2020-11-07 (Sat)✎
『路線の思い出』 第412回 只見線・会津宮下駅 〔福島県〕
合理化で只見線駅の無人駅化が進む中
数少ない有人駅の会津宮下駅
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度 / 営業係数(’15)
会津若松~小出 135.2km 304 / 258
運行本数(’20)
会津若松~会津川口 6往復 ,会津若松~会津坂下 1往復
会津川口~只見 バス 下り6便・上り7便 、只見~小出 3往復 、小出~大白川 1往復
※ ’11年7月の豪雨災害により会津川口~只見の区間が不通となり、
この区間は現在バス代行輸送となっています。 なお、全線復
旧は、’22年度中の予定との事。
相対式ホームの連絡は
構内踏切で行っている
※ ウィキペディア画像を拝借
会津宮下駅(あいづみやしたえき)は、福島県大沼郡三島町大字宮下字田中にあるJR東日本・只見線の駅である。 相対式ホーム2面2線と側線を有する駅で、管理助役配置の直営駅であるが、会津若松駅の被管理駅となっている。 みどりの窓口は設置されていないが、POS端末による指定券の取扱いが可能な出札窓口がある。
木造の駅舎内は昔ながらの出札窓口や
待合室のストーブを囲む椅子配置など古き良き時代の姿と
改装により身障者対応のトイレが設置されるなど
新旧の設備が混在している
※ ウィキペディア画像を拝借
かつて使用されていた留置線や転車台などが、現在も下りホームの後ろに草に埋もれて残っているが、これらの線路は本線とはつながっていない。 2019年度の1日平均乗車人員は35人との事。
淑やかな紅葉を撮るなら
第三只見川橋梁
小出方面の列車は、当駅を出ると右手に只見川が寄り沿うが、しばらくすると第三只見川橋梁で只見川を渡り、すぐ滝原トンネルに入る。 この第三只見川橋梁も、只見線の好撮影地となっている。
只見線随一の景勝地
第一只見川橋梁の秋の絶景
:
偶然バラスト運搬車が橋を通過した
また、会津若松方面の列車は、大谷川橋梁、第二只見川橋梁を渡ってすぐ会津西方駅に着く。
この駅を出て、程なく只見線最大の鉄道情景の景勝地・第一只見川橋梁を渡るが、この橋の展望所である『道の駅・みしま宿』には、最寄りの駅の会津西方よりもこの会津宮下の方が、駅前からバス便があるなどアクセス環境が良い。
紅葉の絢爛絵巻を撮るなら
第一只見川橋梁
只見川に架かる橋梁が魅せる秋・・『奥会津・大白川の四季』より
風光明媚な車窓を魅せるローカル線の多くが廃止淘汰された今、純粋に車窓風景を楽しめる数少ない路線となった只見線。 その魅惑の車窓は何といっても、会越国境の山々を源として会津盆地を蛇行しながら流れる只見川沿いをゆく景色だろう。
第三只見川橋梁は
しっとりした紅葉風景を魅せてくれる
穏やかに流れる只見川は四季折々の美しい自然風景を魅せて、これを目にすると四季のある美味し国・日本に生まれた事を心から良かったと思う。 その四季折々の風景を魅せる只見川には八つの美しいデザインの橋梁が架けられていて、只見線列車がその橋梁を渡る度に、四季折々の風景を車窓に映し出す。
本名ダムの緊急放水が
橋の崩落・流失の主要因との事
:
大きな被害(ダム決壊)を防ぐ為に
鉄道橋は犠牲にする
解っちゃいるけどやるせない
※ 福島県環境衛生部のウェブサイトより
だが、その只見線は’11年夏に発生した豪雨災害によって、八つの橋梁の内の《第五橋梁》から《第八橋梁》までが、豪雨で増水した只見川の濁流に呑まれて崩落や完全流失する大きな被害を蒙ったのである。 その災害の傷跡は、豪雨災害から9年目を迎える現在でも復旧される事がなく、未だに崩落・流出した4つの橋のあった会津川口〜只見が不通となっている。
只見川の増水・氾濫によって
プレートガーダー桁1連が流失し
※ ウィキペディア画像を拝借
その不通区間の復旧には多大の費用が掛かる事や、不通区間が赤字路線である只見線の中でも最大の閑散区間である事から、「このまま不通区間を復旧せずに部分廃線も・・」という流れが予想されたのである。 そうなると、「部分廃線からの更なる経営不振で、いずれは只見線全線が廃止に・・」という危惧も浮かび上がってきたのである。
レールが宙吊り状態となった
第五只見川橋梁
※ ウィキペディア画像を拝借
だが、奥只見郷が国内随一の秘境観光地として脚光を浴びる中、只見線の復旧を熱望する全国の鉄道ファン・サポーターや、観光の要として只見線の活用を考える自治体が復旧に向けて動き出したのである。
そしてJR東日本と自治体で復旧に向けた協議が行われ、被災して落橋・流失した橋の撤去費用はJR東日本の負担、復旧に関わる工費は県・沿線各町の自治体が出す事、そして復旧後の運行方式を、JRに赤字が計上されないように運行経費を自治体の立ち上げた第三セクターが持つ『上下分離式経営』とする事で両者は合意し、奇跡の復旧に向けての工事が開始されたのである。 なお、JR東日本等の発表によると、2022年の全線復旧を目指すとの事である。
中段スポットより
この時は空がくすんで紅葉の鮮やかさが今イチ
第一只見川橋梁
会津桧原~会津西方に架かる全長174mの橋梁で、只見川に架かる只見線の鉄道橋の中で唯一のトラス構造のアーチ橋(上路式2ヒンジスパンドレルブレーストバランストアーチ形式)であり、三島町特産の桐の花と同じ薄紫色に塗装されている。
また、只見川を一跨ぎする本橋梁が水鏡となって川面に写る姿や、只見川の水面から川霧が立ち本橋梁を包む幻想的な景観が素晴らしい。
第一只見川橋梁 位置図
2012年より観光客や風景撮影に訪れる撮影者の為に、国道252号のトンネル脇よりトンネル上に建つ鉄塔付近までを、三島町が『第一只見川橋梁ビューポイント遊歩道』として遊歩道整備をしている。
また、道の駅には、遊歩道の案内板が設置されている。
三島町随一の観光スポット拠点となった
『道の駅・みしま宿』
第一橋梁展望スポットへは
道の駅より国道のトンネル上の
高台に登っていく
このビューポイントは『道の駅・みしま』に車を止めて訪れる事ができ、三島町でも屈指の観光スポットとなっている。 そのビューポイントは3段に分かれていて、川面から立ち込める川霧と《第一只見川橋梁》を望める一番下のスポットから、橋梁を全体的に望める中段のスポット、そして一番上の周囲を一望できる大俯瞰のスポットがある。
上段の大俯瞰スポットは
ハマれば絢爛豪華な紅葉絵巻が見られる
紅葉を狙うなら、もちろん周囲の風景を一望できる一番上の大俯瞰スポットだろう。 また、『道の駅』内にあるスポットなので、下の『道の駅』の敷地に戻ればトイレ完備で食堂もやっているので、列車を待つ間の待機時間はあまり苦にならないだろう。 しかも、只見線列車の通過時刻が記載された立て看板が設置されるなど、「致せり尽くせり」の手配がなされた三島町“イチオシ”の観光地となっている。
大展望スポットから
会津西方駅の集落を俯瞰する
:
駅までの距離なら《歳時記橋》を渡って
会津西方駅へ向かう方が近いかも
だが、残念な事に“被写体”となる只見線の実質的な最寄り駅・会津宮下駅から、この『ビュースポット』までは2.6km離れていて、只見線の列車利用で駅から徒歩でやってくる観光客がほとんどいないって事だろうか。
また、駅からこの『道の駅・みしま』への定期運行のバスも無く(シーズン中に限りコミュニティバスが運行される)、ここでも鉄道は“蚊帳の外”となっているのである。 そして、もう一つの「残念な事」は、この橋梁を通る只見線はローカル線区で列車本数が6往復と少なく、この俯瞰スポットで撮れる列車は1日数本のみである事だろうか。
陽の短くなった秋は列車の通過時刻より前に
一番美味しい斜陽の時がやってくる・・ 残念
列車通過時の15:50頃は
紅葉が影ってしまう「旬を過ぎた後」だった
それは列車本数が少ない故に、秋の紅葉の最盛期ともなるとデカイ機材を抱えた『撮り鉄』が列車通過時刻に殺到して、場の雰囲気を乱したり一般の観光客の見物を阻害したりする危惧があるからだ。
こういうデカイ機材を持った連中は、狭いスポット内に場を占拠する脚立を持ち込んでその上に立ち、己の身長より高い三脚で撮影しようとする「場の空気が読めない奴」が多いからである。 それがかなりの数で押し寄せると、「場の雰囲気」が乱れかねないのである。 こういう奴らは総じて『自己中』なので、関わると揉め事に発展しかねないのでご注意を。 それでは、《第一只見川橋梁》の秋の絶景をごろうじろ。
第一只見川橋梁・秋の絶景
最上段の展望スポットは列車通過時間になると
三脚・脚立持ちを含めての『撮り鉄』が
殺到するので足場を確保するのが難しい
:
できる限り場所を取る迷惑な三脚を
使わずに撮りたいものだ
川面にも列車の姿が映る
この位置がベスト
完全デーライトで撮れる列車は
13時の会津若松行きの1本のみ
以前は開けてアングルが
自由に採れる撮影地だったが
国道252号線の拡幅工事で
スノーシェード内の狭いテラスの中に
第三只見川橋梁
会津宮下~早戸に架る全長180.4mの橋梁である。 上路式プレートガーター 1連+上路式3径間連続ワーレントラスの形式で、只見川に架る橋梁の中では《第一只見川橋梁》と人気を二分する橋梁である。
以前(・・といっても25年位前)は徒歩で橋を一望できる地点まで行けたが、国道252号線の道路拡張によって完全に車道化されて、徒歩でのアプローチはかなり危険かつ困難となってしまった。
第三只見川橋梁 位置図
それは、現況でこの橋を一望できる地点は、《宮下バイパス》に連なる国道252号線のスノーシェード内に設けられたテラス状の一角のみで、車が高速で行き交うスノーシェード内を通らねばならないのである。 また車でのアプローチも、このテラスでの車の駐車は2台が限界である。
前述の様に、《第一只見川第一橋梁》に負けず劣らずの紅葉絵巻の絶景を魅せる橋梁は、この《第三只見川橋梁》であろう。 だが、こちらの橋梁は《第一只見川橋梁》のように『観光スポット』化されておらず、アプローチが不便な事が挙げられるだろう。
それは最寄り駅となる早戸駅から3.4km離れていて、徒歩で行くとなると1時間近くかかってしまうのだ。 また、この地域の主要幹線道路で交通量の多い国道252号を歩いていかねばならないのである。
しかも、この国道には『歩道』がほとんどなく、「飛ばす車の危険と隣り合わせ」となるのである。
以前はもっと見通しが良く
自由の利く撮影場所だったのに
また、以前は比較的開けていて自由なアングルが採れた撮影場所だったのだが、国道の拡張工事とスノーシェードの建設によって、スノーシェード内に設けられた狭いテラス状の展望所以外では橋梁が望めなくなってしまったのである。 これで鉄道利用で駅から歩いてこの場所に向かうとなると、この橋梁までの3.4kmを歩く所要時間を計算した上で・・でないと、「はるばる歩いてきたのに、着いた時には撮影する列車が過ぎ去った後だった」なんてオチになる事も有り得るのだ。
最初の秋に歩いて訪れた時は
「到着時には列車は既に去った後だった」って
オチの被害者のワテ
一方、車でアプローチするとなると、スノーシェード内のテラスは入口が狭く車も2台が限界の狭いテラスで、シーズン中ともなるとこの2台のスペースはすぐに満車となり、車を止める場所に窮するのである。
もちろん駐車スペースの空きを待った所で、車でこのテラスにやってきた者の目的が『秋の只見線撮り鉄』と同じなので、列車が通り過ぎるまで空く事はないだろう。 このように最も撮影の難しくなった橋梁が、この《第三只見川橋梁》であろう。
だが、この《第三只見川橋梁》の撮影は不利な面ばかりではない。 それは、早戸駅から徒歩10分程の所に《早戸温泉》のクアハウスがあり、撮影を終えた後に温泉に浸かれる“特典”があるのだ。
たぶん12月か1月にまた2週間位
更新できなくなると思う
せっかく『ビッグ・オチャメ』の
数え役満(肋骨8本+右足首骨折+十二指腸潰瘍 etc・・)
の傷が癒えたと思ったら
入院の時に撮ったCTスキャンで
喉に映ってたシコリが
『残念』の判定を受けちまったよ
これで『残念』の摘出手術入院が
手術の順番待ちで確定しちまったよ
折角上がったブログの乱・菌・愚も
ただ下がりになるだろうし
術後は投薬生活確定だよ
でもヤマは続けられるのでホッとしている
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No Subject * by 鳳山
只見と言えば河井継之助終焉の地。只見線会津塩沢駅の近所に河井継之助記念館があるんですね。行ってみたいです。
No Subject * by ショボンヌ
写真だけでも心が癒されるな~。
奥会津、コロナが収まったら絶対に訪れたいですね。
ついでに会津若松にも訪れて今も生きているであろう魂を感じてみたいものです。
奥会津、コロナが収まったら絶対に訪れたいですね。
ついでに会津若松にも訪れて今も生きているであろう魂を感じてみたいものです。
Re: No Subject * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
河井継之助が戦で傷ついた身体で越えた八十里越・・。 この峠は、只見から魚沼に抜ける六十里越とともに、実際の距離の10倍の名がつけられて、それほどに越えるのが難い峠と言い伝えられました。 長恩に抜ける八十里越の国道289号線は、未だに『登山道国道』として未開通道です。
ケガの身でこの峠を越え、その辛さに「八十里 腰抜け武士の 越す峠」という自嘲の句を詠んだと云われています。
そして今は、我が国最大の秘境観光地として、特に秋の紅葉時は、心奪われる絶景となりますね。
河井継之助が戦で傷ついた身体で越えた八十里越・・。 この峠は、只見から魚沼に抜ける六十里越とともに、実際の距離の10倍の名がつけられて、それほどに越えるのが難い峠と言い伝えられました。 長恩に抜ける八十里越の国道289号線は、未だに『登山道国道』として未開通道です。
ケガの身でこの峠を越え、その辛さに「八十里 腰抜け武士の 越す峠」という自嘲の句を詠んだと云われています。
そして今は、我が国最大の秘境観光地として、特に秋の紅葉時は、心奪われる絶景となりますね。
Re: No Subject * by 風来梨
ショボンヌさん、こんばんは。
奥只見は、春夏秋冬で素晴らしい景色を魅せてくれますよ。
私のメインサイトに『奥会津・大白川の四季』という撮影旅行記がありますので、宜しければご覧ください。
でも、春はまだ完成してませんけど。
夏 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-2.htm
秋 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-3.htm
冬 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-4.htm
です。
奥只見は、春夏秋冬で素晴らしい景色を魅せてくれますよ。
私のメインサイトに『奥会津・大白川の四季』という撮影旅行記がありますので、宜しければご覧ください。
でも、春はまだ完成してませんけど。
夏 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-2.htm
秋 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-3.htm
冬 http://nihon100kei.la.coocan.jp/sinsaku%2043-4.htm
です。