風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰百選の山々 第30回  トムラウシ山 その1 〔五色ヶ原・沼ノ原〕

名峰百選の山々 第30回  『6 トムラウシ山』 その1 〔五色ヶ原・沼ノ原〕 北海道
大雪山系(大雪山国立公園) 2141m  コース難度 ★★ 体力度 ★★★
 

五色ヶ原に広がるお花畑とトムラウシ山
 
  《メインサイトより抜粋》
五色ヶ原に優るお花畑はなく、沼ノ原を凌ぐ湿原もない。 そして、人影もまばらで原始の香り立つ『奥大雪』の最奥。 この素晴らしき大自然を味わうには、必ず山中での宿泊が必要だ。 それも無人小屋か、自前のテントを担いで・・となる。 これら、山中での辛い洗礼を受けてこの地にやってきた者のみに、大自然はこの世とも思えぬ景観を魅せてくれる。
 
そして、トムラウシ。 大雪山の山の中で、最もどっしりとした山容を魅せるのが、このトムラウシ山 2141メートル である。 この山は、山頂部に円頂丘を持つトロイデ型の火山で、大雪南部の盟主として知られている。 そしてこの山は、周りに素晴らしい自然の造形を創り上げている。 

まずは、トムラウシ山腹にある『トムラウシ・日本庭園』である。 池塘と、花と、雪渓がおりなす自然の山水画。 大自然が、いったいどのようにしてこの景観を創造しえたのか。 また、トムラウシ山の西側には、『五色ヶ原』に優るとも劣らない“花の世界”・『黄金ヶ原』がある。 『黄金ヶ原』は、ミヤマキンバイやキンポウゲなど黄金色の花が多く咲き乱れ、その名の通り花が大地を黄金色に輝かすのである。
 

沼ノ原・五色ヶ原~トムラウシ 行程図
 
    行程表             駐車場・山小屋・トイレ情報
《1日目》 層雲峡温泉よりタクシー(1:00)→沼ノ原登山口(1:40)→沼ノ原・大沼 
     (3:00)→五色ヶ原(0:20)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐
     (0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《2日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園 
     (1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(0:25)→トムラウシ・南沼
《3日目》 トムラウシ・南沼(2:00)→黄金ヶ原(0:30)→三川台(1:30)→ツリガネ山 
     (1:30)→コスマヌプリ(1:00)→双子池
《4日目》 双子池(2:00)→オプタテシケ山(2:00)→美瑛富士避難小屋 
     (0:30)→美瑛岳分岐(2:30)→十勝岳避難小屋
《5日目》 十勝岳避難小屋 (0:50)→望岳台よりタクシー利用 (0:20)→十勝岳温泉よりバス 
     (0:35)→JR上富良野駅
  
大雪の奥に王冠の如くの山容を魅せるトムラウシ。 その周囲は一面の花で彩られ、その花々を借景にした情景は、登山者の心をつかんで離さない。 山を志す者全てのの憧れの山である。 それでは、この花の楽園を結ぶ贅沢なルートを経て、大雪の盟主トムラウシの頂きに立つ山旅を御紹介しよう。
 
沼ノ原・五色ヶ原に咲く花々・・ その1

        エゾノハクサンイチゲ      エゾコザクラ      ホソバウルップソウ
 
  《1日目》 沼ノ原を経て五色ヶ原へ
このコースをたどれば、その日の内に《沼ノ原》と《五色ヶ原》をめぐることが可能だ。
しかも、歩行距離は約12kmと長いものの、標高差800m余りと、それ程キツくはないのである。
従って、特に中高年の間で人気のあるコースである。 ただ唯一の難点は、登山口までのアプローチだ。
 
前述の通り、《層雲峡》から32km、その内の林道のダートが16kmとかなりあるのである。 
林道の途中、《高原温泉》との分岐地点で車止めのゲートがあり、鍵が掛かっているので、マイカーでアプローチの場合は営林署で開錠ナンバーを事前に聞いておこう。 ついでに、登山道の状態も尋ねておくといい。 
 
車で約1時間走ると、20台程車が置ける広場に出る。 ここが林道の終点で登山口となる。 
このコースも歩く距離が長いので、前日までにここまで入っておいて、翌朝早く出発する事が望ましいだろう。 

《沼ノ原》までの登山道は、《五色ヶ原》への最短で最も楽なコースとして利用者が増えているせいか、よく整備されて登りやすい。 登山口を越えると、2回ほど沢を徒渉して樹海の中へ分け入っていく。 
視界の利かない樹林帯の中を、つづら折りを交えて登っていく。 
 

高層湿原・沼ノ原とトムラウシ山
 
・・約1時間半、急登にひと汗かいた頃、視界が開けた平坦な草原に出る。 ここが《沼ノ原入口》である。湿性の高山植物がチラホラ咲く草地まじりの湿地帯を足元を気にしながら歩いていくと、やがて道は木道となり、その上を歩いていく。 木道を少し歩くと、大きな案内板の立つ分岐に出る。
この分岐を左へ進むと、『東大雪』・石狩連峰へのコースだ。 だがこの道は、ハイマツやネマガリダケに行く手を阻まれる難コースとのことである。
 

沼ノ原の池塘と『東大雪』の山なみ
 
《五色ヶ原》へは、進路を右に取る。 案内板から程なくの所に、《沼ノ原》のキャンプ地・《大沼》がある。 《大沼》に着いたなら、その湖畔に立ってみよう。 そこには、雪をまとったトムラウシ山がそびえ立っている。 ここから望むトムラウシ山はすっきりした山岳美を魅せて、また格別である。
この美しき山の姿に、“憧れの山”に近づいた胸の高鳴りを感ぜずにはいられないだろう。
トムラウシ山の美しき姿を充分に堪能したなら、先に進もう。
 

沼ノ原・大沼の夜明け 
 
木道沿いに池塘が散らばり、そよ風を受けて水面をなびかせている。 その周りを、ワタスゲやトキソウ・ミヤマリンドウ・エゾカンゾウなどが彩っている。 また、厳しい風雪に耐え抜いたエゾマツが並び立ち、高層湿原らしさをより引き立てている。
 

ワタスゲ
 
《沼ノ原》の平坦な湿原が終わると、木道が途切れてぬかるみの悪路となる。 《沼ノ原》の大地から緩やかな下りとなり、ネチョネチョした悪路を難儀しながら下っていくと、《五色の水場》に出る。
この水場は石狩川源流の沢で、大雪の中でも指折りの銘水だ。 冷たくて美味しいこの水を飲んで、ダレた体に喝を入れよう。 

《五色の水場》からは、このコース最大の悪場となるので気を引き締めていこう。 ここから《五色ヶ原》の台地の上まで150m程の登りとなるのだが、この間はぬかるみどころか、もはや“底なし沼”というようなドロドロの道となる。 踏み出すごとにくるぶしまで確実にめり込むこの悪路に、かなり手を焼きながら登っていく事となろう。 ここで転びでもしたら、確実に“泥坊主”と化するだろう。 その恐れゆえに慎重に登らざるを得ず、想像以上に時間がかかる。 

この悪路極まる坂道を何とか無事に乗りきると、ササに覆われた道と変わり、ぬかるみもだいぶマシになる。 ただ、笹やぶはかなり深いので足元が見辛く、うっかりするとぬかるみのひどい所に足を突っ込むハメになるので注意しよう。
 

沼ノ原・大沼と『東大雪』の山なみ
ぬかるみ帯を乗りきると
沼ノ原と東大雪の山々が望める高台に出る

これを越えると見通しの良い砂礫地となり、《沼ノ原》の台地が見渡せるようになる。 
《沼ノ原》の《大沼》がコバルトブルーに輝く印象的な眺めだ。 この砂礫地をジグザグに登ると、再び笹やぶの中に分け入り、これを越えるといよいよ待望の《五色ヶ原》に出る。
 
沼ノ原・五色ヶ原に咲く花々 その2

          リシリリンドウ      チシマフウロ       ミヤマリンドウ

しかし、《五色ヶ原》といっても、5kmにも渡る大平原の端に立ったに過ぎず、夢のような大お花畑はまだ先の事である。 チラホラ咲く花を見ながら、緩やかな道を登っていく。 この単調な登りに飽きがくる頃、雪渓を渡って石狩川源流の沢に出る。 北海道の大地を創りし母なる河は、やはり大雪を源としているのだ。 この沢の岸辺は絶好の憩いの場で、沢水を口に含むと、大地の創造の偉大さを一つまみ感じとる事ができるだろう。
 

大地を染める黄色と白の花の帯とトムラウシ山
 
しばらく沢沿いを進むが、やがて沢は離れていき、緩やかな草原の丘に出る。 花もだいぶ増えてくるが、まだ“夢のお花畑”には程遠い。 この丘を目にすると、“五色ヶ原はこんなものか”と多少落胆するかもしれないが、心配ご無用。 ここから平坦な丘を越えて、樹林の並木道をくぐり抜けると、ようやくあった“花の世界”が・・。
 

大地を白く染める
エゾノハクサンイチゲとトムラウシ山
 
エゾノハクサンイチゲが大地を白く輝かす、“夢のお花畑”が眼前に広がる。
また、《沼ノ原》以来、途切れがちになっていたトムラウシ山も、再び魅力的な姿を魅せてくれる。
花と、大地と、山と、美しきものが見事に調和した素晴らしい眺めが広がるのだ。
エゾノハクサンイチゲの中に、黄金色のキンポウゲの模様も美しい。 
地平線までも花の色が続いている情景は、言葉なくしてただ眺めるのみである。
 

年によって群落を成す花種が変る
この年はキンバイソウであった
 
しかし、こう一面の花では、花だけのカメラアングルではありきたりとなり、この素晴らしき情景を表現できないもどかしさを感じる。 トムラウシ山を背景に入れると絶好のカメラアングルとなるが、花と山の遠近感の処理が難しい。
 

トムラウシ山の前景に
ミヤマキンバイの花を入れてみた・・ 
 
あまりにも素晴らしい景色だと、写真を撮るのも苦労する(これは、筆者の写真の腕が未熟なことも要因とするが)。 恐らく、これ程までの“花の世界”は、大雪でも《五色ヶ原》と《黄金ヶ原》くらいであろう。
この2つの“夢のお花畑”を抱く、トムラウシ山の偉大さを改めて感じるのである。
 

エゾノハクサンイチゲの大群落
トムラウシ山
 
花の色で大地が輝くお花畑を緩やかに登っていくと、五色岳 1868メートル の山頂に出る。 
あの《五色ヶ原》の“夢のお花畑”をまのあたりにすると、何となく貧弱な山頂である。
 

今まで歩いてきた道のりを眺めて
五色ヶ原を後にしよう・・
 
ここで白雲岳からの道と合流して、今日の宿泊地・《ヒサゴ沼》に向う。 五色岳から先は、ホソバウルップソウが紫を彩る《化雲平》や《大雪万年雪渓》を通って、避難小屋の建つ《ヒサゴ沼》湖畔を目指して歩いていこう。
 

           化雲平のお花畑とトムラウシ山     山旅の“オアシス”ヒサゴ沼
 
なお、この間のコース説明は『名峰次選 第30回 忠別岳・化雲岳』を参照して頂きたい。 
途中、《大雪万年雪渓》の下降は、道を見失いやすいので注意していこう。 そして、前の説明でも述べたが、《ヒサゴ沼避難小屋》の混み方は尋常ではないので、体力のある方はテント泊をお薦めする。
 

明日はこの山の頂に立とう・・

    続き《2日目》は、『名峰百選 第31回 トムラウシ山 その2』をご覧下さい。
 
    ※ 詳細はメインサイトより『五色ヶ原・沼ノ原』をご覧下さい。

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No title * by ake*ono**14yus*n
こんにちはー。

つらい思いをしないで、ブログで大雪山系を覗かせて戴いています。

ありがとうございます。

素晴らしい山の風景、花と山と沼と感激しています。

夜明けの沼の原素晴らしい、さらに目を見張るお花畑、

感動します。

4回も行ったり来たりです。

傑作大ポチを どの絵も素晴らしかったです。

No title * by 風来梨
ゆう様、こんばんは。

ご覧頂き、ありがとうございます。
冒頭に記しました「五色ヶ原に優るお花畑はなく、沼ノ原を凌ぐ湿原もない。」は真にその通りですね。

ただ、花の咲いている時期を合わせるのが難しいです。
そして、トムラウシ。 頂までの距離の長さが、奥深さを物語っています。

次は、『トムラウシ・日本庭園からトムラウシ山』です。
乞う、ご期待下さいね。

No title * by yamanbou
こんばんは。
見たこともないエゾノハクサンイチゲの大群落ですね!!
アコガレのトムラウシもカッコいい!!
最高の景色に出会えましたねぇ。

No title * by 風来梨
yamanbou様、こんばんは。

この大群落は、実は以前の写真なんですよね。
今年は、キンバイがチョロチョロと咲いていた程度でした。
でも、これを目にして以来、もう一度見たくて何度も通っているのです。 今回の夏で6回目。

五色ヶ原ほど花期を読むのが難しい所はありません(苦笑)。
でも、他の所は花が満開でしたので、大満足です。

No title * by オータ
ご無沙汰していました。美しい画像付ガイドですね…
ただあの遭難事故があったりしたので、心から楽しく拝見できないこともありますが…

No title * by 風来梨
お久しぶりです。

ご覧頂き、ありがとうございます。
山を楽しむ事ができる余裕があれば、正しい判断が成しえると思います。 だから、山を楽しむべくの基礎知識と余裕をいつも持っていたいものです。

コメント






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No title

こんにちはー。

つらい思いをしないで、ブログで大雪山系を覗かせて戴いています。

ありがとうございます。

素晴らしい山の風景、花と山と沼と感激しています。

夜明けの沼の原素晴らしい、さらに目を見張るお花畑、

感動します。

4回も行ったり来たりです。

傑作大ポチを どの絵も素晴らしかったです。
2011-08-25 * ake*ono**14yus*n [ 編集 ]

No title

ゆう様、こんばんは。

ご覧頂き、ありがとうございます。
冒頭に記しました「五色ヶ原に優るお花畑はなく、沼ノ原を凌ぐ湿原もない。」は真にその通りですね。

ただ、花の咲いている時期を合わせるのが難しいです。
そして、トムラウシ。 頂までの距離の長さが、奥深さを物語っています。

次は、『トムラウシ・日本庭園からトムラウシ山』です。
乞う、ご期待下さいね。
2011-08-25 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

こんばんは。
見たこともないエゾノハクサンイチゲの大群落ですね!!
アコガレのトムラウシもカッコいい!!
最高の景色に出会えましたねぇ。
2011-08-26 * yamanbou [ 編集 ]

No title

yamanbou様、こんばんは。

この大群落は、実は以前の写真なんですよね。
今年は、キンバイがチョロチョロと咲いていた程度でした。
でも、これを目にして以来、もう一度見たくて何度も通っているのです。 今回の夏で6回目。

五色ヶ原ほど花期を読むのが難しい所はありません(苦笑)。
でも、他の所は花が満開でしたので、大満足です。
2011-08-27 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

ご無沙汰していました。美しい画像付ガイドですね…
ただあの遭難事故があったりしたので、心から楽しく拝見できないこともありますが…
2011-08-28 * オータ [ 編集 ]

No title

お久しぶりです。

ご覧頂き、ありがとうございます。
山を楽しむ事ができる余裕があれば、正しい判断が成しえると思います。 だから、山を楽しむべくの基礎知識と余裕をいつも持っていたいものです。
2011-08-28 * 風来梨 [ 編集 ]