風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第448回  贅沢な下山行 (白峰三山を下山)

『日本百景』 晩夏 第448回 贅沢な下山行 (白峰三山を下山) 〔山梨県・長野県・静岡県〕

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我が国指折りの
標高を誇る稜線帯を下っていく
贅沢な下山行

  白峰三山 しらみねさんざん (南アルプス国立公園)
南アルプスの北部には、北岳 3192メートル ・間ノ岳 3189メートル ・農鳥岳 3026メートル と、ひときわ高い峰が連なっている。 この3つの峰は、『白峰三山』と呼ばれている。

・・北岳は、“知る人ぞ知る・・”日本第二の高峰で、間ノ岳も日本第四位につけている。 
現在は、南アルプス林道の開通によってアプローチが容易となり登山者も増えてきたが、ひと昔前はこの山に登ろうとするなら前に立ちはばかる鳳凰三山を乗り越えるしか手がなく、限られた熟練クライマーのみが登頂を許される山であった。

・・景観では北岳が特に素晴らしく、雲海から上の眺めや周りの山々全てを“肩越し”に眺める爽快感、東面に落ち込む北岳バットレスの大岩壁とその斜面を飾る花々がおりなす“アルペン”風景、そしてこの山を染める高山植物の大群落など、高山的魅力はつきない。



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北岳・右俣ルート下山コース 行程図

    行程記録             駐車場・トイレ・山小屋情報
《アプローチ》 戸台・仙流荘より南アルプス林道バス(1:50)→北沢峠を経て広河原
《1日目》 広河原(2:30)→白峰御池(0:30)→大樺沢二俣(3:30)→八本歯ノコル
     (0:30)→山荘短絡道分岐(1:20)→北岳山荘
《2日目》 北岳山荘(1:35)→間ノ岳(1:20)→農鳥小屋
      ※ 農鳥小屋の露営地でテントを設営して空身で広河内岳往復
       農鳥小屋(0:45)→西農鳥岳(1:05)→農鳥岳(1:10)大門沢下降点
        ※ 大門沢下降点より広河内岳往復・所要往復1時間
      大門沢下降点(1:10)→農鳥岳(1:05)西農鳥岳(0:45)農鳥小屋
《3日目》 農鳥小屋(1:20)→間ノ岳(1:20)→北岳山荘(1:30)→北岳
     (1:10)→北岳・肩ノ小屋
《4日目》 北岳・肩ノ小屋(0:30)→小太郎尾根分岐(2:30)→大樺沢二俣
     (2:00)→広河原より南アルプス林道バス(1:50)→北沢峠を経て戸台・仙流荘
   ※ 前回の『第447回 ファイナルの峰へ その2』の続き

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ファイナル峰を踏破して
迎えた朝 

《3日目》 イベントが終わって・・
昨日・・、25年越しの念願であったイベントを無事に達成する事ができた。 後は下界に戻るだけだ。
そして、今日の内に急いで下りる必要もないし、今のワテでは農鳥小屋から北岳周りで1日で下りていく根性もない。 だから今日は、《北岳肩ノ小屋》のテント場までの短い行程をゆく『インターバル』の日としよう。

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インターパルな日でも
山は早出が鉄則だ 

そう・・、山の風景を撮り、花々を撮りながら、山を楽しみつつ歩いていこうと思う。 先程に「農鳥小屋から北岳周りで1日で下りていく根性もない」と記したが、去年から〔名峰次選〕の全峰踏破を目しただけに、ちょっとは体力が回復したみたいだ。 といっても、かつての『奇跡の体力』には遠くに及ばないのであるが・・。 

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下っている時は気付かなかったけど
芸術的な岩峰がアチラコチラに

それは農鳥小屋から間ノ岳までの上りで、往路で下りの時にかかった1時間半を2分凌ぐ1時間28分で登りきったのである。

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間ノ岳の頂上まで登りで1:28と
下りより2分早かった事に調子着くタワケ

かつての『奇跡の体力』発動時の「下りより登りの方が早い」という喜ばしい状況になっていたのである。 この喜ばしい状況に、写真を撮る発想も少し冴えていたよ。 それは、いつもマンネリになりがちな富士を印象深く撮ろう・・と思い立ったのである。

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間ノ岳のケルンをモニュメント化して
富士を当ててみた

この狙いはまずまずで、「富士を魅惑的に撮れたかなぁ~」なんて出来上がるリバーサルの原版の想像をしてほくそ笑む。 フイルム写真を撮っていて、この空想に思いを膨らます瞬間が最も充実している瞬間だろう。 これのないデジタルは、楽しみ甲斐もなく人間の想像力を殺す、人にとって害あるシステムだと思うよ。 だからワテは、趣味では一生涯デジタルカメラは使わないと決めている。

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間ノ岳の頂では『銀』の北岳は方角違いで
『金』の富士に併せる事が叶わず
併せる峰を甲斐駒ヶ岳にしたよ

これに気を良くして、更に試行錯誤しながら富士を撮る。 次に狙うは、二度目の『金と銀』である。
それは『金』の富士と、『銀』の北岳の揃い踏みのアングルである。 だが、この間ノ岳では『金・銀』二つの峰の方角が違い過ぎて一つのアングルに収める事ができず断念・・、『銀』は甲斐駒という衛士を露払いに撮る事にしたのである。

その次は、いよいよワテの写真におけるタブーにチャレンジしてみる。 それは、日頃から『黒点』と表して画像に入る事を忌み嫌っていた、「人影を入れてみよう」という逆療法である。 目論見はバッチリ当たって、この時の『〔名峰次選〕ファイナル』という、イベントの達成に花を添える事ができたよ。
南ア・間ノ岳の頂上にて、生涯獲った中でも熱い富士の写真をゲットできた手応えを感じたよ。

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富士を印象深く撮る
敢えてワテの写真における
タブーに飛び込んんで・・

富士を印象深く撮れた手応えを感じて気分が良くなって、『奇跡の体力』発動時のあの時の様に、ザックを背負いながら花を撮りつつ歩いていく。 山で写真を撮っていて、最も幸せを感じるひとときだ。

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チシマギキョウ

不思議とこういう自身に『楽しい』事をしていると、意識もせぬままに間ノ岳から北岳山荘前まで歩ききる。 

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花名不詳

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タカネツメクサ

普通は「写真を撮りながら歩く」なんて事をすると時間を食ってしょうがないモノなのだが、歩く事にシンドさを感じぬ分、反ってスムーズに歩いているようだ。

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紫色の花・・
それは夏が終わって
山が急速に秋に向かっている証拠

北岳山荘から北岳への登りも、それほどのキツさを感じなかったしィ。 とはいっても、最後は50歩毎に立ち止まっていたけど。

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北岳の頂で 間ノ岳を振り顧みる

・・で、10時ちょっと過ぎには北岳の頂へ。 北岳の頂上標高は、切り上げで1m増えて『3193m』になっていたよ。 ホントは3192.4mなんだけど。 まぁ、ワテの中では、北岳は『3192m』で変わらないのである。 それは『登山の標高統計』などの”マイ資料”でも、北岳は全ては『3192m』としてるしィ。 だから・・3193mの頂上標は、敢えて撮らない事にしたよ。

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北岳からの下山路と
南アルプス随一の優雅な峰・仙丈ヶ岳

だが、調子のいいのもここまでで、ここから《北岳肩ノ小屋》までの岩稜の下りは思いっきり時間を食う「いつもの」状況に戻っていた。 コースタイム40分で、1時間かかっちまったよ。 でも、今日は短い行程なので、午前中に《北岳肩ノ小屋》に着く事ができた。

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あの目立つ突起は
鳳凰三山・地蔵岳のオベリスク
肩ノ小屋のテラスにて

ちょうど10年前にここに泊まった時は、テント場はヘリポートの所だったような・・。 だが今は、斜面を削ってテント場にしてるようで、テント場まで10mほど急下降せねばならない上に、元々斜面なのでテント場自体が”ナナメっている”使い辛いテント場となっていた。 良かったのは、トイレが様式になっていた事位かな。

どうやら天気は今日一杯しか持ちそうにないようで、明日は本降りの雨との事。 まぁ、残り8峰となってから、2年越しとなった〔名峰次選〕全峰踏破のイベント達成までは、腹から火を噴いた事もあったし、秋の3000mで地ベタ寝をしたし二度の道迷いをした山もあったし・・と、踏破までかなりの手間と時間がかかっちまったよ。

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25年の時を越えて
ファイナルの峰の頂に立つ
という生涯のイべントを達成して

でも、目標を達成するというのはいい事だと思うし、これ程までに明確に目標を達成できた事って、『プレミアム達成』だった【名峰百選】以来だね。 まぁ、これよりは、また新たな目標を見つけていかないといけないかも。

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イソクワガタ?
秋の野花が咲き競っていた



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タカネナデシコ
夏の終わりから秋口の花は
なぜか色濃い花の色を示す

  《4日目》 雨の下山
朝起きると、小屋で天気予想を張り出していた通りの本降りの雨だった。 夜半過ぎはまだ降っていなかったので、恐らく明けと同時に降り出したみたいだ。 まぁ、4日行程ならば、1日は降られるのが”山の天気”のお約束だし、一番影響の少ない下山の日が雨だったのは考えようによってはベターかもしれない。 ただ、雨の中でのテント撤収が厄介な事位だろうか。

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色濃い花の中で気をはく白い花
タカネビランジか? 

晴れても雨でも相変わらず遅い下りであるが、雨の中で気が散る事無く下り歩く事に専念できたので、便所のある《大樺沢二股》までは2時間半と予想以上に早く(といっても、コースタイムは2時間)下りる事ができた。

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最終日は雨となってしまったが
ファイナル峰を制覇して心晴れやかだった

・・が、これより下は沢沿いの石がゴロゴロと転がる最もキライな下り道だ。 下る段が高いと足は痛いし、爪先は常時痛いし・・で、コースタイム2時間の所を2時間40分かかっちまったよ。

・・で、目標の11時のバスには乗れず、広河原で2時間のバス待ち。 これに北沢峠の乗り換えも絡んで、戸台に駐車していた車に戻ったのは15時前。 風呂入って、下山の疲れからか途中で車を止めて寝てしまった事もあり、その日の内に大阪に戻る事ができずに、岐阜の道の駅で車寝となってしまったよ。
う~ん、最後まで引き締まった終わり方ができないんだね、このタワケには。


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でもこのままではチョンの
詐偽徴用工の件でも
総理になるべく

媚シナ・チョン派議員や財界に
媚びてこの問題をウヤムヤにする
危険さえありますな

そうなると日本はアメリカを始めとした
全世界の不興を買う事になるよ

だからこそ強権を発動してでも
チョンやシナと対峙して
いかねばならないのだ

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日本の尊厳と世界での地位を守る
唯一無二の方法が矛盾の解消・・即ちそれが
チョンの背乗り天皇の追放を口実にした
チョンとの国交断絶なのである







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No Subject * by 鳳山
白峰三山って名前だけは聞いていましたが、長野、山梨、静岡に跨る赤石山脈にあったんですね。ググったらすべて3000m級、日本有数の高山ですね。勉強になります。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんにちは。

この白峰三山は、赤石山脈の北端部分に連なる3000mを越えた峰々の総称ですね。
白峰三山を構成する北岳は、3192.4mと我が国第二の高峰で、間ノ岳も3189.5mと我が国第4の高峰です。

白峰三山の由来は、昔の人は北岳・間ノ岳・農鳥岳の3つの峰を総称して『白峰山』と呼んでいた事からで、ズバリ雪をまとう白峰が呼び名の元のようですね。


No Subject * by SENSE(ふぉと山の歌)
こんにちは。
素晴らしい山旅ですね。
でも、体力がないと・・・。
南アルプスは、北岳と間ノ岳のニ座以外は登ったことがありません。
取り付きが長く大変だというイメージがあります。
北アルプスと違った魅力のようなものはあるのでしょうか。

ブログの中で、デジカメは使わないと言っておられますね。
六本木の個展で、大分前のことですが、プロの有名風景写真家がデジタル作品を指して「あんなものは写真じゃない!」と言っていたのを思い出しました。
フィルムカメラ撮影の魅力は捨てがたいものがありますが、荷物を少しでも(例え100gでも200gでも)減らしたいという思いはあります。
最近はやりのミラーレスはどうだろう?と食指が動くのも偽らざる今日この頃です。

ブログの中の富士山の作品とても素敵だと思いました。

Re: No Subject * by  風来梨
SENSEさん、こんばんは。

自分で言うのも何ですが、かつては『奇跡の体力』という猛烈な体力があったのですが、今はかつての倍の時間がかかってしまいます。 それでも無理やり登ってますね。

登りはヘタレ度合いが小さいのですけど、下りでかつての倍以上かかってしまいます。

でも、ヤマはやめられないですね。
私も荷物の量は気にしていまして、今はテント以外のヤマグッズは極力はしょっています。 レンズも20、28、50マクロ、70~210の4本で固定ですね。 もちろん、三脚は持っていきませんね。

小3から写真を撮って40年経っちゃいましたので、もうフイルムから変える事はできないかな・・と。 また、ハード山行では電池の事など、フイルムでないと写真が撮れないケースも出てきますので。

コメント頂きまして、ありがとうございます。 北ア・裏銀座の山記事を楽しみにしております。

コメント






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No Subject

白峰三山って名前だけは聞いていましたが、長野、山梨、静岡に跨る赤石山脈にあったんですね。ググったらすべて3000m級、日本有数の高山ですね。勉強になります。
2020-08-30 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんにちは。

この白峰三山は、赤石山脈の北端部分に連なる3000mを越えた峰々の総称ですね。
白峰三山を構成する北岳は、3192.4mと我が国第二の高峰で、間ノ岳も3189.5mと我が国第4の高峰です。

白峰三山の由来は、昔の人は北岳・間ノ岳・農鳥岳の3つの峰を総称して『白峰山』と呼んでいた事からで、ズバリ雪をまとう白峰が呼び名の元のようですね。

2020-08-30 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

こんにちは。
素晴らしい山旅ですね。
でも、体力がないと・・・。
南アルプスは、北岳と間ノ岳のニ座以外は登ったことがありません。
取り付きが長く大変だというイメージがあります。
北アルプスと違った魅力のようなものはあるのでしょうか。

ブログの中で、デジカメは使わないと言っておられますね。
六本木の個展で、大分前のことですが、プロの有名風景写真家がデジタル作品を指して「あんなものは写真じゃない!」と言っていたのを思い出しました。
フィルムカメラ撮影の魅力は捨てがたいものがありますが、荷物を少しでも(例え100gでも200gでも)減らしたいという思いはあります。
最近はやりのミラーレスはどうだろう?と食指が動くのも偽らざる今日この頃です。

ブログの中の富士山の作品とても素敵だと思いました。
2020-08-30 * SENSE(ふぉと山の歌) [ 編集 ]

Re: No Subject

SENSEさん、こんばんは。

自分で言うのも何ですが、かつては『奇跡の体力』という猛烈な体力があったのですが、今はかつての倍の時間がかかってしまいます。 それでも無理やり登ってますね。

登りはヘタレ度合いが小さいのですけど、下りでかつての倍以上かかってしまいます。

でも、ヤマはやめられないですね。
私も荷物の量は気にしていまして、今はテント以外のヤマグッズは極力はしょっています。 レンズも20、28、50マクロ、70~210の4本で固定ですね。 もちろん、三脚は持っていきませんね。

小3から写真を撮って40年経っちゃいましたので、もうフイルムから変える事はできないかな・・と。 また、ハード山行では電池の事など、フイルムでないと写真が撮れないケースも出てきますので。

コメント頂きまして、ありがとうございます。 北ア・裏銀座の山記事を楽しみにしております。
2020-08-30 *  風来梨 [ 編集 ]