2020-11-12 (Thu)✎
『日本百景』 秋 第457回 巻機山 その1(沢ルート)〔新潟県・群馬県〕
巻機山を見上げて
※ 翌年に訪れた時に撮影
巻機山 まきはたやま (越後三山只見国定公園)
巻機山(まきはたやま)は、新潟県南魚沼市と群馬県利根郡みなかみ町の境に鎮座する三国山脈にある標高1,967mの峰である。 谷川岳から北に連なる三国山脈の北部における主脈となる山である。
巻機山の標柱が建てられているのは、標高1962メートル地点の御機屋(おはたや)と呼ばれる場所である。 御機屋を山頂とするのは信仰上の理由によるもので、最高点はそれより更に東に200m程歩いた所にあるが、ケルンが積まれているだけで特に最高点の表記はない。
巻機山を形成する4つの頂の一つ
『ニセ巻機』こと前巻機山
一般的に、巻機山本峰(御機屋)とニセ巻機と呼ばれる前巻機山に、割引岳(われめき)と牛ヶ岳を含めたその総称として巻機山と呼ばれている。
朝もやが巻機山を幻想的に包み込む
※ 翌年に訪れた時に撮影
山頂付近はなだらかな草原に笹が茂り、それがオオシラビソとのコントラストと調和して、優しく優美な山容を魅せている。
獣の毛並みのように
美しく流れる頂上大地
※ 翌年に訪れた時に撮影
豪雪地帯ゆえに池塘が点在し、遅くまで残る雪田の周辺にはお花畑が形成され、夏の花期には高山植物の花々が咲き乱れる。
山頂丘で魅惑的な蒼を魅せる池塘群
:
心を惑わすが如く濃い蒼の水鏡が
色々な情景を映しだして
※ 翌年に訪れた時に撮影
また、この峰が属する三国山脈は人里から比較的離れた地域にあるので、植林がほとんどなく、人の手が入らぬ純粋な自然美を魅せてくれる。 また、気候的には中央分水嶺に位置する峰である事から、太平洋と日本海から来る大気がぶつかり合って年間の日照時間が少なく、夏季の降水量や冬季の降雪量が非常に多い。
この池塘の先は
スッパリと切れ落ちている
※ 翌年に訪れた時に撮影
これらの気象条件から雪食などの浸食が激しく、急峻な沢や深い谷を刻んでいる。 また、比較的傾斜が急で、頂上の方は伸びやかな草原となっている三国山脈の山容の特徴を示している。
巻機山・ヌクビ沢遡行ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR六日町駅よりバス(0:45)→清水バス停(0:40)→桜坂駐車場〔登山口〕
(0:40)→吹上ノ滝(0:40)→ヌクビ沢出合(1:00)→行者ノ滝
(2:00)→ヌクビ沢源頭(0:30)→巻機山・割引岳鞍部〔割引岳へは所要15分〕
(0:20)→巻機山〔牛ヶ岳へは所要40分〕(0:30)→巻機山避難小屋
《2日目》 巻機山避難小屋より巻機山稜線への往復と周遊・所要4時間(0:20)→前巻機
(1:00)→六合目展望所(1:10)→焼松〔五合目〕(1:00)→桜坂駐車場〔登山口〕
(0:40)→清水バス停よりバス(0:45)→JR六日町駅
沢ルートを伝って巻機山へ
《1日目》 割引沢・ヌクビ沢を遡って巻機山へ
さて、この項目では、南越後の名峰・巻機山へ登ってみよう。 ただ単に登るだけではなく、変化に富む沢ルートを絡めて、沢の源流にひそむ瀑布群も堪能するちょっと贅沢なプランで楽しんでみよう。
なお、アプローチであるが、JR六日町駅から1日3本ある路線バスを使うと関西・関東の主要都市からも週末利用山行の計画が可能なので、これは大いに利用したい。 それでは、ガイドを始めよう。
前述したように、巻機山の登山口である《清水》までのバスは1日に3本ある。 山行の基本が早朝の行動開始である事から、前日の最終(JR六日町駅 17:45発)で登山口の《清水》までアプローチして、前夜はキャンプ場等で宿泊するのが望ましいだろう。 また、《清水》の集落には民宿が3件ほどあり、前日アプローチへの受入状況は整っている。 なお、筆者は前日の宿泊をキャンプ対応としたので、キャンプ場をスタート地点としたいと思う。
キャンプ場から、登山口である《桜坂駐車場》へは5分程である。 駐車場には水場がなく、トイレも見渡した限りではなかったので、この設備がしっかりとあるキャンプ場は登山の開始地点としては打ってつけだろう。 なお、キャンプ場は、夏のシーズン以外は無人で無料であった。
登山口のバンガロー区域より
見上げる巻機山
駐車場の奥にある登山口を越えると、すぐに尾根筋を伝う初心者ルートの《井戸尾根コース》を分けて、左下を流れる《割引沢》の上方を伝うようになる。 小さな乗越を一つ越えると、《割引沢》へ下降する沢ルートと、このまま沢の左岸を高巻く迂回ルートとの分岐に出る。 分岐には棒状の道標が立っているので見落とさないようにしたい。 先を急ぐのであれば迂回ルートであるが、今回の目的は源流沢を堪能する事にあるので、進路は沢ルートを取ろう。
分岐を左手に進んでいくと、急下降で沢へ下り着く。 飛び石伝いに沢を渡渉すると、いきなりオーバーハングに出っ張った大岩が現れる。 これを巻き伝うのだが、この大岩はかなり出っ張っていて、手足のホールド位置に苦労する事だろう。 また、この大岩巻きのアシストとなる『バンド』は鉄鎖ではなく赤い布で、見るからに心許ないのである。
これを越えると、沢は一枚岩のスラブ上をウオータースライダーのように落とすようになる。
そして、その上はこのスラブ岩が形成した草付の土手となる。 このスラブ岩は見事な程にツルツルで、下手に足をかければ踏み外して転ぶ危険もある程だ。 このツルツルのスラブに乗った草付や土など、踏ん張りの利く部分を踏みしめながらしばらく行くと、スラブ岩がトヨ状に割れた中を落水が流れる《吹上ノ滝》が見えてくる。
『日本の滝100選』の《吹割ノ滝》を
思わせるナメ滝《吹上ノ滝》
《吹上ノ滝》を下に見下ろしながらこのスラブ岩を伝っていくと、やがて滝床の岩質と同じく真っ白なスラブ岩の巨大一枚岩盤にぶち当たる。 ルートはこの真っ白な大岩の上部を伝うように続いているのだが、この大岩には取っ掛かりが皆無といっていい程に乏しく、気を抜けば滑り台より滑り落ちるが如くズルズルとすべり落ちていくのである。 どうやらこのスラブ岩は、岩質が軟質過ぎてアングルを打ち込む事ができないようである。 ここは、岩の切り目に見当をつけて乗り切ろう。
滝を形成するツルツルのスラブ岩を
伝っていかねばならない
この大岩を越えると沢は大きく右手に折れ、ルートもそれに従って右へ折れていく。 その右へ折れた先には、この沢ルート最大の落差を誇る《アイガメの滝》が、沢全体を使って滝スダレを掛けている。
沢の原風景を思い描かせるなかなかの名瀑だ。 だが足場はすごぶる劣悪で、落ち着いて滝見物に興じれる状況ではない。 なぜなら、ルートは相変わらずのスラブ岩のトラバースが続き、しかも足場は先程にも増してか細くなってくるのである。
落差40mに滝スダレを掛け
沢の原風景を魅せる
名瀑《アイガメの滝》
ザックを下ろすスペースもない細い足場のトラバースでこのスラブ岩を伝っていくと、《アイガメの滝》のすぐ横に切られたスラブ岩の段をほぼ直登で上部の草付までよじ登っていく。 先程目にした滑らかなスダレ滝とは思えぬ程の猛烈な急登だ。 しかも、滝飛沫で常時濡れたスラブの岩段という事で踏ん張りに乏しく、気を緩めればズルズルと滑り落ちかねない難所だ。
スダレを掛ける名瀑を横目に見たなら是非ともカメラに収めたい所であるが、これほどに通過に難儀する所では見送るより手はないだろう。 こうなれば、イッキに難所を越えて安全な草付の中にもぐり込むに限るだろう。 草付の中に入って15分程登っていくと、滝上部に形成される河原の上に出る。
ここが、《ヌクビ沢出合》である。
ここは最初に分岐した迂回ルートとの合流点との事だが、漠然と広がる河原が続くせいか、どこが迂回路との合流点かを判別できなかった。 また、ここより分かれる《天狗尾根》へのルートも発見できなかった。 この事から、この河原付近は限りなく道が不明瞭で、『道ロスト』の危険が高いという事が懸念されるのである。 周囲に気を配って、ペンキで岩にマークしてある矢印を見落とさずにいこう。
巨大なスラブの河床を登っていく
沢ならではのルートだ
《布干岩》にて
ゴロゴロと転がる河原の大岩を伝っていくと、河床がスラブの大岩に変わって大きく傾斜をつけて盛り上がってくる。 ここは《布干岩》といい、この大岩を滑り落ちる落水を横目に見ながら滑り台を登るが如く、この傾斜を張り付いて登っていく。 言葉で記しても上手く表現できないので、ここは掲載写真から雰囲気をつかんで頂ければ・・と思う。
《布干岩》の巨大なスラブを最上部までつめると、右手から《三嵓沢》が合流し、ほどなく20m程の直瀑《行者ノ滝》が見えてくる。 黒光りした岩段に落水模様を描き、“幽谷の美”を魅せる優雅な滝だ。
白布と黒光りした滝壁を形成する岩が
印象的な20mの段々瀑《行者ノ滝》
しばし、この滝を目にして、難路歩きで高揚する心を鎮めよう。 そして、心を落ち着かせたなら、“次の難関”に挑もう。
さて、“次の難関”に当てはまるこの先の進路であるが、状況としては《三嵓沢》を仕切るように張り出す支尾根によって左右とも塞がれ、また前方はこの直瀑によって行き場を封じられた袋小路なのである。
だが注意して見渡すと、右側の《三嵓沢》を仕切った支尾根の土手に登路が掘られているのが発見できるだろう。
しかし、これはかなり困難な崖の直登である。 鎖やロープはなく、クラック状の崖に足を掛けてよじ登るしか手はない。 周りのクマザサをもつかんでよじ登るとこの滝の落ち口に出る。 前方には烏帽子のように尖った割引岳の天狗岩が望まれるが、目的地の割引岳から続く稜線はまだ遙かに先だ。
そしてこれより先の沢は、先程よりも更に荒れたゴーロ地帯となる。
少し前に進むにも巨大な大岩を1つ1つ乗り越えねばならない。 また、函状の土手の足場の悪いトラバースや20mの段瀑の大高巻きなど、一般ルートと呼ぶにはかなり無理がある難ルートだ。
ここは、沢の源頭へつめるに従って細っていく沢に希望を見出して登っていこう。
幾度かの支沢を分ける毎に沢は細っていき、徐々にではあるが“源頭近し”を思わせてくれるだろう。
やがて、細くなった沢本流より左手の涸れ沢に移って、右手に延びる稜線からの草付きの土手へと登っていく。 この草付きの土手は緩やかに見えるものの、登ってみると取付がかなりキツく、今までの難路で疲れた心身にとってはかなりの“仕打ち”となる事であろう。
稜線上から沢を見下ろす
:
今までの苦労がウソのような穏やかな眺めで
間違って下っていく者がいないかと心配になる
※ 翌年に訪れた時に撮影
この草付きを約30分程登ると、今までの苦労がウソのように緩やかな踏跡より稜線上に飛び出す。
稜線からこの沢への降り口を見ると、間違って安易に入り込む者がいないか・・と老婆心を抱く位である。
まぁ、横に『沢ルートは下山禁止』の看板が設置されてはいるのだが。
ピラミタルな山容の割引岳に
向かって一筋の道が連なる
※ 翌年に訪れた時に撮影
この稜線のコルより、一等三角点のある割引岳 1931メートル へは上り15分位である。
天気が良ければ、巻機山塊の一番端にある高みよりの360°の展望が広がるという。 だが、残念ながら稜線に着いた途端大雨が降ってきた為、写真を撮る事は叶わなかった。
雨で撮れなかった巻機山は
翌年に快晴の天気の中で撮った
池塘に映ったプレミアムを載せておこうか
※ 翌年に訪れた時に撮影
また、巻機山の本峰 1967メートル ・牛ヶ岳 1962メートル も同様である。 そういう訳で、「写真を撮りに再びこの山に登る」という宿題を負う事になったが、これはワテにとっては楽しみな宿題である。
本当は標高1962mと5m低いのだが
信仰上の聖地がこの場所らしく
頂上になってる《御機屋 おはたや》
※ 翌年に訪れた時に撮影
稜線よりは、木道の敷かれたなだらかな草原状の起伏を2つ程越えると、一般登山道の《井戸尾根》への下降口である《御機屋 おはたや》である。 本峰の頂上三角点は少し先にあるが、現在はここを頂上としているみたいである。
ワテが訪れた時はもっと小さいケルンで
山頂を示す表示もなかったしィ
それに大雨だったから写真撮れなんだよ
※ ウィキペディア画像を拝借
本当の頂上に立ち寄ったなら、この《井戸尾根》を下って今日の宿泊場所である《巻機山避難小屋》へ向かおう。 《井戸尾根》につけられた道は完全に整備され、木道と木の階段が敷設されたルートを25分程下ると、これまた立派な《巻機山避難小屋》が見えてくるだろう。
晴れていれば1日ずっといても
退屈しない眺めが広がる
※ 翌年に訪れた時に撮影
天気が良ければ付近にある池塘などを見物しながらの楽しい下りだが、ワテの時は前述の通り大雨でそれどころではなかったのである。
バイオトイレ設置など
ものすごく設備の行き届いた
巻機山避難小屋
:
次回のネタ内容がバレちまったかな
なお、この避難小屋であるが近年に建替えられたらしく、中に人力撹拌式のバイオトイレがあるなど住環境の優れた小屋である。 水場もあるとの事なのだが、ワテが探勝した秋期は源頭沢が涸れるみたい(その後の調査で、テント場の高台から崖を下ると、常時水の流れる沢があった)で水を得る事ができなかった。 こういう時の為に、いつでも水は持ち歩くようにしたい。
次回のネタバレをカモフラージュするべく
巻機山の素晴らしい池塘風景おば
※ 翌年に訪れた時に撮影
ちなみに沢ルートでバテた筆者は、沢で汲んだ水を飲み干してしまった為に雨水をナベで集めるハメとなった。 筆者の愚体験を他山の石として、水を確保する重要さを認識していただければ・・と思うのである。 この雨が上がる事を願いつつ、この立派な小屋で一夜を明かそう。
※ 続く《2日目》は、次回の『第458回 巻機山 その2』にて
今回の米大統領選による不正の数々は
米民主党を金と利権で買収し
アメリカそのものを無力化しようとする
シナ共産党の企てだ
ミシガンで13万票・ウイスコンシンで12万票もの
不正な票の上乗せや196歳の有権者
投票締切後の追加票や
開票の場での共和党関係者の締め出しなど
もう何でもアリの不正の数々に
シナのなりふり構わぬ状況が伺える
それはトランプさんが勝つと
シナに『武漢ウイルス』を撒き散らした
狂気な国として全世界的な
制裁を喰らわせる事だろう
そうなるとシナは「一か八か」で
滅亡必至のアメとの戦争に
出るしかなくなるからだ
今回のバイデンの不正工作による勝ちは
シナの不正工作を阻止するどころか
したい放題にされた自由主義陣営の無策さが
「狂気の国・シナを滅ぼす
最大のチャンスを逃した」という事である
- 関連記事
スポンサーサイト
Re: No Subject * by 風来梨
hanagon60さん、こんばんは。
登山口にあれだけ警告看板を設置しないと、私の様に技術もないのに安易に入る奴が出てしまうんでしょうね。
まぁ、この時は『奇跡の体力』の終焉刃向かえていましたけど、その残り香で、雨が降るまでに稜線に上れました。
雨が途中で降ったら、ヤバかったですね。 だけどいい体験ができました。
けれど次行った時は、おとなしく井戸尾根の往復にしましたよ。
登山口にあれだけ警告看板を設置しないと、私の様に技術もないのに安易に入る奴が出てしまうんでしょうね。
まぁ、この時は『奇跡の体力』の終焉刃向かえていましたけど、その残り香で、雨が降るまでに稜線に上れました。
雨が途中で降ったら、ヤバかったですね。 だけどいい体験ができました。
けれど次行った時は、おとなしく井戸尾根の往復にしましたよ。
登頂ルートとしては、やはりこのヌクビ沢ルートが私的にもお勧めです。変化があって非常に楽しいです。チョットアブナイケド
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-1646.html