2021-02-06 (Sat)✎
よも”ヤマ”話 第132話 甲斐駒・鳳凰三山縦走 その2(早川尾根)〔山梨県・長野県〕'95・8
栗沢山 2714m、アサヨ峰 2799m〔名峰次選 26峰目〕
最も早く朝日が当たり
夜明けを知らせた峰・”朝夜峰”
アサヨ峰 あさよみね (南アルプス国立公園)
甲斐駒ヶ岳と鳳凰山とを結ぶ早川尾根上にある標高2,799mの山で、早川尾根の盟主の位置づけにある。 この頂からは南に北岳・仙丈ヶ岳、西に甲斐駒ヶ岳、北に八ヶ岳・金峰山、東に鳳凰三山や富士山と実に眺めがよく、南アルプス北部きっての展望台として知られている。
山名の由来は「朝早くから日が当たる山」という意味と言われ、漢字で浅夜峰・朝与峰・朝夜峰などと書かれていたが、現在はアサヨ峰と記される事が定着している。 江戸時代に野呂川流域に伐採に入った人たちは、この峰を『朝日峰』と書き記していたが、何かの拍手に「日」の第一画が落ちて”朝ヨ峰”となり、それ以来『アサヨ峰』と書くようになったと云われている。
直接この峰へ向かう登路はなく、この峰の頂に立つには北沢峠か広河原より早川尾根に上って縦走路を伝う以外にないが、北沢峠・広河原共に南アルプス北部の登山基点であるので登頂は容易である。
また、縦走路上に《早川尾根小屋》という素朴な山小屋が営業していたが、2015年前後より休業している。 なお、小屋自体は、避難小屋として開放しているとの事である。
甲斐駒・鳳凰三山縦走ルート《1~3日目》行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原よりバス(0:25)→北沢峠
《2日目》 北沢峠(1:10)→仙水峠(1:20)→駒津峰(1:30)→甲斐駒ヶ岳
(0:40)→摩利支天峰(0:50)→駒津峰(1:05)→仙水峠(1:00)→北沢峠
《3日目》 北沢峠(2:00)→栗沢山(1:25)→アサヨ峰(2:20)→早川尾根小屋
《4日目》 早川尾根小屋(2:30)→高嶺(0:45)→赤抜沢ノ頭・地蔵岳まで往復1時間
(1:15)→観音岳(0:40)→薬師岳(1:15)→南御室小屋
《5日目》 南御室小屋(0:40)→苺平(1:15)→杖立峠(1:20)→夜叉神峠
(0:45)→夜叉神峠よりバス(1:15)→JR甲府駅
美しい名と山容を示す名峰へ
※ ウィキペディア画像を拝借
《3日目》 アサヨ峰から早川尾根を伝って早川尾根小屋へ
甲斐駒ヶ岳へは北沢峠にテントをデポっての『空身登山』であったが、今日からの行程は鳳凰三山へ向けて、荷物一式を背負っての縦走行程となる。 ルートであるが、鳳凰三山までは《早川尾根》を忠実に伝っていく。
《北沢峠》のキャンプ場を早立ちして、甲斐駒ヶ岳の登路をすぐに分けて樹林帯の中へ真っすぐ突入していく。 人の流れはほとんどというより、全て甲斐駒ヶ岳へ向かっている。 出発の登山者が行き交う時間帯でこの有様なので、たぶんこの道を行くのは日に2組か3組くらいであろう。 まず、人に会う事は期待できそうにない。
この光景を目にしたなら、そして「これから深い樹海の中に入っていく」となると心細くもなるだろう。 鬱蒼として光が全く差し込まない樹海の中を、ジグザグを切りながら道は続いている。 周囲は見通しが利かず、踏跡らしきものを拾って樹海の中を彷徨うように登っていく。
鬱蒼とした樹林帯の隙間から
現れる北岳の雄姿に
道の不安が払拭される
約1時間程登っていき道が正しいのか不安になり始める頃、右手の樹林に隙間ができて、そこから左巻きに尾根を引っ張る北岳の勇姿が望めるだろう。 これが目に入ると、ようやく道筋に確信が持てる。
道が判ると、足取りも軽快になるから不思議なものだ。 傾斜は強くなっていくのに、よりハイテンションで登っていける。 やがて頭上から光が差し込み、それが広がってトンネルを抜け出すように樹海の中より抜け出して、ハイマツと巨石の転がるガラ場に出る。
昨日登頂した甲斐駒が
白亜の山体を示して対峙していた
ここからは北側の見通しが最高で、北アルプスや中央アルプスの山なみが雲上にゆったりと浮かんでいるのが見渡せる。 背後から照りつける太陽光に黒光りする大岩群をよじ登る感じで乗り越えると、栗沢山 2714メートル だ。
遥か遠く・・目指す
鳳凰三山のシンボル『オベリスク』が
稜線の道標を示していた
この頂上からは遮るものが何もなく、360°大パノラマで山なみが見渡せる。 左に巻く太い尾根筋が見事な北岳や優雅な仙丈ヶ岳、白亜の大峰と巨大な摩利支天峰の岩峰を突き出す甲斐駒ヶ岳、雲海に浮かぶ北や中央アルプス、《五丈岩》のコブをシルエットに魅せる金峰山と秩父山塊、うっすらと煙を噴き出す浅間山、雲間の下に広がる甲斐国と八ヶ岳、振り返るとアサヨ峰に連なる稜線とその背後に逆光で黒光りするオベリスクなどなと、どこを向いても絶好のカメラアングルだ。
東側には雲海に浮かぶ
八ヶ岳が望めるハズ
:
この場所で撮った八ヶ岳は今イチ
だったので明日撮った写真を前倒し
あまりにも素晴らしい景色に、フイルムの残り数を忘れてしまいそうになる。 栗沢山でひと休みしたなら、栗沢山の山体を形成する大きな岩のガラ場を伝っていく。 頂上から眺めた感じではあまり起伏のない稜線に見えたが、歩いてみたらアップダウンはあるわ、ガラガラの岩場で歩きにくいわ・・と結構厄介な道である。 中でもアサヨ峰の肩に上がる大岩の乗っ越しはややオーバーハング気味で、取り付く岩角も少なく足の踏み切り場所に手間取るかもしれない。
アサヨ峰の頂上プラカード
たぶん今はもっと小マシな
頂上標となってるだろうね
:
このプラカードの先は断崖絶壁である
これを乗り越えると、その上に乗っかかる岩峰をひと登りでアサヨ峰 2799メートル の頂上だ。
頂上は岩が積み重なって盛り上がった不安定な所で、カメラ片手に駆け回るといった事はできないが、大岩に馬乗りになって真正面にそびえる北岳に焦点を合わせよう。 ここから見る北岳は、《野呂川》から斜上した山稜が美しい三角形を示して頂点に達している。
アサヨ峰は南ア・北部の絶好の展望台だ
但し晴れていたら・・であるが
:
夏山は10時位となると
雲が湧き立ってくるしィという訳で
明日の朝撮ったモノの前倒しデス
両側の《池山尾根》と《小太郎尾根》が脇を締めて、“山”という感じの原点を見る思いがする眺めだ。
あまりにも素晴らしい眺めに引き込まれぬように・・。 なぜなら、北岳を望む西面は、断崖絶壁となって切れ落ちているからである。
早川尾根も甲斐駒のような
ザラザラの砂礫道であった
アサヨ峰からは東へ90°大きく折れて、痩せた稜線上に突き出す岩峰群を乗り越えたり巻いたりしながら進んでいく。 まずは、スリップしそうなザラザラの砂礫からなる痩せ尾根を、《ミヨシノ頭》とのコルに向かって進んでいく。 この辺りは森林限界のギリギリを行くので、鞍部まで下がるとハイマツが足元を覆い出してくる。
一枚岩をトラバースして越えるとダケカンバやハイマツに囲まれた鞍部に出て、ミヨシの頭へは右寄りに伝って登り返していく。 登りきった《ミヨシノ頭》は何でもない砂礫の中の丘で、それとなく通り越してしまうだろう。
アサヨ峰頂上の北岳の写真に以下同文
再び下り気味に次のピークへ移る。 正面には鳳凰三山とそのシンボル『オベリスク』、その右に富士山の三角錐のシルエットが浮き立っている。 小屋までの稜線の中で際立つ絶景を見ながら進むと、程なく次のピーク上に立つ。
仙丈ヶ岳を忘れてたけど
写真自体は北岳と以下同文
ここから尾根は左に曲がり、《早川尾根小屋》を遙か下に望んで樹林帯の中へ深く切り込んでいく。
足がガクガクする程の急下降で下っていくが、滑りやすい粘土質の道が足元を脅かし、また道を覆い隠す倒木が行く手を迷わせる。 ともすれば、樹海を彷徨う感覚を抱く所だ。
これを下りきると、最も顕著な鞍部に出る。 この鞍部からは、両側がダケカンバで覆われたピークを本格的に登り返す。 ザラザラの砂礫が所々掘り起こされた登りにくい坂を、ピークとなった強い日差しを背に受けての辛い登りだ。 今までの疲れもあいまって、今日の行程では一番の踏ん張り所だ。
この樹海も離れた位置に立てば
甲斐駒をより引き立てる
絶景のアテとなるのだが
:
コレも明日撮った写真の前倒しデス
これを乗りきると樹海の中を小さなコブを2つ程上下して、再び下に《早川尾根小屋》が見えてくるようになる。 今度は、“遙か”という言葉が抜ける分だけ気分も軽い。 後は、樹林帯の中を一度平坦なコブを経て右下がりに下っていくと、《早川尾根小屋》の立つ狭い鞍部に飛び出す。
静かな雰囲気の中に建つ
山小屋・早川尾根小屋
※ 南アルプス・山小屋ネットより
《早川尾根小屋》は仕切りのない大部屋の中央に広い土間、その真ん中に据付けられたダルマストーブと、素朴な雰囲気を残す造りとなっている。
ダルマストーブにランプの灯・・
旅館化した山荘にはない
いい味を醸し出す素朴な山小屋だった
※ 南アルプス・山小屋ネットより
樹林越しに望まれる北岳の眺めとともに、南アルプスらしいムードを漂わす絶好の宿営地で山の静かな一夜を過ごそう。 もちろん、小屋前のテント場でキャンプを張って満点の星空の下、一夜の夢をつなぐのもいいだろう。
翌朝の魅た
北岳のモルゲンロート
なお、この『よも”ヤマ”話』の記述は約25年前の’95年当時に登った時の事を語ったモノで、現在の早川尾根~鳳凰三山の縦走路は、より歩きやすく整備されている事であろう。 また、《早川尾根小屋》は2015年辺りより不定期営業から休業に入ったようで、現在はシーズン中でも無人の避難小屋(有料)となっている。 だが、小屋の管理者が時折小屋の維持・補修に立ち寄るようで、小屋内は綺麗に保たれて素泊まりは可能である。
※ 続きは、次話の『第133話 その3』にて
「需要が極僅かで採算が取れない」と
いう理由でリバーサルフイルムの
現像料金が1.5倍跳ね上がった
こうやってユーザーに負担をかけて
客離れを促して古きモノは
新しきモノに追われて駆逐されていく
でもその『新しきモノ』は
パソコンで画像を造り出す「ニセモノ」で
『古きモノ』に勝る力は全くの皆無で
例え1兆が束になっても
『古きモノ』の足元にすら及ばない
だからこうやってユーザーを
『古きモノ』から引き離す策を弄して
『新しきモノ』に切り替えさせようとする
それは『新しきモノ』に
人の心を集める力がないから・・
今やデジイチもスマホに食われて
販売不振に陥り5大メーカーの内の
2つがデジイチから撤退したし
そして写真人口も減少の一途を辿ってるらしい
:
それはユーザーの潜在意識の中で
「ニセモノ」デシタルに「ホンモノ」にない
つまらなさを感じてるからだろうね
そらそうだわなぁ
カメラ本体50万でレンズ数本集めると
車一台買えるようなデジイチと
スマホと画質が同じなんだからね
なぜならパソコンの
解析能力次第でどうにでもなる
所欄「ニセモノ」なのだから
:
この事でタブーな言葉がつい口に出る
それは「昔は良かったなぁ」って言葉
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