2011-09-01 (Thu)✎
名峰百選の山々 第31回 『6 トムラウシ山』 その2 〔トムラウシへ〕 北海道
大雪山系(大雪山国立公園) 2141m コース難度 ★★★ 体力度 ★★★
チングルマの花咲く野原とトムラウシ
化雲平にて
行程表 駐車場・山小屋・トイレ情報
《1日目》 層雲峡温泉よりタクシー(1:00)→沼ノ原登山口(1:40)→沼ノ原・大沼
《1日目》 層雲峡温泉よりタクシー(1:00)→沼ノ原登山口(1:40)→沼ノ原・大沼
(3:00)→五色ヶ原(0:20)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐
(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《2日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
《2日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
(1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(0:25)→トムラウシ・南沼
《3日目》 トムラウシ・南沼(2:00)→黄金ヶ原(0:30)→三川台(1:30)→ツリガネ山
《3日目》 トムラウシ・南沼(2:00)→黄金ヶ原(0:30)→三川台(1:30)→ツリガネ山
(1:30)→コスマヌプリ(1:00)→双子池
《4日目》 双子池(2:00)→オプタテシケ山(2:00)→美瑛富士避難小屋
《4日目》 双子池(2:00)→オプタテシケ山(2:00)→美瑛富士避難小屋
(0:30)→美瑛岳分岐(2:30)→十勝岳避難小屋
《5日目》 十勝岳避難小屋(0:50)→望岳台よりタクシー利用(0:20)→十勝岳温泉よりバス
《5日目》 十勝岳避難小屋(0:50)→望岳台よりタクシー利用(0:20)→十勝岳温泉よりバス
(0:35)→JR上富良野駅
※ 『名峰百選 第30回 トムラウシ山 その1』 《1日目》からの続き
《2日目》 ヒサゴ沼からトムラウシ山へ
ヒサゴ沼~トムラウシ山 行程図
《1日目》の行程がかなりハードであるので、ここは体力を回復させる為にも短い行程とした。
無理をすれば《双子池》まで進むことも可能であるが、歩行時間が10時間超と全く余裕のない山行となる。 せっかく、“憧れの山”トムラウシ山と“花の楽園”・《黄金ヶ原》にやってきたのだから、その景色を充分に味わう行程を組みたいものだ。
さて、短い行程といえども、早発は山の鉄則である。 《ヒサゴ沼》を遅くとも7時までに出発しよう。
朝の清々しい雰囲気を味わう為にも、5時頃の出発が望ましい。 《ヒサゴ沼避難小屋》前の幕営地を出ると、《ヒサゴ沼》に沿って《大雪万年雪渓》の縁をトラバースしていく。 しかし、いつ崩れるかわからぬ雪渓の縁を歩くのは、かなりおっかないものである。 崩れ落ちると、もちろん沼に“ドボン”である。
この年は沼の畔の雪渓が崩壊していた
傾斜も見た目よりかなり急でデンジャラス
傾斜も見た目よりかなり急でデンジャラス
この雪渓のトラバースを越えると、《ヒサゴ沼》右側の急な雪渓を登っていく。 この雪渓はかなり急で、しかも吹き降ろす風の影響でアイスバーン状になっている事もあり、滑落の危険が大いにある。
滑落すると、間違いなく《ヒサゴ沼》に“ドボン”である。 ここは、ピッケルを突いて慎重に登っていこう。 なお、この雪渓登りに自信のない方は、《ヒサゴ沼》左側の比較的緩やかな雪渓を登って、《化雲平》を経ての迂回ルートもある。 この場合、歩行時間は1時間余分にみておこう。
このように、のっけから緊張する場面が続くが、この雪渓の急登を乗りきると、岩がゴロゴロする岩石帯を通る。 ここは岩の一つ一つがかなり大きくて、その間を飛び越えていかねばならないので、結構疲れるのである。 ここも岩を飛び損ねると大ケガにつながるので、慎重にいこう。 岩石帯が途切れると《ヒサゴ沼分岐》である。
縞模様を映すヒサゴ沼と石狩連峰
《ヒサゴ沼分岐》からは緊張する状況から解放されて、広い稜線上の道となる。 分岐から目の前に見える砂礫地の丘をジグザグ登りでつめると、丘いっぱいに“夢の楽園”が広がる。 ここが《トムラウシ・日本庭園》である。
天沼の池塘と雪渓と岩屑と
・・ナキウサギの鳴き声がどこからか鳴り響き、お花畑が庭園を創造して整然と咲き競っている。
あちらこちらに点在する池塘が、静かに波紋を漂わせている。 そして、後にそびえるトムラウシ山。
いったい、どのようにしてこのような風景を創造しえたのか。 もし、神として崇めるなら、このような風景を創造した大自然こそ“神”だと私は思う。 庭園の風景だけでなく、周囲の風景も素晴らしい。
あちらこちらに点在する池塘が、静かに波紋を漂わせている。 そして、後にそびえるトムラウシ山。
いったい、どのようにしてこのような風景を創造しえたのか。 もし、神として崇めるなら、このような風景を創造した大自然こそ“神”だと私は思う。 庭園の風景だけでなく、周囲の風景も素晴らしい。
花・露岩・池塘・・
庭園を美しく飾る
筋雲を映し縞模様に光る《ヒサゴ沼》、シルエットを魅せる“遙か遠き山”・石狩連峰など、眺めは申し分ない。 チングルマ・イワイチョウ・エゾコザクラ・エゾノハクサンイチゲ・リシリリンドウ・・など、庭園のお花畑に彩られた池塘の周りをゆっくりと、“神”の創りし風景を味わいながらいこう。
《ヒサゴ沼》からトムラウシ山までは約3時間だが、このような風景を魅せられると、もっと時間がかかりそうである。
花々に囲まれた真に
『神遊びの庭』
この静かなる情景の庭園を越えると、雪渓と露岩帯に突入する。 ここも大岩がゴロゴロしていて、岩をよじ登ったり飛び越えたり・・と、距離の割には結構時間を食う。 この露岩帯を岩を選びながら飛び越えていく。 一度、谷地形に下ってから、今日の行程最大の登りとなる通称『ロックガーデン』といわれる高低差200mの露岩帯の急登が始まる。
『トムラウシ・日本庭園』を越えると
天然岩のロックガーデンが現れる
岩をよじ登り・・、飛び越え・・、あるいは大岩の縁をトラバースしたりしながら登っていく。
途中、イワギキョウやミヤマリンドウなどが岩の間から顔をのぞかせているが、この登りはなかなかキツく、この場面では花を愛でる余裕は持てないだろう。 これを越えると広い砂礫地の丘となり、エゾノハクサンイチゲ・エゾツガザクラ・ミヤマリンドウ・タカネナデシコ・チングルマのお花畑が丘一面に広がる。
途中、イワギキョウやミヤマリンドウなどが岩の間から顔をのぞかせているが、この登りはなかなかキツく、この場面では花を愛でる余裕は持てないだろう。 これを越えると広い砂礫地の丘となり、エゾノハクサンイチゲ・エゾツガザクラ・ミヤマリンドウ・タカネナデシコ・チングルマのお花畑が丘一面に広がる。
しかし、トムラウシ山は、この丘の陰に隠れて見えなくなる。
北沼越しに表大雪の山々を望む
実を言うと、『ロックガーデン』で見えた山頂は、この丘の“てっぺん”にあたるのである。
本当の頂上は、この丘を越えて《北沼》の畔の高台まで行って初めて見えるのである。
このトムラウシ山の頂を隠す丘を登りつめると、辺りが開けて《北沼》と待望のトムラウシ山の勇姿が望まれる。
北沼とトムラウシ山
トムラウシ山は全体が岩石で積み重なって、どっしりとした重厚な山容を魅せている。
丘の頂からは、《北沼》に向けて緩やかに下っていく。 目の前に“憧れの山”がそびえ立ち、しかも緩やかな下り坂で思わず駆け出したくなるような状況であるが、明日からは長い行程となるので足を痛めぬようにゆっくりと下っていこう。
北沼の透き通った水面と
ハクサンイチゲ
そして、《北沼》の湖畔に着いたなら、トムラウシを眼前においてゆっくり休憩しよう。
沼を眺めると、畔の至る所から泉が湧き出ているのが発見できるだろう。 どうやら、この沼は天然の湧泉沼のようで、その泉の上をハクサンイチゲが咲いている幻想的なシーンが見られる。 このシーンをカメラに収める事ができれば、写真好きとしては至福の喜びである。
沼を眺めると、畔の至る所から泉が湧き出ているのが発見できるだろう。 どうやら、この沼は天然の湧泉沼のようで、その泉の上をハクサンイチゲが咲いている幻想的なシーンが見られる。 このシーンをカメラに収める事ができれば、写真好きとしては至福の喜びである。
さあ、これより“憧れの山”に登頂するのだが、息を切らして登頂するのは“憧れの山”に対しての礼儀に反する・・と思うので息を整えていこう。 そして、ひと息着いたなら、“憧れの山”の頂に立とう。
露岩帯を斜めによじ登っていくと、一ヶ所鎖場を越えて約20分で“憧れの山”・トムラウシ山 2141メートル の頂に立つ。
“憧れの山”からの眺めは、その期待を裏切らない素晴らしい眺めで、化雲岳の“デベソ岩”や、旭岳・白雲岳など『表大雪』の山々、そして《高根ヶ原》から続く大平原、遙か遠くそびえる石狩連峰の山なみと続く。 また振り返れば、十勝連峰や美しい三角錐を魅せるオプタテシケ山、そして何よりも魅せられるのが大地が白く輝きを放つ光景だ。 この事はあえて伏せておいて、明日の行程で説明しよう。
トムラウシの頂上から
トムラウシ頂上より眺める
『表大雪』の山なみ
雲海をわける“天ノ橋立”
十勝連峰の山なみ
オプタテシケ山
“憧れの山”の頂上を満喫したなら、今日の幕営地《トムラウシ・南沼》に向っていこう。
トムラウシの山頂から僅か15分程の距離だが、ガレ場の急坂で滑りやすいので注意して下りていこう。
下りきると冷たい沢が流れ、花が咲き乱れる絶好のキャンプ地・《トムラウシ・南沼》に着く。
たぶん、昼前までに到着する事と思うが、明日からの長い行程に備えて花でも撮りながらくつろぐとしよう。 長い行程の山行は、息抜きのできる日程も必要だ。
朝霧霞むトムラウシ山
爽やかな朝
沼の畔にて
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No title * by オータ
こんばんは。なんだかんだ言っても、真夏にこれだけの雪が見られる山は大雪が秀逸でしょう。素晴らしい景色なのは言うまでも無く…傑作!
No title * by 風来梨
オータ様、こんばんは。
憧れの地・北海道。 その北海道の山でも、山を志す誰もが行ってみたいと憧れる山・トムラウシ。 その魅力のひとかけらでも伝える事ができたのは幸せに思います。
ありがとうございます。
憧れの地・北海道。 その北海道の山でも、山を志す誰もが行ってみたいと憧れる山・トムラウシ。 その魅力のひとかけらでも伝える事ができたのは幸せに思います。
ありがとうございます。