこうと思うのだ。
知床連山縦走ルート《1日目》 行程詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 斜里町・ウトロより車(0:30)→岩尾別温泉(3:00)→羅臼平(1:00)→羅臼岳
(0:45)→羅臼平
《2日目》 羅臼平(0:40)→ミツミネ山幕営地(2:20)→二ッ池(0:50)→南岳
(0:40)→知円別岳鞍部のグラウンド
《3日目》 知円別岳鞍部のグラウンド(1:50)→第一噴火口分岐(0:25)→硫黄山
(0:20)→第一噴火口分岐(2:40)→新墳火口(1:00)→硫黄山登山口
(0:25)→湯ノ滝バス停よりバス(0:35)→岩尾別温泉より車(0:30)→斜里町・ウトロ
羅臼岳より望む
硫黄岳へ続く山なみ
前話・135話の羊蹄山で'96年度の「放浪山旅始め」でバテて日帰りが「避難小屋で惰眠むさぼり」の1泊2日行程となったが、そこは「放浪」という「プータロー」の強み、いくらでも日程を間延びさせる事ができたのである。 あぁ・・、思えば夢のような日々だったなぁ、「放浪山旅」は・・。
知床に訪れる『お約束』で
必ず立ち寄るオシンコシンの滝
取り立てて気を惹く滝でもないのだけれど
通り道にあるもんだからつい・・
・・で、次は前回「ヤマ始め」でバテたというのに、知床五湖・競歩一周ハイクで「身体を作ったつもり」になって、いきなりハードル2ランク上げて、かなりキツ目の『知床連峰縦走』に挑む。
この湖面に映っている山を
完全に伝うのですね
今回の山行は
それで、知床連峰縦走の入口側にそびえる羅臼岳に登るべく、登山基地として当時『日本三バカYH』と言われる「バカ騒ぎミーティング」で名を馳せた岩尾別YHに泊る。 ・・で、その「バカ騒ぎミーティング」で、YHのツアーとして参加を募っていた『羅臼岳登山ツァー』のメンバー発表会がなされる。
『日本三バカYH』と言われた岩尾別YH
に泊ったのが事の始まりだった
※ ウィキペディア画像を拝借
ワテが縦走山行をするべくテント装備を詰めたデカザックを持ってきていた事と、羅臼岳に2度目という事だけで、ムリヤリ女の子5人の野郎2人の参加8人パーティのリーダー及びトップ&「ヤバそうな子」の登頂補助の任務が課せられたのである。
その「ヤバそうな子」は、小型ガスタンク系のボディの持ち主で、YHのヘルパーいわく「あの子の登山の成否はキミの双肩にかかっている」&「任務成功と幸運を祈る」との事であった。 でも、YHのヘルパーは、ワテの縦走の成功は祈ってくれなかったよ。
『岩尾別温泉』と耳にするより
『ホテル・地ノ涯テ』と聞いた方がピンとくる
※ 楽天トラベルより
・・で、翌朝に登山者向けに早めの朝食を取った後に、YHの1ボックス車で岩尾別温泉にある登山口まで送ってもらう。 まぁ、『岩尾別温泉』といってもピンと来ないであろうが、『ホテル・地ノ涯テ』と聞けば「知床にあるホテル」とピンと来る位に、この名前で名を馳せた温泉である。 それでは、今回は羅臼岳までの《1日目》の行程おば・・。
《1日目》のミッションは
羅臼岳への登山&引率だ
《1日目》 岩尾別温泉から羅臼岳へ
知床連峰の最高峰・羅臼岳へは、最短コースの『岩尾別コース』を使っていく。 この登山道は整備が行き届いていて、水場も豊富にあり、登山者も比較的多い“初心者”コースだ。 登山口は、『ホテル地ノ涯テ』横の《木下小屋》よりついている。 登山者名簿に記帳したなら、登山を開始する。 でも、木下小屋の記憶があまりないのよね~。 もしかしたら、登山者名簿の記入をブッチぎっていたからかなぁ。
必ず目にしているハズなんだが
なぜか記憶に乏しい木下小屋
※ ウィキペディア画像を拝借
ちなみに、今回の8人パーティーは女の子5人と野郎がワテを含めて3人で、ワテ以外は野郎も含めて全員スニーカー履きだ。 もちろん、持ち物は全員が弁当と遠足用の水筒のみの『空身ディーパック』で、幕営装備一式を担いだワテが場違いに思える程に完全に『小学校の遠足』のノリだ。 まぁ、今日のようないい天気に羅臼岳を往復するだけなら、『小学校の遠足』レベルの登山コースなのだが。
登り始めは、つづら折りの急登で着実に高度を上げていく。 やがて、岩場に出ると視界が開け、眼下に《知床五湖》や紺碧のオホーツク海が望める。 時間が合えば、『知床岬めぐり』の遊覧船がオホーツク海をゆっくり漂っているのが見えるかもしれない。 道は一時、視界の良い岩場だが、やがて樹林帯に突入して暑い森の中の登りとなる。 視界の利かない中の暑い登りで、汗をたっぷりと搾り取られて喉が渇く。
コース中のいい水場の弥三吉水
そろそろ水が欲しいと思う頃、最初の水場・《弥三吉水》の沢音が聞えてくる。 この沢は冷たい水がサラサラと流れるいい水場で、この水場の存在を知っていれば、ここまで水を持たずに済むのだ。
登りで、2㎏の重さをカットできるのは貴重な事である。 それも、テント用具一式を担ぐとなればなおさらだ。 この水場で水を補給など、15分程の小休止を取る。
この時に、俄かリーダーの責務が頭にもたげる。 そう・・、小型ガスタンクボディの「ヤバめ」の子の事だ。 だが、この子は他の女の子よりしっかりとした足どりで、女の子軍団の3番目の「ミドルポジション」をキープしている。 野郎の1人は「こんなパーティに付き合ってられない」と、《弥三吉水》から休憩もそこそこに先に出発しやがったよ。 もう1人の野郎は女の子軍団と「仲良くなりたい」オーラを満開にして、殿のサブリーダーとなってくれたよ。
《弥三吉水》を出ると、再び樹林帯につけられた登山道を登っていく。 しばらくダケカンバのトンネル帯を通り、道も平坦になる。 これが徐々に傾斜がキツくなっていって、これを登りきると第二の水場・《銀冷水》に着く。 ここの水場も悪くはないが、水が細く《弥三吉水》に比べると今一つである。
ここから樹林帯をひと登りすると、樹林帯が途切れて視界が開け、大沢の雪渓に向って真っすぐ進むようになる。 この雪渓は、例年7月いっぱいまでは大きく残っていて、緩やかな傾斜であるが雪渓登りとなる。 女の子の「靴が濡れたァ」との悲鳴がこだまする中、荷物23kmを担いで不利だったワテはスパートをかけて、トップとリーダーの威厳を不動のモノとする。 こういう事があるから、登山でスニーカー履きはダメなのですね。
ウコンウツギ
この雪渓を登りつめて雪渓上部の岩ガレ場を越えると、ハイマツに混じってシナノキンバイやエゾコザクラの花がチラホラと見え出す。 ここまでくれば、もうひと踏ん張りだ。 ハイマツの段差がなくなり、ミツミネ山と羅臼岳の岩塊のドームが両側にそそり立つ広場に出ると、そこが《羅臼平》である。
もちろんお花畑も豊富で、チングルマ・イワギキョウ・アオノツガザクラ・エゾコザクラなどが咲き乱れる。
エゾツガザクラ
リーダーの任務はここまでで、ワテはテントを張るべくここに荷を下ろす。 先行した野郎1人を除いたパーティー6人は、殿の奴が先頭となって頂上まで女の子軍団を引っ張っていくみたいだ。 ワテもテントを設営した後に、水筒を持って後を追う。
《羅臼平》から頂上へはハイマツの刈り分けの中を登っていき、やがてハイマツが途切れると羅臼岳のドームの岩にぶち当たる。 この大きな岩の上からは岩清水が滴り落ちていて、この石清水が地図に書いた「冷たくて甘くて美味い」頂上直下の石清水である。 上部に雪渓があるようには見えないので、これは知床連峰の最標高地点の湧き水だろうね。
滴り落ちる石清水の冷水を浴びて
輝くイワウメの花
岩の周りには、イワウメ・イワヒゲ・ジムカデなどが花びらに水滴を浮かして咲いており、周りの岩苔の淡い緑と調和して瑞々しい彩りを魅せてくれる。 ここからは、このドーム岩を巻くように登っていく。
時には岩をよじ登り、時には岩に着いた雪田に悩まされながらも、一歩一歩登った岩の高さごとに高度を稼いでいく。
鈴の音を鳴らすが如く・・
ジムカデの風鈴花
ここでYHのバーティとすれ違う。 YHのパーティは下りの時間も計算せねばならず、割と急ぎ気味で登っていったみたいで、頂上がガスってきたので早々に引き上げたようだ。 女の子たちから次々と「引率ありがとう」の言葉を掛けられつつ、下っていく彼女たちに「下りは気をつけて」とエールを送って見送くる。
彼女たちと別れた後、すぐに頂上ドームの上に出て見上げても岩がない状態となる。 こうなれば、後は頂上の標柱に向って岩をトラバースするだけである。
こんなにデブっているのに
『奇跡の体力』のホルダー
:
言える事は「過ぎたる脂肪は力なり」
というワテの持論は正しかった
羅臼岳 1660メートル 頂上に着くと、360°遮るもののない絶景が広がっている。 だが、残念な事にガスってきて三ッ峰以外の展望はなかったよ。 なので、前回登った時の写真をゴチャ混ぜにして掲載しようかと。
羅臼岳の頂からは明日から目指す
硫黄岳への道程が望める
明日より目指す硫黄山は、三ッ峰の間から望む事ができる。 その他、目を凝らせば、ぼんやりと浮かぶ水溜りのような《羅臼湖》や、羅臼とウトロの街も一望できた。 頂上到達の喜びを心ゆくまで味わったなら、下りに取りかかる。
薄っすらと見える
水溜まりは羅臼湖かな
「待てば海路の日和あり」との諺通り
待っていると一瞬の間
ガスが晴れて羅臼の街と海が見えた
登りでよじ登った数々の大岩を、足を挫かぬように慎重に下っていく。 あの美味い石清水で今日の生活水を汲んでから《羅臼平》に下っていこう。 推奨のテント場は鞍部を一つ越えて《ミツミネ山幕営地》なのだが、水場が荒れ気味との事だし引率でトップをキープしてダレたので、ここでストップする事にした。
三ッ峰の裾にある
好テントサイトの《羅臼平》
明日はいよいよ、原始の香り漂う知床連峰の懐深くに入っていく。
便利って時には身を滅ぼす
凶器ともなりえるんだよね
それはオートマの車に慣れきってしまう事で
マニュアル車の運転ができなくなったり
デジタルカメラで安易な消去を繰り返す毎に
自身の歴史も道づれに消去していく
デジタルのモニターに
頼りきる事で想像力を失い
コンピュータの演算に頼り切る事で
分析力や調べる能力が枯渇していく
そしてコンピューターの答えが
唯一無二の画一的の
クローンのような人間が生成される
そうなると洗脳や扇動を
受けやすくなって
自滅の時を早めてしまう
天皇信奉に操られたり
「一度任せてみよう」で国政が
ズタズタとなった民主党政権など
日本人はただでさえ洗脳に
引っ掛かりやすいというのに
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