風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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私の訪ねた路線  第46回  加悦鉄道

『私の訪ねた路線』  第46回  加悦鉄道  〔京都府〕
 

『加悦鉄道キハ101』
図案のスタンプ
 
《路線データ》
      営業区間と営業キロ       廃止年月日  廃止時運行本数    転換処置   
  丹後山田〔現 野田川〕~加悦 5.7km     ’85/ 5/ 1     4往復     サイクリングロード化
 
   《路線史》
沿線の特産品である『丹後ちりめん』の京阪神方面への輸送を目的に、1926年に開業した路線。
貨物輸送主体であったが、旅客営業も行なわれていた。 その後、加悦駅南西に位置する大江山で1939年頃よりニッケルの採掘が行なわれた為、1940年に大江山ニッケル鉱山への専用線が設けられる。
 
また、その2年後の1942年には、岩滝町にあるニッケルの精錬所(日本冶金・大江工場)への専用線が設けられ、鉱山から直接精錬所へのニッケル鉱物輸送が可能となった。戦後に入り大江山でのニッケル採取が中止された為、加悦~大江山鉱山の専用線は撤去されるが、岩滝工場への専用線は同工場で製錬する輸入ニッケル鉱物の輸送の為に存続した。

昭和40年代に入るとモータリゼーションの影響を受けて旅客輸送量が減少していったが、その対応策として明治・大正時代製造の古典蒸気機関車や『マッチ箱』形の木造2軸客車、国鉄史上でも珍車といわれたキハ08型客車改造気動車などを国鉄より譲り受け、鉄道マニア向けのイベント鉄道会社としてグッズ販売などに力を注ぐようになる。

しかし、1985年の国鉄ダイヤ改正によって宮津線の貨物営業が廃止となり、同線での輸入ニッケル鉱物の輸送が不可能となった為に、丹後山田~大江工場の専用線も廃止を余儀なくされる。 
これによって、鉄道部門収入の6割を占める専用線の輸送業務委託料がなくなり、赤字額の大幅な増大が見込まれた為、同年の4月末をもって全線廃止の処置がなされた。

なお、運営会社の加悦鉄道(現在はカヤ興産)は路線バスの運行の他、自動車整備業や建設業を営んでいて、鉄道廃止後は自らの手で路線跡をサイクリングロードに整備転換したり、旧加悦駅跡の敷地に『加悦SL広場』というSLや自社線で運行した珍車などの動態保存・展示イベント施設を設け、その経営も手掛けている(なお、『加悦SL広場』は、1996年に旧加悦駅敷地より大江鉱山駅跡に移転している)。
 


 

『丹後山田から水戸谷ゆき』乗車硬券や
加悦・丹後山田からの区間乗車硬券
 
   《廃線探訪記》
大江山のニッケル鉱山からの鉱石輸送の需要のあった丹後山田駅は、貨物側線を持つ広い構内の駅だった。 その広い構内の駅の母屋から最も離れたホームが加悦鉄道の発着ホームであった。
 
貨物輸送もなくなり、経営先も国鉄・JRから第三セクターの北近畿タンゴ鉄道に移管されてからは、駅名の改変を手始めに、駅舎は観光資源である『丹後ちりめん』の着物の襟の形に改築され、構内の線路配置は不要となった貨物側線は全て取り払われるなど、かつてあった加悦鉄道の面影など微塵もない・・って感じに改変されている。
 
さて、丹後山田から延びる廃線跡は、国道176号に沿って南西方向に進んでいく。 道路に沿って民家、反対側は田園地帯という典型的な田舎風景の中を進んでいくが、今は呈のいいサイクリングロードとなっている。 このサイクリンクロードは、鉄道事業は廃止した加悦鉄道(現 カヤ興産)自身が自社で整備したいわく付きの整備路である。
 
水戸谷・丹後四辻・加悦谷高校前・三河内口・三河内・加悦と停車場があるが、基本はニッケル鉱石輸送が目的の貨物鉄道ゆえに、朝夕の学生輸送以外に需要はなかったであろう。 1日4往復との“使えない”運行本数がその事実を物語っている。
 

アウトドアのメッカ
大江山の観光スタンプ
 
そして、終点の加悦駅は『SL広場』という、小さなテーマパークとなっている。 廃止以前も、客車改造の08型気動車やSL運行、バスケット付の気動車などの珍車を集めて運行させる『鉄道マニア』をターゲットにした運営を行っていたので、廃止後のテーマパーク化は容易であったと推察できる。
 
在りし日の加悦駅の写真をみた事があるが、駅構内に万国旗を飾るなど、無理矢理に観光鉄道化に走っていた光景に哀れさを感じたのだが。
 

加悦駅入場券

   ※ 詳細は『魅惑の鉄道写真集』より『加悦鉄道』を御覧下さい。

 
 
 
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No title * by オータ
この鉄道は乗ってみたかった!のですが、丹後地方には他に目を向けるものもなく…天橋立なんて見たいとは思っていなかったので…行けませんでした。列車の展示とか今でもしているようですね。

No title * by 風来梨
以前に書きましたように、この頃は私鉄には全く興味がなく、友人につきあって乗っただけでした。 もちろん、写真も撮らず終いでした。

これらの線の写真などを掲載したブログさんなどを見て、いつも「もったいない事したなぁ~」と後悔の念を抱いています。

コメント






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No title

この鉄道は乗ってみたかった!のですが、丹後地方には他に目を向けるものもなく…天橋立なんて見たいとは思っていなかったので…行けませんでした。列車の展示とか今でもしているようですね。
2011-08-28 * オータ [ 編集 ]

No title

以前に書きましたように、この頃は私鉄には全く興味がなく、友人につきあって乗っただけでした。 もちろん、写真も撮らず終いでした。

これらの線の写真などを掲載したブログさんなどを見て、いつも「もったいない事したなぁ~」と後悔の念を抱いています。
2011-08-28 * 風来梨 [ 編集 ]