2020-10-15 (Thu)✎
よも”ヤマ”話 第120話 大雪山~十勝連峰 大縦走 その6(十勝連峰縦走路)〔北海道〕 '95・7
トムラウシ山 2141m(前話に引き続き登頂)、オプタテシケ山 2013m〔名峰次選 24峰目〕、
ベベツ岳 1860m 、十勝・石垣山 1822m
三川台より望む
十勝連峰の山なみ
オプタテシケ山 おぷたてしけやま (大雪山国立公園)
オプタテシケ山は北海道上川郡美瑛町と新得町の境界に位置する標高2,013mの山で、十勝岳連峰の火山群の北端に位置し、美瑛から見ると一番左に見える山容に優れた峰である。 大雪山国立公園内にあり、その山容の素晴らしさから、筆者はこの峰を〔名峰次選〕の一つに選定している。 山頂付近は溶岩の砂礫が積み重なった森林限界のハイマツ帯で、高山植物も豊富に自生しており、ピラミダルな山容も伴って魅力一杯の峰である。
山名は抱く鋭い山容から、アイヌ語で「槍がそこにそりかえっている山」という意味を示し、その通りに北西面は深い谷にえぐられている。 この峰の頂上への最短距離は、白金温泉から入山し、美瑛富士避難小屋に1泊してベベツ岳(1860m)を経て往復するもので、小屋までが4時間・小屋から頂上へは約3時間と往復だけでも1泊2日はかかる「果てしなき遠いヤマ」である。
その頂上は狭く、高度感は充分。 頭が2つに割れたトムラウシ山と、十勝川を隔てたニペソツ山が印象的であるが、十勝岳方面は、山が重なり合って、展望としては今イチである。
大雪~十勝連峰 大縦走 4日目 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《車の回送とアプローチ》
JR上富良野駅より車(0:35)→十勝岳温泉・十勝岳温泉の駐車場に車止め置きと上富良野行バス乗車
(0:45)→JR上富良野駅より鉄道利用(0:50)→旭川駅(1:10)→上川よりバス利用
(0:35)→層雲峡(泊)
《1日目》 層雲峡よりロープウェイとリフト(0:25)→黒岳7合目(1:10)→黒岳
(0:15)→黒岳石室(1:40)→北海岳(1:20)→白雲岳避難小屋分岐
白雲岳避難小屋分岐より白雲岳往復 上り40分・下り30分
白雲岳避難小屋分岐(0:20)→白雲岳避難小屋
《2日目》 白雲岳避難小屋(0:40)→高根ヶ原・大雪高原温泉分岐(2:30)→忠別岳
(1:30)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
(1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(0:25)→トムラウシ・南沼
《4日目》 トムラウシ・南沼(2:00)→黄金ヶ原(0:30)→三川台(1:30)→ツリガネ山
(1:30)→コスマヌプリ(1:00)→双子池
《5日目》 双子池(2:00)→オプタテシケ山(2:00)→美瑛富士避難小屋(0:30)→美瑛岳分岐
(2:30)→十勝岳避難小屋
《6日目》 十勝岳避難小屋(0:50)→望岳台よりヒッチハイク成功(0:20)→十勝岳温泉
十勝岳温泉に止め置きの車回収(0:35)→JR上富良野駅
※ 前回の『第119話 大雪~十勝連峰 大縦走 その5』の続き
晴れていればトムラウシの頂から
竜の背びれのような
十勝連峰の山なみが見通せる
《4日目》 黄金ヶ原を経て双子池へ
今日からは、どうやら天気が持ち直しそうである。 まぁ、避難小屋をエサでつられて追い出されてヒサゴ沼でも雨の中テント泊だったし、昨日も大雨の中でテント泊だったから、さすがに雨が3日続くとテントも居住限界となるし、衣類も全て濡れて潰して「山行打ち切り下山」を取らざるを得なくなっただろうから助かったよ。
テント山行で3日連続で大雨となると
必然的にゲームオーバーとなる
翌朝のトムラウシの頂上は、雨上がりでガスって白霧の何も見えない状態だったので、取り敢えず機能と同様に登るだけ登って、三角点にタッチして戻ってきたよ。 なので、トムラウシの写真は過去写真の使い回し・・って事で。
トムラウシの頂上にて
十勝連峰への縦走の夢を馳せる
さて、頂上から戻ってテントを撤収して、大雪・十勝連峰縦走路を十勝連峰へ向けて歩いていこう。
この縦走路は随分と長いので、下山までに最低でも2泊3日を要する。 今日は、スッキリとした美しい三角錐を魅せる〔名峰次選〕オプタテシケ山の麓にあるキャンプ地・《双子池》までの行程となる。
トムラウシ・南沼から《双子池》までの歩行距離は12kmとかなりの長丁場なので、トムラウシの山頂を往復しても、7時までには出発したいものである。 テントを撤収するなど出発の準備をしていると、周囲を覆っていた霧が瞬く間に晴れていき、日が射すようになってきた。
トムラウシがそびえ立つ位まで離れると
空は雲一つない快晴となっていた
そして、出発して黄金ヶ原に向けて歩き出す頃には、雲一つない快晴となっていた。 ここは「チャンス」と、昨日までで搾れば水が落ちる程にぬれたTシャツを着て、「行動中強制乾燥」を試みる。
もちろん、下ズボンは乾きが早い合羽の上下だ。 合羽が乾いたら、トランクス一丁となって、ジャージの下と中シャツに着替えて、衣類全てを順繰りに乾燥させていく。
まぁ、大雪縦走路はキツいコースで、『黄金ヶ原』という花の楽園があっても通る登山者はまばらなので、「パンイチ」になって着替えてもどうって事はない。 それに『黄金ヶ原』も、今年の多雨の夏で花が落ちて坊主な草原となっていたしィ。 ・・と言う訳で、『黄金ヶ原』も過去の写真の使い回しって事で。
大地を白く輝かす程の大お花畑・・
それが花期の黄金ヶ原だ
坊主な草原となっていた『黄金ヶ原』を突っ切ると、オブタテシケ山がスラリと美しき三角錐を示しているのが望まれる。
花期ならばトケラウシの頂上から
ハクサンイチゲの白で大地が
白く光る光景が望める
花が咲いていたら、トムラウシの頂上から望むと花の色で白い光を放っているように見える『黄金ヶ原』・・、花の波が延々1時間に渡って続く『黄金ヶ原』も、坊主な草原なら所要時間は大いに短縮できる。
黄金ヶ原は坊主だといっても
ミヤマリンドウなどはチョコチョコ咲いて
目を楽しませてくれる
だが、坊主といっても、タカネナデシコ・ミヤマリンドウ・ヨツバシオガマといった晩夏を飾る色の濃い花はチョコチョコ咲いていて目を楽しませてくれるし、振り返れば快晴の逆光で黒光りしたトムラウシも、『夏山』の姿を魅せてくれる。
ヨツバシオガマなど
晩夏に差し掛かる
色の濃い花が咲いていた
二段の丘を従えてそびえ立つトムラウシの容姿は、まるで城壁に囲まれた天守閣のようだ。
ここから見ると、トムラウシ山のトロイデ型火山・円頂丘の特徴がよくわかる。
花は坊主だったけど
展望は素晴らしかった黄金ヶ原
振り返れば表大雪の盟主・旭岳が・・
:
思えばあの辺りから
歩いて来たんだよなぁ
広大な草原となった『黄金ヶ原』を端まで突っ切ると、道は左手の崖の方向に延びていて、やがて『黄金ヶ原』の草原より離れて崖に沿うようになる。
ユウトムラウシのカールと
美しい三角錐を示すオプタテシケ山の
織りなす絶景
この崖の下はユウトムラウシ川源流のカール地形となっていて、カールの底は森や雪渓、沼や小川など、“森”のイメージをそのままの風景が広がる。 そして、オプタテシケ山の三角錐が、カール端に裾野を延ばしているのが望まれる。
カール壁の内側は
ユウトムラウシ側の源流カールがおりなす
豊かな自然の森となっている
このカール地形を半周巻くように歩いていくと、カール壁の端にある《三川台》にたどり着く。
ここはかつて、《硫黄沼》を経由して《白金温泉》へ下るコースへの分岐だった所だが、今は廃道となって“通行止”と書かれたバリケードで進入を防いでいる。 何でも、途中の美瑛川に架かる橋が崩落したとの事である。 ここからは、カール壁の縁を急下降していく。
この急下降を下りきると、カール地形の底だ。 道はカール底の右側にある土手の上についていて、カール底の景色を眺めながら歩くようになる。 カール全体に広がる“森”が視野に広がってきて歩くには楽しい道であるが、所々にヒグマの糞が落ちていたり、獣の足跡が鮮明に残っていたり、すぐ目の前をキツネらしき獣が通り過ぎたり・・と、なかなかにワイルドな状況も味わえる。
カール底の森は
野生動物の住処だ
やがて道は、笹が頭まで覆い隠す“笹のトンネル”地帯を通るようになる。 この間に方向を右に変えて、カール地形と離れていく。 そして目論見通り、笹のトンネルの日陰に入る前に、衣類の乾燥プロジェクトは「全て乾燥完了」という好結果に終わる。 まぁ、それだけ今日は夏の日差しがギラギラだっていう事なんだけど。 「全て乾燥完了」という結果に、気を良くして前に進んでいく。
この“笹のトンネル”を通り抜けると視界がぐっと広がり、十勝まで続く縦走路が稜線上に続いているのが見渡せる。 これから、この見渡した稜線上の起伏を忠実に登降していく事になる。 まずは、ツリガネ山の急登だ。
その名の通りツリガネ型の
頂をもたげるツリガネ山
※ ヤマケイガイドより
高低差は大した事はないが、“てっぺん”までの距離が短い・・、いわゆる直登なのである。
また、滑りやすい粘土質の道で、最後のひと登りは鎖がついていて、この鎖やハイマツの根をつかんでのよじ登りとなる。 この登りを喘ぎながら乗りきってもそこは頂上ではなく、いささかガッカリする。
ツリガネ山の本当の頂はコース外にある岩崖で、どうやら登頂は無理みたいである。
この頂上“もどき”を越えると、ハイマツが両脇を固める限りなく緩やかな下り坂となる。 登りのキツさと下りの単調さで、思った以上に疲れが溜まっていく。 それに「昨日までの雨が何だったの?」と思える位の夏の日差しが照りつけて、首回りが焼かれていく。
これを下りきると、今度は無名峰の200mに及ぶ急登となる。 この急登は先程のハイマツ帯の中と違って、太陽が照りつける草地の中で・・となる。 肌が爛れそうな位に強いギラギラの直射日光の中で、ボロボロと崩れる黒土の崩壊地を踏ん張りながら登るので、汗をたっぷりと搾り取られてトタンにヘバリモードとなる。
辛い登りでもお花畑があれば心が紛れるのだが、花はとても登れぬ土砂の崩壊地の上に咲いていて見る事も叶わない。 唯一の救いは、振り向けば先程通ったカール地形とトムラウシ山が見渡せる位だ。
汗をかきかきこの登りを乗りきると、またもやだらだらと続く潅木帯の緩やかな下りである。
どうやらこの辺りの地形は、両側の侵食差が激しく異なる非対称の山なみとなっているようだ。
そして、大雪側から歩くのはいわゆる“逆ルート”で、体力的に不利のようである。 そういえば他の山岳ガイドでは、こぞって十勝側を出発点にしているみたいだ。
下りきると予想通り、またコスマヌプリへの200mの急登となる。 このコースの“逆”は、緩やかな坂を下りきる事に対する“登り返し”が、かなりキツいのである。 この登りも御多分にもれず草地の大登りで、このようなのが3発も続くと、さすがに疲れが溜まるのである。
コスマヌプリもトムラウシ側が急で
十勝側がなだらかなるも蒸し焼きとなる
ツリガネ山と同じ状況に見舞われる
※ ヤマケイガイドより
そして、この山もツリガネ山と同様に頂上を通らないので、苦労した割に“実”の少ない登山道である事を実感する。 登りきったコスマヌプリの“てっぺん”は、眺めは申し分ないものの、目指す《双子池》はまだ見えず、その方向にはただっ広い草原が地平線に向ってずっと広がっているだけである。
この眺めも、心理的な疲れを増す一因となろう。 見た通り、もはや坂ともいえぬ緩やかな草原を下っていく。 心理的な疲れも溜まって、何でもない道であってもかなり足が重たい。
あまりにも暑すぎて
写真を撮るのも億劫となって
あまり写真のストックがないのだな
そしてこの草原は、地平線の先に立つ大岩まで延々と続く事となる。 強い日照りの中、地平線に立つ大岩を目指して、遮るものが何もない草原を歩き続けるのだ。 歩き続けて、ようやくにこの大岩にたどり着いたなら、あまりの暑さにヘタリ込んだよ。
この付近で、ようやく下に《双子池》の二つの池がある草原を見渡せるようになる。 だが、“もう近い”と思っても、意に反してまだまだ遠くに離れている事がよくある。 ここもそれが当てはまり、笹や潅木帯の長い長いトンネルを下り続け、着かぬ“苛立ち”が“諦め”に変わる頃に、ようやく《双子池》の湿地帯に下り着く。
しかし、下り着いた所は泥炭層のぬかるみ地帯で、到底テントなど張れそうにない。 やや不安が頭を過るが、とにかく前に進んでみよう。 もはや、壁となって立ちはばかるオプタテシケ山の裾野まで登り返してみると、沢が流れ、お花畑が咲く段々畑のようなキャンプ地に出る。
お花畑の野にあった
双子沼のキャンプ指定地
:
もちろんいっさいの設備ナシだ
ここが、《双子池キャンプ指定地》のようである。 しかし、『キャンプ指定地』とはいうものの、施設は一切なく、山奥のまた山奥で泊る雰囲気を味わえる。 明日は、眼前にそびえたつオプタテシケ山に向って、600mの直登である。 明日もキツい行程なので、充分に休息を取る事にしようか。
大雪~十勝連峰 大縦走 5・6日目 行程図
《5・6日目》 オブタテシケ山を越えて、十勝岳避難小屋を経て下山
朝起きてテントを撤収すると、目の前にどっしりとオプタテシケ山がそびえている。 思わず、唾を飲み込むような緊張感がほどばしる。 これから、この“壁”のような山を登っていくのである。 登り始めは道が雪渓に覆い隠されて不明瞭で、雪渓からガレ場へ乗り移る所など、どこから足を踏み出せばいいのか迷ってしまう。
オプタテシケ山への取付きは
登り口が岩とお花畑のコロニーで
迷彩がかって不明瞭だ
「これだ!」と思って登った岩の上がハイマツで行く手を阻まれていたり、一度岩の下を巻いてから登ったり・・と、判り辛い道である。 もしかしたなら、ワテが通った以外に「正しい道」が他にあるのかもしれない。 とにかく、ハイマツに行く手を阻まれようが、直登で岩をよじ登り何とか乗りきる。
やがて、砂礫帯のジグザグ登りとなり高度を稼ぐ。 振り返ると、下の幕営地が朝日を浴びて黄金色に輝いている。 草地の濃い緑と日の光の黄金色が調和し、得も言えぬような美しい光景だ。 しばらくジグザグ登りが続くが、やかて山腹に突き出た岩のコブの間を登るようになり、下の風景も見えなくなる。
オプタテシケ山も
なかなかの「花の山」だ
そして、黒土の滑りやすい急坂を登りつめると、稜線の肩に登り着く。 この稜線の肩は頂上を意識するような地形で、しかもリボンを結んだ竿がストーンサークルの中心に突きたてられていて、まるで日高の戸蔦別岳の頂上のようである。
これを目にすると、あらぬ希望を抱いてしまう。 しかし、これは“甘い考え”で、まだまだ稜線上の起伏は続くのである。 一度、頂上を意識すると、起伏の“てっぺん”を踏む毎に「頂上に着いた」と思うようになる。 だが、頂上でない現実は、心理的に疲れを呼ぶのである。 この悪循環を3~4回繰り返して、より大きい起伏の上に登り立つと、そこが待望のオプタテシケ山 2013メートル 頂上だ。
この日は残念ながら
ガスって眺望ナシだった
その頂上には、トムラウシ山と同じ頂上標柱が立っていて、改めて「ここは踏跡稀な日高の山ではなく、登山客がやってくる十勝の山である」と認識できる。 オブタテシケ山からの眺めは、この山が絶好の位置に立っているので、トムラウシ山や『表大雪』の眺望は欲しいままであろう。 しかし、それは晴れていたら・・の事で、残念ながらワテが登った時は濃いガスに巻かれて視界ゼロであった。
朝から標高差600m、時間にして2時間登ったので、オプタテシケ山の山頂でゆっくり休憩しよう。
頂上でゆっくり休んで落ち着いたなら、次に進んでいこう。 オプタテシケ山からは、砂礫地の駆け出したくなるような急坂を下っていく。 エゾノハクサンイチゲ・チングルマ・エゾウサキギクなどが、脇に群落を成している坂道を約250m下ると、ベベツ岳との鞍部に下り着く。 しばらく、鞍部の平坦な道を歩いて、ベベツ岳への登り返しとなる。
ベベツ岳一帯に咲いていた
高山植物の女王・コマクサ
この登りは、高低差150mの岩ガレ地の登りである。 登り始めは急登だが、それも途中の大きなケルンまでて、これも割とあっさりと登り着くのでそんなにキツくない。 ケルンを越えると緩やかな砂礫地のお花畑となり、これを登っていくとベベツ岳の頂上と思しき広場に出る。 その頂上は、この広場から10m先のハイマツに囲まれた一角に、シャモジ程の表示がさしてあるだけの貧相なものだった。 ともすれば、見逃して通過してしまう目立たぬ山頂である。
ここからは岩礫の連なる痩せ尾根となり、ハイマツの根が尾根上に迫り出してきて歩き辛い。
また、両サイドが切り立った崖で、天気の良くない日などは、谷底から強風が吹き上げるのである。
この痩せ尾根を半周巻くように歩いていくと、石を積み重ねたような石垣山の鞍部に出る。
ここまで来ると痩せ尾根とハイマツ帯からは解放されて、道幅の広い岩ガレ帯の登りとなる。
登山道は石垣山の東側を巻くように続いていく。 花がチラホラ咲く岩ガレ帯を下っていくと、バラックのような《美瑛富士避難小屋》が見えてくる。
美瑛富士と旧避難小屋
※ グーグル画像を拝借
この小屋は“使用には耐える”との事だが、宿泊するなら前の広場にテントを張った方が賢明だろう(今は建て替え済)。 前を望むと、石ころを積み重ねてズングリした山容の美瑛岳が、ドッカリと腰を据えている。 疲れた体でこれを見上げると、闘志が萎えて弱気になってくる。
建て替えらりて建物はしっかりしたが
トイレは設置されなかったようだ
※ グーグル画像を拝借
《美瑛富士避難小屋》からは、美瑛岳の裾野の笹に覆われた道を伝っていく。 途中、雪渓を2回程渡ると、美瑛岳が壁となって立ちはばかる《美瑛岳分岐》にたどり着く。 もし、美瑛岳に登るのなら、朝から2度目の“唾を飲み込む”緊張するシーンである。
だがワテは、この分岐でザックを降ろし休憩した後に、「出発しようか」とザックを担ぎ上げた途端に強風に煽られて転倒してしまった。 『奇跡の体力』最盛期のワテをなぎ倒す程の風だから、恐らく台風並みの突風だったと思われる。
ここでそびえ立つ美瑛岳が
真っ逆さまになった
:
ザックを担ぐ際に
風に煽られて転んだ為だ
この転倒で筆者のヤル気が萎え、この先の美瑛岳・十勝岳は残念ながら断念&翌年の『放浪山旅』回し(来年も『放浪&プー』を続けるのかよ・・、このタワケは)という事になったのである。
この分岐から下山という事で、《望岳台》を目指して下っていく。 道は木の根につかまりながらの急下降や沢の徒渉、そして河原歩き、粘土層地形のトラバースなど一筋縄ではいかないコースだった。
これを登るとなれば、かなりキツイであろう。 2度目の徒渉となる《ポンピ沢》を渡ると、《雲ノ平》と呼ばれる溶岩砕土の丘を登り返す。
旭川市政100周年を記念したらしいので
窓の配置が100を模っていた十勝岳避難小屋
:
100を模るよりトイレ付けてよ
※ 旭川市の観光ウェブサイトより
これを越えると、《十勝岳スキー場》のリフトが見えてくる。 このリフトの終点から山側へ5分程登ると、《十勝岳避難小屋》がある。 この小屋は大きくて中も広いのだが、水場がなくて水を得られない事や、便所がない事などが難点である。 そして、トイレもない設備不良の避難小屋に泊るヤツなんて誰もおらず、大きな小屋の中でテント張って寝たよ。
十勝連峰縦走の予定で、下山口を十勝岳温泉に設定してマイカーを置いてきたので足がなく、今日はここで泊る以外に手はないしィ。 翌朝はスキー場のリフトを伝って、スキー場ゲレンデの管理事務所となる《望岳台》まで下る。 《望岳台》まで、約50分程だ。
だが、ここからが問題である。 計画では十勝岳温泉までの縦走で「下山後すぐに、山行前に十勝岳温泉に止め置いた車の回収」だったのだが、この《望岳台》はスキ-ゲレンデで、駐車場はあれども公共交通機関は全くない。 そして夏は十勝岳への登山客のマイカー以外に来る客もいないので、管理事務所も閉鎖してたよ。 スキーの冬シーズンだけの営業みたい。
早速、行程断念がもたらしたピンチである。 方法論としては、バスの出ている《白金温泉》まで、舗装道路を約50分歩くのが常道だが、昨日風に煽られてコケてからはヤル気が起こらず、駐車場に止っている車が逐一見える位置に立ち、マイカーの主が戻ると即効ヒッチハイクの交渉を持ちかける手法に出る。
でも、こういった事に関しては冴えてるね、このタワケ。 それで待つ事15分程で、運良く《望岳台》に乗り着けてきた車があり、デカイザックを担いで「足がなくて困っている状況」を演出して同情!?を引いて、『ヒッチハイク車』ゲット!
命運のヒッチハイクが成功した時の
ワテの心の中を表現してみますた
後は、TVドラマ『北の国から』で一躍有名となって、観光客が押し寄せて「芋洗いの湯」となった『吹上温泉』に立ち寄って足湯を楽しんで(どうやらこのドライバーさんは、この『吹上温泉』が目的だったみたい)、車を止め置いた『十勝岳温泉』へ。 『十勝岳温泉』で山中6日間の汗を落として、『大雪・十勝連峰の不完全縦走』を終える。
飯塚幸三の罪から逃れるべくの醜態が
チョンの背乗り・天皇ヒロヒトのそれと
同一だ!と指摘した事で
チョンの背乗り天皇の糾弾は
ひと通り終えたとして
ひとまずストップするとして
この頃体調が思わしくない
それは身内の不幸で
ワテの複雑な家庭環境からの
ゴタゴタが表面化して
ストレスを抱えてしまって
不眠症に陥ってしまった事や
歳のせいだろうか
腰と目の調子がスッキリしない
それに加えて
チョンの天皇由来の『Kの法則』で
心身ともに結構疲れてきている
:
何とかゴタゴタを片付けて
身体の調子を元に戻さなきゃ・・
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承認待ちコメント * by -
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、お返事遅れてすみません。
ちょっと、オチャメっていますので。
芋洗いの吹上温泉より、十勝岳温泉のクアハウスのほうがずっといいですよ。
ちょっと、オチャメっていますので。
芋洗いの吹上温泉より、十勝岳温泉のクアハウスのほうがずっといいですよ。