風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第462回  厳冬期の北八ヶ岳縦走路 その1 (北横岳~縞枯山)

『日本百景』 冬  第462回  厳冬期の北八ヶ岳縦走路 その1(北横岳~縞枯山)〔長野県〕

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朝のスペクトルに染まる縞枯山

  縞枯山 しまがれやま (八ヶ岳中信高原国定公園)
八ヶ岳連峰の北八ヶ岳にある標高2,403mの山で、雨池峠の1kmほど南に位置する。 名前のとおり、縞枯れ現象が見られる事で有名である。 その縞枯れ現象とは、亜高山帯針葉樹林のシラビソ・オオシラビソが帯状に枯れ、その縞枯れの帯が山頂に向かって長い年月をかけ移動していく現象である。

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”縞枯の帯”を創造するモノ

八ヶ岳山域に属する他の峰々からこの峰を望むと、山の斜面に何列もの白い縞が魅られせる。
なお、この縞枯れ現象は、縞枯山だけでなく蓼科山や北横岳でも見られる。

標高1,700mあまりの地点から、2,200mあまりの坪庭までピラタス蓼科ロープウェイが通じているので、冬季でも登頂は比較的容易である。 また、ロープウェイ駅より10分程で、通年営業の山小屋・縞枯山荘もある。



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北八ヶ岳縦走路 北横岳・縞枯山行程図

   行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR茅野駅よりバス(1:00)→ピラタス山麓駅よりロープウェイ(0:10)→山頂駅
     (1:20)→北横岳ヒュッテ(0:25)→北横岳(1:00)→坪庭(0:20)→縞枯山荘
《2日目》 縞枯山荘(0:05)→雨池峠(1:00)→縞枯山(0:45)→茶臼山(1:20)→麦草峠
     (1:20)→丸山(0:20)→高見石
《3日目》 高見石(2:00)→中山峠(0:10)→黒百合平(1:30)→天狗岳
      ※西天狗までは往復1時間10分(1:30)→黒百合平
《4日目》 黒百合平(1:50)→渋ノ湯よりバス(0:50)→JR茅野駅

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縞模様を描く縞枯山

 《1日目》 坪庭から北横岳へ
さて、今回はロープウェイを利用して、雪山としては初心者向けの北八ヶ岳山域を〔厳冬期〕に歩いてみよう。 アプローチに際して、交通機関を乗り継ぐ事やロープウェイの始発時間が9:00と遅い事などで、思ったような行動が取り辛い。 従って、不本意ながら、山行の出発時間は10時と遅くなってしまった。 それでは、これより北八ヶ岳の盟主・北横岳に登ってみよう。

・・ロープウェイの始発は9時。 いくら頑張っても、スタートは10時前だ。 夏山とは違って、冬山は出発地点での準備に要する時間がかなりかかるのである。 ロープウェイのほとんどの利用者がスキー行楽客だ。 やるせない思い(山を壊して成り立つ娯楽をなぜ楽しめるのか?と思うのだが)を抱きながら、相反目する格好のスキーヤー達を見送って登山の準備をする。 

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陽光にギラギラと輝く
モンスターと呼ばれる樹氷群

ロープウェイの駅を出ると、哀しいかな・・スキー場のゲレンデと化している。 ロープウェイが上がってくる方向の斜面は、見事にハゲ山になっている。 「こんな景色は見たくない」、そんな思いを胸に登山道らしき所まで急ぐ。 《坪庭》と呼ばれるハイマツと岩の庭園まで登ると、ようやく魅力のある山の景色を取り戻す事ができる。 

夏ならばハイマツと露岩が山水画のような情景を創造する《坪庭》も、冬は雪に大半が埋もれて荒涼たる眺めを魅せる。 この中につけられたトレースを伝って行くのだが、何分《坪庭》は広く、前人が間違った踏跡に入り込んでしまうと完全に道をロストしてしまうので注意が必要だ。 ここでは、あまり仕切りロープはアテにしない方がいい。

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冬の坪庭はトレースを外すと
穴ボコ地獄に落ちるよ

なぜなら、登山道の仕切りロープは夏道で設定してあるので、冬道の論理は通用しないからである。
ここで気をつける事は、明快なトレースのみを伝っていく事である。 また、“リングワンダリング”に陥らない為にも、「北横岳は左手にある」という事を頭の片隅に置いておこう。 

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モンスターが乱立して
ルートは判り辛い

さて、《坪庭》の終わりで、この溶岩台地を区切る谷に一度下って北横岳の山体に取り付く。
この上下があれば、「道は正しい」という事である。 これに取り付くと、《坪庭》の全景を眺めながら山腹を斜めを切るように登っていく。

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南アルプスと
北横岳ヒュッテを望む

やがて樹林帯に突入し、ジグザクを切ってつめていくと程なく北横岳と三ッ岳の稜線上に飛び出す。
ここから左に5分もたどれは、《北横岳ヒュッテ》だ。 ヒュッテの脇を下る道を行くと、《七ッ池》の池塘群がある。 夏ならば瞑想的な雰囲気を求めて散策するのもいいが、今は冬で凍結しているので見送る事にしよう。

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北横岳より望む浅間山

ヒュッテから北横岳の頂上までは標高差100mの直登で、25分もあれば頂上に登り着く。
ヒュッテに荷物はデポして、身軽な身なりで北横岳を目指そう。

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北横岳山頂より望む
南八ヶ岳主稜線

北横岳 2480メートル の頂上からは、樹氷原越しに望む南八ヶ岳の山なみや南アルプス、美ヶ原や霧ヶ峰の高原、浅間山や白銀をまとった北アルプスの山なみが大パノラマで迫ってくる。 但し、山頂広場は眺めはいいが吹きっさらしで、飛び交う雹でかなりの“痛み”が伴うので念の為。 ヒュッテまで戻って、デポした荷物を回収して往路を下ろう。 

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特徴的な容姿の三ッ岳にも
寄ってみたいところだが
冬の溶岩台地は岩間に雪が乗ってるだけの
「穴ボコ地獄」なので避けた方が無難

《坪庭》に戻る途中、三ッ岳との分岐があってこちらを行ってみたい所だか、三ッ岳の稜線上を連なる溶岩台地は岩間に雪が覆い被さる“落とし穴”地帯となるので、積雪期は通らない方がいいだろう。 

往路を伝って下山し終えると嫌な気分にはなるが、一度スキー場のゲレンデまで出てテレマークスキーのトレースを伝って《縞枯山荘》を目指す。 夏ならば、広い《坪庭》の溶岩台地を斜めに切る短絡道があるのだが、冬は変にトレースから踏み出て進むと“リングワンダリング”に陥るので「止むを得ず」である。

山を壊す娯楽の跡をたどるのは承服し難いが、ここは明日の素晴らしき眺めで埋め合わせをしたいと思う。 明日の素晴らしき情景を夢見つつ、一夜を結ぼう。

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スキー場さえ越えれば
樹氷と光と影のおりなすパラダイスが広がる



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朝の空に溶け込む
三角屋根の山小屋・縞枯山荘

 《2日目》 縞枯山・麦草峠を経て高見石へ
北八ヶ岳の魅力は、何といっても美しい樹林であろう。 夏の静けさ漂う神秘的な雰囲気もいいが、雪と樹木のおりなす冬の『樹氷のアトリエ』も感動を与えてくれる。 夜明け前、空が僅かに白みかけた時、思い切って外に出てみよう。

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夜明けの光は
ゲレンデを芸術に変える

空を見上げて満点の星空だと、氷点下の澄んだ空気と夜明けの光がおりなす神秘的な光景が望めるだろう。 夜が明けるまでのスペクトルの空の移り変わり、そして縞枯れ帯の山肌がこのスペクトルの光を受けてオーロラに輝く、これぞ“氷点下の神秘”である。 

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夜明けの雲海と
たたずむモンスター

極寒に耐えた甲斐のある感動的な情景で1日が始まる。 さて、縞枯山へであるが、山荘から朝日の輝く方向に少し遡っていくと《雨池峠》の分岐に出る。 朝日の余韻がまだ残っているなら、先に樹氷原にいってみよう。 《雨池峠》から少し下ると、浅間山を背景にした美しい樹氷原が広がる。 しばし、カメラ片手に『樹氷のアトリエ』で気の趣くまま創作しよう。 

『樹氷のアトリエ』
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スペクトルに変りゆく空と
クリスマス・ツリー樹氷

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モンスターの目に光をかざして
『モビルスーツ』化してみた

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朝日をかざして
雪の穂を輝かせてみた

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夜明けから早朝へ・・
モンスターの肌の色もほのかに変化してくる

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モンスターを浅間山を護る
衛士に仕立ててみた

日差しが高くを照らすようになったなら、《雨池峠》に戻って縞枯山へアタックしよう。 峠から右手に進路を取り、縞枯山の穏やかな山容とは相容れないキツい傾斜を登っていく。 雪付きの傾斜なので、ピッケルとアイゼンは必需品だ。

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モンスター達を縫って縞枯山へ

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縞枯山へは直登気味に登っていく

樹林帯の中を2~3度つづら折りを交えて直登していくと、程なく縞枯山 2403メートル 山頂に出る。
残念ながら頂上は、周りを樹林に囲まれて見通しが悪い。 展望を望むならば、頂上から10分程先にある《肩の展望台》までいこう。 この展望台からは、360°の大マノラマが広がる。 

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南方にそびえる天狗岳を望む

《麦草峠》へ連なる稜線に刻まれた縦走路、南八ヶ岳の峻嶮な山なみ、蓼科の丘陵に向けて広がる深い樹氷原・・と、とびきりに贅沢な風景が望めるだろう。 ワテがこの山を【名峰百選】に選んだのは、この樹氷原の広さと山肌に刻まれた“縞枯の帯”と夜明けのスペクトルの光がおりなす情景に感動したからである。

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樹木も凍る厳しい寒さ

各項目で述べ続けてくどいかもしれないが、『名峰』の条件をもう一度いいたい。 「感動を呼び起こせぬ山は、『名峰』にあらず」だ。 そして、「人間がなすりつけた『歴史的価値』という“ハリボテ”では、感動は得られない」という事も。 しばし、大自然が創造した素晴らしい風景に酔おう。

  ※ 続きは、次回『第463回』の《その2》にて


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未だに天皇信奉の洗脳から醒めない奴
ちょっとは学習したらどう?

ムリか・・学習できないから
洗脳に溺れて事実を事実として
分析する事ができないのだし

つい2ヶ月前にアメリカが
選挙不正という手段で
国を乗っ取られかけてる訳だろ?

だからアメリカを反面教師として
より乗っ取りに対して
神経を尖らせないといけないのに
チョン面で行動も明らかなチョンの背乗りを
「てんのうへいかぁ~」だもんね

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だからマスニダを100%乗っ取られて
国会議員の30%が成り済まし
司法・学術の半分近くがパヨク
そして国を護る権利さえ否定する憲法を
未だに変える事ができないのだ







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No Subject * by 朝弁
こんばんは。

「感動を呼び起こせぬ山は、『名峰』にあらず」
こちらを肝に銘じ
故郷の山に日々感謝と感動を受けていおる津軽衆です。

Re: No Subject * by  風来梨
朝弁さん、こんばんは。

津軽では、やはり白神山が一番のお気に入りですね。 そして十二湖・・。 特に今は閉鎖となっている十二湖・青池の濃い蒼の神秘が印象的です。 また、津軽を旅したいなぁ。

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No Subject

こんばんは。

「感動を呼び起こせぬ山は、『名峰』にあらず」
こちらを肝に銘じ
故郷の山に日々感謝と感動を受けていおる津軽衆です。
2021-01-05 * 朝弁 [ 編集 ]

Re: No Subject

朝弁さん、こんばんは。

津軽では、やはり白神山が一番のお気に入りですね。 そして十二湖・・。 特に今は閉鎖となっている十二湖・青池の濃い蒼の神秘が印象的です。 また、津軽を旅したいなぁ。
2021-01-05 *  風来梨 [ 編集 ]