2020-09-09 (Wed)✎
よも”ヤマ”話 第117話 大雪山~十勝連峰 大縦走 その3(高根ヶ原)〔北海道〕 '95・7
平ヶ岳 1752m(2度目の登頂)、忠別岳 1963m(2度目の登頂)
山上の草原大陸って形容が当てはまる
広大な花の草原・高根ヶ原
高根ヶ原 たかねがはら (大雪山国立公園)
大雪山系の標高1700メートル辺りに広がる大草原・・高根ヶ原。 この地はアイヌの人々によって「カムイミンタラ(=神々の遊ぶ庭)」と呼ばれていた。 この高原は本州の3000メートル級の山と同等の寒冷な気候で、雪渓(せっけい)がいたる所に見られる。 特に石狩連峰を望む東面は、雪渓が万年雪となっている。
乗せた朝露が朝日に光る
チングルマ
岩陰に潜む女王・コマクサ
アリューシャンより渡ってきた花
ホソバウルップソウ
その広大な大草原は、高山植物の花の宝庫だ。 エゾノハクサンイチゲやエゾツガザクラ・エゾコザクラを始め、ホソバウルップソウやコマクサ・リシリリンドウなど砂礫に咲く貴重な花種も咲き誇る。
また、この地に咲く花の特徴として、大地を花の色で染める程に同一種の花が咲き乱れるのだ。
草原をピンクの斑点で染める
エゾコザクラ
その様相は『白雲岳避難小屋』の建つ高台から望むと、花の色で染まった草原を目にする事ができるだろう。 そして、その広大な草原が稜線となって、その奥に独特の王冠を被った姿でそびえ立つトムラウシの山まで続いている。
広大な草原が切れ落ちたその先に
薄っすらと王冠・トムラウシが・・
だが、その花の楽園にたどり着くには、どこから登っていくにしても、登山口から最低でも1泊2日の時を要するのである。 そう、登山口から白雲岳避難小屋まで行くだけでみっちり1日行程なのである。
また、直接高根ヶ原に取り付く最短ルートの大雪高原沼から高根ヶ原に直登するルート(三笠新道)もヒグマの巣で、入山時期や時間に制限がかけられて「気軽に行けるルート」ではないのだ。
大雪~十勝連峰 大縦走・高根ヶ原 行程図
《車の回送とアプローチ》
JR上富良野駅より車(0:35)→十勝岳温泉・十勝岳温泉の駐車場に車止め置きと上富良野行バス乗車
(0:45)→JR上富良野駅より鉄道利用(0:50)→旭川駅(1:10)→上川よりバス利用
(0:35)→層雲峡(泊)
《1日目》 層雲峡よりロープウェイとリフト(0:25)→黒岳7合目(1:10)→黒岳
(0:15)→黒岳石室(1:40)→北海岳(1:20)→白雲岳避難小屋分岐
白雲岳避難小屋分岐より白雲岳往復 上り40分・下り30分
白雲岳避難小屋分岐(0:20)→白雲岳避難小屋
《2日目》 白雲岳避難小屋(0:40)→高根ヶ原・大雪高原温泉分岐(2:30)→忠別岳
(1:30)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
(1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(0:25)→トムラウシ・南沼
《4日目》 トムラウシ・南沼(2:00)→黄金ヶ原(0:30)→三川台(1:30)→ツリガネ山
(1:30)→コスマヌプリ(1:00)→双子池
《5日目》 双子池(2:00)→オプタテシケ山(2:00)→美瑛富士避難小屋(0:30)→美瑛岳分岐
(2:30)→十勝岳避難小屋
《6日目》 十勝岳避難小屋(0:50)→望岳台よりヒッチハイク成功(0:20)→十勝岳温泉
十勝岳温泉に止め置きの車回収(0:35)→JR上富良野駅
※ 前回の『第116話 大雪~十勝連峰 大縦走 その2』の続き
避難小屋の建つ高台より望む
高根ヶ原の大平原とトムラウシ
《2日目》 高根ヶ原を経てヒサゴ沼へ
《高根ヶ原》の大平原とトムラウシ山が朝日でオレンジ色に輝く光景を眺めたなら、さあ・・出発しよう。
今日はあの大平原を
果てまで歩いていく行程だ
大平原は白雲岳からの影のせいで
朝の光が当たるのは手前より奥が先ようだ
爽やかな朝の大平原をトムラウシ山に向って、ひたすら真っすぐに歩いていく。 もちろん、朝露を浴びたお花畑が辺り一面に咲き競っている中を・・である。
朝に魅せられた花々の饗宴
朝の光で白く光る
エゾノハクサンイチゲ
朝露と光でドレスアップされた
白とピンクの花々
真にピンク色の真珠
エゾノツガザクラ
淡く儚い紫の花穂に
まだ見ぬアリューシャンの島々を想う
:
朝日に照らされた
ホソバウルップソウ
花を見るなら、やはりこの時間帯であろう。 ハクサンイチゲの花が朝露を浴びて浮き立つように咲く様や、チングルマの花びらが朝日を浴びて輝く光景など、カメラと山を趣味にしていることの幸福をひしひしと感じるひとときである。
東側にそびえる緑岳の山体をやり過ごすと
石狩の山々が見えてくる
朝日が当たった朝霧という
天然の天幕のベールに覆われた石狩連峰
石狩岳が現れると
程なく大雪高原沼が足元に見えてくる
:
ここが《大雪高原温泉分岐》だ
朝のお花畑の大平原をのんびりと歩いていくと、《大雪高原温泉分岐》に出る。 辺りの景色はより開けて、“遙か遠き山”・石狩連峰や《五色ヶ原》の真っ平な丘なども見渡せる。 その間には、《大雪高原沼》が陽の光を浴びて黄金色に輝いているのも見渡せる。
振り返ると雪のストライブを魅せる
旭岳がそびえ立っていた
昨日魅せられた白雲岳も
朝の大地に浮き立っていた
前方の眺めはさっきより少し
トムラウシの王冠が近づいていた
振り返れば、雪のストライブでドレスアップした旭岳と、ゴツゴツした岩塊を黒光りさせる白雲岳が大平原の果てにそびえ立ち、前景をコマクサの大群落が埋め尽くしている。
高山植物の小さな女王・コマクサ
旭岳バックに入れても
その小さいコマクサが写る位の大群落だ
また、小高い丘の上には、“ドイツのお菓子箱”のような《白雲岳避難小屋》がチョコンと建っている。
やがて、朝の光がオレンジ色から眩しい光に変わっていく。
広い大地の隅々がこの光に照らされて、背丈の低い花々が足元に次々と現れてくる。 リシリリンドウ・タカネスミレ・ミヤマリンドウ・エゾノツガザクラ・キバナシオガマ・チングルマ・ヒメイチゲ・・などが、次々と現れて楽しませてくれる。
珍種と云われる
リシリリンドウも咲いていた
そのリシリリンドウは
ほとんど蕾のままで
花開く事が少ないと云われている
またこの辺りも、“土の花”『構造土』があちらこちらに点在している。 辺り一面に花、そして大地の“土”までもが花となっている大平原を、朝の散歩気分を味わいながら歩いていこう。
草原の果てにある
左右非対称の峰・忠別岳
:
あの峰でスッパリと
大平原が切れ落ちている
やがて、辺りが砂礫地から草地に変わり、花の種がコマクサからエゾノハクサンイチゲやエゾコザクラに変わると、花と緑と雪縞模様の山なみが限りなく続く、さしも広い大平原も終わりとなる。
しかし、山の眺めの趣は、一向に変わる事なく素晴らしい。 今度は、エゾノコザクラの“ピンクのじゅうたん”が目を楽しませてくれる。
この世で最も贅沢なピンクのじゅうたん
忠別岳の裾から
ピンクのじゅうたんが敷かれていた
そのピンクのじゅうたんの正体は
エゾコザクラという
小さな花が織りなす斑点模様だった
そのピンクのじゅうたんの中には
白い宝石が混じってたりする事もある
エゾノコザクラの“ピンクのじゅうたんやエゾノハクサンイチゲの群落を見ながら進むと足元が急に開け、今自分が小高い丘の上に立っているのがわかる。 そして足元には、《忠別沼》がコバルトブルーに輝いている。 道は《忠別沼》に向って緩やかに下っていく。 《忠別沼》は、《高根ヶ原》と忠別岳に挟まれた窪地状の所にあり、両サイドは思った以上に開けている。
歩き続けてふと振り返ると
あれ程大きくそびえていた白雲岳が
ひと回り小さくなっていた
左手には、黒くいかつい稜線を魅せる石狩連峰や、濃い緑の大地を延ばす《五色ヶ原》などが見渡せる。 左手の眺めは、日差しを背後に受けてシャドウ気味だ。
ここまで歩いてくると
旭岳の雪渓模様も
ストライプから斑模様に変っていく
一方、右手は雪の縞模様から斑模様に変った旭岳と、特異な岩塊をもたげる白雲岳、そして冠の形をした頂を魅せる“盟主”トムラウシ山と、その裾野に広がる《化雲平》のまだら模様の雪渓など、明るい山岳風景が広がる。
忠別沼・・撮るの忘れてたよ
なので忠別沼の入ったカットはコレのみ
また、《忠別沼》の静かな水面に影を落とす大雪の山々も魅惑的だ。 この《忠別沼》付近、以前は歩くのが困難な湿地帯であったが、最近では木道が敷設されて“文字通り”絶好のオアシスとなっている。
沼のアクセントをつけての好展望を満喫したなら、先に進もう。
《忠別沼》からは、忠別岳に向って緩やかな稜線を登り返していく。 ハイマツ帯を登って忠別岳の稜線に出ると、砂礫地の砂礫地のだたっ広い道となる。 忠別岳の頂上に続くこの道はとても緩やかで、山に登る・・というよりも丘を歩く・・といった感じだ。
途中、コマクサ・ハクサンチドリ・ミヤマアズマギクといった花が漠然とした砂礫地の眺めに潤いを与えてくれる。 歩いていく内に限りなく緩やかな道がやや傾斜を増して、岩が乱立した所を縫うように登っていくと、忠別岳 1963メートル 頂上だ。
頂上からの眺めは雄大で、360°山なみの大展望が広がる。 ある程度離れてそびえ立つ旭岳と白雲岳、そしてそこから広がる《高根ヶ原》の大平原と、今まで歩いてきた道程が見渡せて感慨深い。
エゾノハクサンイチゲの花で
白く染まる中に
トムラウシの王冠を飾ってみた
また、まだ遠きトムラウシ山の眺めにも、これからの道程にときめきを覚える。 そして何より素晴らしいのが、エゾノハクサンイチゲの大群落越しにトムラウシ山がそびえ立つ風景である。
※ 今回も、行程《2日目》途中の忠別岳と中途半端ではあるが、掲載写真の枚数の事もあって
ここで1話を区切って、続きは次の『第118話 その4』で語る事にしよう。
『武漢ウイルス』や
パヨクによる原発稼働の妨害が原因の
大気温暖化や海水温異常上昇により
多発する気象災害など
チョンの背乗り天皇由来の
『Kの法則』によって
ワテの今年はズタボロとなっている
こんなにズタボロになった現状で
大雪縦走の記事を書いてると
全てを擲って放浪の旅に出たくなったよ
今出ると秋の彩りの大雪を
歩き周れるなぁ
ヘタレたとはいえヤマは歩けるし
ホント・・あと15年若けりゃあ
全てを擲って放浪の旅に出ていたと思うと
ワテの身体・精神共に蝕む
『老い』を感じるなぁ
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